最近、歯周病菌が及ぼす全身への重大な影響が次々と解明されてきています。

 成人の8割以上が罹患しているといわれる歯周病については、歯周ポケットから毛細血管を経て入り込んだ歯周病菌が心臓自体に血液を送る冠状動脈の血管内壁に付着することが心筋梗塞などの心臓病を引き起こすひとつの原因となっていることも近年明らかとなってきており、歯周病患者の心筋梗塞などの心臓疾患罹患率は健康な口腔内環境を持つ人に比べて3倍にも上るという報告もあります。また歯周病は、肺炎など呼吸器感染症の原因にもなり、特に高齢者においてはこれが大きな問題になってきています。そして、逆に歯周病を治療したことによって前述のような病状の改善が見られたというケースも数多くあります。まさに、お口の健康状態と全身の健康状態とは密接に関係しているわけです。

 こういった状況を背景にして、今この「歯周医学」という言葉が登場してきているわけです。

 ちなみに、喫煙や糖尿病は歯周病を悪化させます。

 タバコには血管を収縮させる作用がありますので、歯茎などの毛細血管における血行を悪くし、その結果歯周病を助長させることになります。

 また、直接タバコの煙が粘膜に当たることによる温熱刺激と科学的刺激も、歯茎だけでなく舌や頬粘膜などに対してよくありません。

 そしてタバコは、肺癌だけでなく、舌癌などの口腔内における粘膜の癌の原因にもなるといわれています。

糖尿病については、「歯周病と糖尿病との関係」をご参照下さい。