『旅の仲間』にギムリとレゴラスはおらず、当初グロールフィンデルがついてくる案もあった。【8へぇ〜】

 皆さん、大っ変申し訳ありません。ほび助は、“グロールフィンデル”と言われて、とっさに誰だかわかりませんでした…。「なんか聞いたことあるな」という感触はあったのですが。お、お許しを〜。

 え〜、グロールフィンデルとは、映画でアルウェンがやっていた「風見が丘でフロドがナズグルに刺され、難儀している彼らを迎えに来る」役を、原作でやっているエルフですね。
 『シルマリルの物語』などをお読みの方は特に良くご存知だと思われますが、エルロンドの宮廷にいる高貴な上のエルフの一人です。

 この人が旅の仲間に加わるという案がありました。その後なぜ「闇の森の王子・レゴラス」に変わったのか、はちょっと読み込んでいません。すいません。
 また、ギムリは…というか「ドワーフ」は、旅の仲間の構成員としてはかなり長い間考えられなかったようです。
 旅の仲間がモリアの中を通るというシーンを書いたところで、「そうだ、ドワーフを仲間に加えとくといいぞ」ということになり、話をエルロンドの会議のところまで戻して、旅の仲間にドワーフを加えたようであります。

 「旅の仲間」の構成員の変遷については50ページくらいにわたって説明されており、全部読み解くには、ほび助の根性とエイゴ力が持ちませんでした…。ずびばせん。
 ので、今回は(いつだ次回は)表面的なことだけ書いております。あとでもちっと読んでみます。結構楽しそうな内容ですものねえ〜。

当初、“馳夫”はホビットだった。【8へぇ〜】

ホビゴルン

ぎゃはははははは!!! こりゃ可笑しい! ぎゃははははは!!

…と、大笑いしてる場合じゃないですね。アラゴルンファンには鼻血が出そうなほど驚かれたことでしょう。

実は、もっとしっかり読み込んでからご報告しようと思ったのですが、この次のトリビアをご紹介するときに、どうしても触れなくてはならないので、中途半端ですがここで一度ご紹介しておきます。

トールキンは、“馳夫”というキャラクター自体は当初から登場させていました。しかし、前述したとおり、「いったいどういう素性のもので、今後どう活躍させるか」については、何度も何度も案を作っては考え直しています。
 そもそも、“馳夫”と訳された英語のStriderという呼称も、最初はTrotterでした。ここでは便宜的にどちらも“馳夫”で通してしまいますが、この“馳夫”の設定が、人になったり半エルフになったり、ホビットになったりしているのです。
 初期のころの下書きでは 馳夫はホビットでした。しかも名前は「ペレグリン」(爆笑)。そして、初期の“旅の仲間”は、“馳夫”を含むホビット5人(フロドとサムとメリー、それに“ファラモンド”なる名前のホビット)、ボロミア、ガンダルフ、の7人編成でした。
 “馳夫”は、ホビットではありますが、最終的な「アラゴルン」とほぼ同じような性格・雰囲気に描かれています。王者の風格を備え、知的で機敏に行動します。「きのこ食べたい」とか「腹減った」とか言いそうにはありません。

この後、どういう経緯を経て「アラゴルン」という名の人間の男になったか、はまだ読んでないので、ぜひもっと詳しく読み、ご報告できればと思っております。

それにしてもホビット5人以外はガンダルフとボロミアなんて、相当難儀しそうなメンバー構成ですね〜。これじゃあ話がすすまなかったでしょうなあ。(笑)



当初、カラズラス峠で、雪の中ホビットを助けるシーンはボロミアが一人で大奮闘していた。【6へぇ〜】

 さて、執政家ファンのほび助としては、兄上のご活躍をピックアップしないわけにはなりませぬぞ! 
え〜、前述しましたとおり、初期の旅の仲間は、馳夫を含むホビット5人とガンダルフ、それにボロミアでした。この7人に、荷馬として2匹のポニーがついていました。初期の下書きは、このメンバーで、裂け谷からモリアの壁に到着するまでの、かなり長い分量書かれています。

熊ミア

 さて、このメンバーが遭遇する最初の苦労、それは雪のカラズラス越えです!
 さあ、こんなチビ5匹とじいさん1人という、しょーもなく役立たずなメンバー(すいません)をかかえ、“頑健一人(二人ではない)男”のボロミアは大活躍してくれてますよ〜。

 まず、激しい雪に前進できなくなり、ボロミアが「下に降りれないか道をさがしてまいります」と言って一人ラッセルして下っていきます。しばらくして戻った彼は、「ちょっといけば雪は少なくなり、さきほど雪が激しくなった地点である曲がり角まで、降りることもできましょう」ということを伝えます。このへんは最終的な指輪物語にも出てきますね(最終稿ではアラゴルンと二人で行きますが)。
その報告を聞いたガンダルフのせりふから始めましょう。ちょっと長くなっちゃいますが、執政家ファンは必見です。
 さあ、いきますよ〜…アクション!!

「下の方でだけは雪は小降りになっておるようじゃ」ガンダルフはぶつぶつ言いました。
「だが、ここから上では小降りではない。雪はわしらを狙ってふっているように思えるぞ」
「私たちはいったいどうやって曲がり角に戻れば良いでしょう?」馳夫は言いました。
「私にはわかりませんな!」ボロミアが言いました。
「ガンダルフ殿が、雪を溶かしてわれわれの通り道を作るくらいの炎を作り出せないのが、まことに残念だ」
「わしとてそうじゃ」ガンダルフがどなりました。「だがそうするには燃料が必要じゃ。何もないところに火はつけられぬ。おぬしが必要としているのは魔法使いではなくドラゴンじゃろうて」
「まったくもって、今はおとなしいドラゴンのほうが、怒りに駆られた魔法使いより役にたつでしょうな」そう笑って言ったボロミアの言葉は、しかしガンダルフの怒りをなだめることはできませんでした。

「今、いまだと!」彼は応えました。「あとでわかるこったろう。わしはあんたの偉大な父祖たちと同じくらい年老いている。じゃがまた老いぼれてはおらんぞ。あんたが狂暴なドラゴンに出会ったら、間違いなくあんたに相応の報いがあることじゃろう。」
「さてさて! “頭がまいれば体がお役にたつべし”と私の国では言います」とボロミアは言いました。
「なんとかやってみるしかありますまい。小さい人たちをポニーに乗せるのです。それぞれに2人ずつ。一番お小さい方は、私が運びましょう。ガンダルフ殿は後ろからついてきてください。私が前を行きます。」

すぐに彼はポニーから積荷をおろしました。「道を押し開けたら、私が取りに戻りましょう」彼はいいました。
フロドとサムが一匹のポニーに乗り、もう一匹に馳夫とメリーが同乗しました。ファラモンドを背負うと、ボロミアは大またに前に進みました。

彼らはゆっくりと雪をかきわけて前に進みました。曲がり角につくのに時間がかかりましたが、なんとか無事到着できました。少しの休憩のあと、苦労して吹き溜まりの縁まで行こうとしました。

突然ボロミアが隠れていた石につまづき、頭から落ちてしましました。ファラモンドは彼の肩から深い雪の中に放り出され、見えなくなってしまいました。あとについていたポニーも同じように転げ落ち、フロドとサムも放り出されました。馳夫はかろうじて2番目のポニーを後ろに下がらせました。

しばらくの間、すべてが混乱状態にありました。しかしボロミアは起き上がり、顔と目から雪をふりはらうと、もがきあがくポニーの頭のところに行きました。ポニーを立ち上がらせると、雪の深みにはまったホビットたちを助けに行きました。まずファラモンドを、次にフロドをすくいあげると、彼らが自分で進めるようにふきだまりの縁まで雪をかいて道をつけました。そして彼はサムとポニーを助けに戻りました。
「私のつけた跡をたどりなさい!」彼は3人に向かってどなりました。「最悪の時は去った!」

ついに、彼ら全員が長い坂のてっぺんにたどりつきました。
ガンダルフはボロミアにおじぎして、「もし私が短気であったら」と言いました。「どうぞ許してくれたまえ。もっとも賢い魔法使いでも、自分の考えた策が失敗するのを見たくはないものなんじゃ。わしらはあんたに感謝するよ、オンドのボロミアよ」

カ〜ット!!

 はいっ、いかがでしたか? 
 いやはやボロミアはほんっと〜にお役に立ってましたネ! まったく熊としか言いようがないですネ!(笑)
 いや〜、でもいいシーンでしたねえ。冒頭のガンダルフとのやりとりもいいですよね。爺さん相当怒ってますよ〜。あはは!

 そうそう、最後に「オンドのボロミアよ」と、ガンダルフが言っておりますが、「ゴンドール」は当初「オンド(Ond)」だったもようです。それが「オンドール(Ondor)」になって最後に「ゴンドール」になると。このへんは「トリビアその1」でもご紹介しましたね。

 このように大変大活躍のボロミアですが、このシーンが彼の独壇場だったのは、ひとえに馳夫がホビットという設定だったからでしょうね。
 馳夫が人間の男という設定になったあとは、ここで馳夫がなにもしないのは変ですから、ボロミアと二人で難局をしのぐ、という展開に書き換えられたものと思われます。
 いやそれにしてもナイスなトリビアでございました!

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 さて、トリビア第三弾、いかがでしたか?
 ほび助の乏しい英語力ではまったく亀の歩みでしかご紹介できないのが、とってもくやちい。このシリーズ、どこかの出版社が邦訳してくれませんかしらね〜。ほんと切に希望いたしますですだ。

 まだまだいっぱいトリビアが隠れてるもようなので、少しづつ少しづつご紹介していければと思います。

 とてもとても長いページでごめんなさい。次回から複数ページにわけますのでお許しを…。

 それでは今回はこのへんで。シーユーネクストタ〜イム!