- ハンド・ブラシ -

 残念ながら、歯ブラシには家庭用品品質表示法に基づいた毛の硬さの表示以外には規格がなく、メーカーが各社それぞれの基準で作っているというのが現状です。

 そのため、売り場にずらりと並んだブラシはハンドル部分の形状から植毛状態、毛の質までさまざまで、それらの中からどれを選べばいいのか、みなさんが悩まれることになるわけです。

 そこで、ここでは私の診療室で主に使用している歯ブラシをご紹介しておきますので、植毛部分の形についてはこれらを参考にお選び頂ければと思います。

これは 「ブラッシングの仕方」 の項でご紹介しているブラッシング法用に開発されたブラシで、このブラシの家庭用品品質表示法に基づく毛の硬さは、「ふつう」 です。

このブラシの大きな特徴は植毛部分の先端が丸くないところで、この角の部分が上顎の歯の裏側の歯間乳頭部をブラッシングするときなどに使いやすくなっています。

(この歯ブラシは一般には市販されておりませんので、ご入用の方はメールにてお問い合わせ下さい。 取り寄せ先などを、お教えいたします。)

 

こちらは、バス法というブラッシング法に適したブラシです。

このブラシも歯科医院用なのですが、市販のものとしては 「サンスターのGUM #211M 」 などがこれに近いのではないでしょうか。

 


- 電動ブラシ -

 電動ブラシも、さまざまな機構をもつものがいろいろな価格帯で販売されているようですが、ここではっきりと申し上げることが出来ることは、「電動ブラシは、決して魔法のブラシではない!」ということです。

 どんな電動ブラシも、その使い手によってその効果には大きな差が出てきます。また、電動ブラシにおいてもブラッシングにおける基本的な考え方は、ハンド・ブラシの場合と何らかわりありません。言い換えれば、前述のような考え方でしっかりとあてることの出来ない電動ブラシは、基本的にはあまりお勧めできないということになりますね。

 ちなみに、当院では「ソニケア(Sonicare)」という音波を発する電動ブラシをお薦めしていますが、この他に私の知るだけでも4〜5種類以上の音波ブラシが市販されています。

 この電動ブラシは、音波によるキャビテーションという効果によって、毛先の届いていないところまで清掃できるというのがひとつの大きな特徴であり、もうひとつの特徴としては、歯肉を傷めないということも特徴として挙げられるでしょう。

 正しくさえ扱えば、当然ハンドブラシに比べて、かなり効率はいいはずです。


 「基本的な注意点」のところでも書きましたが、顎と歯の形態を知ることはとても大切なことになってきます。奥に行くにしたがって歯は頬舌径を増してゆきます(大きくなってゆきます)し、背は低くなってゆきます。また、顎の奥行きの浅い日本人の場合、一番奥にある歯は窮屈な場所にあることになり、その部分のブラッシングは難しくなってくるのが一般的です。そのような歯列の、どの部位にも確実にブラシの毛先が行き届いているためには、電動ブラシであってもハンド・ブラシであっても、それなりのブラッシングの工夫がいるものなのです。