放送を語る会

NHK経営委員長の東京電力社外取締役兼任撤回を求めます

2012518

 放送を語る会

 14東京電力は數土文夫NHK経営委員長を含む6人の社外取締役など新経営陣を発表、16日の報道によれば、數土NHK経営委員長は東電社外取締役内定について、「制度上も、法的な問題はない」と兼任に意欲を示したと伝えられます。
 私たちは、言論報道機関NHKの経営委員長が、実質国有化される東京電力の社外取締役を兼任することに強く反対し、撤回を求めます。

 反対の理由は、第一にNHK内部への否定的影響を恐れるからです。
 原発事故報道に携わる報道・番組制作現場に萎縮効果をもたらし、自主規制が強められ、番組の公正さを危うくすることを危惧します。NHKの基本方針議決権限や幹部の人事権をにぎる経営委員会の長が、当面最大の取材対象である東京電力経営陣の一角に存在することが報道・制作現場への大きな圧力になることは言を待ちません。
 反対理由の第二は、言論報道機関NHKの「自主自立」を危うくするからです。
 確かに放送法では、非常勤経営委員が営利目的団体の役員、営利事業に従事することを禁じてはいません(第22条)。しかし、原発事故報道をめぐり、取材者NHKにとって東京電力は、時に立場や見解を異にし、対立することもある批判的取材対象です。非常勤であっても大きな権限を持つ経営委員長の東電社外取締役兼任によって、NHKの編集方針が東京電力の利害に影響される危険を排除できません。さらに東京電力は実質国有化され政府の支配のもとにおかれます。兼任は、NHKの権力からの「自主自立」をも危うくすると言わなければなりません。
 反対理由の第三は、視聴者の信頼を著しく損い、NHKの存立基盤を危うくするからです。
 同一人物が、原発事故の当事者東京電力の社外取締役と、事故を報道するNHKの経営委員長を兼任することは、視聴者の目から見れば言論報道機関と取材対象の癒着と映ります。NHKに対し、何人からも干渉されず公平な放送を求めてきた視聴者の信頼が大きく失われることは明らかです。

 以上の理由から、數土NHK経営委員長は、東京電力社外取締役兼任を撤回すべきです。それができないなら、NHK経営委員長を辞任すべきと考えます。