第46回定期総会特別決議 2001.6.5

  
  在外被爆者への手当支給についての大阪地裁判決にたいして
  控訴しないことを政府に要求する特別決議

 大阪地裁は6月1日、在韓被爆者・郭貴勲さんが求めていた健康管理手当の継続支給の訴えを全面的に認め、国と大阪府にたいし、健康管理手当の支給を命じる判決をいいわたした。
 判決は、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」について、「社会保障と国家補償の性格を併有する特殊な立法」であり、「被爆者が被った特殊の被害にかんがみ、被爆者に援護を講じるという人道的目的」をもっており、「被爆者が今なお置かれている悲惨な実情にかんがみ、人道的見地から被爆者の救済を図る」べきだとした。このうえに立って、「日本に居住しているものと日本に現在していないものとの間に差別を生じさせることは、憲法14条(法の下の平等)に反する恐れもある」として、健康管理手当の継続支給を命じたものである。
 旧「原爆2法」、現在の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」には、国籍条項も、居住条件も、死亡したとき以外の失権規定もない。にもかかわらず厚生労働省は、1974年当時の局長通達を楯に、日本国内に居住していない被爆者に、法の適用を拒み続けてきた。このため、外国に居住する被爆者は、暮らしにも、健康にも、社会的生活でも、言葉にいい表せないほどの苦しみを強いられてきた。悲憤のうちに亡くなったものも数しれない。
 日本被団協は、韓国、アメリカ、ブラジル在住の被爆者と共同行動をおこなって、この不当な厚生行政の改善を要求してきた。
 今回この不当性が判決で糺されたことは、われわれの要求と運動の正しさが証明されたものでもある。

 われわれは、世界各国に居住する被爆者に代わって政府に要求する。
 1 政府は大阪地裁判決をうけいれ、絶対に控訴をするな。
 2 政府はただちに、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を在外被爆者に適用せよ。
 3 政府はこれまでの差別的な厚生行政によって奪われてきた被爆者の人権を回復する、責任ある措置をおこなえ。

                               2001(平成13)年6月5日

日本原水爆被害者団体協議会第46回定期総会

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