我ながら、見事な戦術だったわ。
ダミー情報の流布、シンジ君と相田君の心理及び行動予測、洞木さんを通しての情報操作、MAGIを使った
監視体制の攪乱、旅客機丸ごと一機抑えた大胆さ。
全てが完璧。
まあ、可愛い後輩から愛想尽かされるのは確実の相田君と、アスカにシンジ君横取りされた女の子には悪
いことしたけど、アスカには、最高の誕生日プレゼントよね!
いや〜、ほんと、いいことした後の気分て最高!」
「喜ぶのはいいんだけど、ミサト。
航空会社からの請求書の決済、大丈夫なの?
それと、MAGIの介入でアスカの出国を手助けしたけど、ドイツ支部に根回しなんてしてないわよ。向こうは、
本部がアスカを唆したと思うでしょうね。下手すると、政府も巻き込んだ政治問題に発展しかねないわ」
「心配性ね、リツコは。
旅客機一機のチャーター料なんて、知れてるわ。私は今、副司令なのよ。そのくらいの決済、軽い軽い。
経費でなんとかするわ
よ。
ドイツ支部は、加持に何とかしてもらうし」
「え?俺が?
今回の件、俺は何もタッチしてないぞ。
何をどうしろと言うんだ、ミサト!」
「怒れるドイツ支部を宥めて、アスカの身分を確定して、向こうに残ってるアスカの荷物を日本へ送ってもら
うのよ。
簡単でしょ?」
「簡単と思うか!?えぇ!?
リっちゃん!君からも言ってやってくれ!」
「あなたなら出来るわ、リョウちゃん。
何しろ、三重スパイをこなした凄腕ですもの」
「お前らなあ・・・」
アスカ誕生日プレゼント大作戦の成功を祝い、普通の居酒屋で宴を開いた三人。
たまには金のなかった学生時代を思い出すのもいいと考え、場をセッティングした加持だが、とんだ結末
が待っていた。
ネルフ支部随一の政治力を誇るドイツ支部は、とても一筋縄ではいかない相手。全精力を振り向けたとし
ても、数ヶ月はかかるだろう。想像もつかない激務が確実に待っているのだ。
シンジとの愛を成就させたアスカの幸せには、無条件で拍手を送りたい。妹のように思っている彼女の幸
せは、自分の幸せでもある。
が、しかし、加持には、ミサトの楽天さとリツコの突き放しぶりが魔女に思えるのだった。
でらさんからアスカ誕生日記念をいただきました。
これはまた素敵な誕生日プレゼントでありました。
ミサトさんリツコさんヒカリケンスケそれからこの場にいない大勢の人たちの、アスカとシンジ二人への愛と幸せへの願いのようなものが感じられます。
それに加持のようなクズ‥もとい、ハッタリ屋‥もとい、加齢じゃなくって華麗なエージェント(元)にも役に立てることがあったのですね。素敵です(笑
素敵な話を書いてくださった読後にはぜひでらさんに感想メールをお願いします。