m@stervision archives 2002: extra reviews

★ ★ ★ ★ ★ =すばらしい
★ ★ ★ ★ =とてもおもしろい
★ ★ ★ =おもしろい
★ ★ =つまらない
=どうしようもない



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ダブルタップ(ロー・チーリョン)

レスリー・チャン2000年作品(日本公開は2002年1月) 遺作「カルマ」に先立つ、製作:イー・トンシン(爾冬陞)+監督・脚本:ロー・チーリョン(羅志良)のコンビ作。ロー・チーリョンは「新不了情 つきせぬ想い」などでイー・トンシンの助監督を努め、「夢翔る人 色情男女」の共同監督を経て、本作で一本立ちした。 ● 原題は「鎗王」。日本語にすると「銃王」。つまり「賭神」「食神」「喜劇之王」などに連なる「キング・オブ〜」ものだな。キング・オブ・ガンに扮するのはレスリー・チャン。銃の改造屋…といっても合法的な商売で、客にカスタムメイドの銃とメンテナンスを提供する、いわばクルマの改造屋と同じ。自身の射撃の腕も香港一で(いまはもう試合には出ないが)スポーツ射撃大会では優勝の数知れず。映画が始まって20分ほどはスポーツ射撃競技の話が続くので、そういう映画なのかと思いかけたところで、大会に乱入した乱射魔をレスリー・チャンが射殺する羽目になり、このアクシデントによりかれは生身の人間を撃つ快感に目覚めてしまう…。 ● ということで、めずらしやレスリー・チャンが悪役を演じている。ハリウッド映画ならウィリアム・ペーターゼンとかニコラス・ケイジがやりそうな役どころで、サイコ・キラーというよりは「銃にとり憑かれた男」のハードボイルド・アクションという趣き。「ザ・ミッション 非情の掟」などのジョニー・トー方面に色目を使ってちょっと1本、というワケですな。レスリーに、体を張ってでも彼を護るカノジョ(というよりは情婦と呼びたい)女がいるのも、いかにもジョニー・トー的。これをルビー・ウォン(黄卓玲)が好演。 スポーツ射撃のライバルであり、レスリーを追いつめる刑事にアレックス・フォン(方中信) その(これまたけなげな)奥さんにモニカ・チャン(陳法蓉) アクション指導はフィリップ・コク(郭振鋒) ● 残念ながら出来のほうは意余って力足りずで、後半などレスリーが「拳銃バカ」というよりただのバカに見えちゃうのはちょっと。捲土重来を期待する・・・とはもう言えないのだなあ。