NHK人気テレビドラマの映画化シリーズの9作目でシリーズ最終作。
前作から2年後に作られているせいか、それとも、同じ原作者の小説をベースにしているせいか、ちょっと今までとは雰囲気が違った作品になっている。
メインの東京日報や中央日々などは同じメンバーだが、他の社の記者たちの顔ぶれなどはかなり違っている。
特に、今回の事件のきっかけともなる記事を書いた新日本タイムスのオカさんなどは全くの新顔である。
捜査一課長の役者も替わっている。
逆に、シリーズ前半で活躍していた村田部長刑事 、通称村長(むらちょう)が久々に再登場していたりする。
事件そのものは比較的シンプルであり、アリバイ工作にちょっとひねりがある所が見所。
劇中で、色々なタイアップ商品の紹介が出て来る所は相変わらずだが、日清のチキンラーメン(袋)が何度も登場する所は注目に値する。
インスタントラーメン誕生の時代と言う事だ。
又、電送写真が送られて来るシーンなども興味深い。
大掛かりな本当の装置を写しており、ハンドバック程度の大きさの金属製の円筒形のものに記録されたものを、現像室で現像したりしている様子が映し出される。
ファックスが登場する以前の装置である。
映画の出来としては、シリーズの中でも中の下くらいかな?…と言った感じで、特に退屈と言う訳ではないが、いかにもシリーズ末期の作品特有のインパクトのなさは感じられる。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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1962年、島田一男「出獄」原作、日活、山口純一郎+西島大脚本、山崎徳次郎監督作品。 印旛沼に銃声が響く。 久々の休暇で鴨撃ちに来た東京日報のスガちゃんこと菅(沢本忠雄)や、中央日々新聞のガンさんこと岩見(山田吾一)、新日本タイムスのオカちゃんら、記者仲間4人組だった。 猟銃を撃っていると、一羽の鴨に当たったので、喜んで小舟を近づけ、水に浮いていた鴨を回収したスガちゃんたちだったが、その時、近くにもう一体、水に浮かんでいる水死体を見つける。 桜田記者クラブの東京日報の部屋で、スガちゃんからの電話を受けた相沢キャップ(永井智雄)は、水死体を発見したと言う知らせに受け、うちの独占か?と喜びかけるが、オカちゃんら他社の記者も一緒だと聞くとがっかりする。 現場に駆けつけて来た村長こと村田部長刑事(宮阪将嘉)と一緒に、沖に上げられた水死体を注視するガンさんら。 水死体は顔面がつぶれ、ふくれあがった両手の指もなくなっていた。 身もとを突き止める証拠になりそうなのは、髪が短い事と、奥歯にプラチナがかぶせてある事くらいだった。 スガちゃんらが帰って来た記者クラブに集まっていた各社のキャップたちは、今回の水死体は殺人事件ではなく、事故死になりそうだと話し合っていた。 そこに事務員のみっちゃんこと光子(葵真木子)が出社して来て、鴨はどこにあるのかと聞くと、すでに食いしん坊のガンさんが調理している所だという。 その頃、東京日報の部屋では、スガちゃんが、印旛沼の水死体はこの男ではないかと、一枚の写真付き手配書を相沢キャップに見せていた。 丸勝と言う会社の業務上横領で手配中の榎本和男と言う男だった。 相沢の指示により、スガちゃんと浅野(綾川香)は、榎本を調べるため、さりげなく警視庁から車で出発していた。 その様子を観ていたのは、ちょうど出社して来た中央日々のウラさんこと浦瀬(高城淳一)とオカさんだった。 記者室に入ると、鴨が焼けたと、他の記者やキャップたちに振る舞っているガンさんの姿があったので、ウラさんは、何をしている!スガちゃんやオカさんらは出かけたぞと叱りつける。 オカさんは、築地で丸勝と言う会社を探し当てると、そこにはすでにスガちゃんと浅野が先着していた。 しかし、今、社長は来客中だという。 社長は、、本社の監査が来るのでと借金の返済を迫っていた金融業者加納正雄(森塚敏)に、金を返して欲しければ、逃げている榎本を探してくれ!と訴えていた。 では、この店を担保に押さえますよと加納が迫ると、うちにも血の気の多いのが大勢いるぞと怒鳴り返した社長は、所長に言っとけ、昨日今日の仲じゃないだろうと…と言って追い返す。 部屋の入口で交差する形となった加納と目が合ったオカさんは思わず挨拶してしまう。 その直後、誰?と他の記者から聞かれると、どっかであった事あったような…と曖昧なことを言う。 スガちゃんからの電話を受けた相沢キャップは、行方不明の榎本も、奥歯にプラチナをかぶせていたとの報告を聞き、夕刊の締め切りを待たせると伝える。 その頃、捜査一課では、捜査一課長(松下達夫)が記者たちに囲まれていた。 同席していた村長は、泳げないものを水に落とせば、死体は同じ状況になると、まだ事故死とは断定できない旨、説明していた。 東京日報の部屋に帰って来たスガちゃんは、榎本の写真を手に入れたと相沢キャップに見せる。 しかし、その時、ヤマさんこと山崎(園井啓介)から電話が入り、京都の烏丸署に榎本が自首したとの報告をして来る。 それを知ったスガちゃんは、では今朝の死体は?と不思議がり、部屋にいた八田さん(大森義夫)は、身元不明だと振り出しに戻った事を指摘する。 記者クラブ内では、オカちゃんが風邪気味なので早退させてくれと言い、磯辺記者に跡継ぎを頼んで帰って行く。 加納が勤めている「大福金融」 今日は土曜日と言う事もあり、所長の大沢周平(衣笠力矢)に、田辺と言う社員が、見合いのため、これから田舎に行かせてもらうと報告していた。 その後、今度は女子社員の古賀智恵が、先に帰ると大沢所長に断りながらウインクして来たので、大沢はあわてる。 その後、田辺が帰り支度をしていたロッカー室に、江島洋子と言う女子社員がやって来て、洗濯物があったら出しておいてと声をかける。 汚れ物があったら洗いたくなるという洋子は、ついでに加納のロッカーも勝手に開け、中にしまってあったジャンパーとズボンを取り出すが、ドロと水で汚れていたので、いつ釣りに行ったのかしら?と首を傾げる。 そんな「大福金融」に郵便が届き、宛名を確認した大沢社長は、自分と加納と江島の3人宛に、同じような封筒が3通届いている事に気づく。 自分宛の封書を開けてみた大沢所長は、中から出て来た紙片を観て顔色を変える。 洗濯室で加納のジャンパーのポケットを調べていた江島洋子は、「丸久」と書かれたマッチ箱を見つけていたが、その時大沢所長から呼ばれたので所長室に向かう。 大沢は、私と加納君と君に同じ封書が届いた。中味は同じなはずだと説明し、江島宛の封書を渡す。 洋子が中を改めると、「約束だ 1年前の礼に行くぜ 新の字」と書かれた紙片が入っていた。 そこに加納も戻って来たので、封書を渡し中を確認させると、加納も驚き、この新の字と言うのは、あの筋ですよ。真治とか、新吉と言った…と言いながら、1年前の新聞記事をスクラップ帳を持って来る。 そこには、大沢と加納と江島の3人が、1年前地下鉄で婦人警官を手伝い、スリの逮捕に協力した記事が、3人の顔写真と名前入りで載っていた。 捕まったのは、ハコ師の新吉こと松本新吉というスリの常習犯だった。 警察に届けますか?と心配する洋子に、大沢所長は、ただの嫌がらせだろう。本当に危害を加えるつもりなら、わざわざこちらが警戒するような手紙を寄越すはずがないと言う。 その夜、自宅で2人暮らしの母親と夕食をすませた洋子は、心配のあまり食が進まなかった。 その時、突然、江島洋子と言う娘にうちはこちらかね?と言う男の声が玄関から聞こえたので、母親が様子を観に行ってみると、玄関が開きっぱなしになっており誰もいなかった。 洋子の元に戻って来た母が、心当たりはないのかい?隠さないで言っとくれと追求すると、洋子は諦めたように、会社で受け取った脅迫状を取り出してみせる。 土曜の夜の「大福金融」 大沢の電話がかかって来るが、無人なので誰も出ない。 通用口には誰かの陰が窓ガラスに映っており、その人物が外からブザーを押すが、やはり会社内は無人だったので誰も応答しない。 公衆電話ボックスから出て来た大沢所長は、「大福金融」に向かう。 通用口では、まだ誰かが外に立っておりブザーを押していた。 会社の玄関口に到着し、鍵を開けようとしていた大沢所長は、突然名前を呼ばれ、ぎくっとして振り返る。 そこにいたのは、いつも出前を頼んでいる来来軒の出前持ちだった。 丼を引き取りに来たのだという。 今日は土曜日なので誰もいないらしい。丼は勝手に探してくれと言いながら所長室に入った大沢は、これから仕事ですか?と聞きながら帰る出前に頷いてみせる。 その直後、又、所長室の電話が鳴り始めるが、何故か大沢はそれを取ろうとしなかった。 その電話は、家に電話がない洋子が、母親に外の公衆電話まで付いて来てもらいかけていたものだったが、誰も応答しない事が分かると、諦めて帰ることにする。 大沢所長は、1人で帳簿を呼んでいたが、通用口から中に侵入して来た謎の人物が所長室に入って来ると、気配で気づき顔を上げ、侵入者の顔を観て「あっ、君は!」と驚愕する。 その頃、ガンさんは記者クラブで他社の記者と将棋をやっていたが、腹が減ったという相手に、持っていたチキンラーメンを見せる。 すると、そこへ見知らぬ男が、ここが記者クラブか!と怒鳴りながら入って来たので驚く。 酔ってクラブ内に侵入して来たのは加納だった。 僕は命を狙われているんです。何故狙われなきゃならないんです!1年前、地下鉄でスリ逮捕に協力しただけなのに、それが新聞に載ったからだと言いながら、その新聞の切り抜きを取り出してみせる。 それを観たガンさんは、これは新日本タイムスのオカさんが書いた記事だと気づくが、そのオカサンは早退していた。 それを聞いた加納は、書いた記者がいない?僕は殺されるんだぞ!と叫ぶ。 その頃、記者たち馴染みの小料理屋「ひさご」で飲んでいた相沢キャップは、加納が記者クラブに抗議に来た話を電話で受け、ハコ師を調べておいてくれと指示を出していた。 そして、興味を示して来た他社のキャップたちに、スリのお礼参りなんだと事情を教えてやる。 一課長の元にやって来た鑑識課の主任警部(八代康二)は、水死体には生活反応が多かったし、飲んでいた水の大半が淡水だった事から、被害者は淡水で溺死させられた可能性が高いと報告していた。 それを聞いた一課長と村長は、もう少し様子を見てみよう。仏の身もと調べが先決だと話し合う。 そこに記者クラブから電話が村長宛に入り、ハコ師の事を聞いて来た。 記者クラブのソファーには加納が寝ていたが、そこに「ひさご」から、酔いつぶれた新日本タイムスのキャップクマさんこと熊田(外野村晋)を抱えて、相沢キャップたちが戻って来る。 キャップたちは、今回のスリのお礼参りは新聞記事が発端になっているので、ここは共同戦線で行こうと話し合う。 とりあえず、新吉のいそうな場所として、妹がやっている自由が丘の洋裁店「ミモザ」の名が挙がる。 新吉は刑務所を1週間前に出ていた事も、村長がガンさんや浅野に教えてくれた。 浅野はそれをすぐさま相沢キャップに伝える。 記者クラブでは、八田さんらが、加納が受け取った脅迫状を読んでいた。 キャップたちは記者たちに仕事を分担し、ウラさんはガンさんにスリを調べるよう命じる。 イナちゃんこと伊那(滝田裕介)と共に「ミモザ」にやって来たスガちゃんは、すでにエンちゃんが来ている事に驚きながらも、新吉から連絡がなかったと聞くが、釣りに行く話をしていただけで、どうせ飲む相談でしょうと新吉の妹は答える。 その頃、大沢の自宅を訪れた浅野が、門の所に現れた妻に大沢はいないかと聞くが、そんな事なら古河智恵と言う女に聞いてくれと憎々しげに答えるだけだった。 一方、江島洋子と母親は、自宅で警察に届けるべきかで迷っていた。 その時、玄関でノックが聞こえたので2人は又怯えるが、東京日報のものです。加納さんから話を伺いましたと言う声が聞こえたので、洋子が恐る恐る玄関口に出てみると、そこにはスガちゃんたちが立っており、自分たちは警視庁詰めのものですと自己紹介したので安堵する。 相沢キャップは、イナちゃんからの電話で、「ミモザ」の妹と言うのは後妻の子だそうで、自分はこれから碑文谷署に向かうと連絡を受ける。 その直後、今度は浅野から電話が入り、大沢には古河智恵という愛人がおり、原宿に住んでいるらしいので向かってみると報告を受ける。 電話を置いた浅野に、もう一人の記者が、ヤマザキのレーズンパンを腹ごしらえ用に持って来てくれる。 智恵はマンションの自室で、ケンちゃんと言う学生と抱き合っていた。 そこに浅野たちがやって来るが、ケンちゃんにドアを開けさせ、気にせずそのまま部屋の中に浅野たちを招き入れる。 所長が来ていないかと聞かれた智恵は、あの奥さんが私の事酷い事言ってたんでしょう?でも関係ないわ。所長、使い込みでもしたの?あのケチンボ!と口汚くののしって、突然笑い出すのだった。 村長は、何となく様子を見たくなって「丸福金融」にやって来ていた。 そこに、丸山刑事も偶然やって来たので、2人は入口を調べてみるが、何故か鍵もかからず開いていたので、不審に思い、中に入ってみる。 やがて2人は、所長室の中で、日本手ぬぐいで首を絞められて死んでいる大沢所長を発見する。 記者クラブでは、キャップらがあれこれ事件のことについて話合っていたが、腹が減って来たと言うので、ウラさんが、ガンさんが隠し持っていたというチキンラーメンを大量に持って来る。 その時、八田さんが、50前までスリをやって来たような男が、今さら脅迫などと言う事をやるかね?と疑問を口にする。 そこに、ヤマさんが飛び込んで来て、大沢が殺されたと言う知らせを持って来る。 それを聞いた八田さんは、命拾いしたね、この男…と、ソファーで眠りこけていた加納を見ながらつぶやく。 警視庁からパトカーが出動して行く。 東京日報の部屋では、相沢キャップ以下、浅野、ヤマさん、イナさん、八田さんらが仮眠を取っていた。 早朝、電話の音で相沢キャップが目覚めるが、それは他社の電話だったと気づく。 そんな中、クラブ内のソファーから起き上がった加納が、出社して来たオカさんに、ここはどこでしょう?と聞いて来る。 ここは記者クラブで、僕とイナちゃんで、あんたの事を記事に書いたんだと、オカさんは加納に打ち明ける。 その時、八田さんも目覚めたので、もう少し寝ていた方が良いですよとオカさんはいたわる。 夕べ、あんたがここへ来たのは何時だった?とオカさんが聞くと、八田さんが9時前だったと、起きて来た記者たちが教える。 何かあったんですか?と不思議がる加納に、八田さんが、大沢所長が殺された事を教えると、加納は驚愕する。 捜査会議では、一課長が、高札に使われたのは、被害者の日本手ぬぐいだったことから、犯人は、部屋の中で見つけた手ぬぐいで絞殺したのだろうと刑事たちに伝えていた。 その時、参加していた村長に電話が入り、今、イナちゃんに連れられて加納が来たと知ると、一課長に報告し、遠藤刑事(玉村駿太郎)に受け取りに行くように促す。 その後、部屋の前に集まって各社の記者たちに、課長会見だと言いながら中に入る事を許す。 一課長は、大沢所長が殺された死亡推定時刻は8時前後と教え、その後を次いで、今度は村長が、スリの新吉は、3日前まで義理の娘の所にいた事は確かだと記者たちに教える。 その頃、スガちゃんは、張込み先の江島洋子の家で朝を迎えていた。 夕べはいて下さって安心したと礼を言う洋子と母親に対し、スガちゃんは、表には警官が2人も警護しているから安心ですよと説明する。 そこへ郵便屋が手紙を持ってやって来る。 それを受け取った母親は青ざめ、スガちゃんに渡す。 前のと同じですね?中を見てよろしいですかと確認したスガちゃんは、封筒の中に入っていた紙を読む。 そこには「今度はお前の番だ」と書かれていた。 相沢キャップは、スガちゃんからの電話で、洋子の家に第2の脅迫状が届いたと言うので、すぐさま、応援に浅野を向かわせる。 共同部屋に出て来た相沢キャップに、酔いが冷めて起きたクマさんが、共同戦線は破棄すべきだと言う。 自分は酔って寝ていたし、オカさんも風邪で早退した中で取り決めた事だからと言うのであった。 それは承知した相沢キャップだったが、この事件は新聞報道がきっかけになっていることもあるんだから、各社協力してスリ野郎をやっつけようじゃないかと改めて提案する。 そして、江島洋子に第2の脅迫状が来た事を全キャップに教えるのだった。 「大福金融」では、本社の会計監査が入り、帳簿を調べた所、600万の使い込みがあった事を突き止められていた。 そこへやって来た浅野は、その場にいた村長に、洋子に第2の脅迫状が届いた事を教える。 その頃、警視庁にいた加納は、一課長に抗議をしていた。 そこに村長から電話が入り、江島洋子と古河智恵を連れて来たとの知らせが配置課長に入る。 課長室を出た加納は、村長に連れられやって来た江島を観ると、君に第2の脅迫状が届いたそうだね。会社で600万の不正があったそうだね?所長が使い込んでいたのか…。古河君が所長の2号だったなんて…などと一方的に話しかける。 その時、洋子と一緒に帰って来たスガちゃんと加納は、何故か目が合ってしまう。 刑事からお帰りくださいと言われた加納は、僕は命を狙われているんですよ!と抗議をするが、刑事は、出張所は監視していますからと加納を安心させるのだった。 警視庁に連れて来られた古河智恵の方は、三興石油の息子のケンちゃんと言う学生が自分のパトロンであり、大沢所長とはセックスの興味が合ったので付き合っていただけだと、世間の常識とは逆の説明をあっけらかんとする。 記者クラブの東京日報の部屋では、大沢は600万もの金を何に使ったんだろう?と八田さんや相沢キャップたちが話し合っていた。 洋子を警視庁から送って行く帰り、茶店に寄ったスガちゃんがタバコを取り出すと、洋子から印旛沼にある「丸久」と言う店のマッチを渡されたので、不思議がると、加納さんの服のポケットから出て来たものだという。 俄然、加納の事に今日身を持ったスガちゃんは、どんな男かと聞くと、ちょっと変わった人だと言うので、株をやっていますね?と洋子にかまをかけてみる。 しかし、さすがに洋子はそこまで知らないようで、何故そんなに加納の事ばかり聞くのか?とスガちゃんに尋ねる始末。 東京日報の部屋では、八田さんが、どうも新吉はピンと来ない。あの脅迫状は、本当に新吉が書いたんだろうね?と疑問を口にしていた。 相沢キャップが、手紙に指紋はついていなかったそうだと教えると、名を明かしている新吉が、なぜ指紋を消さねばならないんだね?と問いかけ、筆跡を調べる事が先決だねと助言する。 妹がやっている洋装店「ミモザ」に新吉が書いた手紙のようなものがないかと調べに行ったイナちゃんだったが、収穫はなく、これから刑務所のある仙台へ飛びましょうか?と電話が相沢キャップに入る。 しかし、相沢キャップは、仙台支局に調べてもらいましょうと答え、その場からヤマさんに電話をかけさせる。 そんな会話を、部屋の外に立っていたオカさんは全部盗み聞いていた。 中から浅野が出て来たので、「ルピット」のお陰で風邪が治ったよと言いながら、オカさんは薬瓶を渡して自分の部屋へ戻るが、良く見るとそれは胃腸薬だったので、まんまとオカさんにやられたと悟る。 その頃、自宅で目覚めた加納は、誰かから電話を受け、こっちから連絡すると言ったろう?株なんかに構っている暇はないと苛立たしそうに着る。 スガちゃんは相沢キャップに、洋子への張り付きを止めさせてくれと頼んでいた。 洋子が何となく、スガちゃんに個人的な好意を持ち始めているのに気づいたからだった。 事情を察した相沢キャップは、課長会見の方に出席するよう指示する。 そこに仙台支局の三宅支局長から電話が入り、刑務所に新吉の筆跡が残っており、それと脅迫状の筆跡は全く別だったと聞いた相沢キャップは、新吉の身体検査表などを電送写真で送ってくれと依頼する。 その連絡を横で聞いていた八田さんは、新吉が脅迫状の主ではなかったとすると、後考えられるのは内部の犯行だなと指摘する。 となると、可能性と浮かんで来るのは田辺と加納と言う2人だったが、加納は事件当夜、この記者クラブで一晩中寝ていたというアリバイがある。 相沢キャップは、そのアリバイをもう一度調査するよう指示を出す。 電送写真が届き、現像した新吉の顔写真や身体検査表が明らかになる。 一課長の部屋に来た相沢キャップは、松本新吉の居場所を聞くが、それなら一昨日の朝、印旛沼ですでに見つかっていると教えられる。 あの水死体が!と驚く相沢キャップに同席していた村長は、身体検査表の歯の検診欄を読んでみろと言う。 そこには、「奥歯にプラチナ冠」とちゃんと記されていたので、相沢キャップは資料を提出しておきながら、自らそこを見落としていた自分に悔しがる。 加納の当夜のアリバイを調査した刑事は、バーで喧嘩した後記者クラブに来ているが、その簡易30分の空白があると報告する。 つまり、バーでわざと喧嘩をし、アリバイを作っておいてから大福金融へ行き、犯行後、記者クラブにやって来た可能性があると言う事だった。 見合いで田舎に帰っていた田辺が出社して来て、田舎でも警察の取り調べがあり大変だったなどと更衣室にいた加納に話す。 加納は、自分のロッカールームの中にジャンパーとズボンがない事に気づく。 それを観ていた田辺が、江島君が洗っていたと教えたので、洗濯の干場へ行ってみるが、すでにジャンパーとズボンはなくなっていた。 持って行きやがった…と加納は悔しげにつぶやく。 その頃、自宅にいた江島洋子は、電話だと隣の住民が知らせに来たので、スガちゃんだと思い込みいそいそと出かけて行く。 記者クラブでは、加納が逃げたらしいとの知らせがキャップたちにもたらされていた。 村長は、丸福金融に向かう。 洋子の家を訪れたスガちゃんを見た母親は、さっき加納さんから洋子に電話があり、一緒に釣りに行ったあなたが怪我をしたので、自分のジャンパーの中にあったはずの自分の私物と金を持って来て欲しいと言われて、洋子は今しがた出かけた所だと伝える。 その頃、印旛沼に呼び出された洋子は、加納と出会い、持って来た判子とマッチを渡そうとして、その判子の名前が加納ではなく、松本と言うものだったので不思議がる。 あの男には5日ほど前に会ったと加納は話す。 それから所長を殺しに行ったのさ…。加納は洋子に犯行を自白し始める。 あのスリも、所長の後を追って行った。 最初、加納が何を言っているのか分からない様子だった洋子に、僕がやったのさ。スリが行ったのはあの世さ。僕は株で損して横領した罪を所長にかぶってもらった。そして、その罪をスリに着せたのさ。今度の計画は完璧だった。たった1つの失策を除いて…と加納は、周囲に誰もいない沼のほとりで話し続ける。 それは、君に判子を見つけられた事さ。でも君にも後を追ってもらうのさ。明日の新聞には、脅迫状でノイローゼになり自殺したと載るだろうと言いながら、加納は洋子の首に手をかけて来る。 その時、村長ら警察が駆けつけて来たので、加納は沼地を逃げ出す。 村長は威嚇射撃をしながら、悪あがきは止めろ!お前がやった事はすっかりバレているんだ!と叫ぶ。 やがて、加納は逮捕され、その手に手錠をかけられる。 そこに駆けつけて来たのは、各社の記者とカメラマンたち一行だった。 全員足下はドロだらけだった。 オカさんとガンさんは転んでしまうが、起き上がったガンさんは、自分がドジョウを掴んでいる事に気づき喜ぶ。 江島洋子は、スガちゃんとイナちゃんが保護していた。 スガちゃんは、人間って哀れなものですね…とつぶやき、イナちゃんは、金と言う現実に押しつぶされたんだな…。明日の朝刊は、久しぶりに派手になりそうだと言うと、スガちゃんと洋子と共に車に乗り、印旛沼から走り去って行く。 |
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