TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

侍とお姐ちゃん

シリーズ第4弾

当時、東宝が新人だった男性3人を売り出そうとして組ませた「スリー・ガイズ」(夏木陽介、佐藤允、瀬木俊一)とお姐ちゃんトリオが組んだミステリ仕立ての1本。

「スリー・ガイズ」と言うのは、日活のタフガイ石原裕次郎やマイトガイ小林旭などに対抗した東宝宣伝部が、水野久美、上原美佐、三井美奈での「スリー・ビューティーズ」と共に作ったキャッチフレーズで、1959年4月13日、東宝が藤本真澄プロデューサーの肝いりで、「エイト・スターズ(8人の新星)」として、上原美佐、幸田良子、野口ふみえ、柳川慶子、中島のぞみの5人と共に、赤坂プリンスホテルのパーティでお披露目されたと言う。(参考文献:轟夕起夫編著「好き勝手 夏木陽介 スタアの時代」)

主役での共演はなかったようで、やがてすぐに瀬木俊一が引退した事もあり、「スリー・ガイズ」としては、ひょっとするとこれが唯一の共演作なのかもしれない。

瀬木俊一と言う人は、ちょっと馴染みが薄いかもしれないが、太刀川寛などに雰囲気が似た、ちょっと頼りない雰囲気の人である。

先頃他界された佐藤允さんも夏木陽介さんもとにかく若い!

ちなみに、前述の本には「お姐ちゃんシリーズ」の名前の由来も記してあり、ジョセフ・マンキーウィッツ監督、マーロン・ブランド、フランク・シナトラ、ジーン・シモンズ共演ミュージカル「野郎どもと女たち」(Guys and Dolls)の「Dolls」の部分を、森岩雄氏が日本流に訳したものを聞いた藤本プロデューサーが、団令子主演の企画として考案したものだそうである。

シリーズの原型は、戦前の松竹蒲田の「与太者シリーズ」(磯野秋雄、阿部正三郎、三井秀男)トリオらしい。

さらに本作は、「お姐ちゃん世界一周」と言う舞台公演が日劇で、1月7日〜14日まで、映画上映と一緒にあり、「スリー・ガイズ」は舞台で一緒に歌など披露したと言う。

当時は、この手の「映画上映」+「舞台芝居」と言う興行が東宝では時々あったようだ。

さて本作は、ミステリ仕立てと言っても、何故か警察はほとんど介入して来ない設定になっており、真犯人も最後まで分からずじまいと言う奇妙な作品になっているし、3人娘の設定も、又微妙に前作までとは変わっている。

今回のピンチは、夢と現実と混同する夢見る夢子さんのようなキャラになっているのが特長。

また、上原謙が父親役に返り咲いており、母親は亡くなっていると言う2作目の設定に戻っている。

パンチの妹澄子も、何やら2作目の風変わりなメガネっ子風キャラに戻っており、3作目で妹役を演じていた笹るみ子は、新しい花売り娘トリオの1人に変更されている。

余談だが、このパンチの妹の澄子と言う名前、「若大将シリーズ」の恋人役澄子と同じなのは偶然だろうか?

その「若大将」の澄子役の星由里子も、ちゃんと花売り娘として本作に登場しているし(ちょっと気づきにくいが)、「大学の若大将」が始まるのは、この翌年の1961年からである。

さらに、パンチと妹は、センチの家の2階に下宿していると言う事になっている。

センチが日東劇場の踊子をやっていると言うのは同じだが、彼女の兄は刑事…と言う設定は、ミステリ仕立ての物語展開に便利なようにと言う事なのだろう。

とは言え、犯人が最後まで分からないままのミステリ仕立てと言うのも珍しい。

何となく、事件は解決しているような雰囲気で終わっているのだが、その実、前田を射殺した犯人が誰なのかと言う肝心要の部分の謎解きは一切ないままで終わっている事に気づかされる。

最後に死んだ男が犯人なのか?とも思うが、彼は事件の時、ピンチとその父、中原雄太郎、パンチ、加藤らと同じ場所に座っており、その場所から発砲したとは考えにくい。

では、子分の誰かなのか?とも思うが、それを特定する部分は劇中にはないし、第一、すぐに警察がやって来て、その店内にいた客や従業員全員の身体検査をしているはずなので、その段階で何故銃が見つからなかったのか釈然としない。

古い作品なので、どこかがカットされていると言う可能性もあるのだが、何ともすっきりしない幕切れである。

夢の中の描写とは言え、三橋達也の黒頭巾姿はかなり珍しいような気がするし、若き日の谷村昌彦などの姿なども観る事が出来るので、話の展開はともかく、当時の娯楽映画としてはそれなりに楽しめると思う。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1960年、東宝、沢村勉脚本、杉江敏男監督作品。

大学で拳闘をやっている加藤清(佐藤允)は、ガールフレンドのピンチこと中原ゆめみ(中島そのみ)の赤いオープンカーに乗って、銀座を走っていた。

ピンチがごちそうしてくれると言うので喜んでいた加藤だったが、ピンチは、父親の会社「中原産業」の前に車を停めると、今、ゲルピンなので親爺に小遣いねだって来ると言って降りて行く。

社長室では、ピンチの父親の中原雄太郎(上原謙)が、専務の岩田(宮田洋容)相手にそわそわしていた。

そこにピンチがやって来ると、岩田も雄太郎は喜び、これから羽田に一緒に付いて来てくれと言い出す。

香港から、蒙鐸参(もうたくさん)と言う大実業家が来日するのだが、彼は大富豪の13番目の奥さんの息子で、その母親が日本人と言う事もあり、今回は日本で大事業をしようとしているらしいので、ぜひとも近づきたいのだと言う。

しかたないので、ピンチは父親と共に、羽田に向かう事にする。

羽田では、来日した蒙鐸参(三橋達也)を大勢のマスコミ陣連中が取り囲みフラッシュを浴びせていたが、その中に、「週刊ニッポン」のパンチこと壇百合子(団令子)も混じっていた。

蒙は、自分は14億の資産を持っているが、今回の東京オリンピックに全部投資しようと思っているなどと発表していた。

そこに、花束を持ったピンチがやって来てパンチに挨拶すると、カメラマンたちを押しのけ、父親と共に蒙の横に強引に近づき、パンチたちに花束を渡す所を写真に撮らせるのだった。

雄太郎も、しっかり中原産業と名乗り、蒙に名刺を手渡す。

その頃、日東劇場の踊子センチこと影山茂子(重山規子)は、ショーの合間に、恋人で刑事の前田秀夫(八色賢典)から電話をもらい、仕事のためにデートに行けそうもないと断られていた。

刑事部屋では、そんな前田に、側で将棋を指していたセンチの兄で刑事の影山良一(藤木悠)が、あまり仕事でデートをすっぽかすな。俺の妹も待ってくれんぞと冗談を言って来る。

ピンチは雄太郎と共に、蒙を「ラスベガス」と言うキャバレーに連れて来ていたが、あまりに記者たちの取材陣が廻りを取り囲んで迷惑なので、マスターの椿大作(中村哲)に頼んで、記者たちを追い払ってもらう。

椿は、ボーイ3人トリオ、サブ(平凡太郎)、ジョー(谷村昌彦)、ラッキー(久野四郎)に記者たちを排除させるが、一緒につまみ出されかけたパンチはピンチに声をかけ、ポン友と言う事で特別に同席を許される。

すると蒙は、横に座っていたピンチよりも、パンチの方に関心を抱いたようだった。

そんな「ラスベガス」のカウンターには、何故か前田が座っており、赤坂の半玉(田村まゆみ)らを侍らせて来店した高瀬俊吉(瀬木俊一)が声をかける。

そこにやって来た加藤清は、ピンチを見つけると、6時にブラックの前で会う約束だったので来ないじゃないか!おれは腹ぺこだよ!と文句を言うので、ピンチは謝って、テーブルに座らせると、加藤のためにステーキを注文してやる。

店のマダム兼歌手の冬木よし江(草笛光子)がフロア中央で歌い出した時、突如銃声が店内にこだまし、カウンター席の前田が、スポットライトが当たっていたよし江の場所に倒れ込む。

店内は騒然となりかけるが、椿がフロアに出て、犯人はこの店の中にいます。今、警察を呼ぶので、御静かに!と客に声をかける。

それをピンチやパンチ、蒙たちと一緒に目撃していた加藤は、センチに知らせなきゃ!と言いながら席を立つ。

日東劇場の楽屋裏では、ショーの合間のセンチに電話番が、今、センチの恋人がパンチ食らってピンチなんだと言う訳の分からない電話がかかって来たと知らされる。

警察がやって来て、客たちの身体検査を始めるが、その様子をテーブルで観ていたピンチは、何故かそわそわし出す。

加藤がどうした?と聞くと、ちょっとトイレと言い、バッグから小さなハンカチに包んだものを取り出すと席を外す。

そして、身体検査の方に気を取られていた高瀬俊吉の背後に来たピンチは、こっそり高瀬の上着のポケットにそのハンカチ包みを入れて戻って来る。

その後、高瀬の身体検査の番になり、警官から身体を改められると、その包みが見つかる。

包みを拡げると、中には拳銃が入っていたので、その場で高瀬は別室に連れて行かれてしまう。

それを観ていたピンチは、困った事になっちゃった。あの包みは私のものなのと雄太郎に打ち明けたので、雄太郎は驚いて、あれは昔、フランス旅行をした時、今は亡くなった家内が護身用に買ったものだとパンチや加藤たちに教える。

別室で拳銃にことを影山良一から聞かれていた高瀬だったが、そこにピンチ等がやって来て、事情を説明する。

そこにやって来たのがセンチだった。

センチは、前田君がどうかしたの?と聞いて来るが、兄の良一は、職に殉じたと教えてやる。

パンチとピンチは驚いたセンチを慰め、その場で一緒に聞いていた加藤たちは、俺たちの手で犯人を見つけてやるぜ!と悔し気に意気込むのだった。

「週刊ニッポン」の記者冬木正介(夏木陽介)は、銀座の歩道を歩いていて、落ちていたバナナの皮に滑り転んでしまう。

すると、側で隠れていた仲良し花売り娘のエミ(笹るみ子)、ルミ(紅美恵子)、マミ(星由里子)が笑いながら姿を現し、いたずらに引っかかったと喜ぶ。

彼女たちは、時々、冬木に町で仕入れたスキャンダルなどを教えていたが、ちゃんとした報酬をもらえないので、そのお返しのようだった。

そこに、冬木の姉のよし江が近づいて来て、弟に小遣いを渡すが、すぐにその金の1枚を花売り娘たちからスキャンダル費として巻き上げられる。

「週刊ニッポン」の編集部に戻っていたパンチは、北林編集長(南道郎)に、「ラスベガス」の殺人事件は冬木君に任せて、自分は蒙鐸参の方を追いかけたいと進言していた。

そこに、その冬木が近藤さんはダメだったと言いながら戻って来たので、北林は叱りつけるが、彼のお姉さんは「ラスベガス」のマダムなのよとパンチが教えると、北林も、そうか!と冬木の方が殺人事件を調べるには適任だと言う事に気づく。

そんな冬木を、パーテーションの裏に連れ込んだパンチは、殺人事件で自分が撮った2枚の死体写真を冬木に2000円で売りつけ、さらに、何やらアイデアを耳元で吹き込んで、そのアイデア料として、さらに1000円要求する。

そして、自分は蒙の取材に出かけて行く。

その頃、ピンチは、父雄太郎と蒙と共に車に乗り、「夜叉苑」と言う料亭から車で出発していた。

それを見送った女将の民子(清川玉枝)が店に入るのとすれ違いに、コートの下に何かを入れているのか、大きく膨らんだ姿の俊吉が店から出て来るが、そこにやって来たのがパンチで、蒙さんは?と聞かれたので、ピンチと一緒に大島に出かけたと教える。

それを聞いたパンチは、慌てて港に向かう。

門から出かかった俊吉を呼び止め、店の中に戻った民子は、壁にかけてあった掛け軸はどうした?と聞く。

5万で売って、赤坂の芸者などと遊んだと俊吉が恐る恐る答えると、この店の名前が何故「夜叉苑」と言うか知っているね?と睨まれる。

親爺が死んだ時に、おふくろが、今後は「金色夜叉」になると決意した証しでしょう?と俊吉が答えると、自分は金色夜叉の気持ちになって、とにかく金を稼いで来たが、あんたにはその気持ちが分からないようだから。今日からあんたは、店の廊下の拭き掃除から風呂焚きなど、裏仕事を全部やりなさいと民子から命じられる。

俊吉はショックのあまり、コートの中に隠して持ち出そうとしていた壺をその場に落としてしまう。

それを観た民子は唖然としてしまう。

ピンチと雄太郎と蒙鐸参は、モーターボートで大島への連絡船に向かうが、それを見送っていた記者たちの元に遅れて駆けつけたパンチは、ポン友の私を置いてきぼりにするなんて!と遠ざかって行くピンチに向かって叫ぶ。

大島に着いて馬で島を見て回った蒙は、大変気に入り、ここを東洋のモナコにしたいと言い出す。

ピンチと共に同行していた雄太郎は、ぜひその取引相手は我が社だけにして欲しいと頼む。

そんな3人が乗った馬の側に、1機のヘリコプターが着陸し、中から降り立ったパンチが、私だけに独占取材させるって言ったじゃない!とピンチに文句を言いながら近づいて来る。

ピンチは詫びながら、蒙と自分のツーショット写真などをパンチに撮らせる。

一方、「ラスベガス」では、加藤とセンチが店で働かせてくれと冬木よし江に頼んでいた。

同行した冬木が、自分のミスで、センチを東都テレビに紹介して出してもらったのが日東劇場にバレて、センチは首になったのだと説明する。

その頃、ピンチは、大島の宿泊先であるホテルのクラブで蒙とダンスをしていたが、蒙はピンチよりも、その場にいないパンチの方を気にしているようだった。

そのパンチはと言えば、部屋で東京に電話で原稿を送っていた。

原稿を送った後、クラブの前にパンチが来ると、「週刊ムード」の大滝(児玉清)らが待ち構えていた。

クラブの中では、上機嫌になったピンチが得意の歌を披露し始めていた。

蒙の横にパンチが来ると、蒙は喜んでダンスを一緒に踊り出す。

歌い終わりテーブルに戻って来たピンチは、仲睦まじく踊っているパンチと蒙の様子をじっと観てイライラしていたが、それに気づいた父の雄太郎がなだめる。

話があると言い、パンチをベランダに誘った蒙は、ロマンチックな月夜を背景に、自分は今ホームシックにかかっており、話し相手が欲しいと言いながら迫って来たので、パンチは遠くに見えた三原山の御神火に気づいた様子で立ち上がるとその場を切り抜ける。

そこにやって来た雄太郎は、娘のゆめみがあなたの事を慕っているようですと伝えると、蒙は、ゆめみのことも大変素晴らしいとべた褒めする。

しかし、ジョニ黒片手に酔っぱらったピンチは、その後、自分の部屋で牛乳風呂に入っていたパンチの所にやって来ると、これ以上蒙にちょっかいを出さないで!と文句を言う。

パンチは、そんなピンチを軽くかわし、一緒に入らない?と誘ったので、ピンチはその場で服を脱ぎ、ジョニ黒片手に牛乳風呂に一緒に入る事にする。

やがて、1人でピンチが全部飲み干したジョニ黒の瓶が空になったので、それを受け取ったパンチは、センチのペットの猫のミコ用に持って行ってあげましょうと言いながら、湯船の牛乳を湯船に沈める。

下宿している冬木の家に帰って来たパンチは、大島土産と称して、ジョニ黒の瓶に入れた湯船の牛乳を、遊びに来ていたセンチに渡すと、2階の自室に向かう。

居間には、センチと兄の影山の他に、冬木と高瀬俊吉も遊びに来ていた。

2階では、妹の澄子(幸田良子)が、飼っている毛虫を蝶の図鑑片手に観察していた。

澄子は、世界に例がない真っ赤な蝶を作ろうとしているのだと夢を語る。

その図鑑はどうしたのか?と聞くと、パンチが家賃用に渡していた3000円で買ったので、家賃はお姉ちゃんが払ってくれなどと言ので、パンチが怒って、部屋を飛び出していた澄子を追いかけようとすると冬木が入って来る。

冬木はこれはどう言う事なんだ!と憤慨しながら、「週刊ムード」の大滝が撮ったと言う写真をパンチに突きつける。

それは、大島のホテルで、蒙とパンチがダンスしている写真だった。

パンチは、変な焼きもちは焼かないで!と軽くいなして下に降りて行く。

居間では、センチの母親のきよ(水の也清美)が、みんなにイチゴを食べさせていたので、パンチもご相伴を預かろうと座るが、やっぱり大島の牛乳は美味しいなどと言っているので、イチゴにかかっている牛乳が、自分が入っていた湯船の牛乳だと気づき、パンチは食べるのを止める。

横では、猫のミコも美味しそうにそのミルクを嘗めていた。

後日、加藤は、大学対抗拳闘試合のリングに立っていた。

形勢は不利で、相手のパンチで伸びてしまうが、応援に来たピンチが、リング脇から応援すると、急に元気が出たのか、立ち上がって猛攻に移る。

そしてとうとう相手をノックアウトし、試合会場中でカウントテンをやる。

試合に勝利した加藤は、リングを降りると、仲間たちからもみくちゃにされるが、ピンチに俺が勝てたのは君のお陰だよと呼びかけるが、同じくもみくちゃにされていたピンチは、私、蒙さんと結婚するので、これまでの事は忘れてね!とあっさり告げて会場を去って行く。

その後、加藤がボーイをしていた「ラスベガス」にピンチは客としてやって来る。

蒙と雄太郎、パンチも来ており、ピンチは「キッス」をオーダーしたので、加藤はぎょっとするが、「エンゼルキッス」と言うカクテルの事だと言う。

ピンチに振られ、いら立っていた加藤だったが、ジョー、サブ、ラッキーの3人のボーイたちが、こそこそと店を出て行ったので目を光らせる。

フロアでは、センチが踊り始め、そこに花売り娘たちがやって来たので、それを買ってやったピンチは、踊り終わったセンチに花束を渡す。

その花束を持って舞台裏に戻って来たセンチは、いきなり加藤から引っ張られ、部屋の中に引き込まれる。

何事かと驚いたセンチだったが、その部屋の窓から店も裏側が見通せる事が分かったので、一緒に覘くと、裏通りに停まっていた車から何かを3人のボーイが地下室に運び込んでいる所だった。

車に乗って来たのは、頬に大きな傷がある怪し気な男(大友伸)で、その男はマスターの椿の部屋に来ると、小さな小箱を手渡す。

そこに冬木よし江が入って来たので、椿は、これをいつものように、安井の所へ持っていてくれと頼む。

その頃、弟の冬木の方は、影山のいる刑事部屋に、殺人事件の捜査状況を聞きに来ていたが、進展がないと知ると「週刊ニッポン」に戻って来る。

冬木は、記事なんて適当に作り上げれば良いんだと言う北林編集長の言葉の尻馬に乗ったパンチに、君の書くのはいつもでたらめばかりだと言い返すが、パンチは子供扱いするように笑いながら、明治JPチョコを冬木の机の上に置いて出かけて行く。

その後、冬木は、「ラスベガス」の控え室で休息していた加藤の元にやって来て、腹が減ったが金を持ってないかと聞くが、加藤が持っているはずはなかった。

そこにやって来たのがセンチと高瀬俊吉で、高瀬は、家から又持ち出して来た布袋像を取り出して見せる。

冬木とか党は、これで金が出来ると喜ぶが、出かけようとした途端、高瀬が布袋像を床に落として割ってしまったので全員がっかりする。

そんな部屋にやって来たよし江が、センチにこれを届けて欲しいと小さな小箱を手渡すが、椿もやって来て、よし江を外に引っ張り出すと、これを人に頼むむ奴があるか!と叱りつけながら睨む。

その様子を部屋の入口からそっと覘いていた加藤、高瀬たちは、何か様子が変だと感じ、あの包みの中に何が入っているんだろうと冬木は呟く。

国立競技場の客席で、蒙と一緒にゴルフの練習をしていたパンチは、一休みする事にするが、蒙からあれが聖火台だねと教えられると、その聖火台に灯が灯る妄想を観始める。

やがて聖火台の火は、周囲の客席に燃え広がり、国立競技場全体が火の海と化す。

慌てたピンチは、競技場を出て黒崎に公衆電話から事件を通報しようとするが、そこに遅れてやって来た蒙が気づいて追いかけて来ると、それはピンチの観た夢だと公衆電話ボックスの後ろからフォローする。

それを聞いた影山は、ピンチの夢の話に騙されそうになったのはこれで2度目だと言って笑う。

ピンチは、自分が夢を見たのは、蒙が遅刻したせいだと責任転嫁して怒る。

蒙は、百合子さんが出かけようとしていた時にやって来たので遅れたのですと弁解し、百合子さんに自分の秘書になってもらう事にしたと教える。

「週刊ニッポン」に戻って来たパンチから、蒙の極秘取材のためにわざと秘書になったと聞かされた北林編集長は、用心してバレないようにやってくれと喜ぶ。

そこにやって来たピンチは、蒙さんは私のフィアンセよ!とパンチに文句を言うが、パンチはあくまでもお金のために近づいているだけよと答える。

それでも腹の虫が収まらないピンチは、もうあんたをポン友とは思わないから!と言い残して帰って行く。

その日、センチの家の居間に集まったよし江に、冬木、センチ、高瀬、加藤たちは、さっきの小箱は何なのか問いただすが、香水よとよし江はあっさり教える。

加藤が、裏からこそこそ何かを地下室に運び込んでいるが?と聞かれると、あれは酒だとよし江は平然と答える。

冬木は「、ラスベガス」は密輸かなにかに関係しているんではないか?と聞き、高瀬は、前田は、ラスベガスの秘密を調べていて殺されたのではないかと言い出す。

そんな所に、2階から捕虫網を持った澄子が、蝶が逃げたと言いながら降りて来たので、居間の中に逃げ込んだ蝶を捕らえるため、男たちは大騒ぎを始める。

ピンチは、嫁入り修行の一環として茶室に来ていたが、自分の番が来るまでに、正座をしながら居眠りを始めてしまう。

夢の中では、3人娘が江戸時代の町娘の姿で羽根つき遊びをしていた。

そこへ現れた黒頭巾の侍が、いきなりパンチをさらって逃げ出したので、ピンチとセンチは後を追いかける。

途中、若侍姿の高瀬、冬木、加藤の3人に出会ったので一緒に追いかけてもらう。

路上で交通整理をしていたのは、センチの兄影山良一だった。

途中で立ち止まった黒頭巾が刀を抜くと、若侍たちも刀を抜くが、それは玩具のように短い刀だったので、男3人は全員怖じ気づく。

すると、後ろに控えていたピンチとセンチが、その短い刀を受け取り、果敢にも黒頭巾に向かって行く。

見事に黒頭巾を追いつめ、黒頭巾を剥がすと、中から現れたのは蒙鐸参だった。

正体がばれた蒙は、その場を逃げ出す。

その時目覚めたピンチは、あいつは悪い奴だ!パンチを助けなきゃ!と言うと、茶室を飛び出して行ったので、お茶の先生(東郷晴子)は、お嬢様!と慌てる。

赤いオープンカーですっ飛ばしていたピンチは、すぐに白バイ警官に停められるが、トイレはどこ!と焦ってみせると、2人の警官(ジェリー藤尾、堺左千夫)は、仕方ないとばかりに見逃してくれる。

その頃、パンチは、高瀬が床掃除をしている最中の「夜叉苑」に、秘書として来ていた。

蒙は、城東工業の社長から契約料の小切手を受け取っていた。

パンチが茶を運んで来ると、城東工業の社長は忙しそうに帰って行く。

そんなパンチに蒙は、ゆめみさんは生活プランがなくてダメです。あなたは一生付いて来てくださいなどと口説かれるが、今夜はクリスマスイブですねなどとごまかして、編集部に戻ると言い、外へ出るが、その実、廊下から中の様子に聞き耳を立てていた。

そんな蒙の部屋にやって来たのは、「ラスベガス」のマスター椿だった。

こんな所に来るなと言ってあるだろう!と気色ばむ蒙に、お膳立てをしたのは俺たちなんだから、東洋のモナコの分け前を決めておきたいなどと椿は言う。

お前はおれが三国人に化けた舶来健一郎ですと当局に訴え出るつもりだろう?と蒙が睨みつけると、さすがに迫力負けした椿はそんな事はないと下手に出る。

蒙が帰って行くと、1人部屋に残った椿は、やって来た高瀬にふてくされた様子で酒を注文する。

「ラスベガス」のセンチの楽屋にやって来たピンチは、蒙は悪い奴よ。夜叉苑からパンチもいなくなったと教えるが、そんな店先に当のパンチと蒙が連れ立ってやって来る。

フロアには大きなクリスマスツリーが飾られる中、センチの踊りが始まり、ピンチの席に近づくと、さりげなく紙を手渡す。

パンチは、隣に座っている蒙に気取られぬように紙を広げて見ると、そこには裏で待っていると書かれていた。

席を外して裏にいたピンチと会ったパンチは、蒙は悪い奴よ。だまされないで!と聞かされると、それ以上言うな。分かっていると答える。

その時、加藤が通りかかったのでピンチは呼びかけようとするが、何故かそれを無視して、加藤は店を出て行く。

そこに踊り終わったセンチも戻って来て合流すると、ここの奴等は、みんな蒙の子分なんだとパンチから教えられる。

3人娘はよし江の部屋に来ると、前田さんを射ったのは誰?とセンチが単刀直入に聞く。

よし江は、何の話か分からない様子だったが、そこによった椿がやって来たので、3人娘は一旦部屋を出る事にする。

2人になったよし江は、安井さんに持って行った香水の名前は何と言うの?中は白い粉じゃないと言うと、観たのか!と椿が顔色を変えたので、やっぱり本当だったのね。あなたが密輸やってたの!と嘆く。

しかし、そんなよし江をソファに突き飛ばした椿は、おれはお前にうんと贅沢をさせたかったんだと言い訳する。

止めないと、私別れるとよし江に言われると、潮時を観て止めるから…と椿は約束する。

そんな2人の会話を、廊下で3人娘は盗み聞いていた。

警察に電話しなきゃ!とピンチが動こうとすると、目の前に、銃を構えた蒙と、3人のボーイが立っていることに気づく。

その背後では、花売り娘たちが、その様子をこっそり観ていた。

3人娘はボーイたちに捕まり、地下室に連れて来られる。

するとパンチが、デブのサブに急に甘えかかって来て、部屋の隅に引っ張って行く。

その作戦を見抜いたセンチも、「あなた、人殺しのジョーって言うんだって?」等と言いながらジョーを誘い、最後に残ったラッキーはピンチが受け持つ。

加藤は、冬木と高瀬のいる「週刊ニッポン」編集部に来ると、「ラスベガス」を止めて来たと教える。

高瀬は、蒙と「ラスベガス」のマスターはグルだよと「夜叉苑」で知った事実を教える。

そんな所に駆け込んで来たのが花売りトリオで、パンチやピンチたちが地下室に閉じ込められたと知らせる。

その地下室で、ボーイのラッキーと横になっていたピンチは、側に落ちていた鉄パイプを手に取ると相手の頭を殴って気絶させる。

さらに、その鉄パイプをセンチにそっと手渡すと、センチも、自分に抱きつこうとしていたジョーの頭をぽかりと殴り、さらに、パンチを抱こうとしていたサブの後頭部も殴りつけて地下室を逃げ出す。

その直後、「ラスベガス」にやって来たのが、加藤、高瀬、冬木の3人で、3人娘の名を呼びかけながら地下室に起きて来るが、先に気づいていたボーイトリオに、頭を殴られ、地下室内に気絶してしまう。

ボーイたちは、逃げられないようにと、高瀬、冬木たちのズボンを脱がせて上がって行く。

3人娘は、追いかけて来たボーイトリオから逃れようとよし江の部屋に逃げ込んで事情を話す。

よし江は、3人を隣の部屋に隠してやって、探しに来たボーイトリオの目をごまかす。

ピンチは、隣の部屋にあった電話で影山に、「ラスベガス」で監禁されているので救出を頼むが、影山は、警察隊を総動員すると答えて電話を切るが、その実、蒙その手は食わないと、仲間の刑事たちと笑うのだった。

「ラスベガス」で、蒙に会っていたピンチの父親中原雄太郎は、噂によると、あなたは松井工業や横山商事とも契約されたとか?と確認する。

しかし蒙がそんな事はでたらめですよと否定したので、雄太郎は持って来た現金をその場で蒙に手渡す。

その時、フロアに、パンツ姿の高瀬、冬木、加藤がやって来て、ボーイトリオと殴り合いを始める。

乱闘の最中、飾ってあった巨大なクリスマスツリーが倒れ、やがて、その電飾から火が燃え出す。

そんな騒ぎを他所に、蒙は今受け取った金を入れた鞄を持って逃げ出そうと廊下に出るが、そこに待っていたのは、銃を持ったピンチ、センチ、パンチとよし江だった。

背後から、冬木や加藤が近づいて来たので、安心したのか、案外ちょろいじゃないと言いながらピンチが銃の引き金を引くと、それはただのライターだったので、それを知った蒙は今度は自分が銃を取り出す。

驚いた3人娘をかばおうと、よし江が背中を向けた時、蒙が発砲し、よし江は倒れる。

その時、二階の事務所から、銃を持った椿が蒙に突きつけながら降りて来て、もうお前とは手を切った。良くもよし江を…と睨みつけるが、蒙はためらわず椿の足下に向け発砲し、隙を観て逃げ出す。

駆け寄って来た椿は、倒れたよし江から、あなた、もう悪い事はしないわよねと言われ頷くと、ボーイトリオと一緒によし江を病院に運こんで行く。

「ラスベガス」の店内には火が廻っていた。

蒙は、ビルの屋上に追いつめられていた。

追って来た冬木、加藤、高瀬等に向かって射っているうちに弾切れを起こす。

3人娘と3人男にビルの端に追いつめられた蒙は、足を滑らせ墜落して来る。

その後、6人は、消防員がかけた梯子に気づき、それを使って下へと降りる。

後日、「週刊ニッポン」の誌面に「侍とお姐ちゃん捕物帳」と題された事件ルポが掲載される。

冬木、高瀬、加藤と晴れ着姿のパンチ、センチ、ピンチは、黒崎の家で百人一首をしていた。

そこに中原雄太郎がやって来てピンチを廊下に呼ぶと、パパと一緒に羽田に行ってくれ。今度こそ、本物の蒙鐸参が来るのでと頭を下げるが、ピンチはもう、たくさんよ!と言い返して、部屋に戻って行く。

やがて、おつむの弱いピンチが、自分の座布団の下に多くの札を隠していた事がバレ、ピンチは外の庭に逃げ出す。

それを追って他の5人が庭に降りると、正月らしく獅子舞がやって来たので、冬木とパンチ、高瀬とセンチ、加藤とパンチはそれぞれカップルを作って庭のテーブルに座り、愉快そうに眺めるのだった。