2004年08月22日

「チャイコフスキー記念東京バレエ団・創立40周年記念ガラ」<★★★>

 レ・シルフィード 

吉岡 美佳 * プレリュード
木村 一夫 * 詩人
小出 領子 * ワルツ
大島 由賀子 * マヅルカ


奈良 春夏 * コリフェ
福井 ゆい * コリフェ

この演目は苦手だ。眠くなる。
東バのコールドは以前に比べて酷くなったと言われているが(私は以前を知らない)、今日見た限りではなかなか綺麗だった。手の動きなんて空気の精の感じが良く出ていたと思う。

木村氏、詩人が全く似合わない。

吉岡さん、しばらく見ない間にげっそり痩せて、痛々しい。いつもの清潔な美しさのカケラもなく、ひどく年寄りに見えた。「ジゼル」でもたまにいるけど、空気感を醸し出す妖精役を踊ると、とたんに婆さんになってしまう人がいる。儚さと生命力の無さがゴッチャになってしまうのか。吉岡さんにもその気を感じた。

小出領子ちゃん、足音が少々気になったがやっぱり彼女には華がある。彼女が登場するだけでパッと舞台を明るくする力がある。

大島さん、今まで一度も良いと思ったことは無いのだが、今日は軽やかで音楽に乗って綺麗だった。今後は注目していこう。

しかし、退屈な演目だ。


 パーフェクト・コンセプション 

井脇 幸江
吉岡 美佳
飯田 宗孝
大嶋 正樹

逆さづりの枯れ木、カラスの鳴き声、四枚の座布団(?)。
これらのアイテム以上にインパクトのある振付は審美眼の乏しい私には見当たらなかった。


 椿 姫 

斉藤 友佳里
高岸 直樹

「絶対演歌になるに違いない」と予想したが、とても心を打たれた。素直に良かったです。
斉藤さんと高岸氏の呼吸がぴったりあっていて、二人のシンクロした動きが素晴らしい。

斉藤さんの濃〜い演技もこの演目だと浮き立たない。演技派の本領発揮。
高岸さん、日本人の男性でここまで内面表現の出来るダンサーは他にいない。彼は立派。


 バクチV 

井脇 幸江
古川 和則

古川さん、ブラボー。★一つオマケ。
今日の全演目の中で彼のこの踊りが一番良かった。さすがルードラに留学していただけはある。本家ベジャール・バレエの公演で同じ演目で見たダンサーよりよっぽど踊れていた。キメるところはキメ、跳ぶところはきっちり跳び、粘ってバランスキープ、見ていて実にスカッとした。ブラボー。爽やかな破壊神(←て、役としてあり得ない!?)。

井脇お姉さまは、本家のカロリーヌ・ズアナバールにはプロポーションで及ばなかった以外はかなり雰囲気があって良かった。逆に、あの日本人体型であれだけ振付をこなせるのはご立派。さすが、お姉さまでした。


 エチュード 

上野 水香
木村 一夫
後藤 晴雄

上野水香は東バに移籍し一皮剥けてくれるだろう、と期待しているファンはたくさんいるはずだ。しかし今日の踊りを見た限りではあまり期待出来そうにない。やはり一番伸び盛りの20台前半で経験した舞台数があまりにも少ないのだろう。今後取り戻せるのだろうか。

気になったのは、彼女はテクニックに強いと思っていたがそうでも無いのかもしれない、ということ。もしかしたら彼女の表現力の乏しさは、踊るのに精一杯なだけなのか。パがかなり危なげで余裕なし、”発表会”感が漂っていた。華やかさの点でも作品の冒頭一人で挨拶していた小出領子ちゃんに完全に負けてしまった。

そして牧バレエでも浮いていた彼女は東バに入っても浮いていた。
東バのコールドは小さくて華奢な子が多いから余計に水香ちゃんのデカさが目立つ。完全にガリバー王国。それに今日はメイクもダメダメ、髪の毛も茶髪過ぎ。まずは見た目からでも溶け込もうよ。今日見た限りでは今後時を経て水香ちゃんが東バの舞台に馴染むとは到底思えない。彼女が加わると全体のバランスが悪くなる。ストーリーのある古典全幕だと違う印象を受けるのだろうか。それを期待したい。

一夫・晴雄コンビ、二人とも最初はのんびりと平静を保っていたが、途中からアドレナリンが噴出されたのか、完全に目がイっちゃっている。そこにキリキリした水香ちゃんが加わりバタバタと踊りまくるもんだから、、もうどうにも収拾が付かない大騒ぎになっていた。ドラッグパーティー(?)な感じで、クラシックバレエを見た気がしなかった。


* 東京文化会館 *


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