「ルジマトフ&ロシア国立バレエ団」ロシア国立バレエ(ルジマトフ&マハリナ)<★★★★★> |
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初来日のロシア国立バレエ団、団のレベル自体を全く期待していなかった。と、言うのも昨年のノボシビルスクの悪夢があり「ロシアの中堅バレエ団は当てにならん」という先入観があったから。しかしそれは間違った先入観だった。ロシア国立バレエ団、男性はともかくバレリーナ達はみんなとても美しかった。ロシアバレエの型が身体に染み付いていて、何でも踊りこなせる実力を感じた。
そして、前評判の悪かったAプロの内容、意外にもこれがとても楽しめた。ヘンテコなものもあったが、それはそれで楽しい。バレエ団の真摯な態度と誠実さが伝わり心から楽しむことが出来た。超一流バレエ団の手抜き公演よりもよっぽど楽しむことが出来た。
【 第一部 】
アシキミナ
スモリャニノフ
初めて見る演目だが、なかなか楽しい。主役男女2人+男性4人。主役二人がなかなか良いのだ。特に女性はかなり好き。踊りは上半身が柔らかくロシアバレエの良い香りが漂い、プロポーションもお顔も綺麗。彼女なら「白鳥」で是非見てみたいと思わされた。男性は顔がゼレンスキーにちょっとだけ似ていた。(ハンサムかどうかは微妙)
タギロワ
ブルラーカ
第一部で唯一知っている演目だったのだが、一番つまらなかった。
女性と男性のルックスのバランスがビックリするほど合っていない。この場合、男性がかなり異色なんだけど。
ブルラーカ、物凄い美脚。身体も凄く細くて頭もめちゃくちゃ小さく。ちょっと信じられないくらい人間離れした美しいプロポーション。対するタギロワはかなり太めで顔黒でメイクがダサくて渋谷のコギャルが紛れ込んでいるのかと思った。踊りは見た目ほど悪くなく、なかなかにチャーミングなのだが。
ブルラーカ、その華奢なルックスから非力かと思いきや、しっかり金平糖をリフトしていてご立派。
イワーノワ
アブリツォーワ
グエイケル
ガラで上演する演目の割りに少々長かったが、ダンサーの踊りが綺麗なので場が持った。舞台背景もあって雰囲気はなかなか。オンディーヌは日本では殆ど上演されることがなく、あいにく私は見たこともないしストーリーも知らない。今日見た限りでは「漁師版:ラ・シルフィード」て感じ?曲も振付も非常に良く似ていた。
千野 真沙美
プロツェンコ
出てきた瞬間、上半身裸で白タイツ姿の男性(5頭身くらいで、サラリーマンみたいな髪型で小太り)が”夏のお父さんのステテコ姿”にダブり、笑ってしまった。日本人ダンサーの千野さん、踊りはなかなか綺麗なのだが、プロポーションが悪いので全身水色のタイツがあまりお似合いでは無かった。動くとお尻の肉が揺れて、生々しい。
ブルラーカ
マニン
あははは、意味不明だけど超楽しめた。
「くるみ割り」の王子役で人間離れしたプロポーションで目を惹いたブルラーカがここでは全身タイツの”もじもじ君”状態で登場。改めてメチャクチャプロポーションが良い。「ザハロワ!?」と思うような弓なりにしなる甲の高い脚が美しく、遠目だと女性ダンサーに見えるほど。その美脚がピーンと伸びたジュテは大変美しく「ジュテを跳ばせたらマラーホフかブルラーカ」と思う程だった。が、回転系が苦手のようだ。彼の踊りの評価を円グラフで表すとかなりいびつな形になるだろう。(プロポーションが突出)
マニン、日本人でも有り得ないくらいプロポーションが悪い。頭が大きすぎる。スーパーモデルのようなブルラーカと踊らせること無いのに。
振付は謎。パンフを買わなかった自分が悪いのですが。
マニン:苦悩する男、ブルラーカ:赤い十字架、途中キリストの受難を思い起こさせる十字架を担いで歩くシーンなどがあり、恐らく宗教がモチーフなんだろうな、くらいしか分からなかった。元々コンテンポラリーが苦手なんだけど、この演目みたいな意味不明でも突っ込みどころ満載だと見ていて楽しい。POBの「ル・パルク」みたいなお洒落なコンテンポラリーが一番苦手かも。
ムラヴィネツ
ガラでこの演目は映えるな。あどけなさの残る少年と思われるダンサー、ロシアの民族衣装もお似合いで、とっても可愛かった。彼は次の演目の「ワルプルギスの夜」にも出演していた。早着替え、ご苦労様でした。
オソキナ
アヴェリン
テリャニコフ
ブラヴォ〜!楽しかった〜!
オペラ「ファウスト」からの抜粋だけあって音楽が良い。改めて「オペラファンは音楽も楽しめて羨ましいなぁ。」と思った。次に視覚的にとても楽しかった。祝祭的なんだけど猥雑で全体的に可愛らしい雰囲気も漂っていた。そしてダンサーの皆さんの軽やかな踊り&熱い心意気に心打たれた。
女神さま(?)役の主役の女性が素晴らしい。物凄い好みだった。小柄なんだけど愛らしくキュートで踊りは力強くキレがある。この役にぴったり。彼女をリフトしていた男性も大柄で堂々としていて役に合っていた。道化みたいな笛吹きの男性はこの役を完璧に踊り切るテクニシャンでは無いと思うけど、必要充分には踊れていたし楽しげな存在感が◎。最後は会場大拍手で盛り上がった。その後あっと驚くオマケ付き。後半の一番の見せ場から最後までもう一度踊ってくれたのだ!今まで見てきた公演の中でこういった形のオマケは初めてだったので、ビックリした。バレエ団の温かさにジーンと来た。会場は割れんばかりの大拍手だった。
【 第ニ部 】
「ルジマトフといえば金の奴隷」というくらい、彼のアタリ役だとは聞いていた。が、こんなにもハマっているとは私の想像を超えていた。彼の為に振付けられたとしか思えない!牢獄から解き放たれ舞台に登場するシーン、まるで猛獣が檻から解き放たれたかのようだ。パンドラの箱を開けてしまったかのような、破滅を予感させる幕開け。猫科の動物のようにしなやかで、物凄〜くセクシーだった。今まで彼の舞台には毎回感動させてもらい、素晴らしいダンサーだということは認識していたのだが、よもやこんなに素敵だとは!金の奴隷を見ずして、ルジマトフの魅力は語れないとつくづく思った。彼のファンの方が連日この舞台に通うのに深く納得。
マハリナもハマリ役。弱冠お腹のお肉が気にはなった。(妊娠しているのかと思ったほど)でも、そのお肉が生々しく西洋絵画の「裸婦」のようで、妖艶な雰囲気にはプラスに作用していたかもしれない。ただ私の好みとしてはもう少し細かったら言うことなし。
難を言えば、衣装とセットがあまりにもトホホ、、、だった。ルジとマハリナは何の問題もないのだが、ロシア国立バレエ団の皆様が〜(泣)。かなり学芸会モードだった。それから恐らく窓なんだろうと思うけど、所謂「男根」の形をした背景画、なんとかして〜、あまりに安っぽい。
R15指定間違いなしの官能的な舞台だった。
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今日はルジのお誕生日。一通りカーテンコールが済むと舞台の上方カーテンに「HappyBirthday Farukh Ruzimatov」の文字が浮かびあがり、「HappyBirthday♪」の音楽が流れる。舞台天井からはお祝いの紙テープが降ってきた。照れくさそうに拍手に答えるルジ。そして本日のお目当ての一つ、花束贈呈。どどどーーーっと舞台前方にファンの方が集まりそれはそれは豪華な花束を渡していく。一番目を惹いたのは紫のバラの大きな花束、とても素敵だった。皆さんルジマトフだけに花束を渡している中、マハリナとルジの二人に花束を渡しているファンの方がいて、その心遣いに感心してしまった。マハリナにはピンクのバラの花束だった。
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くるみの王子と赤い十字架を踊った美形ダンサーブルラーカ、「素顔はどんなお顔かしら?」と思ってパンフを見て唖然・茫然自失。アンビリバボー。博士?みたいな風貌でメガネをかけた禿げのおっさん。舞台とのあまりのギャップにある意味感心してしまった。
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光覧社さんにお願い、配役表はフルネームにして欲しい。大した手間じゃないでしょ?
* Bunkamuraオーチャードホール *
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