名古屋芸術大学の芸大祭公演として上演された本作は、低予算・少人数の学生アマチュア劇団が作るオリジナル演劇としては非常に挑発的で独創的な題材と展開、役と俳優の個性のマッチング度、舞台美術の世界観、テンポやリズム感重視の芝居、ダンスなどのバランスがかみ合った、劇団顔交換のオリジナル劇の傑作として語られている。

ストーリーは、架空の国『キレ国』で毎年行われている『おキレ大祭』の直前から始まる。
街はその祭りのための準備でおおわらわ。
この『おキレ大祭』では、毎年祭りの主人公として祀られる『おキレ様』と呼ばれる人物を教会が国民の中から選出している。

『おキレ様』となる人物の条件は“家族や友人はおろか誰からも必要とされていない人物”であり、信仰の厚いこの国ではおキレ様を務めるということは最高の栄誉でもある。
だが、この年はもう祭りの直前だというのにまだ『おキレ様』の候補が見つかっていない。

 

登場人物は、おキレ様の候補探しに奔走している教会の司祭ワンなジョン太郎、祭りの準備に追われている双子、そして国から遠く離れた砂漠で、全滅した中隊でたった1人生き延びた兵士。

ほのぼのとしてコミカルな進行の中で、突如冷や水をかけるような鋭いセリフがこの作品の魅力ともいえるが、『必要のない人物』を祀るキレ教が誕生するいきさつや、"退廃"を意味する"デカダンス"という言葉を冠したタイトルなどをじっくり考えながら観てみると、この作品のメッセージは深みを増す。

この作品から、脚本・演出/大野知恵子作品の特徴でもある、双子、シンメトリー画面構成、趣味趣向を語り尽くす長いセリフ、場面が盛り上がってくるといきなり摩訶不思議なダンスを踊り出す、などの独特な手法が完成、その後の作品にもたびたびそれらのモチーフは登場してくることとなる。

映画表現では作り出すことのできない、演劇ならではの表現と世界観を感じられる作品。

《ムービー》
演劇公演Movie 演劇公演【永遠のデカダンス】の全編をムービーで観よう!

《Part 1》

《Part 2》

《Part 3》


《宣伝ポスター/チラシ/パンフレットデザイン》
 


【ポスター】


【チラシ】
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