小説『アンケート２』

アンケート２

　あ、ちょっとすいません。ええ、あなた。そうです。
　忙しいところすいませんがアンケートに答えて頂けないでしょうか？
　お時間は取らせませんので。
　あ、答えて頂けますか！ありがとうございます。
　いやね、朝から結構な人数の人に声かけてるんですけど、なかなか答えてくれる人が少なくて。地方なんかに比べるとどうも……都会の冷たさとでも言うんですか？なんか寂しいもんですねぇ。
　あ、失礼しました。
　時間取らせないと言っておきながら、無駄話してちゃ意味ないですね。
　え～と、質問は全部で３つありますのでお願いします。
　まず１つめです。
　ノストラダムスの大予言というのはご存じですか？
　あ、知っていると。
　では、次の質問。
　１９９９年の７月には何かが起きると言われてましたが結果何も起きませんでした。これについてどう思われますか？
　恐怖の大王が落ちてくると言われるなどの情報にドキドキしていたが、終わってみれば何もなくてやっぱりといった感じである、と。なるほどなるほど。
　では、最後の質問です。
　グラルド星人をご存じですか？
　え、知らない？
　実は私がそうなんですよ。
　あら、何ですかその冷たい微笑みは。
　あ、ちょっと馬鹿にしましたね！
　これでも結構上のクラスでがんばってるんですから、これでも……あ、また行っちゃったよ……

　え～、アンケートの結果を報告させて頂きます。
　アンケート件数２０７０件。
　有効解答件数は２０７０件。
　問１の質問については前回と同様、全体の約９割、１８９０名が知っていると解答。
　問２の質問は、やっぱし何もなかったねと答えた者がほとんどでした。中には７月には起きなかったがいつか何かしら大きな事件が起きると危惧していた者も多少いました。
　最後に問３ですが、これに対してはほぼ前回と同様の結果ですんで説明省きます。
　ただ、前回の様にゾラン星人と出会わなかったことを考えると、７月に秘密裏に行った抹殺作戦はいい結果を出しているといえるのではないでしょうか。

　……ところで、なぜ急に作戦を変えるようなことをしたんですか？わざわざゾラン星人だけを殺さなくても一気に攻撃すれば早かったのではないかと思うのですが。え？前回のアンケート結果で恐怖の大王の存在を信じていたのは日本ぐらいで、その他の国では知らない者も多かったですって！？
　そうだったんですか……それでは恐怖の大王に見せかける作戦は失敗なわけですね。
　では、どうするんですか？作戦の方は。
　ハイ。ああ、なるほど。既に準備はされているわけですね。
　まあ、５００年の年月で我々の未来予測装置の精度も大幅にアップしましたから、次のノストラダムスはきちんと予言をしてくれることでしょうな。私よりはきちんとね。