奥の細道二人旅・大木戸越え

大木戸越え 

伊達の大木戸  短夜の空もようやく明けたから、また旅だった。まだ夜の名残があって、気分がさえぬ。馬を借りて桑折の駅に出て行く。遙かな行程をかかえ、こういう病ではどうかなあというところだが、地の涯を旅する行脚、捨身無常の諦観、道路に死ぬる望み、これは天の命なんだと、気力をいささか取り直し、道を縦横に踏んで、伊達の大木戸を越す。

現在の伊達の大木戸付近(国道4号線)
 ここに大木戸跡の碑などがあるはずですが、いくら探しても発見できず。
 どなたかご存じなら教えてください。
桑折(こおり)・法圓寺
 旧道から路地を50mほど入ったところにある古刹。わからなくて探し回りました。境内に「芭蕉塚」があります。芭蕉が須賀川で詠んだ「風流のはじめやおくの田植歌」の句を、当地の俳人馬耳が享保四年(1719)ここに埋め、塚を作り「芭蕉翁」と刻んだ碑を建立し、芭蕉の供養と当地の俳壇の隆盛を祈願したとのことです。馬耳は当地の本陣の役人で、奥州俳壇の第一人者だったようです。

JR東北本線桑折駅下車 徒歩10分  参拝自由
方円寺
方円寺入り口 芭蕉塚 芭蕉像
法圓寺入口 芭蕉塚 かわいい芭蕉像

鐙毀と田村神社  白石市斎川

 伊達の大木戸を過ぎてしばらく行くと斎川宿ですが、その少し手前に曾良のいう「アフミコワシ」(鐙毀)があります。もちろん旧道沿い。あまりの急坂のため、鎌倉に向かう義経一行が馬のアブミを壊したと伝えられる難所。今は坂道の途中に碑などが建っています。

 それから少し下ると「田村神社」があります。境内の甲冑堂には、医王寺で出てくる「二人の嫁」の女武者像があります。芭蕉が見た「二人の嫁がしるし」は、実はここだったようです。残念ながら堂は閉じられていて見ることはできませんが、隙間から覗くとそれらしいものが見えます。  参拝自由
アブミコワシ
田村神社 甲冑堂
ここまでが今回の旅です。次回はもう一度伊達の大木戸を越えて、石巻あたりまで行けたらいいなと思います。

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