2004年11月26日

「コッペリア」 スターダンサーズバレエ団(佐久間奈緒&西島千博) <★★★>
 
 キャスト 

佐久間 奈緒 * スワニルダ
西島 千博 * フランツ 

東 秀昭 * コッペリウス博士 
小山 恵美 * ジプシー  

小平 浩子 * 暁
厚木 彩 * 祈り
福島 昌美 新田 知洋 * 婚約
新村 純一 * 戦い



ピーター・ライト版「コッペリア」。
この演目はお子様向けというか発表会向けというか、貧乏バレエファンとしてはプロのバレエ団にお金を払って見に行くのは躊躇してしまうところがある。でも「くるみ」をあんなに面白くスピーディーな作品に仕上げてくれたピーター・ライトなら小粋に味付けしてくれるはずと期待したが、所々ボーっとしてしまった。ピーター・ライトらしく舞台美術は素晴らしいし、マイムも楽しいし、大人が見て楽しめる作品だとは思いますが、「コッペリア」という作品自体登場人物が少なく盛り上がりに欠けるので、全三幕を単調に感じてしまった。ピーター・ライトでもここまでか、と思ってしまった次第。(Kバレエの熊川版は評判良かったけど、どうなのだろう?)でも最後にコッペリアが”ピノキオ”ばりに生身の人間に生まれ変わりコッペリウス(東 秀昭さんが偏屈だけど温かな愛すべき老人を好演)とハッピーエンドになる幕切れには幸せを感じた。「ジゼル」でもそうだったけど、ピーター・ライトの演出は見終わった後にほんわか〜と暖かい気持ちになれるのが好き。

主演の二人、
佐久間奈緒さんは踊りが素晴らしかった。まさにプロフェッショナル。
この版の振付は見ているこちらの爪先が痛くなるくらいポアントを酷使しているが、佐久間さんは危なげなくこなし力強さを感じさせた。ロシア系人間離れ科(ザハロワやヴィシなど)のバレリーナとはまた違う味わいの、エレガントで理知的な踊り。ピーター・ライトの演出とよく合っており、さすが彼のお膝元のバーミンガムロイヤルのプリンシパル。演技もキメ細かく、表情も豊かで海外の第一線で活躍しているのも納得の踊りだった。ただ惜しいのはプロポーションとお化粧。あれだけ踊れると「もう少しプロポーションが良ければ、、、」と欲が出てしまう。お化粧は80年代スケ番メイクそのもので、かなり怖かった。

西島さんはあまり期待していなかったが、素直に良かったです。
まず見た目、プロポーションが綺麗。お顔ももちろんキレイだし、半分芸能人だけあって華がある。踊りについてはテクニックに多大な不安を感じたけど、あれだけ誤魔化し方が上手かったら「それも味だな」と思った。それに彼はポーズが美しいので、跳んで回りさえしなければ(調子が悪かったのか、ザンレールは全滅、、、)私は結構好き。あれだけ楽しそうに全身で演じてくれると、「多少踊れて仏頂面されるより、ずっと良いよね!」とポジティブな気持ちになれた。

このお二人、主役としての華は申し分ないのだが、この演目の主役が適役かというと「?」。それぞれ単体で見るとハマリ役なのだが、二人が一緒に踊ると「この後六本木に呑みに行く?」「いいねー」という会話が聞こえてきそうなアダルティーなお二人。もっと艶っぽい演目の方がイケるかも。明日主演予定の鈴木 美波ちゃんが本日もコッペリア役で出演していたが、彼女の方がスワニルダには合いそう。この子の動きは小動物ぽくて何とも言えず愛らしい。佐久間さんは二幕のスペインの踊りが大人っぽくて迫力がありとても良かったので、素朴な村娘より情熱的な役やゴージャスな姫系の方がより魅力的かもしれない。

他の方々、

一幕でフランツにチョッカイを出すジプシーの小山 恵美さんがベテランの貫禄があって良かった。チョッカイ出される西島さんも上手かった〜。(普段から慣れてる?)
三幕の「祈り」の厚木 彩さんの踊りも目を惹いた。時の神様が威厳があって見とれてしまった。周りに子供を代わる代わる侍らせて、それがまた妖精みたいで可愛い。
コールドはたまに「この人ダンサー?」と思うプロポーションの人がいて悲しくなったけど、キレイに踊っていた。ただ男性はかなりショボいかも、、、、。
「仕事」で思いっきり転倒してしまった女性はお気の毒だった。決して下手糞でコケた訳ではないのは、その後の優雅な踊りで証明していた。床が滑ったのかしら?


*


今日は空席が多く、もったいない。お客様の数の割には拍手が大きくて、会場が盛り上がったので安心したけど。お子ちゃまが多かったのはお教室関係?
でも、、、、、、これを言っても仕方ないけど、、、、、男性ダンサーの層の薄さや淋しい客席を見てしまうと、東京にあるバレエ団は統廃合して発展した方が良いんじゃないかな〜と改めて感じてしまった。


* 五反田ゆうぽうと *


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