オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その9) 2015年 4月29日


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試行錯誤している4wayマルチ構成の設定をより煮詰めるため、Omi Micの新しいバージョン(バージョンアップは無償)で可能となったWavelet Spectrogramによるタイムアライメントの測定と調整の「イロハ」を ケンさん にご教授いただいた。従来方式であるインパルス応答の波形を見ながらの調整は4wayともなるとかなり難しく、正直なところこれでタイムアライメントが合っているのかどうか、良く判らないところが多分にあった。それなりに調整したつもりの音は、Mozartを居眠りしながら聴く、という当方の指向は満たしてくれるものの、ボーカルやジャズでは今ひとつ(以上の)キレや力感も欲しくて、少し悶々としていたのだ。

我が家でのオフ会の機会に実地でWavelet Spcetrogramの結果の見方や設定のポイントなどを教えてもらいつつトライしたのだが、実のところ、ひと段落して休憩、再開しようとした時に高域用のアンプが突然不調となるアクシデントに見舞われてしまった。4wayの音もさわりの部分程度にしかお聞かせできず大変心苦しいオフ会となってしまったのだが、何とかこのWavelet Spectrogramによる調整を経て納得の音にまとめ、後日リベンジさせていただきたいと考えている。

4wayマルチにおいては、各ユニットの素性を見極めるためスロープ特性は急峻な-48dB/octを現状は使っており、これで個々のユニットの最適な受け持ち周波数帯域や出力レベル、タイムアライメントなどを決めてきた。およその設定が定まり、メインとなるクラシック系ではそれなりにまとまってきたかとは思うのであるが、やはり今ひとつ物足りないところも残るのである。クラシック系ではとにかく素直に柔らかく、気になるような音は出さずに、ひたすら心地良く居眠りできる音、という目標なのであるが、ここは何とか近づいたと思えるところもある。一方で、女性ボーカルを中心とした声の実在感、キレ、音楽自体の押し出し、という観点からは物足りなさがある。ある意味ではもっと「オーディオ的な」メリハリも欲しいと思ってしまうのだ。このあたりの物足りなさがひとつにはタイムアライメントが取りきれていないのではという点と、急峻なスロープ特性を採用していることによる音の溶け合いの不足、これが結果的に力感、実在感の不足に繋がっていることの2点があると考えている。

理想的には音楽ソースの本来持っている魅力を余すところ無く再現したいと思うのだが、やはり音楽ジャンルや楽器、曲調、録音によって出したい音、抑えたい音は出てきてしまう。これをひとつのシステムとしてどう纏めるか、常に悩むところではある。なお、4way構成において、各ユニットの性格などもある程度把握出来てきたので、スロープ特性を-24dB/octあるいは-12dB/octに変更してこの辺りがどう改善されるか、タイムアライメント設定の煮詰めと合わせてチャレンジしたいのだ。この際の強力なツールとしてWavelet Spectrogramによる「視覚的により判り易い」測定に期待している。タイムアライメントの全体感を周波数と時間という二つの軸について色の分布で把握できる点はぱっと見ただけでも状態が把握可能である。一方で、この測定によって得られる結果は非常にアナログ的とも云え、これをどう読むかは厳密性の観点からはそれはそれでまた難しいとも思う。

以下はサンプル的な画像に留まるが、縦軸が周波数、横軸が時間である。音圧は赤が高く、黄色、青に向かって低くなる表示である。理想的には赤い音圧の高い部分がきれいな三角錐になるようなものが良い(らしい)。リスニングポイントで測定するので、低い周波数の領域は部屋の影響等もあり、音圧がずっと横に広がってしまうが、高域に向かってはタイムアライメントがどのようになっているのかかなり顕著に示されるので判り易いと考えている。また、ここでの三角錐がきれいな形になると、インパルス応答の波形もきれいに収まってくるようだ。

サンプル画像(ここでは低域の周波数をカットして測定している)

赤い三角錐に対して、タイムアライメントの遅れがあると右側に(時間軸上の遅れとして)赤い部分が崩れていく。その位置の高さ(周波数を表す)を見れば、それの遅れがどの周波数で発生しているのかおよそ掴めるという仕掛けだ。ただし、反射等の間接音の影響がリスニングポイントでは大きいので、低域については赤、オレンジ、黄色の部分が横に広がってしまう結果となるようだ。このため低域では有効性は限られると思う。

幸いにも高域用のアンプの不調は問題なく修理可能なようで、復帰までは3way構成でこのWavelet Spectrogramをベースにした調整を練習、習得しておきたいと考えている。


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