IDT WinChip2 Rev.A − 266
オーバークロック・レポート

WinChip2A 266

最終更新 : 1999.7.29

WinChp2 とはどんなCPUか?

Socket5など、90〜200MHzのシングルボルテージ用ペンティアム機のCPUをグレードアップするには、CPUゲタと呼ばれるCPUソケットのアダプタを使うのが一般的です。しかし、このゲタも5000円くらいはしてしまいます。最近ではCPU自体が5000〜20000円程度と安く買えるので、ゲタの5000円は馬鹿にはなりません。それに、ケタを捌かせても、遅いマシンは決して最新のマシンに肩をならべるほど高速になるわけではありませんので、投資は最低金額でしたいものです。

そこで登場するのが、IDTのWinChipです。これは、Socket5(シングルボルテージ)対応のCPUでありながら、ちょっとだけ早い266MHz(相当)だし、MMXにも対応しています。おまけに、CPUの販売価格もCPUゲタと余り変わらない値段で買えるようです。

今回はいにしえのNEC PC9821Anというペンティアム90MHz搭載のパソコンがターゲットです。古いパソコンですけど、我が家のメイン・マシンです。原稿書き、メールの読み書き、パソコン通信、簡単なプログラム製作などは、みなこれでやっています。さすがにWindowsを走らすことはありませんが、別にセレロン300A(450MHz動作)のパソコンをWindows用に使っているので、MS−DOS専用機なら、この程度のパワーがあれば困りませんでした。とはいえ、WinChip2は全くの無改造なうえ、少しの投資でグレードアップでき面白そうなので取り替えてみることにしました。

購入したのは、最高性能が出せる266版です。もちろん、ペンティアム90MHzと同じ3.3V版を買いました。PC9821Anを無改造で使う場合は210MHzしか出ませんが、市販されているのは200版と266版だけで210MHzでの動作が保証されるのは266版だけのようです。また、別のAT互換機でIDTのCPUがどの程度オーバークロックに耐えるのか評価したかったというのも理由の1つです。購入に際しては自分の足で底値を探さず、PCWatchを見て安そうな所を順番に回ってきました。底値のTOWTOPは品切れで買えず、OVERTOPで6280円で購入しました。全体的にRev.Aを在庫している店は現時点(7/15)では少ないようです。


WinChip2のパフォーマンスは?

今回買ってきた266版は、100×2.33で使うのがデフォルトのようです。つまり実クロックは233MHzってことですね。実際に限界テストをしても266MHzは安定動作しませんでした(^^;) 結果としては263MHz程度が限界なようです。3.3Vでなく3.52Vかけえると僅かに限界が上がる感じですが大差無い感じでした。製造プロセスが0.25μmのわりにはちょっと根性がないかなあ、といった感じです。WinChip2の266版は、推薦値通りに外部バスクロックを100MHz、クロック倍率をx2.33で233MHzで使えば、P54Cの266MHz相当ということのようです(^^;)

以下は、限界テストの結果です。ちなみに、テストしたパソコンはASUSP/I−P55T2P4というマザーボードを積んだ自作機です。マザーボードを改造してあり、クロック設定を自由に可変できるので限界測定には向いています。

オーバークロックの結果

外部クロック
(MHz)
クロック倍率 動作周波数
(MHz)
電圧 WIN95動作可否
66 3.5 233 STD OK
66 4.0 266 STD NG (BIOSはOK)
66 4.0 266 VRE NG (BIOSはOK)
75 3.5 263 STD OK
83 3.0 250 STD OK
83 3.33 277 STD NG
83 3.33 277 VRE NG (BIOSはOK)
83 3.5 290 STD NG
83 3.5 290 VRE NG
※ デバイス型番 W2-3DFF266GTA ロット番号 V9924P
※ 電圧 : STD=3.3V、VRE=3.52V

ベンチマーク・プログラムを走らせてみると気になるテスト結果が得られました。何時もは、AMDK6−2−266を使っているので、それとの比較になりますが、同一クロックでもWinChipの方が遅いのです。以下はHDBENCHでの結果ですが、全般的に遅くなっています。さらには、K6−2−266は300MHzでも動きますから、その差はさらに大きな物になってしまいます。やはり、WinChipはP54Cの対抗馬であってK6なんかと比べてはいけないCPUなのかもしれません。

HDBENCHで比較結果

CPU 動作周波数 動作条件 整数演算 実数演算
WinChip2 Rev.A 250 83 x 3.0 15425 13437
K6-2 250 83 x 3.0 19424 15705

Super−paiでの比較結果

CPU 動作周波数 動作条件 104万桁計算時間
WinChip2 Rev.A 250 83 x 3.0 14分18秒
K6-2 250 83 x 3.0 11分36秒

関連記事が,TRY−PCに掲載されます。詳細はそちらをどうぞ・・・ って、そんなに内容的に違わないかな(^^;)