卒業式によくある風景


「先輩」
「ああ、君か」
「先輩もここを出ていかれてしまうのですね」
「そうだな。勉強は大変だったけど、これから社会のために役立てるかと思うと、嬉しい気持ちの方が強いよ」
「あ、あのぉ……」
「どうしたんだい?」
「お、お願いがあるんですけど」
「なんだい?」
「せ、先輩の第2ボタンを下さい!」
「え?」
「だ、だから、先輩の第2ボタンが欲しいんです」
「どうして?」
「偶然、昔のデータファイルの中から見つけたんですが、昔は好きな方から第2ボタンをもらえるという習慣があったそうなんです」
「え?そ、それじゃあ」
「先輩のことずっと好きでした!」
「あ、ありがとう。その気持ちはすごくありがたいんだけど、ボタンはちょっと……」
「私のこと嫌いなんですか?」
「そういうわけじゃないよ。でもほら、このボタンは非常に大事なものだから決して触れてはいけないって習ったじゃないか」
「だからこそ、欲しいんです。じゃなきゃ、わざわざ第2ボタンである意味が分からないじゃないですか」
「だ、だけど……」
「ください!お願いします!」
「あ、だ、だめだって。あ、あ……」

 チュドーン!!

 その様子を遠巻きに眺めていたのはこのロボット工場の工場長。
 モクモクと上がる灰色の煙を見ながら言いました。
「いざという時のためにつけておいたけど、あんなところに爆破スイッチがあるのはやっぱりまずいのかなぁ?」


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