2001.09.15
 第42回オリンピックが開催されようとしていた。
 
「100メートル人類初! 8秒のカベは、破られるのかっ?」
「棒高跳び、夢の18メートル!」

「砲丸投げ、40メートルを超えるか?」

 …………

 報道媒体の見出しが物語るように、今回のオリンピックほど数々の記録更新が期待される大会はない。
 しかし、大会関係者だけでなく、約半数の人間は浮かない顔をしていた。

男A:「どうにかなりませんか、この状態…… いつまで続くんですかね」
男B:「イヤ、ますます激しくなっていくと思いますよ」
 
 記録更新は、人間の体力の進歩にもつながる悦ばしい事である。
 体力増強剤などは、既にこの地球上には存在しない。必要がないのだ。現在の100メートル 8秒000023 の記録保持者も、ごく普通の人間であり、持てる素質をトレーニングで鍛えただけである。他の記録保持者たちも同様であった。

 既に、男子の記録が、総て女子に塗り替えられて20年ほど経っている。
あー、人類は、いや女性は、どこまで強くなるのだろうか!
 
 歳月は流れ、23世紀…… 世の中は、女性が動かしていた。
そして、男性は脆弱化(ぜいじゃくか)し、その役割は、単に生殖だけになっていた。
まるで、鮟鱇のように……
 

チョウチンアンコウ 男はつらいよぉ〜



「もう男なんていらない!?」