アコムユニオンの見解

アコムユニオンは今回の「希望退職」および「店舗統廃合・センター集約」ついては賛同しない。理由は下記の通りである。
但し、希望退職対象者の意思尊重のため、アコムユニオンメンバーが「希望退職」に応じることを妨げるものではない。

1. 経営責任が明確になっていない
(1) 会社は、僅か3年前に第一回「希望退職」を実施した。その後、スリム化と称する組織変更を行い、部門および管理職ポストを増やした。
具体的には、営業本部はコールセンター・カウンセリングセンター・サービスセンター・店舗チャネルを部門化し、それぞれに部門長・シニアマネージャー・マネージャーを配置した。 本社部門では、マーケティング部を新設したにも関わらず、宣伝部を継続させた。
等々の施策により、上級管理職者は「リストラ」前より増加している。
アコムユニオンでは上記矛盾を再三にわたり指摘したが、会社は経営判断であるとして強行した。
これは、明らかな経営判断ミスである。その後、営業・本社ともに部門削減を行ったが、経営責任は未だ明確になっていない。
(2) 現在と3年前の「外部環境」は変わっていない。
にもかかわらず追加の「リストラ」を実施するのは「経営改革」が進んでいないか、将来展望が甘かったかのどちらかである。いずれにせよ、経営の問題である。
(3) 経営責任を明確にせず、失敗のしわ寄せを従業員に押し付けるような安易な「リストラ」には反対する。

2.「リストラ」以外のコスト削減策が実施されていない
組合が提案したダブルジョブや無給休暇の活用等のコスト削減案について会社から具体的回答がない。

3. リストラ後の会社ビジョンが不明確である
(1)「本社スタッフのスリム化」や「電算機費等の削減」を打ち出しているが、具体的な施策が不明である。
(2)「店舗統廃合・センター集約」「本社スリム化」等々を実施したあとの組織体制についての具体策が不明である。

4. 従業員への配慮が不足している
(1)「店舗統廃合・センター集約」により職場を失う従業員への処遇が不十分である。
貸金業法改正やIT の発達により、支店の存在価値が変わってきている。増えすぎたインフラを縮小するのは既定路線のはずである。 にもかかわらず、限定職社員を採用・配置しておいて、経営環境が悪化したからと切り捨てるのは信義則に反する行為ではないのか?
現に、営業のトップは数年前「支店の統廃合は終わった」と発言している。
(2)会社は、今年度の「昇進・昇格」は原則ゼロとした方針をとった。にもかかわらず、10月に一部社員が異例の昇進をしている。
その直後に今回の「リストラ」実施である。一部社員の収入を増やし、その他の社員を切り捨てるような「リストラ」には反対である。

5. 再就職が極めて困難である
前回「リストラ」時と比べ、社会情勢は激変している。完全失業率は5%を超え、派遣切りや内定取り消しが横行しているような時代である。
この環境での再就職は困難を極めると思われる。「家族離散」や「破綻」等のリスクも極めて高い。

前述したようにアコムユニオンは、今回の「希望退職」および「店舗統廃合・センター集約」について反対の立場です。
あらゆる手段を尽くして、やむを得ず最終手段として実施するのが「リストラ」であると考えます。
会社の固定費削減計画やコスト削減への取り組みが甘かった為、前回のリストラから僅か3年で再度のリストラを実施することになったのではないでしょうか?
つまり経営判断の誤りです。
「希望退職」は、募集者が集まらなければ見込み通りの削減はできません。そうなっては困るので、次に行われるのが「退職勧奨」です。
「経営責任」を棚上げし「退職勧奨」により「人件費削減」を実現することは許されることではありません。
「退職勧奨」とは会社が辞めさせたいと思う社員を「退職」へ誘い込むような言動です。
そして、必要以上に「退職勧奨」をすることを「退職強要」といい、民法上の「不法行為」に該当します。
アコムユニオンは、会社と一致協力してこの厳しい環境を乗り越えていきます。
その為には労使共に「自分たちの論理」は通用しません。
会社の健全な発展のため、従業員全員が結束できる環境を作るため、今後も尽力してまいります。

以上

平成21年11月13日
アコムユニオン中央執行委員長
長谷川 敦