MQキャンペーン1
「旅立ち」
●シャープティースの森
*一行はヘラルドの依頼を受けて、指輪を奪った犯人を追跡したバートに案内され、シャープティースの森にやってきていた。
ジョダン: こんなところに…
*犯人はおそらく途中で馬を降りたようだ。足跡は、森の中に佇む遺跡へと続いている…
エハル: 一体なんだろこれ
ジョダン: どう見ても人が住んでるようには見えませんねぇ
エアリス: 遺跡だよ
エハル: 何でまたこんなところに
ジョダン: さぁ?
バート: さて、おそらくあそこに犯人がいるだろう
ゴンディン: …
バート: あそこを調べる前に
バート: 君たちには話しておきたい事がある
エアリス: ・・・
バート: 最近、わたしの昔の上司の頼みがあって
バート: それでいろいろと調べていたんだが
バート: アーティファクトについて調べて欲しいという依頼だった
ゴンディン: ずいぶん漠然とした依頼だな
ジョダン: まさか、その上司の人が…V?
バート: それで、昔この辺でアーティファクトが見つかったという話があったので
バート: 調べていたところに偶然オークを見つけて
バート: あとは君たちと一緒だ
エハル: 僕にはさっぱりだ・・・アーティファクトがどうとか・・・
バート: いまネヴァーウィンターがやっかいな事になっていて、アーティファクトについてなんでもいいから情報が欲しいという話だったんでね、及ばずながら力を貸したのさ
ゴンディン: あんたの昔の上司ってもしかして
ゴンディン: アーリン何とかっていう無能で有名な男か?
ジョダン: 厄介とは?
バート: 大勢の人の命に関わるような話らしい
バート: まあ、詳しく知らないが
エアリス: ・・・無能じゃないぜ
ゴンディン: そうそう、悪い、言い直すぜ
ゴンディン: 「無能なくせに自分が有能だと思っている」男だ
バート: 上司の名前はまあ秘密にさせてくれ
ジョダン: 命に…
エアリス: ・・・他にもいそうだな
バート: おそらく今回の事件は関係ないと思うけど
ジョダン: もしかしたら私達、とんでもない話に首を突っ込んでいるのでしょうか?
ゴンディン: まあそんな馬鹿げた依頼を出したところからだいたい予想がつくがな
ゴンディン: そんなことはどうでもいい
エハル: ネヴァーウィンターってどこだよだいたい・・・
ゴンディン: ともかく話を続けろ
バート: まあ、慈善事業でここまで手を貸してるわけじゃないという事だ
バート: できたら、アーティファクトに関して何か情報を持って帰ってきて欲しい
ゴンディン: こちらも慈善事業じゃない
ゴンディン: 見返りはあるのか?
ゴンディン: 例えばこの仕事をやりとげたら
ゴンディン: 娘さんをください、とか
ゴンディン: エハルがいま考えてたぜ
ジョダン: ・・・・・・
バート: そうだな…指輪が手に入ればミマザから報酬は出るだろうけど
エハル: ・・・何わけのわかんないこといってんだ
エアリス: ・・・ふむ
エアリス: そう言う事なら応援する
エハル: いやそうじゃなくってさ・・・
バート: それ以外にも調査費はもらってるからそこからいくらか出そう
エアリス: この命好きに使っていいぜ
エハル: ・・・まあとにかく報酬は出るんだ
エハル: それで問題ないということだ、うん
バート: それでは、私はもうすこし周囲を探索してみるから
バート: 君たちにはあそこは任せていいかね?
エハル: ことが終わったらバルダーズゲイトにいっていい魔術師に力の制御ほうを教わるぞ
エアリス: ここにも魔術師はいるみたいだが
ゴンディン: ハネムーンはバルダーズゲートか
ゴンディン: 意訳すると
エハル: いい魔術師に、な
ジョダン: さぁさぁ皆さんそれくらいにして…
エアリス: ・・・なるほど
エハル: じゃあいこうか
ジョダン: ではバードさん、また後ほど
バート: それではよろしく頼みます
エハル: バート・・・
ジョダン: そうそう
エハル: こないだと同じ間違えだし・・・
ジョダン: そうでしたっけ?
エハル: ・・・・
エアリス: ・・・行くか
●遺跡
*一行は遺跡に近づいた。
ジョダン: 姿かくしで偵察した方が…よくないですか?
ゴンディン: それじゃ見てくるか
ゴンディン: ああ面倒くさいな
ジョダン: お願いします
エハル: 奴はのぞきの天才だな
ゴンディン: おいE
ゴンディン: ごていねいに
ゴンディン: 罠かかってる
*遺跡の入り口の扉には罠と鍵があった。
ゴンディン: 鍵もだ
エアリス: ・・・
ゴンディン: 外してくれ
エアリス: 楽勝・・・じゃない
ジョダン: 開きました?
エアリス: ああ
エアリス: ・・・俺が見てこようか?
*エアリスは遺跡に入った。
エアリス: !!!
ゴンディン: !?
*エアリスが遺跡から飛び出してきた。そしてそのあとを追って、クレイゴーレムが遺跡から姿を現す。
ジョダン: ひぃぃぃぃ
ゴンディン: どこから出た!?
ゴンディン: 中からか
ゴンディン: …
エアリス: ふん
ゴンディン: しぶきは効かないから
ジョダン: マジックミサイルですね
ゴンディン: 何とかして使い魔を召喚する間を作らないとだめだな…
エアリス: ・・・まかせろ
ゴンディン: とりあえず離れる
*エアリスがゴーレムの注意を引いている隙に魔術師は使い魔を召喚。呪文の攻撃を受けてクレイゴーレムは崩れ去った。
ジョダン: ふう
ゴンディン: ああいうのがいたなら
ゴンディン: 先に知らせろ、E
ゴンディン: 偵察の意味がないだろうが
エアリス: ・・・
*エアリスは再び中に。
エアリス: 大丈夫だ
エアリス: 来てくれ
ジョダン: やれやれ
*一行は遺跡に足を踏み入れた…
エアリス: ・・・広いぜ
エアリス: 罠だ!動くんじゃねぇ!!
エアリス: 扉に
エアリス: ・・・気のせいだった
ゴンディン: ……
エハル: ・・・
エアリス: ・・・ふざけてる場合じゃねぇ
ゴンディン: 自分で言ってりゃ世話ないな
ゴンディン: こっちは外か
ゴンディン: …
ゴンディン: おいE
エアリス: ・・・
ゴンディン: 床とか
ゴンディン: 扉とか
ゴンディン: その辺の具合から
ゴンディン: 人の入った形跡とかわからないのか?
ゴンディン: 探索してみろよ
エアリス: ・・・ハイハイ
*ということで捜索で判定。
エアリス: ふつうに人がいるぜ
エアリス: 廃墟じゃない
ゴンディン: 普通に?
エハル: なんだ普通にって
エアリス: ・・・家みたいなもんだ
ジョダン: こんな薄気味悪いところに…
ゴンディン: …
エハル: へー
エアリス: ・・・足跡はそう語る
ジョダン: 趣味悪いですね
ゴンディン: それじゃどっちへ行くかは勘に頼るしかないってことか
エアリス: まあ、何が出てもおかしくねぇな
エアリス: ああ
エアリス: 人数なんかもちょっとわからん
エハル: アンナ人形と一緒に住むなんてイカレテルな
ジョダン: ホントですねぇ
ゴンディン: 別に普通だろ
ゴンディン: 魔法使いの住処なら
ゴンディン: ガーディアンゴーレムの一体や二体
ジョダン: なるほど
ゴンディン: うちの塔にだっているじゃねえか
エアリス: ・・・ぐずぐずしてるのは賢明じゃねぇな
ゴンディン: 今更何いってるんだ兄貴
エハル: 急ごう
*一行は入り口の広間から通路に入る。遺跡はドーナツ状に正方形を成していて、それぞれ外側に部屋がある。
エアリス: 開けてみるか?
エハル: 開けてみよう
エアリス: ・・・だめだ
エハル: 開かないのなら仕方ないな・・・
エアリス: 複雑すぎて破れない
エハル: このまま通路を行こう
ゴンディン: 壊れそうだな
エハル: そうか
ジョダン: 壊したりしたら怒られませんか?
エハル: 怒られるだろうね
ゴンディン: 勝手に入った時点で
ゴンディン: 十分怒られるだろ
エアリス: ・・・まあな
ジョダン: それもそうですね
ゴンディン: 鍵に罠もついてたんだから
エハル: もっと怒られるようなことしに来たじゃないか
エハル: そうだろ?
ゴンディン: とりあえず壊してみてくれコロソン
エアリス: ほんじゃ頼むぜ
コロソン : 了解
エハル: とみこさーん
エハル: っていってるぞ
*?(笑) ともかく、扉は壊され一行は部屋に入る。
エアリス: 書庫だ
ゴンディン: どこかで見たような気がする部屋だな
ゴンディン: まあ書庫なんてどこも似たようなものか
エアリス: 鍵があった
エアリス: ・・・頂いとくぜ
ゴンディン: 何か書いてないのか?
エアリス: 何も
ジョダン: たいした本は無いですね
エアリス: ・・・ただちょっとばかし大きいな
エハル: 扉もでっかいんだろ・・・
エアリス: ・・・片っ端から開けるか?
ゴンディン: あたりまえだ
エハル: それでいいんじゃないの
ゴンディン: 手がかりなんかないんだから
*一行は次の部屋へ。
エアリス: なんだこりゃ
エハル: なんだこりゃ
ジョダン: なんでしょう?
*部屋には実験器具の乗った机と不思議な機械が置いてある。机を探ると…
エハル: また鍵か
ジョダン: また鍵ですか…
エアリス: 今度は小さいな
エハル: 次いこう
ゴンディン: 次だな
エアリス: あそこの機械はなんなんだ
ジョダン: さあ?
*次の部屋へ。扉には罠がある。
ゴンディン: 罠だ
エアリス: 罠だ!動くんじゃねぇ!!
エアリス: ・・・
ゴンディン: 楽勝だな
ゴンディン: ほれ
エアリス: ・・・仕事を取るな
*簡単な罠で、ゴンディンにも外すことが出来た。
ゴンディン: 鍵は
ゴンディン: 専用の鍵がいる
エアリス: さっきの小さい方がぴったりだ
*扉を開けるゴンディンだが、少し開けるとすぐさま扉を閉めた。
ゴンディン: !?
ゴンディン: 誰かいた
ゴンディン: 魔法使いみたいだったな
ゴンディン: ちょっと見てくるか
*ゴンディンは呪文で姿をかくして近づいてみるが…
ゴンディン: 何かの祭壇があるな
ヴェラン : だれだ?
*見破られたゴンディンはすぐに部屋の外に逃げ戻る。
ゴンディン: ばれたか
エハル: ・・・
ゴンディン: …追ってはこないみたいだな
エハル: 祭壇て何の祭壇だろう
ゴンディン: …
ゴンディン: どうするんだ
ジョダン: 話してみますか?
ゴンディン: まあ勝手に人の家に入っているのはこっちだしな
ゴンディン: だいたい奴が奪ったと決まったわけじゃないぞ
ジョダン: そうですね
*一行はぞろぞろの部屋の中に入り、魔術師(ヴェラン)の前に出た。部屋の中には祭壇(?)が置かれ、ヴェランはそこで何かをしている。
ヴェラン : なにものだ?
ヴェラン : 勝手に入り込んできて
ゴンディン: 兄貴
ゴンディン: ロデムが勝手に襲い掛からないように
ゴンディン: 手綱おさえとくんだぜ
エハル: 指輪を探してるんだが
ヴェラン : おれの邪魔をしないっていうなら見逃してやってもいい
エハル: あんたが取ったわけじゃないのか?
ヴェラン : 指輪?ああ、これか?ミマザの手下か?
エハル: 手下じゃないけどな
ヴェラン : なら、おれの邪魔をしにきたってわけか?
エハル: そういうつもりはないんだが
エハル: その指輪はいったいなんなんだ
ヴェラン : もうすぐアーティファクトが動かせるんだ!この指輪は返せない
ヴェラン : 何かも知らないのか?この指輪がなんなのか
エハル: 知らない
ヴェラン : 馬鹿め。おれは馬鹿とは話さない事にしてるんだ
ヴェラン : さっさと出て行け。それかそこで見ていろ
ジョダン: ・・・・・・
エハル: (あきらかに喧嘩売ってるけどコイツ
エハル: (買ってやろうか?
ゴンディン: まあ見ていろって言ってるんだから
ゴンディン: 見てりゃいいだろ
ゴンディン: 面倒くさいぜ
ゴンディン: どうしろとも言われてないしな
エハル: 気に食わないやつだ
ジョダン: あの…指輪無くなったりしませんよね?
ヴェラン : うーん、ごちゃごちゃうるさくて集中できないじゃないか!外に出てろ凡人め!
エハル: ・・・
エハル: で、あんたはなにをしようとしてるんだ
エハル: それを教えろよ
ヴェラン : うるさい!!
*ヴェランは叫び、すばやく呪文を唱えた。エハルは精神をかき乱されて混乱した。続けてヴェランは呪文で攻撃してくる。
ジョダン: あらら
エハル: 野郎・・・
*そのまま戦闘に突入。呪文でエアリスを無力化したりロデムを倒したりはしたものの、ヴェランは倒れた。
ゴンディン: !?
ジョダン: はっ
ゴンディン: なんなんだ、まったく
エアリス: まえがみえねぇ!
ジョダン: あぁ、ロデム
エハル: ったく
エハル: どっちがバカなんだか・・・・
ゴンディン: 色しぶきをまともに見たからだ
エアリス: はっ
エハル: 指輪持ってたか?
ゴンディン: 特に何ももってないな
エアリス: 足ももつれる
エハル: ありゃ
ゴンディン: これは違うだろ
ジョダン: 普通ですね
*持っていた指輪は、聞いていたミマザの指輪の特徴を備えてはいなかった。
エハル: うーむ
ゴンディン: この装置はなんなんだ?
ゴンディン: 調べてみるか…
エハル: シャレた外套だな
エハル: これ着ていいか
*ゴンディンとジョダンは祭壇?を調べた。
ジョダン: ・・・・・・
ゴンディン: 古いなこれは
ジョダン: アーティファクトに雰囲気似てますね
ゴンディン: かなり古いってことくらいしか
ゴンディン: わからん
エハル: アーティファクトとかかわりがあるようだけど
エハル: さっぱりだな
ジョダン: 本物かどうかは分かりません
ゴンディン: 何か文献があるかも知れないな
ゴンディン: 少し他を調べたほうが早そうだぜ
ジョダン: そうしましょう
エハル: そうだな
ゴンディン: 欲しいものがあったら取っていけよ
エハル: シャレた外套があったからもらったぞ
エアリス: ふむ
エアリス: じゃ靴を
ゴンディン: 兄貴はいいのか
エアリス: ・・・ちょうど痛んでたんだ
エハル: ジョダン指輪つけたらいいんじゃないか
ジョダン: 死体アサリは趣味ではありません
エハル: 物忘れがましになるよきっと
ジョダン: ・・・・
*一行は別の部屋に移動した。そこにも簡単な罠があったがゴンディンが解除した。
ゴンディン: 簡単だな
エアリス: ドワーフは器用だな
ジョダン: 包帯置きましたよ
ゴンディン: ワンドが数本だ
ジョダン: ミサイルは持ってます
エハル: まあワンド持っておくかな・・・
ジョダン: その方が良いでしょう
ゴンディン: このロッドはあんたがとりあえず使ったらどうだ、E
エアリス: それじゃロッド使うぜ
ゴンディン: とりあえず手がかりはなしだな
*次の部屋に移動。
ジョダン: ここが最後ですかね
ゴンディン: 大きな鍵
ゴンディン: あれが合いそうだ
*部屋の中はヴェランの私室のようだ。
エハル: 奴の私室かな
*部屋の中にはヴェランの日記が残されている。全5冊あり内容は長いが以下の通り。
「1冊目」
ヴェランという名の人物の日記。5年ほど前から付けられている。
○月×日
大発見だ!ほとんど壊れていない古い地下室を発見した!しかも昔おれ以外の魔術師が使っていたらしい。この新しく素晴らしい発見を記念して今日から日記をつける事した。今度は3日以上続けるようにしよう。
○月×日
この廃墟の探検はなかなかに困難だ。魔法で閉じられた扉を開けるのに何日もかかってしまった。しかし魔術の扱いに関しては天才であるこのソーサラーのヴェランにかかれば大した障害ではない…明日には開くさ!
○月×日
近くに村があるのもラッキーだった。この廃墟の探検には時間が必要だが、食料はそこで買う事ができる。近くにはオークやゴブリンや盗賊がうろついているが、私の魔術にかかれば大したことはない。
「2冊目」
ヴェランという名の人物がつけた日記。4年ほど前からのものだ。
○月×日
ついに廃墟の探検は終わった。ここにあるものはすべておれのものだ!
この日を記念して今日から日記を再開する事にした。
○月×日
今日はこの、おれの研究室を敵から守るために仕掛けを施した。もともとはここに残されたものだけど。
○月×日
命令を受けていないゴーレム。それと奥にある良くわからないが魔力を感じる装置のようなもの…これらの謎を解明し、扱えるようになった自分を想像すると身が震えるようだ。
天才ソーサラー・ヴェランの伝説がここから始まるんだ!
「3冊目」
ヴェランという名の人物がつけた日記。3年ほど前からのものだ。
○月×日
ついにゴーレムに新しい命令を吹き込む方法を発見した!
なんのことはなかった。一緒に収められていたスクロールを使えばいいだけだったんだ!まぁ、凡人ならそれにすら気がつかないのだろうが。
なんと良い日だろう。気分がいいので今日から日記を再開しよう。
*この日記はこの1日しか書かれていない…。
「4冊目」
ヴェランという人物の書いた日記。2年ほど前からのものだ。
○月×日
奥にあったものはアーティファクトと言って、古代魔法で作られた品物の一種のようだ。アーティファクトはエルフ高位魔術やネザースクロールに記されていたような古代の魔術で作られた非常に強力な品物だ。
ここにあるのはその中でも特に強力な力を持っているらしい。
だが、アーティファクトの多くは現在の魔力の働きとは違うルールに従って作られているものだ。だから使用を誤るととんでもない事が起こるかもしれない。
…と、以前にここを使っていた魔術師は書き記している。馬鹿だ。
こいつは馬鹿だから、アーティファクトは一度も動かさず、そればかりかキーを抜き取って行きやがった!
絶対すごい事が起こるのがわかってて何もしないなんて馬鹿な魔術師がいたもんだ!もし上手くいってれば…いや、うまくいかなくったって有名になれたのに!
○月×日
「このアーティファクトに関してはすでにミストラの使徒に報告した。もしこれを彼らが保護する前に発見したものがいたら、絶対に触ってはいけない。すぐに立ち去るのだ」
という警告文がアーティファクトの近くに落ちていた。貼り付けたものが落ちたのだろう。ぼろぼろで字もほとんど読めないがおれにかかれば解読できる。何百年前のものだろう?
それにしても、なんて馬鹿なんだ。馬鹿の極みだ!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!
まあ、いい…。まだ誰も手をつけた様子がないから、ミストラの神官はここには着ていない。報告とやらがどうなったのかは気になるけど。
○月×日
どういう経緯か知らないが、偶然にも例の報告を受けたミストラの神官が書いたらしい報告書をバルダーズゲートのブラックマーケットで手に入れた。正規のルートには一度も出ていないものらしい。宿に持ち帰ってさっそく内容を調べてみた。
あのアーティファクトについては要封印と書かれている。機能についてはまだ不明だが、時空間的に特異点となるポイントを人為的に発生させるのだが、その際にアストラルプレーンの一部を変容させて利用するものだそうだ!
まったく意味がわからない!
まあ、明日になればわかるさ。
ちなみに発見者はルフェイン・マギクラフトというソーサラーだそうだ。マギクラフトなんで自分でつけたに決まってる!馬鹿だから恥ずかしい事に気がつかないのだ!
「5冊目」
ヴェランという人物の書いた日記。半年ほど前から最近までのものだ。
○月×日
マギクラフトという名前の貴族がいるらしい。そして、この周囲の土地の権利はその貴族のものだそうだ。
これは偶然の一致か?
いや、天才のおれにはすぐに真実がわかった。そのマギクラフトが、アーティファクトのキーを持っているかもしれない。
○月×日
村人から聞いた話では、この近くの砦に自分の名前をつけてミマザ砦とか呼ばせているのが、現在のマギクラフト家の当主だそうだ。先祖も馬鹿なら子孫も馬鹿だな。恥ずかしい!おれなら自殺しちゃうね!恥ずかしすぎてさっ!
○月×日
ミマザに会って来た。おれが旅のソーサラーだと言うと、やつはおれを歓迎して何日か滞在してくれとまで言ってきた。おれは初歩的な魔術を軽く教えてやると、やつは熱心に聞いていた。
やつがいつもはめている指輪。すごい魔力を感じる。それに例のアーティファクトの雰囲気…というようなものにとても似ている。おれは天才的直感で、その指輪がキーに違いないと確信した!
まあ、一応聞いてみたら、ずっと伝わる家宝だそうだ。間違いないな。
○月×日
自分の研究室に戻ってから、指輪を手に入れる方法を考えた。
まあ、おれが行って全員おれの呪文で殺すか動けなくして持ってくればいいんだが、それだと追っ手がここまでくるかもしれない。おれがアーティファクトをせめて起動させる方法をはっきりさせるまでの時間は必要だし、できれば、おれに疑いがかからずにやりたい。
そういえば森のほうに住んでいるオークの部族に最近ハーフオークの族長が出たんだそうだ。人間に恨みを持っているらしい。まあ馬鹿で醜いくせに人間と同等に振舞おうとして、街を追い出されたとかそんなところだろうな。でもこいつは使えるかもしれない。
○月×日
計画はかなり完成に近づいてきた。あとはオークどもと砦のやつらが戦っている隙に指輪を取ってくる役目をやるやつさえ決まればいい。オークが勝利するように作戦は立ててやったが所詮馬鹿なオークだから負けるかもしれない。だから確実に指輪を持ってこれる腕前のやつがいたら完璧だ。ああ…まさに天才的な計画だなあ。
○月×日
バルダーズゲートで、かなりの金は払ったが良い盗賊を雇えた。魔術を使いながら盗みをするという変わったシーフだ。名前を聞いたら、知らないほうがいいと言う。だが気になるのでもう一度聞いてみたら、無言のままナイフをギラつかせた。もう二度と聞かないと心に決めた。
○月×日
作戦実行の日。
夕方頃、雇ったシーフがやってきて指輪をおれに投げてよこすとそのまま馬を置いて走り去って行った。
やつはよっぽと走るのが好きなんだろうな。今回の仕事も馬は使わないとかなんとかごねていたが、時間が一秒でも欲しいおれは雇い主として、馬を使うように命令した。そしたら「やるなら、仕事は完璧にしたいんだが」とかぶつぶつ文句を言ってたけど馬を使った。
こいつには一目置いてやったが、やはり馬鹿だ。馬を使ったほうが早いのは当たり前だし、追いかけられる前に逃げられるのにな。
オークはどうなったんだろう。ま、どうでもいい。早くアーティファクトを動かしてみたいな!
○月×日(今日)
指輪をはめ込み、起動させる方法がなんとなくわかった。昨日の今日で、わかるなんてやっぱりおれは天才だな!
追っ手が来る気配もないし、じっくり研究して今日中には動かしたい。
エハル: コイツあほだなー
ジョダン: 誤字もありますね
ジョダン: マギクラフト
ゴンディン: そういえばこいつ
ゴンディン: Vか
エハル: アーティファクトを使うには指輪が必要だったってことなのかねえ
ゴンディン: 一通り読み終わったが
エアリス: なかなか愉快なやつみたいだ
ゴンディン: 肝心の指輪と
エハル: ある意味殺すには惜しい奴だったな・・・
ゴンディン: それにこの実行犯の盗賊か
ゴンディン: はどこへ行ったんだ?
ゴンディン: …
エハル: キーって日記に書いてあるから
ゴンディン: 指輪をはめて
ゴンディン: じゃなくて
エハル: それこそ鍵みたいにどっかにはめ込むのかも
ゴンディン: 指輪を「はめ込み」
ゴンディン: と書いてあるな
エハル: まあ判らないけどな
*一行は、ヴェランのいた部屋に戻った。
エアリス: どうしたんだ
ゴンディン: どこかにはまっているのかな?
エハル: みんなでさがすか
*全員で装置の周りを探す。
エハル: ないぞ・・・
ジョダン: ありますよ…
エハル: どこにあるんだよ
ゴンディン: どこに目がついてるんだ?
エハル: ここだ
*エハルは自分の目を指差す。
ゴンディン: ああ、目だったのか
ゴンディン: てっきり木の実が二つはまってるのかと思ったぜ
エハル: まあいいやみつけたんなら
エアリス: ・・・あぶないぞ
エハル: とっとと持って帰ろう
*指輪は、アーティファクトの一部にはめ込まれている。手を伸ばせば届きそうだ。
ジョダン: よいしょ
*ジョダンはエアリスの警告を聞いたか知らずか、指輪に手を伸ばした…
ジョダン: はっ?
*ジョダンが手を触れたとたん、アーティファクトが振動を始めた…
ゴンディン: なんだ?
*アーティファクトが光を放ち始める…
エハル: なんだいまの・・・
ジョダン: 地震?
*実際には地震ではない。揺れているのは地面ではなく空間そのものなのだ。
エハル: ・・・・
エアリス: うわ!!
*アーティファクトはますます光を強く発する。
ジョダン: あぁ!光が〜!
エハル: コレはいったい・・・
*やがて激しい光の奔流の中、全員意識を失った…。
●エハル
エハル : ・・・・・?!
*エハルは目を覚ます。そこはマラク村にある自分の家。それも幼い頃のままだ。居間には父と母がいた。エハルは彼らに近づく…彼らにはエハルは見えていないようだ。だが彼らの思念はエハルにはっきりと伝わってきた…
エハルの母: あの人を魔術に取られた私が、生んだ子供がソーサラーだなんて…まだ小さいのに物を動かしたりして気味が悪いわ…。ああ魔術なんて私を傷つけるだけで何も与えてくれないのね!エハル、エハル、こっちにこないで!
エハルの父: なんでソーサラーの力が私じゃなくてエハルなんだ?くそっいまいましい…私のウィザードとしての知識とソーサラーの感覚があれば研究もずっと進んだだろうに…くそっくそっエハルめえ…
*エハルはいたたまれなくなり、玄関へと逃げる。そこにはアリッサがいた。彼女にもエハルは見えてないようだ。
アリッサ: なんでエハルって私に近寄ってくるのかしら?自分が嫌われてるって気がつかないのかな?気持ちわるーい…。ああ…なんか今も視線感じる気がする…ウェー。最低。
エハル : ・・・・・・
*エハルは困惑し、辺りを見回したりウロウロしたりする。しかしここは間違いなく自分の家であり、そこには父と母とアリッサしかいない。そして彼らはエハルが"もしかしたら、こう思っているのではないか?"と、しかしそうであって欲しくないと思っていた事を、伝えてくる…。エハルは耳を押さえてその場にうずくまった。
●契約
???: エハル…
*その時、エハルの頭に直接語りかけてくる声があった。
???: エハル…
エハル : うう・・・だれだ・・・
*再び。聞いたことのある声だ。
???: 忘れたか、エハル
???: よかろう。いまそこに行く
???: いつまでも下らぬ夢を見ていてはならん
エハル : コレは夢なんだな
エハル : (あいつら無事かな・・・
*エハルは多少救われた気分になり、仲間を心配する余裕が持てたようだ。やがて、声の主は姿を現した。
エハル : お前か!
*景色の一部が歪み、現れたのは、父の秘密の研究室で出会った悪魔のような姿をしたものだ。
マールグ: エハル
マールグ: 我を覚えているか
エハル : あったのはついこの間だぞ
エハル : 忘れるものか
マールグ: そうか、時間の流れとは我はあまり関係がないのでな
エハル : ここはどこなんだ
エハル : どこ、というより、いつ・・・か?
マールグ: このレルムを離れる時に、この異常に気が付いて戻ってきた
マールグ: ここはそなたらのレルムであってそうではない
マールグ: 強力な魔術の力で捻じ曲げられ作られた空間だ
エハル : どうすればここから出られる?
マールグ: 簡単だ。我にとってはな
エハル : 僕にとってはそうではないのか
マールグ: そなたとの契約を思い出したのだ
エハル : 契約・・・・
マールグ: そなたは何も望まなかった。ゆえにそなたの父は解放されている
マールグ: それを伝えに来た
エハル : いっている意味がわからないな
マールグ: そうか。説明しよう
マールグ: そなたの父は、そなたと我が契約する事を望んだ
マールグ: だがそなたは何も望まなかった
マールグ: ゆえに契約は無効
マールグ: よって、そなたの父が失った時間の輪に再び戻ったのだ
マールグ: それをそなたに伝えねばと思ってな
エハル : それが僕がここにいることと何の関係がある?
*マールグはふむ、と片方の目を吊り上げる。
マールグ: 確かに、そんなことを言っている場合ではなさそうだな
マールグ: これはアーティファクトとそなたたちが呼ぶ
マールグ: 装置の影響だ
エハル : どうにかしてでる方法はないのか
マールグ: 簡単だ
マールグ: そなたが出たいのであれば、出してやろう。
マールグ: ここまできたついでにだ
エハル : お前の力を借りろというのか・・・
マールグ: そなたはおもしろい。興味を引く
マールグ: こんなところに閉じ込められているべきではない
エハル : とはいえ魔物と取引するのは気が進まないな・・・
マールグ: さあ、そなたさえよければ行くぞ。
エハル : ここをでたいといったらお前は何を望む?
マールグ: 取引ではない。好意だ。受け取れ
エハル : わかった
エハル : ここからでよう
マールグ: ただし、我はお前一人しか出さぬ
マールグ: 他の者には興味はないのでな
エハル : ということは他の連中も閉じ込められているのか
マールグ: 無論だ
マールグ: そしてこの空間は広がり続けている
マールグ: やがてそなたらのレルムを飲み込むだろう
エハル : どうすれば彼らを助けられるんだ
マールグ: 助けたいのか?
エハル : ああ
マールグ: エハル…われは万能に近いゆえに
マールグ: 同時にわれを縛るルールを持っている
マールグ: そなたが助けたいというのならば力を貸すが
マールグ: それならば契約を結ばねばならぬ
マールグ: そなたは契約を嫌っていたから、無理強いはせぬが
マールグ: そなた一人ここから出るか、契約して我が力を使って仲間を助けるか、だ
エハル : 他に方法はないのか
マールグ: ない
エハル : いいだろう・・・
エハル : 契約してやろう・・・
マールグ: そうか…!
マールグ: ならば我が力、そなたに貸そう
エハル : お前は何を望む?
エハル : 契約はどんなものになる?
マールグ: 我はそなたの人生を、人としての生を望む
エハル : どういうことだ?
マールグ: 我は人に興味がある。人の生を体験したいのだ。特にお前のな
エハル : お前は僕になるというのか
マールグ: ある意味そうだ。今後、我とそなたは感覚を共有する
エハル : ・・・いいだろう
マールグ: そなたの見たものは我も見る。だが逆はない
マールグ: 我の見るものに、そなたが耐えられないだろうからだ
エハル : わかった
エハル : 契約する
エハル : 仲間を助けなければ
エハル : 急ごう
マールグ: わかった。
マールグ: では、儀式を。
エハル : 儀式・・・・?
*マールグは印を結び、その口からはエハルには理解できない音が漏れる。やがて光の粒子がマールグとエハルを中心魔法陣を形勢する。エハルは奇妙な感覚を味わった。自分が自分ではあるものの一つの存在ではない感じ。そしてマールグがその姿のとおり邪悪な存在などではなく、善や悪といった観念を超越した存在であることを知る。そして同時に、その孤独をも知った。それは自分がもつ孤独と同じように深く寂しいものだった…
マールグ: 終了した
*いつの間にか、儀式は終わっていた。
エハル : では行くぞ
マールグ: では、まず移動するぞ。
エハル : わかった
*マールグと共にエハルは跳躍した。一瞬の浮遊感のあと、二人は小さな部屋の中にいた。
エハル : なんだここは
マールグ: ここは我が用意した避難所だ
マールグ: ここは安全だ
*マールグはエハルが部屋を見回す時間を待って、話を続ける。
マールグ: まず、そなたは器として我の力を受けるには小さすぎる
マールグ: よって、そなたと我の絆を、我は作った
マールグ: 使い魔を召喚できるはずだ。してみよ。
マールグ: そいつは、我の一部にすぎないが
マールグ: そなたの力が増せば、より強力になろう
エハル : なるほど・・・
*エハルはマールグの力の波動に触れる。それは驚異的なものだが、その中に小さくそして自分に近しいものを感じた。それに手を伸ばし引き寄せる。目を開けると目の前に狼のような姿をした獣がいた。
マールグ: そいつを連れて行け。アンテナのようなものだ
エハル : わかった
マールグ: では、いくぞ
マールグ: われはここにいる。そいつを通して力を使う
マールグ: そいつから離れるでないぞ
*エハルは使い魔と共に再び跳躍した。
●エアリスの闇
*エアリスは暗い場所にいた。ジメジメとしていて悪臭の漂う場所だが、どこか懐かしい。エルフの世界から逃げるように人間の街にやってきて、最初の数年を過ごした場所。下水道の中だ。
エアリス: なんだここは
*下水道の先は二つに分かれていて、それぞれの道に人間とエルフが立っていた。エアリスを見ている。エアリスは彼らに救いを求めて話しかけた。だが…
人間:なんだ?お前は。人間なのかエルフなのか?半分人間だから俺達の仲間だとでも?半分人間じゃないからお前は俺達の仲間じゃない。
*わかりきった事。エアリスがとうに受け入れていたはずの事。だがそれはエアリスの古い記憶を蘇らせる…
エアリス: ちくしょう!!
*エアリスはエルフの世界で育った。快く受け入れてはもらえないものの、そこで生活することを許されていた。やがて彼は成長し、若いエルフの女性と恋に落ちた。エルフの名はリトレス。二人は愛し合っていた。だが、周囲はそれを許さなかった。とりわけリトレスの兄は、二人を引き離そうとした。
エアリス: 畜生・・・リトレス・・・
*リトレスの兄は、乱暴な手段で二人を引き離した。エアリスがそこで生きる事を許していたのが間違いだった、自分の妹は被害者でありエアリスの人間の血は欲深く、いつか他の娘にまで手をかけるだろう…このままではいけない、と主張した。
エアリス: !!!
*エアリスは暴言や酷い扱いに耐え、リトレスの兄に最後の望みを託して説得にいった。長い言い合いが続いたあと、兄はこういった。
エルフ:半分エルフだから俺達の仲間だとでも?半分エルフじゃないからお前は俺達の仲間じゃない。
*目の前のエルフは、エアリスに同じ事を言った…。顔を上げると、そこにはリトレスの兄が侮蔑の表情でエアリスを見ていた…
エアリス: もう許せねぇ!!!
エアリス: 殺してやる!!
*あの日とまったく同じように、エアリスもまた同じ事を言った。そして同じ事をしてしまった。リトレスの兄掴みかかり、その首に手をかける。非力なエルフは、エアリスの腕を振り解けない。最後にひゅうと息を漏らすと、リトレスの兄は絶命した。
エアリス: ・・・ハァハァ
*記憶はなおも蘇る。「ひっ」という小さな悲鳴に振り向くと、そこにはリトレスが立っていた…。エアリスは逃げ出し、そして人間の世界にやってきたのだった。
エアリス: やっちまった・・・
エアリス: ・・・もう俺の手は血塗れだ
*無理やりに記憶を引っ張り出されて、エアリスは気を失った…
エハル : おい
エアリス: ・・・ハッ
エハル : おいエアリス
*エハルは跳躍し、まずエアリスの元にやってきた。下水道の中にエアリスは倒れていて、目の前には血に沈んだエルフがいた。
エアリス: ・・・エハル・・・か・・・?
エハル : ひどい有様だな
エハル : なんだこの血の海は
エアリス: 俺は一体・・・
エアリス: 過去の夢なのか、現実なのか・・・
エハル : ここはどうもアーティファクトの影響で出来た空間らしい
エハル : ここから出ないとな・・・
エアリス: 空間・・・?
エアリス: 夢って事か・・・?
エハル : 正直よくわからない
エハル : まあ夢みたいなもんだ
エアリス: お前は・・・?俺の夢か・・・?
エハル : 平気か
エハル : 僕は僕だ
エハル : 落ち着けよ、これは夢だ
エハル : すぐに覚める
エアリス: ・・・
エハル : いいか、ここを出るぞ?
エアリス: ・・・ああ
*再びエアリスを連れてエハルは跳躍し、マールグの作った安全地帯に戻った。
エハル : ここはとりあえず安全らしいぞ
エハル : 休んでおくといいよ
エアリス: ひどい夢だ・・・
エアリス: 報いか・・・
エハル : 確かにそんな顔してるな・・・ひどい夢だったみたいだな
エアリス: ・・・ここは?
エアリス: お前は現実のエハル?
エハル : ここは・・・まあ安全な場所だよ
エハル : 現実だ
エハル : さて
エアリス: ふむ
エハル : あの漫才コンビを助けなきゃ
エアリス: 一体何がどうなってんだか
エハル : エアリスはここで待っててくれ
エハル : すぐ戻るよ
エアリス: 何故だ?
エハル : まあいろいろあるんだよ・・・
*エハルにはまだ、複数人を連れて跳躍するのは難しい。
エアリス: ・・・ふむ
エアリス: わかった
*エハルは跳んだ。残されたエアリスは、それでも過去の残滓に苦しめられていた。
●ゴンディンの洞窟
*ゴンディンが目を開けると、洞窟にいた。そこは懐かしい我が故郷。
ゴンディン: !?
*ゴンディンはあたりを見回す。何人か、懐かしい友人の姿も見える。
ゴンディン: ??
ゴンディン: 何の幻術だ、これは
*ゴンディンには、ここが通常空間ではないことがわかっていた。おそらくアーティファクトの影響であろう事も。近くにいる友人達はゴンディンの事を話しているようだ。
友人A:いやあ、ゴンディンのやつがいなくなってせいせいしたな!
友人B:あの威張り屋のゴンディンが修行に行ったおかけでだいぶ楽になったよ。このまま帰ってこなけりゃいいんだけど!
友人C:あーあ…ゴンディン修行先で死んでてくれないかなあ…
友人D:あのひねくれ者ゴンディンには手を焼かされたよ。またいつか戻ってくるのかと思うとぞっとするな…
ゴンディン: ふん…
ゴンディン: くだらないぜ
ゴンディン: 幻術…じゃないな
ゴンディン: 心術か
ゴンディン: くだらん…
*ゴンディンはそれが自分の心に対する攻撃と判断した。なぜなら、友人たちの言葉は、自分が"そう思われていて欲しくない"と思っていた事を話しているからだ。当然、まったく気にならないわけではない。だが自分は魔術師だと言い聞かせ、努めて冷静になろうとする。
ゴンディン: …
ゴンディン: ……
*現状を把握し、対策を練る。魔術師同士の戦いは常にそうだと師匠から学んだ。心を揺さぶる友人の幻とその言葉…ゴンディンはそれを振り払おうと努力していた。
ゴンディン: あの光か
ゴンディン: 特異点…アストラルプレーン…
*ゴンディンの中で、現状がどうなっているのか、ある程度まとまりつつあった時、世界に変化が起こった。一部、空間が歪む。
ゴンディン: む…
*現れたのは、エハル。
エハル : ツッコミがいた
エハル : とりあえずここをでよう
エハル : それとも残りたいかい
ゴンディン: …どうやらこれは心術じゃないみたいだな
エハル : 正直何がどうなってるかわからないが
エハル : 出る方法がわかった・・・ようだ
ゴンディン: ふん…
エハル : 面倒だから説明しないけど・・・来るかい?
ゴンディン: なるほど、ここはあの装置によって作り出された
ゴンディン: 一種のポケットプレーンのような場所ってわけか
*ご名答。ところで、以下の"マールグのテレパシー"はエハルにしか聞こえていない。またそれに答える"エハルのテレパシー"もマールグにしか聞こえていない。
マールグのテレパシー: これを起動させた人間の精神に影響をうけているようだな。この空間は
マールグのテレパシー: 酷く歪んでいる。きっと自分以外みんな嫌いな人間なんだろう
エハル : あーそう、そんなかんじ
ゴンディン: で、おまえは何をやってるんだ?
エハル : あんたらを助けて回ってるんだよ
ゴンディン: …
エハル : それにしても
エハル : ・・・ひどいとこだな
*ゴンディンの友人たちは声高らかに、ゴンディンの悪口を述べている。エハルにもそれは聞こえるのだろう。
エハル : 出よう
エハル : いいか?
ゴンディン: 貴様に命を預けるというのは
ゴンディン: はっきり言ってはだかでギバーリングの穴へ入るのと同じくらい不安だが
ゴンディン: まあいい、ソーサラーってのはそういうものなんだろうな
エハル : じゃ行くぞ
*跳躍。安全地帯に戻ってきた。
エアリス: おお
エハル : あとは漫才コンビのボケだけだな
エアリス: よかった、無事だったんだな
ゴンディン: あたりまえだ
エハル : 助けにいってくるからまっててくれ
ゴンディン: なんだ、その真っ青な顔は
エハル : いやな夢見たんだってさ
エアリス: ・・・夢をな
ゴンディン: まんまと心術に引っかかったというわけか
エアリス: 心術・・・?
エアリス: 夢にエハルが出てきて、起きたら彼がいたんだ
*エハルはジョダンのもとに跳躍した。
●ジョダンの森
*ジョダンは森の中にいた。日はすでに沈み、その残光だけが空を淡く染める時間。
ジョダン: あら? ここは何処でしょう?
*師匠の塔がある近くの森だと気が付くまで少し時間がかかった。
ジョダン: う〜む、どうやら普通じゃない空間に迷い込んでしまったようですね
*歩きながら、ジョダンもここが通常空間ではないことに気がついていた。
ジョダン: …ってお師匠様!?
*森の中に師匠の姿があった。慌てて駆け寄る。
師匠:ジョダンか…こんなところで何をしている?
ジョダン:わかりません。ここはどこですか?
師匠:ここがどこか、という事はあまり問題ではないな…
ジョダン:知りたいのです。教えてください。
師匠:ここがどこかという事になぜこだわるのだ?お前は昔からそうだったな。まず自分の立っている場所を確認しないと動くことができない。それがどんな些細な事であっても、確認せずには恐ろしくて動くこともできないか!
ジョダン:それが悪いことでしょうか?
師匠:良いか悪いかの問題ではないんだよ。優劣の問題だ。魔術師として、お前のその性格は優れているのか劣っているのかの問題なんだよ。お前は自分が魔術師として優れた部類にいると思っているのか?
ジョダン:思っていません
師匠:ご名答。さすがに優等生な答えだな。だが私にはお前の本心はわかっている。お前は自分が役立たずなのをわかっていて、だけど見捨てられたくないから良い子ちゃんでいたいだけだ。まったくくだらない。私の弟子にそのようなやつはいらないから、お前を旅に出したんだよ。さっさと気がついてほしいもんだな。やっかい払いだってことにな。
ジョダン: ……うぅ、非道いですよお師匠様〜
師匠:お前自身気がついているのだろう?安全な森の中ではお前はゴンディンより優れた呪文をいくつも知っていて、唱える事もできたのに外に出てみればどうだった?ゴンディンは日々成長し、お前のランクよりも下の、初歩的な呪文をより効果的に扱うようになっていった。お前は弟弟子の成長を恐れ、嫉妬さえしていたな?
ジョダン:そんな事は決してない!
師匠:さて、それはどう受け取ればいいのかね?私には図星を突かれて慌てているようにしか見えないな。それとも今、自分の気持ちに気がついたか?認めてしまえばいいのに。そしてお前はお前なりに、自分のレベルの範囲内で満足していればいいんだ。それがお前のためだ。
*ジョダンは師匠のところから離れた。森の中でマールグとも出会った。
マールグ:お前か…エルフの魔術師よ。
ジョダン:あなたは…?
マールグ:忘れたか?エハルの父バランの研究室で会っただろう。
ジョダン:あのときの悪魔ですか…
マールグ:お前は何を持って我を悪魔と呼ぶ?あの研究室で我と出会った時、そなたは我を悪魔・邪悪なものと決め付けてエハルと我の会見に口を挟んでいたな?我が邪悪な意思を持って行動する知性体だとなぜ決め付けるのだ?
ジョダン:状況的にそう判断した
マールグ:それは一切なにも説明しておらんな。あの時お前には我を判断するための状況的材料は少なすぎた。別の理由があるだろう。遠慮なく言うが良い。
ジョダン:外見
マールグ:予想通りの答えだ。お前は我に似た姿の悪魔を模した絵でも見たのだろう。もしくはお前の師が呼び出して見せてくれたか?我はこの世界の生き物に興味を抱いたが、それは一部のものだけだ。お前のようにつまらぬ知性には興味のかけらも抱かぬな。我がこの姿で現れたのは、物事の真理に踏み込もうとする意思の持ち主かどうかを確かめるためだ。お前は我の外見から邪悪なものと決めつけ、そのような対応とか取らなかった。まったくくだらぬ。
*ジョダンはとぼとぼと森の中をさまよう。しかしすぐにもとの師匠のいる場所に戻ってきてしまう。出口らしきものはない。
ジョダン: はぁ…
*師匠もマールグも同じ事を繰り返すだけ。お前はくだらぬ、役立たずだと。
ジョダン: お師匠様、まるで人形のようです
ジョダン: わたしはどうしたらいいのでしょうねぇ?
ジョダン: お師匠様、戻る方法ご存じ無いんですか?
ジョダン: あぁ、何だか気が狂いそうです
ジョダン: はぁ…はぁ…
*ジョダンは倒れた。
エハル : おいジョダン
エハル : いきてるか
ジョダン: はっ
*目を開けると、エハルが覗き込んでいる。
マールグのテレパシー: くだらん、我の幻影までいるな
ジョダン: えぇ、生きて…るんですかね?
エハル : ぴんぴんしてるじゃないか
マールグのテレパシー: 気分が悪い。消すぞ
*マールグの幻影は消え去った。
ジョダン: そのようですね
エハル : 幻覚にでもやられたか?
ジョダン: いえ、もっとキツいお言葉でした…
エハル : え
エハル : えーと
ジョダン: そこにいるお師匠様から…
エハル : とりあえずこれは現実じゃなくて
ジョダン: そうですか…やはり
エハル : 例のアーティファクトのせいで
エハル : ここに閉じ込められたってわけだね
ジョダン: そうだったんですか…
エハル : それでここから出ようと思うんだけど
エハル : 一緒に来るかい
ジョダン: 出られるんですか?
エハル : ・・・まあ、ね
ジョダン: そりゃ大歓迎です!
エハル : よし、じゃあいこうか
ジョダン: はい
*跳躍。
●再会
*エハルがジョダンを連れ戻したことで、再び全員が一同に会した。
エアリス: ・・・
ジョダン: はっ!
エアリス: おや
ジョダン: これは皆さんお揃いで
エハル : 全員そろったか・・・
ゴンディン: 戻って来れたか
エアリス: なんで宙から現われるんだ?
エハル : ここは安全だから休めるよ
ジョダン: では休ませていただきましょう
ジョダン: はぁ
ゴンディン: ?
エハル : さてと・・・ここから元の世界に帰らないとな
ゴンディン: 何だ、疲れたため息なんかついて
エアリス: これも夢なのか?
ジョダン: お師匠様に駄目出しされたんです
ゴンディン: 何言ってるんだ、兄貴、あれはただの幻影だろうが
エハル : さっきの場所とはまた違う場所・・・らしい
エハル : みんないろんな幻覚見たようだね
ジョダン: だといいんですがねぇ
*皆が見たもの聞いたものは、すべて各々の心にある疑惑や心配、古傷が形になったものだ。また、それらは現実と区別はつかない。
マールグのテレパシー: 外に出るには、同じように移動する手があるが。この空間は広がり続けている。すぐに遠くに逃げないとまた捕まるぞ
ジョダン: かなり切ない幻覚でしたねぇ
エハルのテレパシー : なるほど・・・
ゴンディン: だがいったい何のために…?
エアリス: ・・・
エハルのテレパシー : どうすればいい?
ジョダン: さぁ?
マールグのテレパシー: アーティファクトの中心まで道を開けば、止めることもできるだろう
ジョダン: そこの扉から出られないのですか?
エハルのテレパシー : わかった・・・ではそこへ行こう。とりあえずアーティファクトを止めないとな
マールグのテレパシー: そこの扉をつなげた。そこからアーティファクトまでいける
マールグのテレパシー: 警告しておけ、おそらくあの魔術師の影響でだいぶ歪んだ世界になっている。何が出るかわからんぞ
エハル : 魔術師のせいでだいぶ世界がゆがんでるかもしれないらしい
ゴンディン: 魔術師?
エハル : 何がでるかわからないから注意しないと
ジョダン: Vさんの?
エハル : あのVかな
エハル : あの馬鹿のせいでとんでもないことに・・・
エアリス: なんかエハルが頼もしいな・・・
マールグのテレパシー: あるいは、そこのエルフの魔術師の…だ。だがこれは言わないほうがいいだろう
ジョダン: そうですねぇ
エハルのテレパシー : ジョダンが・・・・
*アーティファクト起動を行っていたのはヴェランだが、発動したとき最初に指輪に触っていたのはジョダンだった。マールグはそれを見ていたわけではないが、感じ取っているらしい。
エハル : んじゃいこうか
●アーティファクトの中心
*扉を抜けると、どこかの遺跡の中のようだ。ヴェランが研究室にしていた遺跡に壁や作りが似ているが、しかし違うのも確かだ。
ゴンディン: !
ジョダン: ?
ジョダン: ここは?
エアリス: あれは・・・
エハル : アーティファクトの中心・・・らしいんだけど
ゴンディン: Vの奴だな
*一行は、通路の先の部屋にヴェランを発見した。ヴェランは興味深げにあたりを見回したり触ったりしている。
エアリス: さっきの男・・じゃないか・・・?
ゴンディン: 死んだと思ったら
ゴンディン: 奴も取り込まれていたのか
エハル : どうにかしてアーティファクトを無力化?しないとだめらしいな
マールグのテレパシー : この世界がなくなれば、精神だけのやつは死ぬな
エハル : この世界がなくなれば・・・やつは精神だけだから
エハル : 滅ぶはずだ
ゴンディン: 何であれ敵対している以上は
*近づくと、ヴェランの独り言が聞こえてくる。
ヴェラン : なんなんだここは!
ヴェラン : まあいい…明日になればわかるさ
ヴェラン : おれは天才だから
*と、ヴェランとゴンディンの目が合った。
ヴェラン : あ
ゴンディン: !
*慌ててヴェランは呪文を唱えた。ファイアボールの呪文が一行のいる通路に炸裂する。だが一行はそれに耐え、すぐさま接近してヴェランを倒した。防御呪文を一切かけていない魔術師は簡単に倒されてしまった。
ジョダン: はっ
ゴンディン: ふん
ジョダン: 今の光は?
エハル : 火の玉がとんできたな・・・
ゴンディン: ローグのくせに
ゴンディン: あの程度の火の玉も飛んでかわせないのか
エアリス: ・・・考え事を
*エアリスはまだ先程のショックから立ち直っていない。
マールグのテレパシー: これは面白いな。精神体の再構築が始まったぞ。ここにいるかぎりやつはある意味不死身だな
エハル : 急いだほうがイイ
エハル : ここは現実とは違うから
エハル : 奴が復活するかも
ゴンディン: いるものは各自で拾って行け
マールグのテレパシー: コントロールを覚えれば、好きな世界が作れるわけか
エハルのテレパシー : 元の世界に戻すことも出来るんだな?
エアリス: ・・・
マールグのテレパシー: アーティファクトを破壊しろ。この世界の中からならできるはずだ
*エハルがマールグとテレパシーで会話している間に、一行は鍵のかかった扉の前に立っていた。
ゴンディン: 出番だ
ゴンディン: E
エアリス: ・・・
エハル : アーティファクトを壊すしかないようだなあ
エアリス: OK
*扉が開いた。部屋の中には外で見たのと同じようなアーティファクトが設置され、かすかに振動しながら光を放っている。
ゴンディン: 何か防衛機構を働かせてくるかも知れないからな
*防御呪文を張る。
エハル : なるほど
*一行はアーティファクトを攻撃した。それはガラス細工のように、簡単に砕け散った…
ゴンディン: …
エハル : 簡単に壊れるもんだね
ゴンディン: !
*振動が響く。
ジョダン: ・・・・・・
*振動はだんだんと激しさを増す。
エハル : なんだ・・・・
*と、突然激しい揺れが起こり、全員その場にひっくり返された。遺跡の天井は砕け散り消え去った。何もない黒い空間を光の筋がまるで流星雨のように走っている。そのうちいくつかの光がこの部屋にも落ちてきた。それは火の粉が紙にやすやすと穴を開けるように、部屋に穴を穿つ。穴の向こうは、やはり、何もない。
ゴンディン: この場所が崩壊しようとしてるのか?
ジョダン: きゃああああ
ゴンディン: 落ち着け兄貴
エアリス: 逃げるぜ!!
エハル : そういうことのようだ
ジョダン: (わたわた)
*ジョダンは流星に撃たれ、部屋と同じように消え去った。そこには何もない空間が残っているだけ。
エアリス: 兄貴が!!
*流星はまるで消しゴムのように、すべてをかき消していく…部屋も幻影も一行も…
●帰還
エアリス: くぅ
ジョダン: はっ
エハル : ・・・・もどったのか
エアリス: ・・・
ジョダン: さっきの建物の上ですね
*一行は目を覚ます。シャープティースの森にあった遺跡の上にいた。
マールグのテレパシー: 異常空間は消滅した。安心しろ、ここはそなたのレルムだ
エアリス: 夢か・・・?
ゴンディン: 指輪は
ゴンディン: あるか、兄貴?
エアリス: どこからが夢でどこからが現実?
エハルのテレパシー : 手助け感謝するよ・・・存分に人生ってモノを味わうといい
ジョダン: 拾いましたよ
*指輪はジョダンの手の中にあった。
ゴンディン: ならこれで仕事はおしまいだな
エハル : どうやら全部現実だね
ゴンディン: とっとと行こうぜ
エハル : 全部夢ともいえるけどな
ジョダン: そうしましょう
マールグのテレパシー: そうさせてもらう…しばらく口出しはよそう
エハル : ふふふ・・・そうしなよ
ゴンディン: ?
エハル : ・・・いや、なんでもない
*思わず口に出して答えてしまったエハルだが、仲間たちはマールグの存在は知らない。
ジョダン: あっ、カートさん
エハル : バート・・・
バート : どうでした?
*バートが戻ってきていた。一行が現れたので駆けつけてくる。
ジョダン: そうそう
エハル : 指輪は取戻しました
ジョダン: アーティファクトについては…
ゴンディン: これで晴れて式を挙げられるってわけだ
エハル : ・・・・・・
バート: ここからバルダーズゲート方面に行く足跡を見つけたんですが、かなりの腕前ですね
エアリス: よかったな!!
バート: 途中でまるで痕跡がなくなってました
エハル : Vの共犯者か・・・・
ジョダン: 名前を名乗らない盗賊さんですね
バート: まあ話は帰り道に聞くとしましょう
エハル : (話しても信じないだろうな・・・
バート: この森はあまり安全ではない。砦に戻りましょう
●新しい旅立ち
*一行はミマザ砦まで戻ってきた。ヘラルドが出迎えてくれた。
ジョダン: はぁやっと帰ってきましたね
エハル : ふー
エハル : なんかすごく疲れたなあ
ヘラルド ローガー: 良かった。無事なようだな
ヘラルド ローガー: 指輪の件はどうなったね?
エハル : 取戻しました
ジョダン: 指輪は取り戻しました
ヘラルド ローガー: おお、素晴らしい働きだ
ヘラルド ローガー: おや、レンジャーの彼がいないようだな
ジョダン: あっそう言えばパートさんは?
エアリス: ・・・義理の父ね
エハル : あれ・・・どこいったんだろう
*バートは気が進まないということで外で待っている。以前の門前払いが頭にきたらしい(笑)
ヘラルド ローガー: まあ、彼にも報酬を渡しておいてもらえるかね
*ヘラルドは一行に金貨の入った袋を差し出す。
ヘラルド ローガー: ご苦労だった。ここで休んでいくといい。
ゴンディン: やれやれ、やっとこの面倒な仕事も終わりだな
ヘラルド ローガー: それでは、私は退散しておこう。
ヘラルド ローガー: 出発の時には声をかけてくれたまえ
*ヘラルドは一行に部屋を提供すると立ち去った。
ゴンディン: 明日の朝一で帰ろうぜ、兄貴
ジョダン: えぇ、そうしましょう ゴンちゃん
エハル : 僕もバルダーズゲイトにいく
ジョダン: アリッサさんは?
エハル : 力をもっと制御できないとな
エハル : ・・・・
エアリス: 新婚旅行だな
ジョダン: いいですねえ
エハル : すぐ話をソッチに持ってくなあんたら
エアリス: 式には呼んでくれよな・・・
エハル : いまは修行のことしか・・・頭にないんだよ・・・!
ジョダン: 式場までちゃんと案内してくださいね
エアリス: ・・・ほう
ゴンディン: 花婿修行か
エアリス: 修行だってよ
ゴンディン: ああ、兄貴
ゴンディン: ちょっといいか
ジョダン: 何です?
エハル : 絶対いい師匠についてやるぞ・・・
ゴンディン: これ
エアリス: 俺は旅を続けるよ
エハル : アンナの弟子にしてる魔術師にはつかないぞ・・・
ゴンディン: あいつの親父の形見なんだよな
ゴンディン: あんたから奴に渡してやってくれないか
*ゴンディンはエハルの父の研究室から持ち出した杖をジョダンに渡した。二人はエハルの父が実は生きていることを知らない。
エハル : お別れか
エアリス: 現実から逃げる旅を・・・
ジョダン: そうですか
ジョダン: 分かりました
エハル : おいおい
エハル : 現実から逃げるなって僕にいったの誰だっけ
エハル : なんかそんなこといわれたような気がするんだけど
ゴンディン: 真剣に魔法を学ぶ気になる時が仮に来たとしたら
ゴンディン: 渡そうかと思ってたんだが
ゴンディン: おれが渡すのもいろいろと面倒だからな
ゴンディン: あんたに任せるよ
ジョダン: ふふふ、ゴンちゃんらしいですね
エアリス: ・・あの夢のせいでちょっとな・・・
エハル : 夢は夢じゃないか
エアリス: 俺にとっては夢じゃないんだ・・・
エアリス: まあ、お前はだいじょぶさ!!
エハル : だとしたらなおさら逃げてもダメなんじゃないのかい
エハル : まあ・・・僕にはわからないけどさ
エアリス: ・・・お前変わったなぁ
エハル : ・・・そうかな?
エハル : 正直よくわからないんだけど
エアリス: 嬉しいぜ・・・
エハル : あんたのおかげかもね・・・
エアリス: ・・・ふむ
エハル : ・・・元気でな
エアリス: ・・・お前もな
ジョダン: エハルくん
エハル : ん?
エハル : これは?
ジョダン: これは研究所で見つけた
ジョダン: あなたのお父さんの品です
エハル : ・・・・
エハル : そうか・・・
ジョダン: 貴方が持っていてあげてください
エハル : ・・あまり気が進まないけど・・・まあ、僕が持っててやらないと仕方ないか
ジョダン: きっと修行の役にも立つはずです
エハル : ありがと
ジョダン: (にっこり)
*エハルは杖を担いで見せた。杖は持ち主に反応して光を放つ。
エアリス: おお
ジョダン: 似合いますよ
エハル : やれやれ・・・
ジョダン: ふふふ
エアリス: それでジョダン
ジョダン: はい?
エアリス: 俺はいつまであんたにくっついてれば?
ジョダン: 勿論帰りつくまでです
エアリス: ・・・やれやれ
ジョダン: (にっこり)
エハル : ・・・なんだ
エアリス: ・・・延滞料金がすごいぜ
エハル : じゃまあみんなでバルダーズゲイトだな
ジョダン: その方が楽しいでしょ?
エアリス: 結局一緒か・・・
エハル : 楽しい・・・っていえばそうかもね
エアリス: そうだな、楽しいぜ!!
ジョダン: ふふふ
エハル : へへへ
*そして次の日の朝、一行は再び旅立った。バルダーズゲートに向かって。その後、彼らがどうなったかは…いつか語る時もくるだろう。
完