これは、失った部分に人工の歯の根っこを植立してその上に歯を作る・・・という方法で、前述のブリッジ作成時のように 「その欠損部を補うために、周囲の歯を削る」 というようなリスクを負うことなく、また、入れ歯のような取り外す作業も無く、その異物感も無しに、自分の歯と同様の噛み心地を回復できるというものです。

 一本のインプラントにより一本の欠損部を補うことから、複数の欠損を補うためのインプラントどうしのブリッジ、また不安定な入れ歯を安定させる装置として・・・等々、インプラントの適用範囲はかなりの広範囲に及び、そのインプラントの上部構造(「歯」に相当する部分)には、そのケースに合わせてゴールドや陶器の歯など、さまざまの材料を使うことが出来ます。しかし、患者さんによっては全身的な問題や顎の形態などから、インプラントによる処置が不可能な場合もあります。

 また、近年のインプラント体はチタンでできており、現在のところ金属アレルギーなどをおもちの方への使用もまず問題はないと言われていますが、ただ残念なことにインプラントによる処置は現行の健康保険法では給付対象外のため、すべて自由診療ということになってしまいます。

<インプラント治療のステップ>

 たぶん、みなさんが考えていらっしゃるよりもインプラントの手術自体は簡単で時間にすると準備から修了まで通常のケースであれば約1時間程度なのですが、ここでみなさんにひとつ知っておいて頂きたいことがあります。

 それは、インプラントは顎の骨の中に入れますので、骨の厚みのないところにはできないということ(骨の厚みを増す手術もありますが)と抜歯と同時の埋入れは、基本的に私はしないということです。

 ですから、「今までは入れ歯を入れていたんだけれど、その部分をインプラントにしたい。」というような患者さんのケースであれば、骨の厚みさえあればすぐにでも入れる(埋入する)ことができるのですが、抜歯をした後その部分をインプラントにするような場合は、基本的にその部分に骨ができるのを待つことになります。

 したがって、抜歯をしてから下図(下顎の第2小臼歯を失ったケース)の@の状態になるまでに最低3ヶ月はかかり、AからBまでの期間も最低3ヶ月は待たなくてはならないため・・・インプラント治療に要する期間は、

抜歯からスタートするケースでは

 → 

半年以上

すぐに埋入できるケースでも

 → 

最低3ヶ月

かかることになり、インプラントで噛んで頂けるようになるまでの間は、仮の歯を入れていて頂くことになります。

 もっと早く、例えばインプラント埋入と同時に噛めるようにするといった手法をおとりになる先生もいらっしゃいますが、私は基本的にそういったことはしません。

@抜歯した部分の骨の回復した状態。

Aインプラント(フィクスチャー)が埋入された状態。

インプラント体自体の形態にはいろいろなものがあります。(当院では、"Xive"というインプラントを使っています)

B上部構造が装着された状態

この段階で、始めてインプラントを使って食べていただけるようになります。

 ご参考までに、当院におけるインプラント治療にかかる費用は下記の通りです。(消費税別)

フィクスチャー埋入時 : ¥250.000- (1本)

上部構造完成時 : ¥100.000- (1歯)

(注)

インプラントに、虫歯はありません。

しかし、歯周病はインプラントにとっても大敵です。 (インプラント周囲炎)

ついては、自分の歯と同様にインプラント部分へのブラッシングは、とても大切なこととなってきます。