Happy Hour~南の島とダイビングとノスタルジー~

AUDIO

Tuner
 

Technics ST-7300

 「ラジオ」じゃなくて「チューナー」かっこいい響きでした。一緒に買ったアンプと同じシリーズ、同じデザインでラックにきれいに並んでいました。

 FMとAMを切り替えて、ダイヤルを回してチューニングする。FMはチューニングメーターの針が真ん中になる位置がベストチューニングです。FMアンテナを立てるお金はなく、付属のアンテナ線を鴨居に沿って張った簡易アンテナなので、NHK FMしかまともに入りませんでした。AMはそこそこ入りましたがあまり聞くことはありませんでした。

 それでもFMから流れてくる音楽はただで手に入る貴重な音源です。音質だって当時のレベルでは十分、ましてや私のシステムでは「ラジオで聞くよりいい音だな~」と十分満足できるものでした。エアチェックに活躍してくれた一台でした。

ONKYO T429R

 2代目の、そして現在も唯一のチューナーとして現役で活躍しています。

 レコードがCDに変わろうとしていたように、チューナーもクォーツ・デジタル・シンセサイザーで選局一発の時代が始まっていました。でも、まだ、やっぱりアナログチューナーの方が音質は勝っていて、この頃の絶対王者はなんといっても「KENWOOD L-02T」お値段¥300,000でした。憧れでした…、まだ学生です、買えません…。頑張って手が届くのはヨン・キュッ・パッ!までです(それでもラジオにそんな金をかけるのかっ、と親は思っていたに違いありません、ラジオ…じゃないんだけど…)。

 とはいっても各メーカー、軸足はデジタルチューナーに移っていて、アナログチューナーの選択肢は狭くなっていました。いち早くCDプレーヤーを導入した私です、チューナーもデジタルにするか悩みどころです。でも、やっぱりダイヤルを回してスケールの上の針を動かして選局したい、それは譲れませんでした。

 そんななか、ONKYOからIntegra T-427Rという機種が出ていました。値段も\49,800、予算通りです。でも、上位機種にT-429Rがあり、こちらは\69,800、FM専用機でAMは聞けません。

ONKYO T-429R
ONKYO Integra T-429R

 ○ひずみ0.004%、FM帰還方式、○トリプルチューン7連バリコン、○ブースター付、感度2段切替、○IF帯域幅2段切替、○タッチセンサー付サーボロック、○高速スイッチングMPX、○スーパーサーボAF部、低域2Hz・超低域再生回路、○マルチパス検出メーター、○デビエーションメーター、○エアチェック・キャリブレーター、○オートマチック・ノイズリダクション、カタログにはこのような売り文句が並んでいました。バブル期の最新技術と物量投入パターンです。

 何より心動かされたのが、「7連バリコン」、あの「KENWOOD L-02T」も積んでいた見るからに強そうなフロントエンドの武器です。

 もちろん、実機が視聴できる環境にありませんでしたが、ちょうど「stereo 1983/5」で「FMチューナー主要17機種を聴きくらべる」という特集があり、ほかの機種(ほとんどがデジタルでしたが)とも比較検討した結果、どうせ買うならと予算オーバですが思い切って買うことにしました。以下は、当時の記事から抜粋です。

 「とても69,800円という値段では昔だったらでき得なかった」「FMのクオリティーを最優先したいという人にはお勧めしたい」「ロー・エンドまでグーンと伸びていくというスケール感で迫ってくる」「このクラスでバリコン式で、これだけこるというのは、恐らく今後もう出てこないんじゃないか」「アコースティック・ソースのエコー成分の広がり、それから、直接音と間接音の分離の良さ、これはある意味ではリファレンス(L-02T)を上回るところさえある」「送り出しがよくなればなるほど実力を発揮する。並のソースではわかりにくいかもしれない」「もっと認めてもらいたいチューナですね」「ロングランのできる名機である」

 かくして、通信販売で我が家にやってきたT-429R、ラックに収める前に早速上蓋を外してアルプス社製7連バリコンとご対面、思ったより小さかったのですが、今まで見てきたバリコンより見栄えがします。

ONKYO T-429RONKYO Integra T-429R

 我が家もケーブルテレビに加入してFM電波も乗っていたので、NHK-FMだけではなくFM東京(当時)もクリアに聴くことができました。正直前の機種とどこがどう違う音になったのかわかりませんでしたが、いい音だな~と一時FMばかり聴いていました。もちろん、エアチェックにも大活躍です。

 ほかのオーディオ機器は買い換えをしていきましたが、このT-429Rだけは後継機に席を譲ることなく、我が家でずっとFMを聴かせ続けてくれています。

ONKYO Integra T-429R
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