鉋から鉛筆にB

先日近所の機械工具屋が倒産した。入口が封鎖され商品や荷物が乱雑に散らかっている。

私が小僧のころは、年末の餅代や盆前にもらう小遣を握りしめ半年一つずつ道具を増やしていったものだ。なぜ倒産かと言うと、放漫経営と貸し倒れとライバル店の出店と言う噂だ。なるべくしてなった倒産だ。60代後半の創業社長の口癖は、『安くするから持ってけよ、K・Kより安くするよ。』伝票につけて後で払えば良いと言う。ところが請求書を見ると定価で、私もあっけにとられながらしぶしぶ支払ったこともあった。ある職人は、同じ商品が前日の値段と今日の価格が違う、絶対に二度と行かないと昼休みに言っていた。そうやってお客が一人一人離れて行ってしまった。

来年は、月めくりの独特のカレンダーと、初市案内の年賀状が来ないのが寂しい。

ライバル店は、何処か?川崎市宮前区の『K・K』。関東一円の機械工具屋さんや大工さんでは知らない人はいないほど有名である。一昔前は、砂利・砂を売っていたが営業方針を変えたのだ。土曜のみ休みで、平日は午前6時から午後8時迄営業し、日曜日も開店している。日曜日の午後2時頃は、行列していて支払いに15分以上待たされるほどである。一切掛け売りはしない。又クレジットカード使用の場合は、手数料は客が負担する徹底ぶりだ。価格も全て統一し、全商品一つ一つに値札が付いている。兄弟とアルバイトで対応している。社長は、2代目で50代前半。典型的な家族経営で、社員はいない。カレンダーも年賀状も来ない。価格は驚くほど安い。最近では、鉋も替え刃を使用しているので、大変助かる。


身の丈だけの商売と、ライバルと戦わない勇気が必要なのかもしれない。経営とは信念と情熱が必要だなと考える一日でした。

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