詩のパンフレットから紹介
出発     秋村宏


人はいつも
夢を見る
未来へつづく歩みは
笑いを誘う
死は自然にやってくるのがいい
心よ
戦争はしない
軍隊をもたない
戦わない
その誓いを繰り返しつぶやこう
さあ
これからじゃないか
スタートする足に
重みをくわえるのは
うつぶせ寝のすすめ     彼末れい子


獣のような伏臥位こそあるべき姿
快適なうつぶせ寝のポイントは
枕の使い方とポジションである
使う枕は羽根入りか
それに準じる柔らかい枕が最適
快い疲労のある一日の終わり
敷布団の上で腹ばいになり
頬に押し当てたり腰にあてがったりして
一番よい位置をさがしあてる
ノルウェイの平和学者ヨハン・ガルトゥングが言う
(日本の平和運動は九条をスローガンにしすぎて安眠枕に使いすぎている)
たちまち心地よい眠りに導いてくれる
九条印の安眠枕!
その柔らかい枕のどこが悪い
忘れ物     佐相憲一


このまま死ぬんじゃないか
夜の宇宙のふとんの中で
ひとり震える
心臓が止まり 脳が無言になる時
内側のすべてが消える
情景 感情 記憶 夢
あの時もっと大胆に本音で行動していたら・・・

生きていると生きていることを忘れてしまう

心臓は国際法だ
あなたの鼓動のせつない何かがいま
つぶされないでほしい
現在進行形の血液で
手はつながれるだろうか
ふたたび その教室から     沖長ルミ子


新憲法ができて 新制中学に入学したばかりの私は
そこで憲法九条を学んだ
  これからの日本は二度と戦争はしない
  戦争で人を殺さない 殺されない
  「戦争の放棄」
小学校の建物を借りた急ごしらえの貧しい教室で
先生の声といっしょに憲法九条の心が真っ直ぐに
私の身体にとどいた
憲法九条を語るとき 平和を願うとき
今でも私はその教室から出発する
病弱で兵隊になれない父は 非国民と言われ
日本敗戦の前の年にそれを恥じたままで死んだ
私は父の倍の年をいき 夫も息子も戦火に焼かれず
九条に守られて今を生きる
手放してはいけない宝 「九条」を持つ日本で
ブーメラン     伊藤眞司


日本軍は重慶をジュウタン爆撃した
木と紙の家は全て燃え多くの人々が焼死
東京大空襲・鉄の暴風の沖縄戦は
重慶ジュウタン爆撃に重なる

「広島と長崎の原爆をどう思うか」
と訊ねたら、中国民衆は口々に応えた
「これで日本の侵略が終わり嬉しい」

国家権力は英霊と崇めて誤魔かす
無謀な戦争で死なせた数多くの兵士達が
外地では殺した奪った強姦した南京大虐殺等
過ちはブーメランとなり還って来る

受けとめるのは憲法9条という大きな手
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