Hofheim-Instruments RD-400DX
その4
宮古島遠征、他
公開:2024年7月19日〜
更新:2026年10月28日 *エンコーダー交換 を追加
来間島・竜宮城展望台にて(満潮時)。干潮の時は、その3の冒頭に掲載したように息をのむ程美しいが、満潮だとご覧の通り。
干潮時の宮古島の海は、世界一美しい。池間島への道も、ぜひ干潮時の真昼に見て欲しい。
今年も宮古島へ
ネオワイズ彗星を宮古島で見て以来、毎年ここに遠征に来ている。昨年、一昨年は天候に今一つ恵まれなかったが、今年は海の日に行ってきた。梅雨明けはしているけれど月齢は7.2。 0時頃まで月が出ているし、海の日の連休だから大混雑?で条件は良くないだろうけれど、1週前の新月期に休めなかったので仕方が無い。0時を過ぎれば静かになるだろうし、そこから暗い天体を見ればいいか、と割り切った。
観望場所へは19時半に到着。強くは無いけれど風があるので、シュラウドは無し。21時過ぎから、明るいメジャー天体を中心に見始めた。高品位屈折・低倍で見る、針を刺すような星像が335×でも得られ、さすが宮古島の空 + ザンブト・ミラー + Apollo 11だ! アンタレスが伴星を伴ってきりりと美しい。しかし23時頃までは危険な暑さで、車のエアコンで時々涼まないと、全く体が持たない。また、0時頃までは観光客が東平安名崎の灯台をめざして引っ切り無しに通行していたので、車内で休むにはちょうど良かった。
さて0時を過ぎると誰一人としていなくなり、さあ、本気モードで観望だ。と思いきや、小さな雲に目的天体が遮られる事多々。なかなか集中できない。こういった時は、NL Pure 10×で観望だ。WXは重量オーバーで割愛。やっぱり手持ちで星を見るなら防振がほしいなあ。そうこうしていたら、宮古島特有の、突然の雨が襲ってきた。でも慣れてきているので、降る前に察知して片付けしているので、被害は無い。で、結局3時前には退却となった。
写真左:南南西に立ち上る天の川(7月15日1時)。写真右:南側を見上げた空(7月14日0時15分)。
CANON RF10-20mm F4 L IS STM (10mm。Lee No.3 ソフト・フィルター/レンズ背面)+ EOS
R5。F4、30秒、ISO:8000、固定撮影1発撮り。
2日目(7月14日)は定番の美しい海を見て、美味しい食事にありついて、これはこれで大満足。今回は昼が満潮だったので、いつもの美しい海の色は今一つ(冒頭の写真)。観望地には21時に到着。状況は前日と同じ。突然の雨で一旦片づけた後、2時頃から再び望遠鏡を組み上げて観望開始。ところが、この望遠鏡のデフォルト:Apollo
11で193×でさえ星がボテッとしている、宮古島らしからぬ空だ。仕方ないので、Ethos 21mm
101×で暗めの天体にもチャレンジした。いままで見れなかった、たて座の惑星状星雲IC1295が同定できたりしたけれど、2時間程して再び黒い雲が。さっさと片付け、4時に退却。そこから結構な降雨となった。写真は、Sigma 14mm F1.4ではなく、RF
10-20mm。F4で暗いので露出は30秒(固定)。だから、拡大すると盛大に星が流れる。しかし、このレンズにしたのは、単なる記念撮影と割り切ってのことで、Skymemoまで持ち込む重量の余裕はない。
今回は沢山の天体は見れなかったけれど、それでも充実感はあったし、望遠鏡の改善点、課題があぶり出せたのは収穫だった。
バックラッシュの改善 (という訳で、以下は遠征後の改良)
水平回転が以前ほどスムーズではなくなり、視野を移動する時にバックラッシュが生じていた。これはけっこう興ざめする。ED-400Xの付属のミラーは12.8�sでザンブト・ミラーは9�sと4�s軽減されている。アイピースはパラコアII + Ethis 21mmと重い時もあり、本体に1�s×2の錘を装着して対応している。本体の総重量は増えていないので、これは純粋に水平回転の摩擦が増えたせいだ。そこで、ランプ印テフロン ドライというものを購入して水平回転部に噴射した。これが奏功して実にスムーズになった。
錘の位置の変更
パラコアII + Ethis 21mmだと、45°位より下を向けると、重さで勝手に鏡筒が下に下がってしまう。以前は勢いが付いて下がって危険なこともあった。今はストッパーが着いているけれど、ここは何とはしたい。バネを利用したいけれど、水平回転の板が薄く、テンションがかかる強度は無い。また、エンコーダーのアームもあるので、バネ機構の装着は無理だ(収納の際、箱にも首尾良く収まる必要もある)。
ストッパーと水平回転部の板厚。縦の黒棒は、エンコーダー装着アーム。
そこで、まず錘の位置を変更した。少しでも本体から離すのが目的。この錘は1個1�s。手持ちのクランプを利用して、ご覧の通りにしてみた。さらに0.5�sのものも中央に装着した。また、これはぶら下げるのが簡単だけど、動かす度に振り子様振動が生じるので、袋から出してベルクロ帯で本体に直付けした。これで、パラコアII + Ethis 21mmを使用時でもフリー・ストップとなった。
遮光板の装着の改良
アイピース装着の対側には、遮光板が一端はねじ止め、もう一旦はベルクロでの装着だ。ところがベルクロは小さい円盤なので、微風でもすぐに剥がれてしまう。ここも手持ちのクランプ(以前購入したら、1袋に何個も入っていた)、固定。
シュラウドとミラーの遮光板
シュラウドは再制作したけれど、針金が円形にテンションが保てず、程なくミラー内側に垂れさがるようになってしまった。しかしそもそも、このドブで遠征する所はめちゃくちゃ空が良いので、シュラウドは無くても良い環境だ。オーストラリアの砂塵や結露からの保護には必要だけれど、とりあえずミラー周囲の遮光板の高さを上げることにした。
使用した素材は、ハンズにあったカンキ化工材
塩ビ つや消し黒 400×550×0.3mm。つや消しの感じが良く、0.3mmは重すぎず強度もまあまあなので、ちょうど良かった。かつては本当に面白くてここにしかないものがあった東急ハンズから、普通のDIYショップになってしまったハンズに嘆いていたが、まだここにはこれがあった!
これを3枚、ベルクロ・テープで連結。これけではきれいな円形が保てないので、ゴム紐で上部を固定し、さらに内側に1mmのカーボン棒1mm×1mを養生テープで留めることにした。棒は1mmより太いとうまく曲がってくれないのと、固定もあれこれ試みたが、前述した方法が一番簡単なのと、1mmのカーボン棒なら、スーツケースに曲がって収まる。とりあえず次回の遠征はこれで行こう。
使用アイピース
ほとんどは、Apollo 11 193×で見ているが、もう少し低倍・広視野用にはEthos 21mm 101×だ。以前はMasuyama 32mmも使用することもあったけれど、星像がEthos 21mm程良くないので、今は遠征には持って行かない。惑星には Powermate 2× + Apollo 11 335×で、さらなる倍率が欲しい時はEthos SX 4.7mm 451×を使用。これ以上の倍率は、あまり使用しない(ハワイで惑星状星雲ならあり得る)。
| 口径 | f | 焦点距離 | 倍率 | 実視界 | 見掛視界 | アイ・レリーフ | 射出瞳径 | パラコア位置 | |
| RD-400DX Zambuto + Paracorr II | 407mm | 5.2 | 2118mm | ×1.15 | |||||
| Ethos | 21mm | 101 | 1.0° | 100° | 15mm | 4.0mm | A | ||
| Apollo 11 | 11mm | 193 | 0.44° | 85° | 18mm | 1.9mm | C | ||
| Ethos SX | 4.7mm | 451 | 0.24° | 110° | 15mm | 0.9mm | H | ||
| with Powermate 2X | 407mm | 9.06 | 3684mm (1842×2) | ||||||
| Apollo 11 | 11mm | 335 | 0.25° | 85° | 18mm | 1.2mm | - | ||
| RD-400DX Zambuto | 407mm | 4.53 | 1842mm | ||||||
使用アイピース(2026年5月6日)
Pentax XW40-Rが2インチアイピースで最大視野が得られるだけでなく優秀、そしてNagler 5 31mmよりずっと軽量なので鏡筒のバランスが崩れず、これが遠征用アイピースに加わった。Nagler 7 19mmがヌケ良さとコントラスト、解像度が傑出しているので、Ethos 21mmと置換。遠征用のアイピースは以下のようになった。
| 口径 | f | 焦点距離 | 倍率 | 実視界 | 見掛視界 | アイ・レリーフ | 射出瞳径 | パラコア位置 | 備考 | |
| RD-400DX Zambuto + Paracorr II | 407mm | 5.2 | 2118mm | ×1.15 | ||||||
| Pentax XW40-R | 40mm | 53 | 1.6° | 70° | 20mm | 7.7mm | E | |||
| Nagler 7 | 19mm | 111 | 0.7° | 82° | 19mm | 3.7mm | A | |||
| Apollo 11 | 11mm | 193 | 0.44° | 85° | 18mm | 1.9mm | C | |||
| XO | 5mm | 424 | 0.1° | 44° | 3.6mm | 1mm | 惑星用 | |||
| Zeiss ABBE II | 4mm | 530 | 0.08° | 43° | 0.8mm | 惑星用 | ||||
| with Powermate 2X | 407mm | 9.06 | 3684mm (1842×2) | |||||||
| Apollo 11 | 11mm | 335 | 0.25° | 85° | 18mm | 1.2mm | - | |||
| with Powermate 2.5X | 407mm | 11.3 | 4605mm (1842×2.5) | |||||||
| Apollo 11 | 11mm | 670 | 0.12° | 85° | 18mm | 0.6mm | - | 惑星状星雲用 | ||
西オーストラリア遠征(2026年10月20日 記)
Waddi 西側の空 (例によって、1発撮りの記念写真)
10月の連休を利用して西オーストラリアへ行ってきた。いつもはSpringhills Farmだけど、宿泊受け入れを止めてしまった。そこで今回は、津村さんの”別荘”のようなWaddi Bush Campにお世話になることになった。事前に様々な情報を教えていただき、大変役に立った(ここでは一般公開はしないので、もし情報欲しい場合には、メールください)。1週間の滞在で、南天だけでなく北天も「もう当分お腹いっぱい」という位たっぷり見ようと意欲満々だったけれど、5日間大雨、宿泊したロッジの下水は詰まってトイレ、台所から水が溢れ、転倒して怪我はするし、晴れた最終日には蚊の大群に襲われ、等々、散々だった。が、もちろん晴れた2日は、大変充実していた。
皮肉なことに、昼間だけは良く晴れていて、周辺の観光は充実していた。写真は、Thetis湖のストロマトライト。Wadiiから西へ向かって45分。海岸にロブスター料理で有名な”ロブスター・シャック”があり、その周辺には美しい海岸やこの湖、ピナクルス等の見所が満載。Google Mapsを見ていて、偶然ここを見つけた。オーストラリアのストロマトライトはシャーク湖が有名だけれど、ここでも地球最古の生物が見れる。
風が強い時は、シュラウド関係は外した (写真・中央)
持参した機材は、このドブとXW 10×。アイピースは下記の通り。ほとんどは、Nagler 7 19mmとApolloで観望。南天でのWXは圧巻! 大マゼラン雲、南じゅうじ座などはすっぽり視野に入る。フィルターは、UHC、OIII、Hβ。南西の空は明るくパースの光害か。同行したfmasaさんは、AGEMAの15cmで参戦。よく持ってきたなあ。散開星団などは流石に美しく、銀河はやはり本機が本領発揮。Apollo 11のパラコアの位置は、TeleVueのホームページにはCと記載があるが、これは今回の観望でBとCの間だと感じた。
| 口径 | f | 焦点距離 | 倍率 | 実視界 | 見掛視界 | アイ・レリーフ | 射出瞳径 | パラコア位置 | 備考 | |
| RD-400DX Zambuto + Paracorr II | 407mm | 5.2 | 2118mm | ×1.15 | ||||||
| Pentax XW40-R | 40mm | 53 | 1.6° | 70° | 20mm | 7.7mm | E | |||
| Nagler 7 | 19mm | 111 | 0.7° | 82° | 19mm | 3.7mm | A | |||
| Apollo 11 | 11mm | 193 | 0.44° | 85° | 18mm | 1.9mm | BとCの間 | |||
| Nagler 7 | 9mm | 236 | 0.35° | 82° | 19mm | 1.7mm |
A |
|||
| with Powermate 2X | 407mm | 9.06 | 3684mm (1842×2) | |||||||
| Apollo 11 | 11mm | 335 | 0.25° | 85° | 18mm | 1.2mm | - | |||
| with Powermate 2.5X | 407mm | 11.3 | 4605mm (1842×2.5) | |||||||
| Apollo 11 | 11mm | 670 | 0.12° | 85° | 18mm | 0.6mm | - | 惑星状星雲用 | ||
ところで、機材にも被害があった。トラス棒を外したミラーボックス、エンコーダー一式を組み上げた本体を車の後部へ収納して運搬しようとした時、ハッチバックの屋根が少々低くて(小型車ゆえ)、斜めにして本体を入れようとしたら、ミラーボックスだけ、するりとトランクへ行ってしまい、エンコーダー取り付けアーム等を破損してしまった。現地スーパーで手に入れられる物品で何とか動く程度まで修理できたが、エンコーダーの誤差はけっこうあったままだった。40000ステップのエンコーダーがあるのがわかったので、これを期に再制作をすることにした。
⇒
もうひとつ追加。大型ドブでもそうだけど、移動でネジが緩む。車の振動ってばかにならない。今回は、斜鏡スパーダーのネジが外れていた。行く前にチェックしていたつもりであったが。
.
車の振動、といっても道の悪い所を硬いショックで走破している訳では無いのに、ネジは緩む。とすれば、走行中に分解しない車って凄い! おまけ。下から金星、月例1.5の月と地球照、水星(by iPhone)。
もうひとつおまけ。今回、マツカサトカゲという、ここ固有のトカゲを何回か見た。これ、いわゆる ”ツチノコ” ではないか。インドネシアにも生息しているようで、これが何らかの理由で日本に上陸、目撃され、ツチノコになったのでは? 村興しでこれを扱っている所では否定するだろうし、夢を壊すなとか言われそうだけど。
エンコーダー交換 (2026年10月25日)
Astro Devicesでは、エンコーダー、接続ケーブル類を扱っている。以前はUS Digitalから直接購入していた。購入して1〜2年したら、この商品は軍用として第三国へ輸出しないように、等々のメールが来た。エンコーダーは、10数年前の2560ステップから始まり、4096、10000、32000と伸び、今回遂に40000ステップとなった。形状、接続方式が変わり、厚みも若干増えた。前回はベアリング付きで、触れただけでも回転したが、今回はベアリング無し、それなりの粘性を感じる。同社のコイル・ケーブルは50cm長で、RJ11接続だ。今まではRJ9だったから、ここも交換した。下写真・上段は今までのもの、下段は今回再制作したものだ。
また、ここの接続ケーブルは15cmと短いのだが、ここでは延長せず、そのまま装着してエポキシ接着剤で補強した。ケーブルは黒艶消しテープで被服。アームも新調。使用した素材は前回と同様(在庫)。水平回転の部分も破損(外れていた)していたので、併せて修理。 写真下左が以前のリングで、右は、外れた部分。
交換したエンコーダ−は両面テープで接着し、接続ケーブルは延長して黒艶消しテープで被服。RJ11コネクターは、エポキシ接着剤で接着の補強をした。
また、前回制作したシュラウドは円筒形だったけれど、これはたわんで視野を遮る場合があるので、望遠鏡→円筒形という概念を捨て、できるだけ望遠鏡本体に接着する四角形に再制作した。従来は全体を覆うシュラウド等を制作していたけれど、これを使用する環境は最高に暗い空なので、ミラー周囲だけで十分。自宅屋上ではダメだけれど。
⇒
あいにく晴れるのは1週間後のようなので、実際の動作確認(エンコーダーの動き自体は確認済み)はおあずけ。
ところで、久々にこの一連のトラベル・ドブを制作しているHofheim-Instruments社を検索したら廃業した模様で、笠井さんのwebsiteからも消えていた。優秀だっただけに残念でならない。もう部品も手に入らないので、大切に使っていこう。
10月27日夜、実際に導入確認。問題なし!
内容追加中。続く.....
宮古島への便は、美しい島々が見えるのが楽しみだ。写真上が池間島。
ご感想・問い合わせ等はこちらまで.