婚約に至る経緯  こういう場合 外伝

でらさん





※ 注 <こういう場合>の本編はまだ発表されていません。





西暦2015年 12月24日 夜 葛城邸


友人達を呼んでのパーティも終わり、今はアスカとシンジ二人っきり。

ミサトはリツコ達と飲みに出てしまった。
同居人達に気を利かせたのだろう。
パーティの前、シンジがアスカに何事か囁いているのを密かに見ていたから。

後片付けされさっぱりしたリビングに、装飾が施された蝋燭を灯し部屋の明かりは全て消された。

蝋燭に浮かび上がる二人の顔・・・・・

お互い、いつもと違う印象で相手を見る。


出会って半年余り・・・・


当初の険悪さはすっかり影を潜め、今はもう誰が見ても似合いのカップル。

しかし、まだどちらからも告白はしていない。


アスカは、数時間前にシンジに囁かれた時から、今日は記念すべき日になる事を予感した。

二人の間に置かれた小さなテーブル。

その上には、揺らめく炎を上げる大きな蝋燭とシャンペングラスが二つ・・・
今日だけ特別に、ミサトが許してくれたもの。

グラスにシャンペンを注ぐシンジを、ただ見詰めるアスカ。

こんな時間さえ長く感じられる。


「今日は楽しかったよアスカ・・・アスカがいなかったら、こんなに楽しくはならなかった」


「ううん、アタシこそ・・こんなフレンドリーなパーティ初めてだったわ。
ドイツじゃ、友達いなかったし・・・・」


シンジはパーティ自体が初めてだった。
叔父夫婦の所に居た時は、誕生日もクリスマスもどうというものではなく、プレゼントが渡されて終わり。
・・・・それだけ。

だから余計に、今日ははしゃいだ気がする。
でもまだ終わりではない、
まだ大事な事が残っている。


「ここにはいるじゃないか。
洞木さん、トウジ、ケンスケ・・・綾並とだって最近よく話ししてるし・・・そ、それにぼ、僕だって・・」


「シンジは友達じゃないわ」


「え?そ、そう・・・そうだよね、ははは、何勘違いして・・」


「違う!」


友達・・・・・そんな言葉で自分とシンジの関係をくくられたくは無い。

シンジの話がおかしくなりそうなので、修正しようと思っただけ。


「違うのよ!シンジは友達なんかじゃなくて、友達よりもっと・・・もっと仲が良くて・・」


ここで初めてアスカの言いたい事を理解したシンジ。
この先は彼の役目。


「待って、アスカ。
その先は僕が言うよ・・・僕はアスカが好きだ、付き合って欲しい」


「・・・・待ったわよ、バカ」




この瞬間から、惣流 アスカ ラングレーの自称


<偉大な計画>


は、動き始める。

この計画の最終目標は、同僚パイロットにして同居人・・そしてこの時から恋人に昇格した
碇 シンジとの結婚である。


約半年前、空母オーバーザレインボーの甲板上で出会った二人は、反発と接近を繰り返しながらも
定められた運命のように惹かれあい、恋人同士となった。

初対面の時から、お互い何かは感じ取っていた。

今まで会った事のないタイプの異性・・・・・そんな単純なものでない何か。
心が触れ合う感覚・・・

それは当初不快でしかなく、訳も無く反発する。

しかし、だんだん心地良く離したくないものになった。
その気持ちが恋だと気付くのに、時間はかからない。

元より感情の起伏の激しいアスカは、一旦好きになってしまうと止まらない。
告白も受け相思相愛になったからには、結婚するしかないと決めた。


決めたのだが・・・・・


何としても主導権は握る覚悟だった。

クリスマスの前、一度冷静に考えた事がある。

それまでの雰囲気からして、クリスマスにシンジから何らかの意思表示があるだろうとは分かった。
それについては何の依存も無い。
嬉しすぎて泣いてしまわないかと、心配したぐらいだ。

アスカが危惧した事は、シンジの意思が時として周囲に左右されやすいという事だった。

このまま成長するとは思えないが、将来の事を考えれば自分が主導権を握った方が全て上手く事を運べる。
そう確信した。

告白は、上手くシンジからさせた。
途中危なかったが、何とかなった。
後は恋人達のステップアップも、全てシンジから手をださせれば主導権は完全に手に入るだろう。

シンジとて男、恋人と一緒に暮らして何もしてこない筈がない・・・・・







あれから約二年、アスカのシナリオ通りに事は進んでいる。


キスは早かった。

告白されたその時、優しくしてくれた・・・彼女にとってもファーストキス。

以来ほぼ毎日している。


ディープなキスはそれから一週間程後。

全身から力が抜けるような感覚は、癖になりそうで恐かった。

今、キスの三回に一回はこれ。


その次の段階は、それから二ヶ月位してから。

キスの最中おずおずと胸に手を伸ばすシンジに男を感じた。


最終的に結ばれたのは、中学の卒業式の晩。

シンジにしては珍しく、強引にアスカを押し倒した。
彼女は少々の抗議の声をあげただけで、抵抗はしなかった。
ずっと以前から覚悟はしていたし。

後で聞いた所、中学を卒業するまでは・・・と、シンジが我慢に我慢を重ねていたらしい。

それから程なくして、ミサトが加持と結婚して出て行き二人っきりの生活になった時、彼らは肉欲に溺れた。
最近やっと落ち着いた所だ。



体の関係まで持ってしまえば、もうこっちの物・・・と安心するほど、アスカは甘い人間ではない。
それに彼女の最終目標は、あくまでシンジとの結婚である。

そのアスカにとって心配な事態が、この所発生している。

シンジがもてるのだ。
特に、美人で性格も良しという女の子・・女性にもてる。
実にやっかい。
何だか、親友のヒカリの視線も怪しく感じられてしまう今日この頃。

アスカと付き合いだした頃からその兆候はあったが、まさかこうまでなるとは予想だにしなかったアスカである。

高校に入学した頃は、上級生からちらほらラブレターをもらう程度だったのが
今は全校の女子生徒の憧れの対象。

若い女教師達もシンジを狙っているようだ。

完璧に母親の遺伝子が勝利した、美しいと言えるマスク・・・

180を超える身長・・・

誰にでも優しく、柔らかな物腰・・・

加えて、ネルフ総司令の一人息子・・・

まさに王子様である。

誰もが認める恋人のアスカがいようと、シンジにアタックする女は絶えない。

それが選りすぐりの美女達であるところが問題。


アスカも、流石に心配になってくる。
自分と関係を持った以上、絶対に裏切るような行為はしないという自信がぐらついてきたのだ。

人間誰しも、魔が差すという事はある。
もしあからさまに迫られたら、シンジとてよろめくのでは・・・と考えてしまう。
生理の時は、余計そんな事が頭に浮かぶ。

女と違って男は誰でもいい時がある、と聞いた事があるし。


この心配事を解消する為、アスカは計画を前倒しする事に決めた。

本来は来年の自分の誕生日に婚約、高校卒業と同時に結婚・・・と割に現実的な計画を立てていたのだが
一年前倒しし、今度の自分の誕生日に婚約する事にした。
正直な所、一気に結婚まで持っていきたいのだがシンジの年齢からそれは無理。
婚約で妥協する。

布石は打ってある。

付き合いだしてからの様々な恋人達のイベント・・・
誕生日、クリスマス、バレンタインデー、初めて会った記念日等々・・・・に際してアスカは
シンジにそれとなく希望の品を伝えるようにしていた。


『シンジの事信用してない訳じゃないけど、同じ物がダブると・・・ちょっとね』


なんて周囲には説明していたが、真実は違う。
ここぞと言う時に決定的なプレゼントを貰うための布石なのだ。
大体シンジからのプレゼントなら、何であろうと不満など感じる事は無い。

決定的なプレゼントとは、婚約指輪。

付き合って約二年・・・体の関係もあるとは言え、シンジの鈍感と優柔不断さはあまり変わらない。
アスカはそんな彼からのプロポーズなど、待っているつもりはなかった。

来年の自分の誕生日に指輪をプレゼントさせ、それを婚約指輪と言う事にして有無を言わさず婚約してしまおう
と考えていたのだ。

はっきり言って無茶苦茶。
天才と言われる人間の考える事ではない。

だが彼女は自分の感情に従い、計画を実行に移した。


迫る誕生日を前に、女の子が読む雑誌をシンジに見せ


『ほら、今ステディリングが流行ってるんだって』


と、暗に次のプレゼントは指輪がいいと主張。
勿論その雑誌は、都合のいいものを探して見せている。
よって、ステディリングが流行っている云々は全くのでたらめ。

次に


『シンジからアスカへなんて彫られると、嬉しくて泣いちゃうわ』


などと、はっきり要求。

・・・・・・ステディリング送られたぐらいで泣くようなアスカではない。

挙句の果て


『ダイヤモンド以外は却下よ!』


誕生日プレゼントは指輪でなくてはダメだと伝えたのだ。

普通の感覚の持ち主ならおかしいと思う筈だが、そこはシンジ。
簡単に要求を受け入れた。


『分かったよ・・あんまり高いのは無理だけど、何とかしてみるよ』


ダイヤのステディリングなんてあるか?シンジ・・・・・・
まあ、どこぞの王室とか富豪なら話は別だが。

この時点で、彼の一生は決まったと言っていい。



ここまでやってしまえば計画は成功したも同然なのだが、アスカは更に万全を期しヒカリに協力を仰ぐ事にした。
真実は隠して。


2017年 12月3日 第壱高等学校屋上 昼休み


いつにない真剣な顔で相談があると、屋上に誘われたヒカリ。
最近はトウジと行動を共にする事が多い彼女が、アスカとここに来るのは久しぶりの事。


「折り入って話しって何?アスカ」


「ちょっと言いにくいんだけど・・・・・」


消え入りそうな声で呟き俯くアスカは、女のヒカリから見ても可愛い。
いけない道に入り込みそうになるほど・・・・

慌ててそれを打ち消す。


「言わなくちゃ相談にならないでしょ?また碇君の事?」


「ま、まあ、そうだけど・・・・ヒカリ、これ絶対人に言わないでよ。絶対よ!」


「わ、分かってるわよ、私達親友じゃない」


こういった場合、大体秘密は漏れると思って間違いない。
世の中ってそんなもの。


「明日、アタシの誕生日パーティよね・・・それでシンジなんだけど・・」


「そうね、楽しみね明日・・碇君がどうかしたの?」


「う、うん・・・・・・シンジがどうやら、プロポーズしてくるみたいなの」


え〜〜〜〜〜!!!プ、プロポーズ〜〜〜!!アナタ達、そこまでいってたの?」


ヒカリとて既に法律上は結婚できる年なのだが、結婚なんて露ほども考えた事などない。

トウジとはまだキス止まり。
まだまだ子供の自分達には、万が一の場合責任など取れない事は分っていたから。

エヴァに乗り、多額の報酬を得ているアスカ達とは違う・・・
現実をヒカリは知っていた。


「声大きいわよ、ヒカリ!
別に二人で話し合った訳じゃないの・・ただ最近シンジが宝飾店によく顔出してるみたいだし
アタシに指のサイズ聞いてきたり、子供は二人欲しいね・・なんて・・・・・」


「何が言いたいの?惚気たいわけ?」


「ち、違うわよ。
シンジが本気かどうか確かめてもらいたいのよ。
鈴原通して聞いてもらえないかしら?・・・・・ひょっとして、ただの贈り物かもしれないし・・・
アタシも、まだ心の準備できてないもの」


ヒカリもトウジと付き合って一年以上。
彼女も主導権の確保に成功している。
余程の事でない限り、トウジはヒカリに逆らえない。


「そういう事なら、任せて。
・・・でもトウジって口下手だから、どんな質問するか教えといた方がいいんじゃない?」


そこの所はアスカの計算に入っている。
と言うより、それが狙いだったと言っていい。
ちゃんと準備しておいた台詞とシナリオを、ヒカリに覚えさせた。


「覚えた?ヒカリ、この通り鈴原に教えてね。結果は夜電話してくれる?」


「分ったわ、任せて頂戴」


天才アスカ・・・・・・
演技も上手い。






放課後


随分と久しぶりに一緒に帰る事になった、トウジとシンジ。
ネルフの訓練は今日は休み。
トウジの部活動も休み。

偶然が重なったらしい。

アスカはヒカリとお茶して帰るとシンジに伝えた。
偶には女同士ではしゃぎたいみたいだ。


トウジはかなり緊張している。
ヒカリから話は聞いたが、自分と同い年のシンジが結婚まで考えているというのが驚きだったのだ。
しかも、あのシンジが・・である。

優柔不断を絵に描いたような彼にそんな決断ができるとは、思ってもいなかった。


(ホンマかいな)


トウジの正直な気持ちである。


(せやけど、センセも惣流と付き合うようになって少し変わったからのう・・・・
・・・・ほんの少しやが・・
っとっと・・・考え事しとる場合やないで、ヒカリの言いつけ守らんと後が恐いさかいな・・いくで)

「久しぶりやなシンジ、ワイらが一緒に帰るなんて」


「そうだね、僕はアスカと・・トウジは洞木さんと一緒にいる時間長いから」


「まっ、シンジ達の仲の良さにはかなわんがの、はははは」


トウジの言葉はかなり不自然だが、シンジは疑う素振りすらない。
彼らしいと言えばらしいが。


(よっしゃ、掴みはOKや・・ここからさりげなく振るんやな)
「ところでセンセ、明日の惣流の誕生日プレゼント、何贈るんや?
センセの場合、ネタ尽きたんとちゃうか?」


「そんな事ないよ。今回は指輪贈ろうと思ってるんだ」


「ゆ、指輪?」


シンジはアスカに言われた通り、カップルの間でステディリングが流行っていると思い込んでいる。
ヒカリと付き合っているトウジならその位分るだろうと、あえて説明はしなかった。


(本気かシンジ・・・いや待てよ、まだ分らんわ。ただの贈り物かもしれんし)
「センセ、男が女に指輪贈る意味分かっとるんか?」


トウジの真剣な顔と声に、流石におかしいと思うシンジ。
彼にしては上出来。
しかし、やはりシンジだ。


(アスカ、洞木さんに話したな・・・ダイヤを自慢したかったんだろうけど・・・
その話がトウジに伝わって、勘違いしたんだ・・・・
・・・・・でも、偶にはトウジからかうのも面白いかな)
「当然分ってるよ。僕はいい加減な気持ちでアスカと付き合ってる訳じゃないんだ。
ちゃんと将来の事まで考えてる。
それを、明日の誕生パーティで形にしようと思ってさ」


「ほ、ほうか・・センセがそこまで言うんやったら、ワイは何も言わん。明日はしっかりやり」
(シンジの奴本気やで・・・えらいこっちゃ)


「ありがとう、トウジ。正直ちょっと怖気づいてたんだ・・でも勇気が出たよ」
(くくく、トウジ本気にしてるぞ・・・・明日のトウジの顔楽しみだな・・)


結論を言ってしまうと、翌日顔を青くしたのはシンジの方である。

無様だな、シンジ。






夜 碇、惣流邸 アスカの部屋


今日はミサトが遊びに来たので、シンジのベッドではなく自分のベッドで寝る事になったアスカ。
何でも、加持と喧嘩したそうだ。
結婚してまだ幾らも経たないのに、この二人はよく喧嘩する。

今更一緒に寝るのを隠すような事もないのだが、やはりミサトがいると罰が悪い。


(ったく、嫌がらせとしか思えないわね。ホントに喧嘩したのかしら・・・・怪しいもんよ
アタシ達の生活、覗きに来たんじゃないでしょうね・・・)


すこぶる機嫌が悪いが、ヒカリからの電話を受けるには都合がいいので気を取り直す。

ミサトはリビングで、シンジは自分の部屋で夢の中。

時計で時間を確認する。
そろそろ電話がある頃・・・・・・


ブルルルル


「はい、アタシよ」


<あ、アスカ?鈴原からの連絡だと、碇君本気よ。本気でプロポーズするみたい>


「ど、どうしようヒカリ、アタシまだ心の準備できてない」


しっかりしなさい!あの碇君が勇気を振り絞ってプロポーズしてくるのよ!
アスカが落ち着かなくてどうするの!


「で、でも・・・」


でもも何もないの!OKするのよ、いいわね!


いつもと立場が逆。
しかも、ヒカリが燃えている。
ヒカリの高揚ぶりは計算外だが、流れとしては計画通り。


「じゃ、じゃあヒカリも応援してよ。他の皆は多分冷やかしまくると思うから・・・・
シンジって流されやすいから、冷やかされたら冗談で済ましちゃうかもしれないし・・・
お願いよ〜〜〜」


<私に任せておけば大丈夫よ!他の人たちには口出しさせないから・・アスカは安心して!>


「ありがとうヒカリ、やっぱり親友ね」


<何、水臭い事言ってるのよ。じゃ、明日ね、おやすみ>


「うん、おやすみ」


プッ ツーツーツー


電話が切れると、それまでの気弱な顔がいつもの恐いもの知らずの顔に戻っていく。
そして口元には、ニヤリ・・・・・


「・・・・・・くくくくく、上手くいったわ。
これで完璧よ、これでアタシとシンジは晴れて婚約するのよ〜〜〜〜〜!!!
でもってシンジは一生アタシの物・・・・あ〜〜〜〜〜はっははははははは!!!



同時刻 シンジの部屋


「ん〜〜〜〜もう勘弁して、アスカ〜」


自らの意思とは関係なく人生を決められてしまった碇 シンジは、何も知らず熟睡している。
意味不明な寝言を発して・・・・・・







翌日 碇、惣流邸 


ネルフの特別な配慮で、今日もチルドレン達の訓練は休みになった。
誕生パーティぐらいは・・・・との事らしい。
粋といえば粋。

そんな訳で、パーティは和やかな雰囲気の中始まった。
ヒカリ、トウジがやけに張り切っているのが目に付く。

他の参加者達はそんな事はあまり気にせず、並べられた料理に舌鼓を打つのだった。
ちなみに料理は、アスカ、シンジ、ヒカリの合作。
不味い訳がない。

そして運命のプレゼントタイム・・・・・

ケンスケの怪しい写真集や、ミサトの避妊具一年分などお約束が一通り終わって、真打シンジの登場。

ここでヒカリとトウジの顔つきが険しくなり、周囲を威圧するかのようなオーラを放っている。

何か異様な雰囲気がその場を支配していた。
それを察していないのはシンジただ一人。


アスカは栄光の?瞬間をただ待つ。


「何か静かになったね・・・まあ、いいや。僕のプレゼントを渡すよ」


約束の指輪を取り出し、アスカに渡そうとする。

が・・・・・


ありがとう、シンジ・・・・プロポーズ受けるわ


「へ?」


空気が張り詰めるのが分る。
ヒカリ、トウジ以外の出席者達は、アスカの言葉が冗談なのか本気なのか謀りかねているのだ。
誰かが口を出すのを待っている状態・・・
しかし、シンジは全く見に覚えのない事実を認める訳にはいかない。


「な、何言って・・」


おめでとう、アスカ!


おめっとさん、シンジ!やるやないかい!


否定しようとしたシンジの声を打ち消すかのように、ヒカリとトウジの声が上がる。


「ふ、二人共・・」


なんだ、そうだったのか・・始めっから言ってくれよ。冗談かと思ったぜ。
でも、おめでとうを言わせてもらうぜ。二人共


何よ二人共・・元保護者の私にまで黙ってて・・・


ありがと、相田・・いいじゃない、ビックリさせようと思ってさ


「だ、だから・・」


シンジ君、後悔しないな・・


式はネルフが全面的に援助するわよ。司令も喜ぶわ


羨ましいわ、アスカちゃん


シンジが後悔する訳ないでしょ、失礼ね加持さんも・・・
リツコ、聞いたわよ。忘れないからね。
マヤは・・・・・・男探しなさい



「あ、あの、アス・・」


シンジ〜〜〜!!!アタシ、幸せ!!!


「そ、そうですか・・・ははは」
(や、やられた・・・・・・・・ぼ、僕の一生が・・・)




もはや反論する気もなく、場に流されて婚約してしまったシンジ・・・・・・

しかしアスカの笑顔を見ているとこれでも良かったかな、などと考えてしまうシンジだった。



本当にいいのか?シンジ・・・・・・・







 でらさんからアスカ誕生日記念小説をいただいてしまいました。

 うん‥‥シンジから素敵なプレゼントをもらって、アスカも嬉しいことでしょう‥‥

 これは、アスカの知能による勝利ですね(^^)

 素敵なお話でした。みなさんも是非感想メールを送ってください〜。

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