2004年10月30日

「リーズの結婚」牧阿佐美バレエ団(橘るみ・逸見智彦)<★★★★>

 キャスト 

橘 るみ * リーズ
逸見 智彦 * コーラス
保阪・アントン・慶 * シモーヌ
ドミニク・ウォルシュ * アラン

小嶋 直也 * 若いオンドリ



自分で「私、壊れてるかも?」と思うほど、楽しんでしまいました〜。
危うく(?)満点★五つになるところでしたが(首藤さんの「ボレロ」や都さんの「ジゼル」と同等はヤバいでしょ・笑)、一幕に比べて二幕が尻すぼみに終ってしまう演出にマイナス1点。一幕だけなら間違いなく五つ★でした!

アシュトン版は初めて。こんなに面白いとは思わなかった、アシュトン天才!
面白さのツボがドリフのコントなんだもん。それでいて温かな背景画とか、可愛らしい衣装とか生ポニーちゃん(めっちゃくちゃ可愛かった)とか、ほのぼのアイテムも満載で心の底から楽しめるとても素敵な作品でした。

お久しぶりの牧バレエの皆さんも実にイキイキとして楽しそう。
いや、ホント、プティ物を踊るよりも身の丈にあっていて、こういうほのぼのバレエを演じている方がバレエ団としてずっと魅力的だ。
女性のダンサーの中には美しすぎて「絶対、村娘じゃない」という方もいたけど、男性については役にハマりまくり。皆さんムリして王子や騎士を演じるよりもずっと素敵だった。(特に、一向に痩せる気配のないMr.塚田は農夫がハマリ役だった。役どころも担ぎやだったし、大活躍!)

そんなとても楽しめた演目の中、特に心に残ったのは、、、、

小嶋直也さんのオンドリ!
すばらしかったです。もう彼以外のオンドリは考えられない!

幕が上がると、いきなりニワトリたちが小屋に潜んでいる。まずその光景に大爆笑。そして小屋から出てきたニワトリの中に、一際目立つオンドリが一羽。見た目も一人だけカラフルで目立っているんだけど、それだけじゃない。なんとも意地悪そうで、邪悪なオーラをまとったオンドリ。彼が歩くたび、飛ぶたび、羽根をバタつかせるたび、大爆笑。まるで「ワシはニワトリなんぞではないのじゃ〜」と怒っているみたい。世間を恨んだ(?)尖った野郎、でもオンドリ。そのギャップが可笑しくておかしくて、、、。また奴らは意味無くタイミングよく舞台上に出没する。雷雨の中、突然出てきてドサクサ紛れにアランを突付いている姿は窒息するくらい可笑しかった。小嶋さんのオンドリが見られただけでも行った甲斐がありました〜♪

アントン、シモーヌもハマリ役。見た目もハーフの風貌を生かし外国人ゲストみたいでした。婆メイクがあんなにハマるとは、意外にも美しかったです。元々癒し系の彼だが、コミカルな演技も大変お見事でした。日本のコント系キャラクテールはマッシモ・アクリが第一人者だと思うけど、彼の後継者はアントンで決まりだな!カラボスもシンデレラの意地悪姉さんも似合いそう〜。

そしてドミニク・ウォルシュのアラン。
新国立『マノン』ではレスコー役で見たんだけど、あの役と同一人物とは全く思えない。思わず友人に「あれ本当にウォルシュ?」と確認してしまったほど。おトボケキャラで、なんだか可愛らしい。アランの扮装もよく似合っていて、ディズニーランドにいそうな雰囲気。雷雨でピーターパンみたいに天高く飛ばされたのは「お〜」と感動。

さて、肝心の主役のお二人。
橘るみちゃん、全幕主役を見るのは初めてなんだけどとても良かったです。相変わらずお化粧が濃いのが気になったけど(弱冠薄くなりつつある)、それ以外はパが軽やかで、演技も可愛らしくて良かったです。特に一幕のリボンを使ったトウで立ったままのアティテュードのバランスは素晴らしかった。微動だにせず回転し、しかもフォルムが美しい。彼女はきちんと踊れる人なので、見ていて安心感があった。それから逸見ファンとして何より嬉しいのはるみちゃんの軽さ。身長・体重ともに逸見さんにとってベストの相手役なんじゃないかしら。あの逸見さんが軽々とリフトしている姿は初めて見ました。
(だからこそるみちゃん、お化粧薄くして下さい。逸見王子の白い美肌とるみちゃんのドウラン塗りすぎの真っ赤なお肌は合いません。お化粧薄くしてくれたらなかなかお似合いのペアだと思います。)

で、その逸見さん、大変良かったです。
こんなに楽しそうに演技をしている逸見さんは初めて見ました。ご本人もダンマガのインタビューでコーラスに対する思いを熱く語っておりましたが、それも納得の出来。コミカルな演技がお似合いで、周りをとりまく濃〜いキャラクターたちに負けず舞台を引っ張っていました。一幕の酒瓶を並べた踊りでは一瓶倒してしまったけど、それも「あれ、わざと?」と思うほど自然に演技していました、感心。踊りもるみちゃんのお陰でリフトは決まるし(彼の片手リフト、初めて見た!)、ジュテの高さも高いし「なんか逸見さん、上手になった」と思ってしまいました。12月のくるみの王子が楽しみです。
そして今回の私のツボは二幕の逸見さんの首筋キス。なんかエロかった。もともとコミカルな物語だから全くエロい場面では無いのだけど、逸見さんがるみちゃんの首筋に何度もキスしていると、何とも言えないエロい雰囲気が漂っていた。人によっては「げ〜」「セクハラじゃん」になるんだけど、逸見王子の場合その心配は全くなし。良い意味でエロくて逸見王子の魅力を堪能しました。

以上、非常に楽しめた舞台でした。
でも、どうせなら最後の大団円にオンドリやポニーちゃん、みんな出てきて欲しかった。尻すぼみなのが残念。小嶋さん、カーテンコールの最後までオンドリの被り物(←目付きが超悪い)をお召しでした。うーん、久しぶりの舞台復帰なのでお顔が見たかったけど、オンドリに徹して主役を立てるお姿も良かったです。

* 青山劇場 *


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