「くるみ割り人形」 牧阿佐美バレエ団(笠井裕子&菊地研) <★★★★> |
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笠井 裕子 * 金平糖の精
菊地 研 * 王子
青山 季可 * 雪の女王
菅原 亜未 * クララ
永野 彰一 * フリッツ
これを見なくちゃ、年が越せない!牧バレエ「くるみ」。
今年も楽しかった〜。大満喫してしまいました。
バレエ団、特に男性陣に対する己の深い愛を再認識してしまった。癒された〜。
森田 健太郎 * お父さん
千葉 るりこ * お母さん
本田 実男 * ドロッセルマイヤー
清瀧 千晴 * ドロッセルマイヤーの甥
今日の公演、バレエ団の皆さんの熱演はもちろんのこと、クララちゃんがとても可愛かったのが印象的。丸顔で子供のあどけなさを残していて、見ているだけで顔がほころんでしまった。一幕が終るとき、そりに乗って手を振るクララを見ながら、思わず振り返しそうになりました。カーテンコールで子役の男の子から花束を貰っている姿も微笑ましかったな〜。
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他のバレエ団の「くるみ」だと退屈しがちな道行やパーティーの場面、愛する牧バレエだと一番の見ものだったりする。色々な人が出ているので、チェック!
逸見さん、一人だけ外套を着ずに、真っ赤な軍服で登場。昨年の重厚感あるモーニングの方がお似合いだけど、どこにいるのかすぐ分かる目立つ色なのが嬉しい。しばらく見ない間に随分お痩せになった?頬のあたりがこけていた。アントンさん、髪の毛に金髪のメッシュが入って毛量が随分と増えている。鬘?先日の「リーズ」シモーヌ役でもそうだったけど、彼は演技がキメ細かくてお上手。舞台に華を添えていた。や、山本さん!?どうしたんですか?そのヘアーは。ソフトパンチみたいで、まるで板前さん。ちょっとびっくりしました。徳永さんは昨年と同じ緑の軍服。彼は頭が小さくて腰高でスタイルが良く踊りも綺麗。そろそろ大きな役に抜擢して欲しい。(と、思っていたら前日ネズミの王様を踊っていた模様。なぜ塚田さんとWキャスト?体型全く違うのに)。女性陣は皆様お美しかったです。
伊藤 友季子ちゃんのコロンビーヌ、彼女の上半身の硬さが幸いしたのか、なかなかの人形芝居だった。出てきた瞬間瞬きをしてしまったけど、それ以外では殆ど瞬きをしていなかったのはご立派。お人形らしく可愛いしね。中島 哲也君もなかなか。
森田さん、リバウンドしている、、、、。ライモンダではあんなに素敵だったのにまたお太りになったみたい。黒のパンツと白い立ち襟がパツパツのキツキツだった。彼のお父さん役はちょっと強面で、フリッツを叱る時なんて「DVかよ?」って感じ。外面が良く家では厳しい父親って感じ。
そうこうしているうちにネズミ登場!
私が日本で一番大好きなアラビアンナイト仕様のネズミの王様・Mr.塚田!いよっ、待ってました!彼以外でこの役は考えられない〜。
この着ぐるみは面白いことに、顔の主要パーツ部分は素顔(鼻だけネズミ鼻をつけている)。見た目は殆ど縫いぐるみなのに、顔だけ塚田さんなのが妙に可笑しかった。くるみ割り人形の今勇也君は少々迫力に欠けた。
そして、、、、、シルエットロマンスで王子ご登場。
お〜、菊地研君がまたカッコ良くなっている。成長が眩しい。上半身が随分鍛えられたんじゃないかしら。下半身もお尻のあたりがスッキリして、昨年よりプロポーションが良くなっている。髪の毛も5月の「チャイコ」ではとんでもない茶髪だったけど、今日は程よいハニーブラウンでとてもお似合い。髪型もメイクもすっきりしていて、今日はとても素敵だった。彼特有の悩殺フェロモンも健在で「こらこら、クララちゃん相手にフェロモン振りまいちゃダメだよ〜」と言いたくなるくらい、ノーブルながらも女殺しのオーラを発散していた。彼には怪しい魅力もあるけれど王子の素質も充分あり、彼独特の個性的な王子様が私は好き。(金平糖と踊る二幕より、クララと踊る一幕の方が断然良かったけど。)
雪の女王の青山季可ちゃん、彼女は若いのに貫禄大有りでまさに女王様だった。
牧バレエの雪のコールドは新国立や松山の「北朝鮮のマスゲーム!?」と比べるとあまり揃ってないし振付も好きでは無いのだけど、背景が青白い白樺の森で空からは雪が振ってきて、まさに銀世界でうっとり。今日はドカ雪の大雪警報だった。
お菓子の国。
幕が開くと蝋人形の館のように、お菓子の国の住人達が立っている。毎年のことながら、ちょっとコワイ。
金平糖の笠井さんは二幕からのご登場だが、とても華がある立派な女王様。正直、こんなに綺麗だとは思わなかった。表情が常に笑みを称えていて、とてもエレガント。彼女は腕の動きがとても美しく、マイムに見とれた。
毎年見るたびに「これはカットしようよ〜」と思う、「ネズミをやっつけてきたんだよ〜」という王子の奇妙キテレツなマイム。研君の間の取り方が上手かったせいか、見慣れたせいか、例年感じるほとのキテレツ感はなかった。(でも、カットした方が良いと思います)
◆スパニッシュ◆
坂西 麻美 ・ 山本 成伸 ほか
山本さんのソフトパンチがストレートに直っている。もしかして一幕は鬘???
坂西さんのスパニッシュは大好きなんだけど、今日はあまり目立たなかったなぁ。全体的にバラついていて、あまり良くなかった。
◆アラブ◆
吉岡 まな美 ・ 保阪・アントン・慶
ブラボー。とても良かった。吉岡さんは「太った下僕とは口も利かないわ」といった感じの権高い高飛車なアラブのハーレムの寵姫そのもの。プロポーションが大変美しい。一方のアントンはお腹が少々気になったけど(踊り終わって舞台後方で佇んでいるときは必死にお腹を引っ込めていたのはエライ)、役になり切った物欲しげな表情が良かった。
◆チャイナ◆
竹下 陽子 ・ 武藤 顕三
竹下さん、可愛かった。この踊り独特の大きなアチュチュード(?)が美しく決まっていた。
◆トレパック◆
塚田 渉 ・ 徳永 太一 ・ 高橋 彰
なぜか三人ともいつになく顔が白塗り。ロシアの踊りだからか?塚田さんは今日も真ん中。横の二人は軽やかにジャンプしているのだが、塚田さんもそれに負けじと跳んでいる。あの身体であれだけ飛んで回れるのは立派だな〜と思いました。
◆棒キャンディー◆
橘 るみ ・ 奥田 さやか ・ 渡辺 悠子
三人とも愛らしかったけど、中でも橘るみちゃんが目を惹いた。今日は今まで見た中で一番お化粧も薄かったし←重要。彼女はチュチュが本当に似合う。フェッテも美しく決まっていた。
◆ケーキボンボン◆
可愛かったです。
◆花のワルツ◆
佐藤 朱美 ・ 逸見 智彦
橋本 尚美 ・ シャオ 智羽
小橋 美矢子 ・ 今 勇也
伊藤 友季子 ・ 中島 哲也 ほか
逸見さん、第一ソリストでご登場。今日はいつになく御髪が乱れていた。彼はいつ見ても笑顔で、見ているこちらに幸せを与えてくれる。こういうところを若手の皆様には見習って頂きたいと思った。佐藤さんは音楽性が抜群。曲に乗って非常に軽やかだった。彼女は来年5月の「ドン・キホーテ」で研君の相手役でキトリを踊る。身長のバランスも良さそうだし、今日の花ワルを見てとても楽しみになった。
伊藤友季子ちゃん、衣装がお似合で可愛らしく表情も以前に比べてぐっと豊かになっているけど、手の動きの硬さがかなり気になる。せっかくの恵まれた容姿だから、良い指導者について柔らかくなって欲しい。相手役の中島哲也君は三銃士で大役に抜擢された20歳。今日は踊りに必死なのか表情が憮然としていた。
◆グランPDD◆
笠井 裕子 ・ 菊地 研
比べるのは邪道ですが、昨年の鬼気迫るような迫力ある踊りでは無かったなぁ・・・。あるいは昨年に比べてそれだけ余裕が出来た、ということかもしれません。
お二人は恋人同士にはあまり見えなかったです。クララちゃんと踊る研君は正真正銘の王子様でしたが、笠井さんと踊ると弟分に見えてしまった。笠井さんのオーラが強すぎて、ちょっと研君が霞んだかな〜。サポートも重そうに感じたので、もう少し踊り込んだらもっと良かったかも。でもキメポーズは美しかった。研君はその辺りが成長したな〜と思いました。腕の使い方も随分柔らかくなったし。(相変わらずマネージュの腕は物差しのように硬かったけど。来年の課題だね!)
研君のヴァリエーション、最後の大技は見事にキメたんだけど、キメポーズでブレてしまったのが惜しかった。でも5月のチャイコよりずっと伸びやかに踊っていたし、昨年より振付も難しくなっている(と思う。)笠井さんはアダージオの出だし、後向きで横に上げた足を頭上高くキープしている姿が「ハっ」とするほど美しかった。まるで全身で歌っているかのように踊る姿が見ている目にも心地よい。でも途中で調子を崩してしまった。ヴァリエーションでは細かいステップを端折っているように見えたし、回転時のパッセの位置も低かった。コーダではフェッテで回り切れなかったりしてアダージオとそれ以外ではまるで別人のようだった。彼女本来の踊りでは無かったと思う。もしかしたらアダージオのアクシデントで調子を崩しケガをしたのかも、と思ったほど(最後まで踊っていたので、ケガはしていないと思いますが)。
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今日は残念なことにアダージオで子供が泣き叫ぶというアクシデントがありました。観客にはもちろん、踊っているダンサーに対して一番失礼なことだと思うので絶対に止めてほしい。子供づれの親御さんはお子さんが2時間の舞台に耐えられるか、充分考えてから連れて来るようにして頂きたい。
プログラムのドロッセルマイヤー欄には「本田実男」と「相羽源氏」両名のお名前が。でも舞台上には実男さんしかいない。と、言うことは「今日も源氏さんの遠投は無しか、、、」と意気消沈していたら、なんと!源氏さんがハレーキンの衣装を着てお菓子のカートを押しながらご登場。きゃーーーー、有難うー!これだけの為においで下さったんですね。クララちゃんにお人形を渡す姿は優しいお兄さんそのもの。源氏さんのおかげでカーテンコールはとても盛り上がった。今日はお菓子が二階まで届きましたよ〜♪投げ終わるとさっさと舞台を後にする源氏さんはまるでウルトラマンのようだった。(3分が期限のヒーロー)
逸見さん・研君は飛距離の無い女の子投げ、森田さんは参加せず。
* 五反田ゆうぽうと *
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