- 歯の解剖学的構造 -

 通常、歯は下図のような構造になっています。

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歯茎から上の部分の表面は、身体のどの部分よりも硬い「エナメル質」に覆われています。

A

根っこの表面は「セメント質」に覆われ、骨と歯をつないでいる「歯根膜」と呼ばれる繊維性の組織と結びついています。

B

エナメル質、セメント質のそれぞれ内側には「象牙質」というものがあります。

この象牙質はエナメル質に比べて遥かに軟らかく、そのためにエナメル質を通過した虫食いは、この象牙質に入って一気に広がることになります。

C

象牙質の中には「歯髄」と呼ばれる歯の神経が入っており、これは根っこの先端部分で外部と交通しています。

D

歯は「歯槽骨」と呼ばれる顎の骨に植わっているのですが、直接歯槽骨とくっついているのではなく、前述のとおり歯根膜という繊維性の組織を介在してくっついています。この構造は関節に似ており、したがって、私達が歯を抜く場合には「脱臼させる」というような表現を使います。

E

歯茎というのは、歯槽骨を保護している軟組織だと考えていただければいいでしょう。

歯の解剖学的構造

- 永 久 歯 列 -

 永久歯の正常な本数は、合計28本〜32本です。
前歯=2本、犬歯(糸切り歯)=1本、小臼歯=2本、大臼歯=2本・・・計7本。
これが上下左右で(7×4=28本)ということになり、そして8本目にあたる歯(第三大臼歯)・・・これが親知らずと呼ばれるものです。

 

上顎の永久歯

下顎の永久歯


- 永久歯の形態 -

永久歯の形態

これは、ごく一般的な形態の歯の模型ですが、人によって歯の形態は微妙に異なり、

同じ歯は、指紋以上に無いと言われています。


下の3枚の写真は上顎の6番ですが、根っこが3本あるということは、

ご覧のとお、り非常に複雑な形態を呈してきます。

したがって、この根分岐部付近まで歯周病による骨吸収が及んでくると、

とても厄介なことになってくるわけです。

頬側から観たところ 口蓋側から観たところ 隣接面から観たところ
頬面観 口蓋面観 隣接面観

- 乳 歯 列 -

 乳歯の場合は、20本が正常な歯の本数で、乳前歯=2本、乳犬歯=1本、乳臼歯=2本・・・計5本。
これが上下左右で(5×4)=20本ということになります。

上顎の乳歯

下顎の乳歯

 ちなみに、永久歯は前から1、2・・・7、8というように呼び、乳歯はA、B、C、D、Eというように呼びますが、中には先天性欠如歯といって生まれつき歯の本数が足りない方がおられますが、この発現頻度が高いのは、乳歯ではB、永久歯では2と5です。乳歯の段階でBの無いお子さんは、そこにあるべき永久歯の2も先天的に無いという確率が非常に高いのも事実です。また余談ではありますが、AとBがくっついたような形態の歯(癒合歯)を持つ子供にも、2の先欠が多く見られます。

 このようなお子さんの場合は、歯科医による長期観察と、その時々に応じた適切な処置がとても大切になってきます。

― 参  照 ―

我が子の口を、虫歯のないきれいな噛み合せにするために

乳歯・乳歯から永久歯への交換・不正咬合と矯正治療