オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その9)2024年 3月28日


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華麗なる音を求めて:

いろいろな試行錯誤を経てバイオリンソロを含む小編成の弦がそこそこ気持ち良く鳴ってくれるようになったと思えてこれはやっと合格点かなと、このところPaganiniの音楽に結構嵌っていたのだが、やはりオーディオで目指すべきところはオーケストラの音。

オーケストラが豪壮かつ美音で鳴ってくれることはオーディオにおける真の醍醐味だと思う。だが、それ故にハードルも高い。繊細なパートから音の大伽藍を思わせる圧倒的な響きまでちゃんと身体で受け止められて、その音自体がストレスや雑味無く堪能できなければならない。このためには充分なダイナミックレンジの確保と低歪化がまずは要であって、更には音楽そのものが「華麗に」鳴ってくれることが譲れない条件となる。

しかしながら、この実現にはシステムのみならず音源としてのクォリティも極めて重要な要素となる。弦はどこまでも滑らかに響いて欲しいし、ささくれたような音がしてしまうものはどうしても音楽に没頭できなくなる。優れた録音を求めてしまう所以なのだが、オーケストラの録音はまた非常に録音のセンスが求められるものなので完璧かつ完全無欠な録音というようなものは稀であると思う。

比較的古い録音にも極めて鮮度感高く、圧倒的なリアリティで聴かせてくれるものがある。所謂「名盤」あるいは「名録音」と呼ばれるものだが、自分で所有している音源では決してその数は多くは無い。また、この類の音源を実際に手に入れるのは案外と大変で情報集めも欠かせない。

当方の偏った理解なのかもしれないが、主として60年代の真空管録音のアナログ音源にはその良さも多々ある反面、特有の個性(癖?)が感じられてしまうことがある。これは録音機材の個性(チューブディトーションを含むリバーブなど)なのか定かには判らないのだが、逆に云えばある種の魅惑的な音に感じられたり、感性にぐっと訴えてくるような響きがあったりして、それが好みならびに自分のシステムの性格とマッチすれば更に魔性的にもなる。

一方で、比較的新しいデジタル録音(音源としてはハイレゾが更にその感が強いのだが)、ここで云うところの「音」の個性を感じることは比すれば少ない。無味乾燥、無機質ということではないのだが、ある種「さっぱりした」音が聴けるとも云えよう。当方にとってはこれはネガティブな要素ではなく、響きや音そのものがより自然でかつ空間表現や透明度が高いように感じられる。

もちろん、デジタル録音やハイレゾ音源をあまり評価しないオーディオファイルの方もいると思うが、相対的にはこの類の音源の方が当方にとっては好ましく感じることも多い。確かに個性は感じにくいのだが、音そのものに所謂不自然さが無いものの方が普遍性があって音楽に没頭出来るように思えるのだ。録音機材そのものを含めたレコーディング技術の進歩もまた一つの要因であるかもしれないが、ストレスのない弦の再生やホールエコーの透明感が明らなアドバンテージとして認識できる。

だが、結果的にはやはりオーケストラの魅力の表出が肝。ここに「華麗なる響き」が感じられることがとても大事。音楽として魅了されるのは正にこの点なんだろうと思う。また音楽自体がその華麗さを纏って煌めいていることが望ましいのだ。画一的な表現なのだが、ワグナーの妖しいまでの、マーラーの鬱々とした、ベートーベンの活気が漲った、、、そしてチャイコフスキーの華やかさ。いずれも大好きな範疇であるが、この魅力がちゃんと引き出されるかどうかである。

システムとか部屋とかの枠を超えて、コンサートホールにワープしたような、という感覚がひとつの理想なのかもしれないが、まだそこにはとても到達はできていない。けれど、チャイコフスキーのシェークスピア作品を主題とした音楽(ハムレット、ロミオとジュリエット、テンペスト)のオーケストレーションもそこそこの華麗さを纏って聴けるようにはなってきた。それなりにシステム全体の完成度も上がり熟成が進んできたこともあるのだろうけれど、この点はとても嬉しく思うところ。

ちょっとお気に入りのAlpesh Chauhan(24/96)とPierre-Dominique Ponnelle(16/44.1)の幻想序曲集:
Tchaikovsky Albums

ストリーミング音源の「音質」についてもまだまだ議論はあるだろう。だが、それなりにクォリティの高い最新の録音に相当するものがハイレゾ(当然デジタル録音)などで選り取り聴ける幸せは当方にとって最早捨て難いもの。CDであればそれほど購入を検討することも無かったような(浅学にして殆ど知らない)指揮者の演奏を掘り起こしては堪能する。これは昔であれば得られようもなかった至福のひとつの形である。

だから、今以上に華麗なるオーケストラの再生にしたいと思う。中高域に使用しているユニット(Bliesma M74B)も大分練れてきて、かなりの美音を聴かせてくれるようになってきたこともあり、これはきっとできるはず、と信じている。


                 SONY SUP-T11用4way構成の設定値(2024年3月10日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
SONY
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 108.0 (+18.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.8 +0.7 -7.0* +5.5
*Analog Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.8 86.2 86.0 85.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz
355
355

1000
1000

3550
5000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-18 12-12 12-24 24-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -19.0 +20.0 -47.0 +24.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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