詩のパンフレットから紹介

育てる     秋村宏


どんなことがあっても
人は
生きていく
そう
冬にみつめられても
災害とともにあっても
国が信頼できなくても
人は
生きていく
じぶんの
未来をつくる意志で


ちょっとまてよ  白根厚子


いつの頃からか、消費税は内税になって
取られているのがわかりにくくなった
ほおかぶりしたまま消費税を取り続けている
それだって、豆腐屋さんだって、八百屋さんだって
高けりゃ売れない
しぶしぶ身銭削って、お国に支払う消費税
ちょっとまてよ
原料を売るときから、製品を作る材料
すべてに消費税がかかっている
メーカーで製品にして問屋に売るときも消費税
問屋も消費税のせて、店頭でも消費税
いくつの消費税がかかってる?
今度は10%だって!
ほおかぶりしたくなるが
ほおかぶりを鉢巻にかえ、いざニュー一揆といこう


消費税が   稲木信夫


わたしがわずかにも生きていて
たとえ一歩も動かなくても
水一滴でもわが家に入れば
ちゃんとこの税はついてくる

水はわたしを生かしてくれるが
二十幾年前 病室から冬空を眺めていた
街で消費税がふいと現れた
見たことのないものだった
街の大型スーパーでは消費税反対の大看板が出た

心に管をもって入り込む水だ
わたしは家にあって冬空を見る
水一滴でもふくれていくのは何か
今またこの税もちゃんとふくれようとして


輪っか     佐相憲一


買う人 <買えないなあ>
売る人 < 売れないなあ>
働く人 <苦しいなあ>
納める人 <払えないなあ>
買う人 <買えないなあ>
ニュースに揺れる満員電車
つり革が首つりに見えてきて
駅前カードローン看板タレントが笑っている
リッチライフ、ワンダフルライフ
霞が好きだと財力の密会に
用心棒なら原子力オトモダチ作戦だってある
さびついた輪っかは追い詰められて
踊らされるぐるぐるの深いところから
忘れかけていた闘いの血が、どっどっどっ
<あした>確定申告したいのだ


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