どれも読みごたえがある作品ばかり!「模倣犯」でなく「P.R.G.」を選んだのが自分らしいところ。
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順位 | 書名 | 著者名 | 出版社 | あらすじ・ストーリー | 選考理由・どこがいいか |
1 | モザイク* | 田口ランディ | 幻冬舎 | 精神病院への移送中、逃亡した14歳の少年は、霧雨に濡れるすり鉢の底の街に何を感じたのか?「コンセント」「アンテナ」に続く第3弾。 | 「コンセント」は衝撃でした。「アンテナ」は私の理解を超えました。この作品は最後に希望が見えてくるところが気に入っています。 |
2 | 13階段* | 高野和明 | 講談社 | ケンカで人を殺した仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望さひた刑務官が無実の死刑囚を救い出す任務につく。 | 見事なストーリー展開と意外な結末には驚かされます。江戸川乱歩賞受賞作です。 |
3 | フォー・ディア・ライフ | 柴田よしき | 講談社文庫 | 新宿ニ丁目で無認可だがさいこうにあったかい保育園を営む通称花チャン。探偵業も兼ねる彼が眠らない街を走る! | 続編が待ち遠しい。大沢在昌や東直己の作品にもこのような人物設定はあるが女性が書いているので味がある。 |
4 | 残光 | 東直己 | 角川春樹事務所 | かつての恋人の息子を救うため、伝説の男は再び現れた。敵は卑劣な刑事とヤクザ。絶体絶命の窮地に立向かう。 | 正義感溢れる主人公。ちょっとまぬけな相棒。おきまりのパターンなのだが痛快な風が突き抜ける!日本推理作家協会賞受賞作。 |
5 | 時の渚* | 笹本稜平 | 文藝春秋 | 「THICKER THAN BLOOD]という副題が示すとおり運命的な展開が後半待っている。 | あまりにも偶然が重なり過ぎないか?とは思うのだが、だからこそ、現実では有得ない偶然がストーリーを面白くするのでしょう。 |
6 | 邪魔* | 奥田英朗 | 講談社 | 始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。嘘にウソを重ねて行くうちにとんでもない結末が。 | 「最悪」に続くクライム・ノベル第2弾。この人の描く人の”泥沼”は臨場感があってすごいのです。 |
7 | 症例A | 多島斗志之 | 角川書店 | 17歳の少女、精神科医、女性臨床心理士の三つの視線が交わる果てに、光は見出されるのか? | 解離性同一障害を描いたミステリー。多重人格をサイコやホラーの形で表現するのではなく、”こころの問題”を描いた作品でした。 |
8 | 夏の災厄 | 篠田節子 | 毎日新聞社 | 埼玉県のある市の地区で突如日本脳炎が発生し住民がパニックに陥る。ヒーロー不在のパニック小説。 | こんなことが実際に起こったらどうなるんだろうと思うと夏なのにゾクゾクしながら読みました。こわー。 |
9 | 天国への階段* | 白川道 | 文藝春秋 | 主人公の復讐に支えられた野望。驚愕の事実と結末が待っている。 | 出だしにオークスのパドックシーンが描写されて興味をそそられる。ドラマチックな展開にページを捲る手は止まらない。 |
10 | R.P.G.* | 宮部みゆき | 集英社文庫 | 殺人事件の被害者はネット上で「擬似家族」を作っていた・・・・突然病に倒れた老刑事の読み取った事件の真相は?? | 今年の宮部作品といったら「模倣犯」なのでしょうが、メールのテロップを巧みに使い、現実と虚構を織り交ぜるこちらに軍配を。 |
11 | 午前三時のルースター* | 板垣涼介 | 文藝春秋 | 旅行代理店の彼は失踪した父親を探す少年に同行し、ベトナムを訪れる。そして皆が現地で知った切ない真実とは・・・・ | サントリーミステリー大賞を受賞した作品だけあってドラマ化しても実に面白い。確か金城武主演で放映されたはずだが、見逃した。。。 |
12 | トラップ・罠 | 松本賢吾 | マガジンハウス | 元警官の警備員が自分を辞職に追い込んだ事件に再び巻き込まれていく。 | 「エンジェルダスト」の著者が横浜を舞台に展開するストーリーは味があってなかなかいい。 |
13 | 亡国のイージス | 福井晴敏 | 講談社 | 654頁の大作。海上自衛隊、北朝鮮の工作員、化学兵器と壮大なスケールのサスペンス。 | 専門用語と沢山の人物が出てきて途中訳が分からなくなくなるが、しっとりとした構成の中に、ほろりとする人と人のやりとりがあって、読後感は上々です。 |
14 | 深紅* | 野沢尚 | 講談社 | 一家惨殺殺人事件。生き残った長女と加害者の娘。二人は出会ってはいけなかった。。。 | 遂に加害者の一人娘を探し当てた時、、、めちゃくちゃ酷い結末を予想したが、それは意外にも裏切られました。 |
15 | 沙羅が和子の名を呼ぶ | 加納朋子 | 集英社 | 10編のちょっとミステリアスな短編集。連作短編とは違った面白さ。 | 夏といえばちょっと怖い話もいい。怖い話をきいてひゅるる〜と背筋に冷たい感じを走らせるのもいいでしょう。 |
16 | P.I.P. | 沢井鯨 | 小学館 | いったいどこまで真実なのか!?いわれのない罪で収監された男の驚異の脱出劇。 | あまりのリアルさと影響の大きさを考慮して、一年以上も出版を見送られていたというだけあって力強い作品でした。 |
17 | 刑事たちの夏 | 久間十義 | 日本経済新聞社 | 正義感溢れる刑事と恋人、友人の検事、仲間たちが事件の真相を追う。 | とても「夏」を連想させるタイトル。思ったほど熱い夏を感じさせるものではなかった、中身としては熱いストーリーだった。 |
18 | 堕ちた鷲 | 森純 | 読売新聞社 | 真犯人はいったいどこに、そして真の目的とは・・・・伝説の天才ヘリ・パイロットが己のプライドをかけて、いま飛び立つ。 | 著者の遺作。精巧に組立てられたストーリーは強烈なインパクトはないが読み進めていくうちにボディーブローを受けるかのようニ推理の面白さが伝わる。 |
19 | 池袋ウエストゲートパーク | 石田衣良 | 文藝春秋 | 刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団、池袋を舞台に命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たち。 | 破天荒なストーリーだが、「少年」というあいまいな世代を生かし、そして、ポップな感触がいい。 |
20 | 木島日記 | 大塚英志 | 角川書店 | 昭和初期。オカルト、猟奇事件、右傾化が吹き荒れる東京。歌人にして民族学者の折口信夫は偶然ンに、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。 | ホラーに一票。「サイコ」の原作者が描く不思議な物語はグロだけどそれはそれで惹かれるのです。 |