「ローザンヌ・ガラ」(中村祥子・佐々木陽平 他) <★★> |
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ローザンヌコンクールをきっかけにして世界で活躍している日本人ダンサーを一同に見られるとかなり期待していたんだけど、期待はずれだった。ローザンヌは通過点でしかない、と再認識。同じように賞を取っても、その後の努力や指導によってこうも違ってしまうのかと感慨深い。将来性を見るコンクールとは言え、10代はあまりに未完成なのだな、と。
そんな中、ウィーン国立歌劇場の中村祥子さんは衝撃的なまでに美しかった。彼女を見られたので、今日は良しとしよう。
【 第一部 】
菊池 あやこ
市川 透 (新国立劇場)
岸辺光代バレエスタジオ
前座(?)長すぎ。
バレエ学校の生徒の中にプロのダンサーが混ざっているもんだから、どういう感想を抱いて良いものか何やら迷ってしまった。生徒だけなら「可愛いね、頑張ってるね」で済むけど中途半端にプロが混ざっているから「なんだかな〜」という後味の悪さが残った。真ん中で踊っている男性、背が高くてプロポーションはまあまあなのだが、存在感がまるで無い。口が常に半開きで表情もヌボーッとしていて「生徒なら仕方ないか」と思っていたら新国立の市川透さんでビックリした。こんなだったっけ???
田中 ルリ (田中千賀子バレエ団)
清水 健太 (マイアミシティバレエ ・ ソリスト)
プロ(?)のオープニングを飾るに相応しい演目だった。
田中さんの踊りは華やかで美しい。その高慢な自信がハナにつく瞬間もあるのだが、あれだけ踊れているのは貴重。動きが実にキレていた。
一方、清水君は最初のアダージオでは固さが見られたが、ヴァリエーションではパワー全開。つま先まで伸びた美しい足先で、テクニシャンぶりを見せてくれた。でも、彼にアリは似合わない。特に紫のハレームパンツが、全く似合っていない。色黒でほんのり茶髪なモンキーフェイスが今時の少年ぽくて可愛いのだが、バレエダンサーというよりは青春ドラマ「WATER BOYS」に出てきそうな感じ。もっと普通の男の子役、「リーズ」のコーラスとか「ドンキ」のバジルの方が似合いそう。
崔 由姫 (ロイヤルバレエ)
蔵 健太 (ロイヤルバレエ ・ ファーストアーティスト)
崔さんは今年ロイヤルに入団したばかり。 希望が叶って良かったね。
テレビで決戦を見たときは大柄な人だと思ったが、実際は小柄で華奢な人だった。頭が小さく手が素晴らしく長くプロポーションが良いので、背が高く見えたのだろう。
ただ、ロイヤルの団員だからと言って独特の演目にこだわる必要は無かったのでは。この演目はガラ向きでは無いし、もう少しキャリアを積んだダンサーの方が良いだろう。どうせなら、先日抜擢されたフロリナの「青い鳥のPDD」の方がこのお二人にはお似合いでは。白い衣装は似合っていて可愛らしかったが、私は今日の崔さんの雰囲気はあまり好きではない。踊りや表情が間延びしていて、少々コビを売っているように見えてしまった。まだまだこれからの方だと思うので、今後に期待。
蔵健太君は爽やか好青年だった。
贄田 萌
萌ちゃんは最新のコンクール受賞者。まだ15歳(16歳?)
決戦がテレビで放映された時は可愛らしさとあどけなさが勝っていたが、実際に舞台で見ると大人ぽくてびっくりした。頭が小さく首が長くて、プロポーションが美しい。ちょっとお化粧が濃かったけど、お顔も可愛い。演技は堂々としたもので、立派だった。ロイヤルに留学することが決まっているようなので、明日の都さんを目指して頑張って欲しい。
(余談)
井澤諒君が決戦で踊った「眠り」を踊るのに、どうして萌ちゃんは踊らないのかな〜と思ったが、次の演目を見て納得。次の菅野さんのオーロラより萌ちゃんの方が踊りも見た目もプロだもん。きっと彼女に遠慮したのだろう(演目の順序もあるが)。萌ちゃんのオーロラ、見たかったのにな。
菅野 真代 (サンフランシスコバレエ)
ケーシー・ハード (サンフランシスコバレエ ・ ソリスト)
ぎょぎょぎょ!すごい太ったオーロラ!!!
最初舞台に現れた時「バレエ学校の生徒が紛れ込んじゃってるよ」と思った。プロとしてはあり得ないプロポーション。白いチュチュに肉が食い込んで今にもハチ切れそう。大福?お餅?あまりの光景に思わずオペラグラスで縫い目を確認してしまった。その上、タイツの裏にステッチがあり(クラシックの演目ではどうかと思うが)、それがまたボンレス感を増長している。「あり得ない、あり得ない」と心の中で呪文のように呟いた、、、、。
笑顔も怖い。カッと目を見開き「キッ」と笑って、まるで歌舞伎みたいだった。表情はそれだけで情緒も表現力もまるで無し。踊りも全くプロの踊りになっていない、あまりの酷さにびっくりした。この方は本当にローザンヌで賞を取り、海外のバレエ団で活躍しているのだろうか?完全に場違いで会場の拍手もお義理程度だったのは致し方ないだろう。
デジレは人が良さそうだったが、この人も本当にプロ???
(後から踊った井澤君の方がよっぽど”王子”で、拍手も大きかった)
サンフランシスコバレエと言えば、麗しの山本帆介さんが在籍中。ちょっと心配になってきた。
中村 祥子 (ウィーン国立歌劇場バレエ ・ ソリスト)
グレゴール・ハタラ (ウィーン国立歌劇場バレエ ・ プリンシパル)
以前「情熱大陸」で見た時以来気になっていた中村祥子さん。今日は彼女をお目当てにチケットを購入した。実際目にすると・・・・
素晴らしく美しかった!
私が今まで見た日本人のバレリーナの中では一番(と断言してしまうほど!)。一目で陥落。今日は彼女を見られただけでも行った甲斐がありました。
テレビで見たときより、一段とオーラとが増していた。170センチ台の大柄ながら華奢でプロポーションも良く、特に首から手にかけての美しさは特筆すべきもの。そしてお顔も知的な美人。踊りからはキラキラと気品が零れ落ちるようで、実に軽やかだった。確実なテクニックがあり軸が全くぶれない。古典を踊ったらさぞかし、と思われた。今日の演目も実にあっていて、お茶目な一面も見せてくれたり、コンテンポラリーも行けるんだ〜、頼もしいと感心。
こんなに素敵なクールビューティーな日本人バレリーナがヨーロッパで活躍しているなんて、とても誇らしげな気持ちになった。
相手役のハタラは、先日同じ演目で見たパリオペのマロリー・ゴディオンに完敗。ハタラさんも人は良さそうなのだが、、、。
【 第二部 】
Silent Night,Still We Dream |
斉藤 亜紀 (ベルギーロイヤルフランダースバレエ ・ プリンシパル)
ウィム・ヴァンレッセン (ベルギーロイヤルフランダースバレエ ・プリンシパル)
斉藤さんはお写真で見るより小柄で可愛らしい感じ。ちょっとギャルっぽい。
踊りはコンテンポラリーに慣れた感じで、表現力のある方とお見受けした。
が、作品選択がイマイチ。ハイヒールを履いた精神が壊れかけた女(斉藤さん)がヨチヨチ歩きをしている。全体的に退廃的で性的倒錯を感じさせる踊り。しかも音楽が「きよしこの夜」(どんどん音楽が壊れていき、短調になっていく)。かなりホラーだった。ダンサーは二人とも熱演で見応えはあり大人にはそれなりに面白かったと思う。しかし今日は将来バレリーナを目指すであろう子供達も大勢見に来ていた。そんな中、第二部のオープニングにこの演目を持ってくるのはどうだろう?
相手役は今回の外国人助っ人(男性)の中では一番良かった。一応助っ人の役目を果たしていたと思う。
横関 雄一郎 (ライプツィッヒバレエ ・ ソリスト)
エレーナ・トマーノヴァ (ライプツィッヒバレエ ・ ソリスト)
以前写真で見たときは繊細な美少年に見えた横関君。久しぶりにこのガラのチラシ写真を見たときに嫌な予感はしたのだが、実際目にすると想像以上に顔が大きく見えた。大人になって顎の骨格が発達してしまったようだ。ダンサーというより時代劇スターのようだった。
柔軟性を生かした情熱の伝わる踊りなのだが、やる気が空回りしているように見えたのはなぜだろう?
相手役のトマーノヴァはは清潔感がある素敵なダンサーだが、ハイレグ気味のレオタードから覗く腰骨がエロかった。普通のレオタードで良いのに。
「眠れるのりの美女」よりデジレ王子のバリエーション |
井澤 諒
おばさんメロメロ、文句無く、可愛い。
ヴァリエーションのみだが、きちんと”王子”に見えるところが立派。
(どちらかと言うと、元服したての若様、という風情だけど)
最後のマネージュがなかなか頼もしかった。ジュテの開脚がこの年齢にしてはきちんと開いていて、気持ちよい。
テレビ放映時より、弱冠身長が伸びたかな?
まだまだ筋肉が付いていない成長期前の子供だけど、頭が小さく手足の長い美しいプロポーション。このまま順調に身長を伸ばして、綺麗な筋肉をつけて欲しい。
高橋 宏尚 (ノーザンバレエシアター ・ プリンシパル)
雨森 景子 (ノーザンバレエシアター ・ ジュニアプリシパル)
雨森さん、太りすぎ。
菅野さんほどではないが、彼女も相当キテる。ウェストのくびれ全く無し。踊り以前に体型がダンサーではない。
高橋さん、衣装が常磐ハワイアンセンターのダンスショーみたいだった。(腰蓑)
クマの従兄弟だけあって、ジュテの高さは充分なのだが開脚が物足りない。でもなかなかノーブルな美しいダンサーだった、踊りは。
大変申し訳ないのだが、私は目タメがNG。色白で胸毛があって、額が、、、。
地味なサラリーマンが踊っているようにしか見えない。メイクを濃くしたり髪飾りを付ける等工夫が欲しかった。
中野 綾子 (スイスバーゼルバレエ・プリンシパル)
セルジオ・ヴスティンドゥイ (スイスバーゼルバレエ・プリンシパル)
中野さんも太りすぎ。ジュリエットには全く見えず場末のホステスみたいだった。
振付が最悪。こんな醜いバルコニーの場面は初めて。怒りすらこみ上げて来た。
こうデブリーナが続くと色々と考えさせられた。彼らは本当に第一線で活躍しているのだろうか?プロのダンサーとしてあり得ない体型。申し訳ないが、ローザンヌで賞を獲得した時点がピークだったのでは、と思ってみたり。欧米人に比べると日本人は太りにくいと思っていたが、それは体質ではなく食生活なのかもしれない。海外で活躍するダンサーが揃いも揃ってプロポーションを崩しているとそんなことも思ってみたり。
佐々木 陽平 (ロイヤルバレエ ・ ファーストソリスト)
ナターシャ・アウトレッド(ロイヤルバレエ ・ ファーストソリスト)
佐々木さんもアウトレッドも素敵な踊りだった。特に佐々木さんのノーブルな立ち居振る舞いは大変美しい。サポートもばっちり。
が、大問題はお二人の衣装。アウトレッドはスピードスケートの選手みたいだが、フェリを髣髴とさせるファニーフェイスが可愛いのでまだ良い。佐々木さんについては泣けてきた、、、。本作品を知らないので何故この衣装なのか分からないが、理科室の人体標本(筋肉編)が土瓶を頭に被っているみたいだった。故郷日本で踊る数少ない機会に果たしてこの衣装で出演して彼に迷いや後悔はないのだろうか?って余計なお世話ですよね。
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フィナーレ
井澤君と萌ちゃんが一緒にご登場。きゃーーー、きゃわゆい。正真正銘のお雛様だ。おばさんは君達が並んでいる姿が見られただけで嬉しいよ。堂々とした萌ちゃんに対して、レヴェランスでの井澤君のぎこちないエスコート(笑)。可愛すぎ!
中村祥子さんには一際大きな拍手とブラボーがかかっていた。
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今回の公演は出演者の力量に差があり過ぎ、ガラ公演としては見所に欠けた。
華を添えるべき助っ人外国人部隊があまりに不甲斐ないのも要因の一つか。
演目もコンテンポラリーに偏りすぎ。もう少し工夫が欲しい。
劇場側(主催者?)の不手際も目だった。
演目の途中で入場させるのはいかなる理由があろうとも止めて欲しい。上演中に子供(恐らく赤ちゃん)が何度も大声を出していた。休憩時間に注意するなり、退場させるなりして欲しい。そもそも連れてくる親の常識を疑う。開演前に「演目表は無い」と言われたが、帰り際に配っていた、それじゃ意味無し。
そして開演時間。当初6時として発表していた。変更したのなら分かりやすくアナウンスをするべき。
* 青山劇場 *
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