追加、省略、変更、そして革命
― 新手順・新定跡の創造、その考え方 ―

 誰でも将棋を指している人なら「自分なりの工夫」をしているのではないだろうか。そしてその
工夫が誰もが認められるものであるのならば、それが「定跡」へとなっていく。
 その「工夫」に関して、パターン分けが出来るのではないかとごるは考えている。その分類を
今回紹介したい。

 大きく分けてその工夫は次の4つに分類できるのではないかと思う。

@追加
 これは、既成の定跡形にさらに一手加える事によりそれまで不利であった筋を有利あるいは
互角にする手法である。多くは後手番の戦形を先手番で使用することにより現れる。
 例えば、横歩取りの▲1六歩戦法(第1図)。「ごるメモ」では2.の先手急戦矢倉(▲5八金右
の追加)がこれに該当する。

A省略
 これは、既成の形より一手(あるいは数手)省略することにより従来とは違った攻め方や含み
を持たせるという手法である。
 この例としては、英ちゃん流中飛車(5筋を突かない中飛車)や飛車先不突矢倉、ごるメモで
は3.の対三間左美濃の手順(△5二金右の省略)が該当する。

B変更
 これは、既成の定跡手順を部分的に前後させたり、あるいは突き捨てを入れるといった自分
の1手(あるいは数手)と相手の一手(あるいは数手)を追加する、といったものである。多くの
定跡はこの「変更」を経て進化し、あるものは完成していっているのではないかと思う。
 なお、既成手順の修正の例としては、「ごるメモ」では1.の鳥指しの組み方(▲5六歩〜▲4八
銀が先)が該当する。

C革命
 これは、従来の常識や概念を打破した手順・形を編み出すことである。これはまさに新戦法
創造にほかならない。これの例としては、
・立石流四間飛車
・横歩取り△8五飛戦法
・藤井システム
が該当する。

 @〜Bは比較的簡単に誰でも出来るし、実際程度の差はあれ皆普通に行っていることであ
る。
 また、定跡で「不利」といわれている局面にこそ新定跡誕生のヒントが隠されているのではな
いだろうか、と強くごるは思っている。
 なかなか出来ないのはC。いつかはCをひっさげてアマ棋界を席巻してみたいとは思うのだ
が・・・。


参考文献

横歩取り1六歩戦法に関しては、
 1)B級戦法の達人プラス、週刊将棋編、毎日コミュニケーションズ、2002
横歩取り△8五飛戦法に関しては、やはり創始者の本がお勧め。
 2)横歩取り△8五飛戦法、中座真著、日本将棋連盟、2001
藤井システムに関しては、色々出ていますが、原典版ともいえるこの本は必須。
 3)最強藤井システム、藤井猛著、日本将棋連盟、1999

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