契約ver.2
初めて声をかけたというのに、まるで旧知の間柄のように自然な挨拶ができた。
山岸マユミは、思い切った自分の勇気を褒めたい気分で一杯。この気分を、誰かに聞いて貰いたい
くらい。
声をかけた彼は反射的に挨拶を返しただけであったが、マユミには、それだけで充分。それ以上は、
望まない。望んでも叶えられない夢であることは、確実だからだ。
「やっぱり、碇さんて素敵・・」
自分の席で机に両肘をつき、掌に顎を乗せてボーっとするマユミにクラスメート達は得体の知れない
空気を感じたのか、声をかける者がいない。
この春から第三新東京市立第壱高校に通うマユミは、同期で入学した碇シンジという少年に想いを
寄せている。
漆黒の髪の毛をストレートに背の中程までに伸ばしたマユミは、見るからに大人しそうな少女。
趣味も外見を裏切ることはなくて、読書とか刺繍を好む。性格は温厚・・・
というか、彼女が怒った姿を見た者はいない。小学校時代から彼女の親友を務める霧島マナですら、
記憶にない。
「おはよう、マユミ。
どうだった?今朝の首尾は」
そのマナが、クラスメート達に声をかけられながら教室に姿を現し、自分の席であるマユミの隣に。
いつもは一緒に登校するのだが、今日はマユミが一世一代の勝負をするのだと主張して別行動。マナ
は、事の次第を聞いたわけ。
マナにしてみれば、好きな男に挨拶するのがそれほどの大事とは思えないのだが、気の小さいマユミ
にとっては、違うみたい。
今日は、マユミがどうしても独りでやってみると言い張ったのでマナは同行しなかったが、思いを打ち
明けるときには、一緒にいてやらなければならないだろう。挨拶するくらいでこれだ。本番では、緊張で
口もろくに動かないに違いないだろうから。
「ああ、マナ。
大丈夫。うまく挨拶できたわ。
碇さんも、おはようって言ってくれたの」
「そう。良かったじゃない」
高校進学と同時に、それまでかけていた大きめな眼鏡も、小ぶりでオシャレなデザインの物に変え、痩
せていた体もふっくらとしてきて女性らしさを増したマユミは、同性の目から見ても魅力を増している。そ
の性格から一時は虐めの対象にもなったマユミではあるけども、今度は別の理由で同性からの嫉妬を
招くかもしれない。標準以上の容姿を持ち、男の保護意識をくすぐるマユミは、壱高男子生徒の間で密か
に人気が上がっているのだ。
中学時代に市の展示会で入選したことで名を知られる1−Aの写真マニア、相田ケンスケが、マユミを
被写体として狙っているとの噂もマナは耳にしている。それは、女子生徒達の嫉妬を集めるに充分な理
由になる。もしそうなったら、マナは以前のように彼女を護る盾となるだろう。昔から、それはマナの役目
だった。
「でも、あんな素敵な人に、なんで付き合ってる人がいないのかしら」
マユミは、ごく自然な疑問を口にする。
壱高には、中学時代からシンジと友人だった人間が男女併せて何人か共に入学しているものの、彼の
彼女らしき相手は見当たらないし、伝え聞く話でも、シンジ自身が彼女の存在を否定している。
故に、ネルフ高官の一人息子で、それなりに容姿が整っていて成績も上位に位置するシンジに女子生徒
の人気が集まるのは、自然の成り行き。
だがマナは、皆が言うほどに魅力的な少年なのかと首を捻る。少なくとも、マナの好みにヒットする存在
ではない。それに昨日、彼の中学時代の知り合いから気になる話を聞いていた。それが、つい口に出て
しまった。
「彼、前は外人の女の子と付き合ってたらしいわよ。
天然の金髪でさ、すっごい綺麗な娘だったんだって」
「初めて聞いたわ、その話。
誰から聞いたの?マナは」
「A組で委員長やってる、洞木ヒカリって女の子。その娘、第壱中で碇君と同級生だったの。
昨日の生徒会の集まりで初めて話したんだけど、妙に気が合って、色々と聞いたのよ」
マナは、このクラス、1−Dの委員長。
昨日は、各クラスの委員長やらクラブのトップやらを集めての生徒会が開かれ、マナは1−Dの代表とし
て参加したのだ。
「ふ〜ん・・
でも碇さんは、その女の子と別れたんでしょ?
どんな事情か知らないけど」
「それが、どうも怪しいのよ」
「怪しいって?」
「その女の子、今はドイツにいるらしいんだけど、今でも連絡取り合ってるんだって。
別れたなんて一言も言わなかったわよ、洞木さんは」
「でも碇さんは、彼女いないって・・」
「一度、よく確認してみた方がいいわよ。
恋人が帰ってくるまでの遊びに付き合わされたら悲惨よ。弄ばれて捨てられるんだから」
「碇さんは、そんな人じゃないわ。
変なこと、言わないで」
「はいはい、分かりました。
でも、用心するのよ。いいわね?」
「大丈夫です!」
マユミはこのとき、限りなく優しそうなシンジを、針の先ほども疑ってはいなかった。いくら親友のマナの
助言でも、恋する少女には無意味だったようだ。
それにマユミは、たとえ自分がシンジに想いを伝えたとしても、それが無駄に終わるだろうと予想していた。
シンジを狙っている女子生徒は、同級生はおろか上級生にも多く、顔もスタイルも成績までも自分を遙か
に上回る女ばかり。それらの女達を押しのけて自分がシンジに選ばれるなど、マユミにはとても考えられ
ることではなかった。言うだけ言って高校生活の思い出の一つにでもなればいいというのが、マユミの
正直な気持ちであったのだ。
ところが、事態は彼女にとって意外な方向に進むことになる。
一週間後・・
「僕でよかったら」
玉砕覚悟で挑んだマユミは、予想外の返答に、どう反応していいやら分からない。ただシンジの顔を見詰
め、呆然と立ちつくしていた。
少し離れた物陰から様子を窺っていたマナは、腑に落ちないものを感じつつも、親友が思い人と共に歩き
去っていくのを、姿が見えなくなるまで目で追っていた。
「なんか引っかかるのよね・・」
マナには、どうもシンジという少年が信用ならない。
この一週間、マナはファンを装ってシンジの友人や知り合いに接触し、彼の人となりや過去を調べてみた。
その結果から言えば、シンジにこれといって悪いところはなく、変な趣味を持っているわけでもない。ネルフ
と何らかの関係があるらしいが、普通の生活を送っていることに違いはない。
マナが気にしたのは、ヒカリから聞いたアスカという少女の存在。マナが彼女の名を口にすると、彼らはそ
の話題に触れたがらなくなる。ヒカリだけが例外だった。そして、あらためてヒカリにアスカのことを聞いて
みたものの、彼女の口は一転して重くなっていた。何かがおかしい。
「必ず尻尾を掴んでやるわ。
マユミが早まらない内に、何とかしなきゃ」
マナは、何かを決したように拳を握りしめ、その場から立ち去る。
マユミは、今時の軽い少女ではない。簡単に体を許すとは思えないが、先程の様子だと、それも怪しい。
一途に想っていた反動で、一気にそっちの方へ目覚めてしまう可能性もある。いつかは経験することでは
あるけども、弄ばれるリスクを負う必要はない。マユミが泣く姿を、マナは見たくないのだ。
「マユミも、もっと普通の人を好きになればいいのに・・
あの人は、絶対普通じゃない」
あれからマナは懸命にシンジの近辺を洗ってみたものの、特に情報はなく、時間だけが虚しく過ぎていった。
マユミはシンジとデートを繰り返し、彼が独りで住むというマンションへも何回か呼ばれたそうだ。
独り暮らしする男の家に上がって何もなかったと考えるのは、無理がある。気のせいか、マユミも何だか急
に女らしさを増したようだし、マナは、自分の努力が何も実を結ばないことに落胆していた。
こうなれば、あとは自分の憶測が誤っていると願うしかない。
とはいえ、学校帰りにシンジの部屋に寄るという事実を聞かされると、虚しくなる。シンジに買い物のリストを
渡して買い物に行ってもらい、自分は先に彼の部屋へ上がって掃除や風呂の支度をするそうだ。
「彼の世話もいいけど、早く帰るのよ。
マユミの家って、すごく厳しいしさ」
「それは大丈夫。
シンジさんのお父さんから家の方に挨拶があったみたいで、シンジさんの家にいれば、多少遅くなっても怒ら
れないから」
「へ〜、あのご両親がね・・」
第三新東京市の市議会議員を務めるマユミの父は、今時珍しい厳格な親で知られていて、母も作法などに
厳しい。マユミと付き合いの長いマナは、その辺の事情をよく知っている。ただ厳しいだけではなく、愛情の裏
返しという事実もだ。
それだけ娘を大切にする親がそこまで譲歩するというのは、マナにしてみれば信じられない事態。シンジが
余程信頼されているのか、ネルフ高官であるシンジの父の影響力がそうさせているのかは、分からないが。
「じゃ、わたしは、こっちだから。
明日、学校でね」
「うん。じゃあね、マユミ」
手を振って微笑むマユミにマナは女を感じ、いつの間にか自分を飛び越えていった友に複雑な感情が沸いてくる。
マユミは何もかもが自分と対照的で、自分は彼女の保護者的な立場にあって、それを良しとして受け容れてきた。
いや、今思うと、彼女を男の視点で視ていたのかもしれない。擬似的な恋愛感情の相手として。
でも、そんな少女的な感傷に別れを告げる時が来たようだ。
「私も、彼氏つくろっかな」
シンジから預かったカードキィをスリットに通し、マユミは部屋に入る・・・
と、何か違和感が。
部屋に誰かいるような気配がする。
自分は使わない香水も僅かに匂う。大人の女性か?
(ネルフ関係の人かしら・・)
時々、ネルフ保安部の人間が様子を見に来ることがあるとシンジが言っていたので、その人かもしれない。
ならば、お茶くらい出した方がいいかとマユミがダイニングキッチンに入った、その時、
「あら、帰って来たのね。
気付かなかったわ」
こちらを振り向いたのは、腰まで届きそうな金髪を後ろで一本に縛り、慣れた様子で台所を掃除していた美しい
女性。見たところ、白人系の外人。歳は、ハイティーンから二十歳くらいか。
背は、白人系にしては高くなく、一六〇くらい。マユミより幾分高いものの、それほどの長身ではない。
だが、服の上からでも分かる胸の張り出しとウェストのくびれ、そしてヒップのボリュームは、同性のマユミすら羨望
を感じる。やや丈の短い紺のタイトスカートからのびる見とれそうな脚のラインも含めて、人種の限界を感じるくら
いだ。
彼女が身に付けているエプロンも、どこかで見たことがある。洗い物をするとき、シンジが着る物とデザインが一緒。
色が違うだけ。
「あ、あなたは・・」
「アタシ?アタシは、ネルフ作戦本部所属の惣流・アスカ・ラングレー。
一五歳で、シンジの婚約者よ。
予定外に帰国の時期が早まったから、シンジのヤツ驚かしてやろうと思ったんだけど、先にアナタが帰ってきちゃっ
たってわけ」
「こ、こ、婚約?」
外見に似合わない完璧な日本語を操る女性は、エプロンを外しながら落ち着いて応えた。あまりに堂々としている
ので、マユミの方が動揺してしまう。一五という歳にも驚いたが。
それにしても、婚約者とは・・
「アタシのドイツ行きが決まったとき、婚約したの。
政治的な理由が半分、アタシ達の自由意志が半分よ」
「わ、わたしには、何がどうなってるのか、さっぱり・・」
「説明してあげるから、まあ座って。
その内、シンジも帰ってくるでしょ」
マユミは、わけの分からないままダイニングの椅子に座る。
そして、アスカが自分で煎れた紅茶を前に出されると、条件反射のように砂糖を少し入れてティーカップを口に運んだ。
その味は、シンジが煎れてくれた紅茶の味と同じ。そこに、シンジとアスカとの目に見えない絆を感じて嫉妬する。
そんなマユミを落ち着いたと受け取ったのか、髪をほどいて対面に座ったアスカが、説明を始めた。
高級そうな白いブラウスから透けて見える下着の色は、紫。自分が着けたことのない色の下着。
紫は、女の性欲を意味すると何かの雑誌で読んだことがある。マユミは、アスカの女に圧倒されてしまう。
「細かい理由は守秘義務で言えないけど、今のアタシの立場って微妙なのよ。本部とドイツ支部との間を、数ヶ月お
きに行き来しなければならないくらいにね。
まず、これを理解しておいて。いい?」
一般市民であるマユミに、国連特務機関の事情など知るよしもない。したがって、とりあえず頷いておくしかない。
マユミの頭がコクンと下がり、すぐに元へ戻った。
それを確認したアスカは、話を続ける。
「事情はともかく、今のアタシとしては、この日本から可能な限り離れたくないの。
理由は幾つか在るけど、一番の問題は、シンジよ」
「シ、シンジさんが、なにか・・」
「アンタもシンジに抱かれたんだから、分かるでしょ?あの精力よ」
「・・・・」
マユミの顔に血が上り、真っ赤になった彼女はアスカから視線を逸らして俯いてしまった。
確かにシンジと関係しているけども、他人と性の話題を気軽に話せるほど、マユミは擦れていない。
だが、アスカの指摘は事実。シンジは、一度関係ができると間をおかずに求めてくるようになった。マユミが、この部屋
で下着を着けている時間は少ない。極端な話、部屋に入る時と帰る時くらいだろう。
関係した当初は、あまり気乗りのしない行為で、マユミはシンジの為すがままに任せていた。雑誌などに書いてある気
絶するほどの快楽などなく、現実はこんなものかと醒めていたくらい。
ところが、一ヶ月もしないうちに状況は激変。マユミは、シンジの求めを心待ちにするくらいにまで、体を変化させていた。
「言っとくけど、アイツのせいじゃないわ。セックス中毒でも依存症でもない。
アイツは、そんな体にされてしまったのよ」
シンジは、かの使徒戦時に一番のスコアをマークしたエース。
が、エースであるが故に無理もしており、危険とされる一〇〇%超えのシンクロ率を何回も記録している。その影響が
彼の神経系に及んでいるらしく、何かの加減か、異常とも思える性的能力になって表面化しているのだ。しかも、過剰
な行為によって負担がかかるはずの各内蔵は強靱さを示し、何の異常も出ていない。発情期に一日一〇〇回は性交
するというライオン並である。
実は、同じパイロットだったアスカや綾波レイにも若干の影響は出ているのだが、それは問題になるほどのものではな
い。普通より少しセックスが好きという程度。
治療も研究されてはいるけども、進展の具合は遅々としたもの。数年で治療できるものではないらしい。
「とにかく、シンジは常に女を抱かずにいられない体なの。
アタシがずっと傍にいてあげられれば要求にも応えられるけど、事情が許してくれない。それにアタシが傍にいたとして
も、一人で相手してたんじゃ、体がとても保たないわ。
かといって、シンジにフリーハンド与えるつもりもない。そんなことしたら、収拾がつかなくなるしね」
「わたしは、防波堤みたいなものですか?」
「そうよ」
非常識な話にもかかわらず、アスカは臆面もなく頷く。
マユミには、とてもついていけない展開。
しかし、ちょっとした疑問が・・
「今までは、どうしてたんですか?わたしとシンジさんの関係ができる前は。
アスカさん一人で相手してたわけじゃないですよね?日本にずっといるわけでもないし」
「知り合いが相手してたわ」
「なら、その知り合いの人に任せればいいじゃないですか。
わたしは、娼婦じゃありません」
「その女は、近々アメリカに派遣されるのよ。
一年は帰ってこないわね」
アスカの言う知り合いとは、かつての彼女の同僚にして恋敵。そして今では、友人のレイ。
シンジと付き合い始めたのはアスカの方が先で、シンジの体の問題が露見してからアスカ公認の下にシンジと関係
を持つようになっている。さる事情によりシンジとは遠い親戚のような血縁関係にあるのだが、従妹より血の繋がりは
薄いとのことで、問題はないらしい。
だが、アスカも快く関係を認めたわけではない。今のように落ち着くまで、かなりの葛藤があったのだ。
その葛藤を、他人が窺い知ることはないだろう。
「だからって、わたしが」
「シンジは、優しいでしょ?」
「・・・はい」
「アナタは、シンジが好き。そうよね?」
「はい」
マユミは、教師にでも諭されているような気分。アスカには、なぜか逆らえない。つい素直に応じてしまう。
「なら、問題ないじゃない。
婚約者のアタシがいいって言ってるの。アタシのいない間や体調が悪いとき、シンジを満足させてあげて。
それなりの対価は払うし、お父様の立場にも配慮してあげる。良い条件だと思うけど」
「一つ、いいですか?」
「なに?」
「将来、シンジさんがアスカさんと別れてわたしと結婚すると言ったら、許してくれますか?」
あり得なくはない可能性。
シンジの真意がどこにあろうと、今、自分と付き合っているのは事実なのだ。付き合っている内に心の底から愛し
合う関係に発展してもおかしくない。マユミとしては、その可能性にかけたい。
「あり得ない事態を前提にされても、返答できないわ」
「凄い自信ですね。
言い切れるんですか?そんなこと」
「この命をかけて、言い切ってあげるわ。
シンジは絶対にアタシを離さないし、アタシもシンジを離さない。
これが答えよ。納得しなさい」
「わたしは・・」
マユミは、絶対的な自信を見せるアスカに、何か決定的な一言を浴びせたい。
しかし、喉まで出かかった一言が口から出てくれない。言い切るだけの度胸というか覇気が自分にはない。
目に見えないアスカとシンジの絆が、自分とシンジとの間に巨大な溝として存在するようだ。その溝を埋めなけれ
ば、女としてアスカに対抗するのは無理だろう。
「その先が言えるようになったら、アナタも一人前の女よ。
ま、頑張って女を磨くことね」
アスカはカップに残った紅茶を一気に飲み干すと、椅子から立ち上がってリビングへ。
そこに置いてあった自分の旅行カバンを空けてゴソゴソやっていた彼女は、シャンプーやら何やら風呂に入る用具
一式を抱えてダイニングに顔を出した。
「アタシ、これからお風呂だから。
急に悪いけど、今日から三日ばかり、遠慮してくれる?とりあえず、三日でいいわ」
「え・・・
は、はい」
反射的に返事をしたマユミではあるが、この時点で彼女の身分は固定されたと言っていいだろう。
後日、アスカから契約書の提示を受けてサインを求められたときは、さすがに躊躇いがあったようではあるのだが。
久しぶりの行為は、体がバラバラになりそうなほどの快絶をアスカにもたらしてくれた。
ドイツでは、寂しさの余り自分で慰めていたのだが、そんなものは誤魔化しに過ぎなかったと分かった。他の男は
知らないけども、シンジの性的技術と精力は女を狂わせる物があると断言できる。すでに二回の行為を終えてまど
ろむ最中でも、体の火照りが収まる様子はない。
「いい娘だろ?マユミさんは」
「純粋すぎる面もあるけど、芯は強いわね。アンタが選んだだけあるわ。
あっちの具合も良さそうだし」
「アスカほどじゃないさ。
それより、彼女の友達に邪魔されそうになったけど、巧くいって良かったよ。
ケンスケ達に色々聞いてたらしいからね」
「相田達か・・
口止め料払ってるんだから、ちゃんとやってもらわなきゃ困るわよ」
「そっちにも、お金使ったの?」
「お金じゃないわよ。
相田には、ネルフの女子用制服一式とエヴァの使用済みパーツの一部分。アダルト好みの鈴原には、年下が好きな
ネルフの女職員を紹介してやったわ。ヒカリは・・・」
「洞木さんは?」
「まだ秘密。
もうちょっと落ち着いたら、教えてあげる。
それよりも、ねえ・・」
しなだれかかってきた全裸のアスカをシンジが組み伏せ、部屋が、せわしない息と衣擦れ、ベッドの軋む音で満たさ
れた。
部屋が落ち着いたのは、空が明るくなり始めた、夜明けも間近いころ。
そして、その日の夕方。
緊張と昂揚に頬を僅かに紅くしたヒカリがシンジ宅を訪れ、彼女は、そのまま泊まっている。
ヒカリの口止め料は、シンジとの関係。
アスカから、微に入り細に入りシンジとの性行為の様子を聞かされていたヒカリは悦楽の誘惑に抗えず、シンジの女
の一人に自分から名乗り出たのである。
後でアスカから話を聞いたマユミは、その瞬間、ポカンと口を開けて固まってしまったという。
更に、その一ヶ月後・・・
「マ、マナ・・
あなたまで」
アスカから新しい仲間として紹介されたのは、なんとマナ。
シンジなど自分の好みではないと言い切っていた彼女が・・
しかも、後ろめたい様子が皆無。彼女らしく、ひたすら明るい。
「私は、四号だって。
よろしくね!二号さん!」
「二号・・さん?」
「あれ?聞いてないの?
本妻がアスカさん。
ほんでもって愛人一号がレイさんで、二号がマユミ、あなた。三号がヒカリちゃんで、四号が私ってわけ」
「・・・悪い夢でも見てるみたい」
「アスカさんの話だと、まだ増える可能性があるそうよ。候補が何人かいるんだって。
それはそうと、アスカさんがいない間のシフト決めるから、私の家に来て。生理の周期とかで調整が必要でしょ?
ヒカリちゃんも、あとで来るから」
「・・・・」
「どうしたのよ、マユミ」
「わたし達、異常な世界にいると思わない?」
「なに言ってんのよ、今更。なるようになったんだから、考えたって仕方ないじゃない。
ほら、来ないとシフトから外すわよ。レイさんも一ヶ月に一回は帰ってくるそうだから、ボサッとしてると弾き出される
んだから」
「それは、嫌!行くわ!」
自分は、純粋にシンジを愛している。快楽だけを求めているように見えるヒカリやマナとは違う。
・・・そう、思いたい。
マユミは、疼く体を抑えながら、マナと並んで彼女の家へと歩くのだった。
でらさんからシンジハーレムなお話をいただきました。
某所に投稿されたお話の続編にあたるお話のようです。
まさにスーパーシンジですね(爆
男のパワー溢れるシンジにシビれたらぜひでらさんに感想メールをお願いします。