マドワセル・アキコの スーパークッキング

 1975年10月号から1977年12月号まで続いた、高橋章子が作るゲテモノ料理紹介コーナー。当時マドモアゼル・ノンノとかマダムヤンとかのネーミングが新鮮だったからだろう、アッコが世間を惑わせるのでつけられた名だ。
  第1回のメニューは「紅茶キノコの酢豚もどき」。私は幸いにも食していなかったが当時ブームだった紅茶キノコをイカに見立てたのだと。その他にもサバのあずき味噌煮、豚の胃袋詰めフルーツサラダ、かえるのピロシキ風ローズジャム和え等、毎月毎月誰も考えないようなレシピを持って撮影にのぞんでいた。彼女は武蔵美の油絵出身だったので盛りつけもそれなりにどぎつかったのを覚えている。
 この料理の数々は決してやらせではなく、彼女の偏った食事体験や食べ物に対する強烈な執着心から生まれた全くのオリジナル作品、まさに超料理だった。

 

揚げパン鶏姿のトサカ詰め
     &
鶏レバーの鶏卵巻き

----雨降りの日を心豊かに過ごす為に

   お部屋を明るくする鶏料理2品-- --


作り方(2〜3人分)
1.鳥屋のにーちゃんの好奇と軽蔑の目線にちびることなく「鶏の頭1Lくださいっ」と、元気よく言えるように夜な夜な練習しておく。手に入れた鶏の頭は流水で洗った後、大鍋にて愛をこめてゆがく。湯の勢いで瞼がピラピラ動くので、負けじとこっちもウィンクをしかえしてやるとよい。これをザルに取り、ちびたトサカを執念深く切り集 める。残骸はくちばしを取り除いてから、福田さんちのバカ犬にくれてやる。
2.バナナ半本は5ミリ厚さの輪切りにし、塩水につけてザルに取る。「つまみ食いよ♪」などと立ったまま、口の奥深く入れるような下品なマネはしてはいけない。後でするように。
3.コンニャク1/4枚はトサカと同じ位の大きさに切り揃え、熱湯に通しておく。
4.ホーロー鍋にバター小1をとかし、同量の小麦粉を振り込んで炒める。これを牛乳1/2カップでのばし、トマトピューレ1/2カップ、月桂樹の葉1枚、みりん、塩、コショウ各適量 で調味し、弱火でこがさぬように煮込んでオーロラソースとする。
5.フライパンにサラダ油を熱し1,2,3をざっと炒め、4の鍋に加えて弱火で煮込む。具にソースがからまる程度で火から降ろすが、味のしみ具合をみながらトマトケチャップ、牛乳、塩、コショウにて味とソースの分量 を調節する。
6.パン(スライスしてないもの約1斤半)は耳を切りとり、鶏の胴体、頭部、羽(2枚)、尾、くちばしの計6個に刻み分ける。背の部分には、詰め物用の穴を深めにえぐっておく。このパンの細工の際は、「わしゃ、ロダンじゃ!」位 の強気でいかないと失敗する。これをタップリ目のサラダ油にて、ひっくり返しながら全面 こんがりと揚げて、熱いうちに砂糖+シナモンをまぶすと文明堂よりオイシイ3時のおやつがシッカリできる。保存可。
7.6の胴体部分に竹串、爪楊枝を取って首、尾、羽を取り付け、背の穴に5を盛る。彩 りにグリーンピースをちらし、目ン玉として頭部の両側に開けた穴にもマメをハメ込み食卓に運ぶ。トサカもさることながら、ガサ増やしに入れたバナナとコンニャクにオーロラソースが良く合い、又、解体しながら頂く揚げパンもコウバシクてなかなか美味である。

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