《写真解説》 写真1は、組み込み前の状態 写真2は、裏側(ACアダプターの接続部分と、前面スイッチのON・OFFボタンがあります) 写真3は、組み込み完了した本体(大きさは、腕時計と比較してみて下さい) 写真4は、無理に組み込んだ本体内部(ニキシー管が、少し曲がっていますね…右側の方) 下の写真の1.のグリーンのスイッチが若干ずれているのが、いかにも手作りっぽいですね 2.のシールも曲がっています… 3.のニキシー管を取り付けるための穴の加工も…凄いです (全て、失敗ではなく手作り感を出すという”仕様”ですので、お間違いのないように!) なお、シールは貼らない方が良かったとのご意見が多数寄せられましたが、これでイイんです 貼ってないと、写真3のように、シンプルすぎますので… そもそも、製作途中でレイアウト変更したのが(物理的に部品が実装不可能になってしまったため)全ての元凶なんです 本当は、シールでバランスをごまかさなくても、均等なレイアウトになるはずだったんですが… 当初は、ニキシー管が左側。スイッチ類が右側に配置予定でした 写真4の、センターポンチの跡は、その時の基板の取り付け位置だったのです しかし、上記理由(部品実装不可能)により、大幅にレイアウトの変更を余儀なくされたんです 《ニキシー管時計についての解説》 まず、ニキシー管についての解説から始めたいと思います。 ニキシー管(英語では、Nixie−tube)は、まだLEDや液晶などがなかった時代、数字をダイレクトに表示する手段として使われていました。 しかし、ニキシー管が動作するには160〜200V程度の高い電圧が必要なことや、原理上、小さくできないこと(↓下記に解説してあります)、そして、LED(発光ダイオード)と比較して寿命が短いことなどから、現在ではLEDやLCD(液晶表示器)がもてはやされ、ニキシー管は「古いビルのエレベーターの階数表示をしている」というような場所など、本当にまれにしか見ることができなくなってしまいました。 ニキシー管の原理は、基本的にはネオン管と同じように放電して表示するものです。(電圧を加えるとネオン放電により発光する表示素子。) だいたい、1つの管に0〜9までの数字の形でくり抜かれた金属の板(電極)が順番に並んでパッケージングされています。(記号のニキシー管もあります。) その一つに電気を流すことによって、その板が光り、数字を表示するわけです。 (数字の形をしたフィラメントが、0〜9までの10コ、電球の中に入っているとイメージした方が、分かりやすいでしょうか?) さて、電球を光らせるには「+」と「−」で、2本の線を必要としますね。 ニキシー管の場合、0〜9と左右のドット(.)で、だいたい1本の中に電極が12ありますので、端子の数も12+1=13本必要になります。 仮に、100コの電極が入っているニキシー管が存在するならば、100+1の端子が必要ですね。 ニキシー管の特徴の一つに、奥行きのある表示(数字が手前に表示されたり奥の方に表示されたりします)があります。 これは、電極が手前から後ろに一直線に並んでいるためなのですが、真正面から表示を見ないと、見えない部分(斜めから見ると、数字の一部が欠けて見えない)が出てしまいます。これは、ニキシー管のマイナスポイントでしょう。 ニキシー管は、 1.電極が手前から一直線に後ろまで並んでいるために(表示にも)奥行きがある 2.表示させる電極を増やせば増やすほど端子が必要になる 3.160〜200Vの直流が必要 という構造上の特性があり、サイズの縮小(制御回路を含め)には限界がありました。 しかし、現代では見られなくなった、手前から後ろに板(電極)が順番に並んでいるという表示デバイスは、数字を変化させると表示が前後に動くように見え、とても新鮮です。 20世紀の遺物となってしまったニキシー管ですが、温かみのあるレトロでまったりとした表示が魅力的、かつとてもナイスで面白いつは思いませんか? 以上で、だいいたいニキシー管のことがお分かりいただけたかと思います。 近年、アナログ的な感覚と、ネオンの光の暖かさで、静かなニキシー管ブームが起こっています。 しかし、残念なことに、もうニキシー管は製造されておらず、どこかに眠っているものだけになりました。 (日本では、1980年代、比較的長く製造していたロシアでさえも、1990年代には製造中止になったようです。) − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − ここから(ようやく)時計キットについての解説です。 この時計キットは、プログラミング済みPIC(1チップマイコン)により制御されています。 皆さんもご存知のように、PICとは、プログラミングできる1チップマイコンです。 時刻の読み取り方は… この時計は、2つのニキシー管で時刻、分、秒を1秒おきに表示しています。 パッと表示しては、だんだん暗くなっていく、フェード・アウト表示を採用しています。 具体的には、桁を1秒おきに、時→分→秒→ギミック、と言う風に切り替えて表示する方法です。 (ギミックとは、0〜9までの数字を0.5秒程度でカウントアップして高速に表示するものです。) [例]PM2:34.56の場合… 「14(24時間表示)」(一秒)→「34」(一秒)→「56」(一秒)→ギミック(0.5秒)→消灯(0.5秒) つまり、一回時刻を表示するのに、4秒かかるわけですが、フェード・アウトやギミックの面白さもあり、見飽きません。 とてもCOOLでナイスでHOTでGOODですよ♪ 今回製作した時計のケースサイズですが、比較のために、愛用の時計(ROLEX・Ref.1019)と並べてみました。 かなりコンパクトにまとまっているのが分かっていただけるでしょうか? (実寸で、幅13cm×奥行き11cm×高さ6cmです) ケース加工するために、電動ドリル、金属用ヤスリ、センターポンチ、さらにはシャーシーパンチまで購入しました。 が…如何せん素人工作。所々、苦労の跡が見えますね。 さぁ、皆さんも是非、製作に挑戦してみましょう☆ なお、キットに含まれるものは制御用の基板と部品のみですので、表示用のニキシー管と駆動用の電源、配線材(電流は微々たるものですが、電圧は160V以上になりますので、あまり細い線はお奨めしません)、ケース(基板むき出しは、感電の恐れがありますので大変危険です)については各自用意する必要があります。 また、ケースの加工が腕の見せ所&オリジナリティーを発揮するところです♪(楽しんで工作しましょう☆) − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − 最後に。 21世紀の自作派トレンドは、PICによるOLDパソコンのハードエミュレーションと、絶滅光モノデバイス(ニキシー管やデカトロン管や、マジック・アイなど)の実用的な復活ではないでしょうか? PICによるコントロールで、気軽に(高精度+低価格+実装が楽)絶滅した光モノを制御できるようになるとは、いやはや、良い時代になったものです。
このページの最終更新日 2010年3月14日