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歯の外傷としては、ほとんどの場合が前歯ですね。 私の診療室では、過去に運動部の大学生や交通事故でのケースもありましたが、「ヨチヨチ歩きで、テーブルの角で打った」とか、「走っていて、こけて床で打った」とか、「遊んでいて、友達の頭が当たった」とか・・・やはり圧倒的に多いのは乳幼児から小学生の子供達であり、またひとくちに打撲とか外傷などと言いますが、その状態と対処法はさまざまなのです。 よって、この項では子供の前歯における外傷についてお話しすることに致しますが、万が一あなたのお子さんの歯が何らかの事故に遭われた時のために、最低限、下表の部分だけは「緊急時の対処法」として忘れないでいてやって頂きたいと思います。 |
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1) 年 齢 |
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ご存知の通り、子供の口(顎)はその成長発育と共に無歯顎(まだ歯の生えていない時期)から乳歯列期(乳歯だけの時期)へ、そして混合歯列期(交換期とも呼ばれる、乳歯と永久歯の混在している時期)を経て永久歯列の完成へと変化してゆきます。ですから、子供の場合にはそのトラブルがどの時期におこったかということが問題になってくるわけです。 そこで、ここではまず前歯における各時期での分類をもとに話を進めることに致します。
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2) 損傷の度合い |
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ここでは、受けたダメージによって分類し、話を進めます。
これらの場合、その歯の神経を抜く必要性が非常に高いことと、必ずと言っていいほど固定(口の中でギブスの役割を果たすもの)が必要となってくることを知っておいて頂きたいと思います。(この固定法には、いくつかの方法があります)
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3) 歯冠修復の方法 |
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失われた歯冠部(歯の頭)の修復方法は、簡単に言って「つめる」か「かぶせる」です。 乳歯の場合は、その歯はあとどのくらい使わなければならないかで、強度や審美性を考慮に入れた後、その期間に耐えうるだけの方法を選択すればよいでしょう。 ところが、永久歯の場合は・・・その歯は、永久歯と交換するまで役目を果たせばいいという乳歯とは違い、いわばその子が死ぬまで使わなければならない歯なのです。特に幼若永久歯の場合、本来なら神経を抜かなくてはならないようなケースでも、歯根の完成までなんとか生かしておき、歯根完成後に神経を抜くというような手段をとらなくてはならない場合もあり、なかなか難しくなってきますし、それと同様に、本来ならば(成人の場合なら)かぶせなければならないケースであっても、いくつかの理由から、出来るだけ「かぶせる」という方法はとりたくないというのが我々歯科医の本音であり、少なくとも、ある時期までは「つめる」という方法で凌いでおいて、「かぶせる」という方法をとるのは出来るだけ後へと持ってゆくべきなのです。 したがって、このあたりのことは担当歯科医と十分にご相談の上、お決めにならなくてはならない点だと思います。 以上、ざっと書いてまいりましたが、その子の将来を十分に考慮しての処置が必要だということは言うまでもなく、そのためにはレントゲン写真による診断などと共に、十分なる経過観察も、当然の如く必要になってまいります。 |