いつもと同じ夢
ここより先も、ここから後も何度も見てきた

控え室で純白のウエディングドレスのわたし
「新郎様がいらっしゃいました」
係の人がわたしに声をかける
タキシードを着たシンジ

孤独がアスカちゃんを縛り付けても、傷だらけになってもずっと僕と一緒にいてほしい
それがシンジのプロポーズの言葉だった

唇でなぐさめてくれた

ずっと一緒にいよう
そういってわたしの指に婚約指輪を通してくれた


いつの間にわたしを見下ろすくらい大きくなって


しばらく私を見つめていたシンジがつぶやいた
「女神様みたいだ」
「ばか…」
いつもみたいに意地悪を言ってやろうとしたのに…
恥ずかしくて顔も上げられなくなっちゃったじゃないの…

なんでこんなにしあわせなのよ…
全部あんたのせいなんだからね…
シンジのばか…
ずーっと一緒にいてやる…どんなにいやだって言っても、離れてなんかやらないんだから…
いやってくらいしあわせにしてやる…
もう一生離してなんかやらないんだから…

私の中がしあわせでいっぱいになってゆく
シンジが私の手をとり、やさしく語りかけてくる
「さぁ、いこうアスカ…時間だ」
うん
しあわせだ
いま、私は世界でいちばんしあわせ…

そこで目が覚めた

傍らには未来の新郎が寝息を立てている

今日はどうやって起こそうかしら

乳房が少しうずく…
結局あざになちゃった…

じゃあ私もシンジにあざ作ってやろう

シンジの寝巻き代わりのシャツをそぉっと脱がす
まずは首筋にキスマークをつけてやった
次は胸
おなか
次は…
シンジのズボンを下ろしてはっとなる
「なにやってんのよ…私」

しばらくシンジをみつめる
私も裸になった

そのままシンジに寄り添うともう一度眠りに落ちた
シンジの目覚めが楽しみ



「わあ!」

シンジのすっとんきょう叫びで目が覚める
狙い通り
私はまだ寝たふり
「どうしたの!」
リツコがあわてて飛び込んできた
とっさにシーツで股間を隠すシンジ
「なん…でもない…よ…あははは…」
あせってやんの
「そう?ならいけど…」
ちょっと不振気にしながらリツコは部屋に戻っていった

シンジがわたしをゆすりながら
「アスカちゃんおきてよ…ねえ、おきてよ」
今おきたふりをする私
「んん…どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ…ひどいよぉ」
ふふふ
「もう…シンジが先に脱がしたんじゃない…わすれたの?」
「えぇ?」


あぁおもしろい!
私はそのまま飛び起きるとシンジの前に仁王立ち

「おはよう!えっちなシンジ!」

「もう…」



朝食中にリツコがシンジの首筋に気づいた
「あら、シンジ君虫に刺されたの?」
「え?」
「ほら首筋がまっ赤じゃない」
「え?なんともないけど?」
「ほんとにまっ赤よ」

私は知らん顔でトーストをかじる
気づいたらしい、
私をにらむリツコ
私はそれにも気づかないふり
りつこが小声で
「いい加減になさい…」
私はそっぽむいたまま
「はぁーい」
一人、シンジが何なんだろう?って顔してる



今日から私は本部配備
「配備」だって
まるっきり物扱い

まっ、今まで通り呼び出されればいつでも行く
それ以外は普通の生活を送っているふり…

ここでもやることはドイツと一緒
実戦が始まったこと意外は…


どうせやることも無いシンジもとりあえず連れて行くことにした

ふと気になり、移動中の車内でリツコに聞いてみた
「ねえ、私、学校ではなんて名乗ればいいの?」
偽名のこと
今までもそうだった
パイロットに選ばれて以来、組織の人間以外に本名を名乗ったことはない
今回はかわいい名前がいいなぁ…
「そのままで良いのよ」
え?
びっくりしちゃった
「今度通う学校の生徒の家庭の大半は組織の関係者なの。だから特に偽名の必要は無いわ」

うれしいけど…なんだかちょっと…
シンジ以外に名前呼ばれるのって…なんか抵抗ある…


今日は軽いテストに本部スタッフとの顔合わせ
特別にシンジも内部に入れてくれた

いつものように身体検査と精神テスト
もう他人に裸を見られてもなんとも思わなくなちゃった
でも、シンジにこれは見られたくないなぁ…
他人に裸を見られてる私…それを見るシンジ
いやだ…
だからこのときは絶対シンジを中に入れさせない

「余計なことは考えないでください…計測値が乱れます」

はいはい


検査が終わるとスタッフと顔合わせ
よっぽど暇なのか、ネルフのパンフレットを読んでいるシンジ

リツコが私をみんなに紹介する
「この子が我々の「天使」。二人目の適格者で世界にたった一人のエヴァンゲリオンパイロット、アスカ・ラングレーさん」
皆が一様によろしくだの頼みますだの声をかけてくる
私が挨拶をしようとすると、急にリツコが
「そしてあそこで物思いにふけっているのが私の弟でアスカちゃんのフィアンセ、碇シンジ君」
皆いっせいに笑い出した
シンジと私はお互いに「え!?」って顔しちゃった
「まっ、そんなわけで、将来この子は私の妹になるのでくれぐれも失礼の無い様に頼むわね」
笑いがいっそう広がっていった

とりあえず
「よろしく」
って挨拶したけど
みんな笑いながら「よろしくお願いします」って言ってくれた

一通り挨拶が終わるとリツコがオペレーターの女性をそっと指して耳元でささやいた
「みんな良い人だけどあの子には気をつけてね…あの子…レズだから」
いぃ!
かんべん!




やっぱりそれは突然だった

使徒襲来

まず海自が秘密兵器で迎え撃った
私の出撃準備が調うまでの時間稼ぎだ
シンジは非難区域に移されることになった
慌しげに動き回る大人たち

別れ際に
「シンジ、おまじないしようか」
え?だって
人前なのが恥ずかしいんだ…
私が選ばれて以来、子供でも「今日は何かちがうぞ」って言う日はわかった
そんな不安をやわらげてくれるおまじない
シンジに「きゅぅ」って抱きしめてもらう
がんばってねアスカちゃん
そうささやいてもらう

効果はてきめん
今までだって成功する確率のほうが低いようなテストもこれで乗り切れた

「はい!」
シンジのに擦り寄る
ちょっと乳房がうずく
まわりの大人たちが見ない振りをしてる
一瞬おいて
ぎゅぅ
ひと呼吸おいて
「がんばってね…あすかちゃん」
心配そうな声…本当に心配そう…

笑顔でこたえる私

うん…がんばる
シンジのためだもの…

シンジから飛び立つように離れる
元気いっぱいに手を振りながら駆け出した

もう怖くない!



急ピッチで進められるエヴァの出撃シークエンス
モニターには使徒にけちょんけちょんにされる海自の戦艦ロボ
正式名称は…わすれちゃった

上陸した使徒に今度は陸自が迎え撃つ
自慢の戦車とJA
融合炉で動く巨大ロボ
正式名称は…えーと…

「エヴァンゲリオン発進10秒前!」

あー思い出しかけてたのに今ので忘れちゃったじゃない…

あーJAやられちゃった
確かあれって人乗ってるのよね…

「エヴァンゲリオン発進!」

Gがかかる

作戦部長様からの通信
「いいアスカ!今から1分後に空自がN2航空爆雷で使徒の足止めを行うわ、爆撃後確実に使徒を殲滅。いいわね」

爆弾は使徒の気をそらす囮

「爆撃まで後50秒!」

え?ちょっと待って
じゃあJAに乗っている人って…

待避所から飛び出し使徒に向かい走り出す私のエヴァ
「なにやってるの!アスカ!」
ミサトの声が響く
使徒の閃光をかわす
ついでに、やつの頭の上にかっこよく立ってやる
うん、きまった!
おっと
飛び降りるとJAを小脇に抱え待避所に全力疾走
なにこれ、結構重いじゃない

「爆撃まで10秒」

「使徒予定地点より移動します!」
「まずい…」

使徒が私のこと追いかけてきた

「5・4・3・2…」

JAを待避所に放り込みエヴァも滑り込む

どっかーん

そぉーと待避所から使徒をのぞいてみる

なんだ、結構効いてるんじゃない

もうふらふらしてる

「アスカ、やってくれたわね…」
あーミサと怒っちゃった
やば…
「直ちに作戦を変更します。エヴァおよびパイロットは現状で待機」
はい!

どーしよう…まずいよね…やっぱり
使徒は回復に入ってる
こっちはさっきの爆発でケーブルが断線…
最寄の予備電源はもれなく消し飛んじゃった
とにかく待機モード
ん?自衛隊が待避所に乗り込んできた…
あぁパイロットの救出ね
あ…コックピットハッチが開かなくててこずってる…
しょうがないなぁ
えい
エヴァの指で空けてあげた
中から人が引きずり出される
女の人だ…
救助に来た人たちが私のエヴァに向かって敬礼している
んじゃ、わたしもエヴァで敬礼!
「無駄に電源を消費しないで!今のであなたが使徒に勝つ確立が0,002%下がったわ!」
怖いミサト


2時間が過ぎた
緊急の外部電源車で私のエヴァなんとかはおなかを減らさずにいる
ミサトから通信が入る
「お待たせ…現状でエヴァ単機による使徒殲滅の確立は98,878%よ」
なんだ、楽勝じゃん
さっき触った時に分かってはいたけれど
前回といい…使徒って弱いの?

「これを100%にするのが私の仕事です、そのめどが立ったわ」
ふーん、もう一発爆弾落としとけばいいんじゃない?
「本部ゲージに拘束中のエヴァ実験機を囮とします」
へーあの紫色のやつでしょ
資料で見たことある
じゃあ、うわさのダミープラグの出番ってやつだ…
私の細胞から作られた擬似信号で
「ここにアスカがいます」ってエヴァをだます装置
試験中ってのはダミー情報か…ダミーだけに
「作戦概要はそちらに送ったわ、開始は7分後、頼むわね…アスカ…」
了解
データを確認
ふーん実験機はおとりか…
なになに…使徒にはエヴァの区別はつかない…
えぇ〜ほんとぉ?〜
本作戦より実験機を「仮設初号機」とする…ふぅ〜ん


開始2分前
すこしむこうに初号機が固定されたまま現れた
げぇ、口なんかあけてうなり声上げちゃって、本能むき出しじゃないの…
ダミープラグってのをちょっとのぞいてやろう
お!?接続可能じゃない、しめしめ…
大人たちが私のいたずらに気づいちゃった
大慌てで初号機と私のエヴァ間の通信を遮ろうとする
残念、むかしっから乗ってる私は暇つぶしにいろんなこと覚えちゃったんだな
たとえば
エヴァからの逆ハッキングとか
「やめなさい!アスカ!やめてちょうだい」
リツコの声
初号機プラグ内と回線がつながる
さぁ〜もう一人のアスカちゃんとごたいめ〜ん

なによ…これ…

「初号機側の通信だけでも遮断して」
ミサトが叫ぶ

「ごめんなさい…反対したけど…私にはミサとは止められないのよ…」
リツコの泣き声

「後でいくらでも誤るわ…すべてが終わったら殺してくれてもいい…とにかく今は落ち着いて」
ミサトもすまなそう

「心理グラフ乱れています!アスカちゃん落ち着いて!」
オペレーターが私をなだめる

初号機の中にシンジ

だらしなく口をあけて
目はうつろ
両腕だけ簡易プラグスーツをつけられている
服は…かわいそうに…抵抗したのね…破けちゃってる
いくら呼びかけても反応が無い

「投薬!」
ミサトの指示
シンジがビクンってなった
みるみるシンジの目の色が変わる
口元はつりあがり
低い笑い声まで…
初号機への通信が聞こえる
「いい、シンジ君、今見えているのがアスカちゃんをいじめる悪いやつ」
「アスカ…ちゃんを…いじめる」
「そう、だからシンジ君、あなたがあいつをやっつけるのよ」
「うぅ…いじめるな…アスカちゃんを…いじめるなぁ!はなせ!はなせ!今すぐはなせぇ!」

ミサトから指示が入る
「とにかく私のことは後であなたの好きにしていいわ」
…今すぐ殺してやる…
「あと15秒で初号機を開放、続いてエヴァ2機で使徒を殲滅…いいわね」
使徒め!この使徒め!ミサトめ!許さない…

拘束が解除されると同時に奇声を上げ使徒に襲い掛かる初号機
まるで子供の喧嘩のように初号機は使徒と殴りあう
閃光を受けても光るパイルのようなもので貫かれても使徒を殴るのをやめない

「お願いアスカちゃん…シンジ君を助けて…」
リツコの嗚咽

「いまよ…アスカ行きなさい!」
ミサトめ
「いかないと…シンジ君死ぬわよ?」



「殺してやる!」



私はひとっとびで使徒にたどり着く
勢いのまま使徒を踏みにじる
使徒と一緒にもんどりうって倒れる初号機
初号機を抱きかかえると遠くに放り投げる
「大丈夫だからね」
そういいながら

使徒は混乱していた
本当に使徒はエヴァの区別がつかないらしい
でも私にはそんなの関係ない

使徒の閃光も光のパイルも私には当たらない
私には守りたい人がいる
だからそんなもんには絶対に当たらない

誰か通信をONにしたままなんだろう
本部での喧騒が聞こえる
「すごい…まるでエヴァがよけた後使徒が攻撃してる様じゃないか…」
「圧倒的じゃないか…エヴァは…」

使徒の腕をちぎり足をへし折る
臓物をぶちまけのたうつ使徒

本部で誰かが嘔吐している

最後はコアをぐしゃぐしゃにしてやった




初号機は先に収容された

私は落ち着いた振りをして収容を待つ
もちろん殺してやる
戻ったら
あいつを殺してやる

おとなしくケージに収まる
シンジを心配しているように見せながら
シンジは大丈夫
さっき触れたときに初号機がそういっていた
だから今はのこのこあいつが現れるのを…

来た!

ミサトとリツコが桟橋の真ん中に来たところでエヴァの両腕で道をふさぐ
エヴァの顔面を二人の眼前によせる
おびえてへたり込むリツコ
ただ、こちらを見つめるミサト

殺してやる

プラグを排出させるとそのまま私は外に飛び出し、ミサトに襲い掛かった

馬乗りで殴りつける
今まで習った護身術や格闘術なんてどこかへ消し飛ぶ
私が叫ぶたび言葉の代わりに口や鼻から肺の中のLCLが飛び散る

ミサとは本当に無抵抗だった
駆けつけたスタッフに私が引き離されても
血と私が吐いたLCLに塗れながら
「いいわ、なんでもないのよ」
そういうだけだった



リツコは私の手を握り
うつむき
泣いていた



シンジの病室に向かう途中、本部監視室に忍び込んだ
どうしても何があったかを知りたい
2重3重のプロテクト
残念
さっきリツコからパスワードは聞き出している
見つけた
関係者待避所
音声は聞こえない
入室してからしばらくゲームをしている
そういえば隠しキャラが出たとか言ってたっけ
時々監視のためについてきたSPと話をしている
まったく、その女あんたのこと見張ってるのよ?…
監視カメラの時間を確認する
私がJAを助けてから30分後だ
ミサトが大勢つれて入ってきた
シンジに話しかける
え?ってかおをするシンジ
シンジが首を横に振る
ミサトがなにか指示を出す
まわりの大人を怯えたように見渡すシンジ
リツコが飛び込んできた
ミサトに詰め寄るとすぐにシンジを連れ出そうとする
すぐに回りに引き離される二人
必死に抵抗するシンジ
押さえつけられるリツコ
もう一度ミサトが指示を出す
シンジの首筋に何かが打ち込まれた
シンジが動かなくなる
シンジが連れ出されていく

もういいわ…

シンジのところに向かおう…


病室の前にリツコが立っていた
私に気づくと
「ちょっとだけいい?」
ってつぶやいて
私はうなづいた

短い立ち話
「ごめんなさい…何もできなかった」
「いい…リツコは悪くない」
「許してちょうだい…」
「なにを?」
「シンジ君のこと、シンジ君が初号機に乗せられたことアスカに隠そうとしてたの」
「…なんで?」
「分からない…そうすれば三人今後もうまくいくような気がして…ばかね…」
「ほんと、ばかね…」
「せっかくできた姉妹なのに…なにやってるのかしらね…わたし…」
「気にしなくていい…」
「母子家庭だったの、私…」
「リツコが?」
「そう…だから母が指令と再婚したときもなんだか変な感じだったわ。それより小さな男の子が姉妹になるって方がどきどきしてた、可笑しいでしょ」
「ううん…解る…」
「ありがとう…やさしのねアスカは。ふふ、でもドイツまで迎えに行った小さな弟はもう別の女の子に取られちゃってたの、ちょっと悔しかった…だから私シンジ君にキスしたの。覚えてないかな?」
「覚えてる…」
「ほんと?ふふ…おどろいた。あなたに嫉妬したのよ、私」
「ほんとに?」
「えぇ、指令がシンジ君に電話するたびに変わってもらって長電話したのもアスカに対する嫌がらせ」
「なによ…それ」
「ふふ…正直に言うと今も嫉妬してるの」
「いいわよ別に」
「じゃあ行ってあげて…」
「リツコは?」
「アスカの後でいいわ、かっこつけさせて」

リツコは行ってしまった


シンジの病室に入るとがらんとした部屋にシンジが眠っていた
シンジを覗き込む
なんとも無いみたい
よかった…
そっといすにかけるとシンジの手を握る
こぶしが痛む…
あいつを殴ったから

シンジが握り返してきた
覗き込む
まだ寝てる…
うふふ…かわいぃ

ノックが聞こえた
リツコかな
ドアーが開く
息を呑んだ

「ミサト」
私は思わずつぶやいた

眼帯に包帯

じっと見つめ合う
「ごめんなさい」
ミサトが切り出した
「ちゃんと謝りたくて…」
「ゆるさないわ…」
小声で答える…シンジをおこさないように
「分かってる、報いは受けるわ」
「殺す」
「えぇ…すべてが終わったら、それでかまわない。それともうひとつ」
「なに」
「ありがとう」
「なんのことよ」
「JAのパイロット、私の同期だったの…本当にありがとう」

それだけ言うとミサとは出て行った


時々シンジの体を触る
ぴくんってなる
かわいい

シンジがゆっくり目をさました
何か言ってる
「なに?」
そういいながら顔を近づける
「ジュース…のみたい」
ふふ…ばか
そのまま唇をふさいだ
唇をゆっくり離すと
「買ってきてあげる」
立ち上がった


ドアーを開けようとすると
外から誰かがあける
見たことの無い女の子
私と同じくらいの

そのまま部屋に入ってきた
「ちょっと部屋違うわよ」
まるで無視
「ねぇ、ちょっとあんた聞こえないの?」

女の子がシンジを覗き込む

「おかえりなさい、碇君」

シンジがうなずく

女の子はそれだけ言うと私を一瞥し部屋を出て行った
なんなの?いったい?
「誰なのよ!いったい!」
顔だけこっちに向けるシンジ
「えっと…誰だっけ?うぅ〜ん知ってる人なんだけど」
はぁ?
シンジがうれしそうな困ったような顔してる
へんなの
私が出撃中にどこかで会ったのかな?
とりあえずジュース買ってくるか


ジュースにストローをさして飲ませてあげる
「ありがとう」
しばらくは体が動かせないらしい
シンジに寄り添う
シンジが私の首筋に顔をうずめる


「アスカちゃんのにおいだ」


シンジからはLCLのにおいがした
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