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CHECKERS IN TAN TANたぬき

1985年、フジテレビジョン、川島透脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

とある地方の大きな湖の側の森の中を、夜、一台の車が通っている。

運転しているのは、カメラマンの冬木洋介(ジョニー大倉)、助手席に乗っているのは、恋人でディスクジョッキーをやっている岸田由美(宮崎美子)。

洋介は、東京での同じような仕事に飽きてきて、東京を離れる事によって、何かがつかめるかも知れないと思っていたのだった。

由美は、喉が渇いたと言い出すが、こんな山奥にドライブインなどあるはずが…

あった。

突然、車の前に「50'S」とネオンが輝く店が出現する。

驚きながらも、2人が中に入ってみると、そこでは、イカすバンドが演奏しており、大勢の若者たちが踊り狂っていた。

それはまるで、原宿などと同じようだった。

しかし、テーブルに着いた洋介は、どうも様子がおかしい事に気づく。

ここにいる若者たちは、どうやってここに来たのか?

店の表には、車など一台も停まっていなかったからだ。

その時、突如、店の中に警報ブザーが鳴り出し、バンドのメンバーたちも、踊っていた若者たちも、慌てて店の外に逃げ出し始める。

外には、猟犬を連れた怪しい外国人たちが近づいていた。

草むらに身を潜めたフミヤ(藤井フミヤ)は、空にかかる大きな月を見上げる。

その月が雲に隠れ、一辺は闇に閉ざされるが、そこに、侵入者たちがスポットライトを照らし出す。

フミヤは、大きな耳が生え、ヒゲが伸び、尻尾が出て、半分たぬきに変身した後、捕まえようと迫って来た一人の外国人を倒して逃げる。

空のヘリから、大きな檻が森の中に落とされ、何人もの若者が捉えられるが、やがて彼らはたぬきの姿に戻っていた。

洋介が気がつくと、店は跡形もなく消え失せていた。

側には、ジュークボックスの玩具と、由美が倒れていたので、起こすが、そんな2人の様子を、木の陰から一人の少女が見守っていた。

夜が開けた頃、フミヤとナオユキ(藤井尚之)、モク(高杢禎彦)の三人は、近くの駅に近づいていた。

気がつくと、トオル(武内享)、マサハル(鶴久政治)、クロベエ(徳永善也)、ユーチャン(大土井裕二)、そして、近くに逃げて来ていたので、互いに顔を合わせる。

どうやら、助かったのは、バンドメンバーの7人だけのようだった。

フミヤは、東京に出てバンドをやろうと言い出し、全員、貨物列車に乗り込む。

フミヤはさらに、俺たちは今日から人間だ。たぬきってことがバレたら終わりだと年を押すが、言っている側から、ナオユキだけ、まだ大きな尻尾が出ていたので注意する。

フミヤたちが乗り込んだ列車を、近くの土手から少女が見つめていた。

少女の手には、ジュークボックスの玩具が握られていた。

そんな少女に気づいたのは、車で通りかかった洋介だった。

洋介は、少女の写真を撮ると、車を降り、土手を上ると、彼女に近づいて行く。

動き始めた列車の中、トオルは外を眺めながら、「バイバイ!」と呟く。

「涙のリクエスト」が流れ…タイトル

アニメのたぬき(青いチェック柄)が町の中を歩くアニメ。

アニメのたぬきたちが、テレビのスイッチを入れると、そこには、たぬきの長老、老師様(有島一郎)の姿が映し出される。

老師様は、たぬきたちに向かい、たぬきの心得を説き始める。

一つ、月の光を大切にする事。月の光はたぬきの力の源だから。

二つ、平常心を忘れないように。慌てると、力を発揮する事が出来なくなる…

…と言っている側から、目の前に蜘蛛が降りて来たのを見た老師は、大袈裟にわめく。

やがて、月を見上げた老師は、たぬきの姿に変身するのだった。

たぬきたちが、テレビのチャンネルを変えると、そこには東京のテレビ局で唄っている、フミヤたち「チェッカーズ」の姿が写っていた。

スタジオ収録が終わったチェッカーズに、ディレクター矢尾勘平(財津一郎)が愛想良く近づいて来て、帰る彼らを見送るが、もうその表情は不機嫌そうに曇っていた。

そんな矢尾の様子に気づいたフロアディレクターの鈴木(伊藤克信)が、彼らを嫌いなのかと聞くと、自分はかつて「オカルト勘平」と言われたほど、UFOや怪奇現象の専門家だったのに、ある時を境に八百長だと揶揄され、今や、あんな連中を撮るまでに落ちぶれたと矢尾が嘆くので、鈴木は、自分も矢尾さんの番組は、学生の頃観ていましたと告白する。

昔の事を思い出しながら、悔し気に、食べていたカレーのスプーンを放り投げた矢尾だったが、そのスプーンが曲がっているのに気づき、我が事ながら愕然とする。

通用口から出ようとしたチェッカーズの面々は、外にで町の女の子たちが大勢群がっていたので、危険を感じ、廊下の反対側に逃げ出すが、彼らに気づいた女の子たちがドアから局内に突入して来る。

そんな事に気づかず、廊下に出て来たマネージャーの芝山はじめ(尾藤イサオ)は、迫って来る女の子たちの先頭に立つ形で逃げるはめになってしまう。

女の子たちは、公衆電話で電話をかけているヒゲの男には気づかず通り過ぎてしまうが、そのヒゲの男はトオルで、他のメンバーたちは、シャッターの後ろ側に隠れていた。

トオルが、ドラマのセット用電話でテレビ局の入り口に呼んだのは救急車で、女の子の間を縫うように、運び込まれる顔中包帯の男と、マスクをかけた救急隊員たちは、チェッカーズが変装した姿だった。

しかし、救急車に乗り込み、閉めたドアに、チャック柄の衣装の端が挟まり、外から見えてしまったので、変装に気づいた女の子たちは、一斉に走り出した救急車を追いかけ始める。

そんなチェッカーズの様子を、ヘビ皮の靴を履いた男が付けねらっていた。

チャッカーズの面々は、何とか、自分たちの住いである、古いマンションの一室に到着する。

遅れて帰って来た芝山マネージャーは、ニューシングルがヒットしはご褒美に何でも好きなものをご褒美として買ってやると云い出したので、メンバーたちは口々に、ピンクのキャデラック、59年型コンバーチブルと注文するが、彼らがもらったのは、ピンクのキャデラックの玩具だったのでがっかり。

彼らは、ハワイにでも連れて行ってもらいたかった。

そのハワイのとある建物の中では、通訳の日系人(笹野高史)が、やって来た外国人2人(ロバート・クラム、ジョン・バン・ディレーン)と共に、本棚の後ろに隠された秘密のエレベーターに乗り込むと、地下の秘密の部屋にやって来る。

そこでは、いかにもオタクの青年スティーブンが一人でパソコンを操っていた。

さらに奥の部屋には、一匹のたぬきが檻に入れられて捕まっていたが、その身体には、何本ものコードのようなものが取り付けられており、何か研究しているようだった。

その部屋にやって来た外国人は、超能力を見せてくれ。自分たちは動物が持つ超能力についてこれまで研究を続けて来たが成功しなかったが、日本でようやく君たちを見つけた。君たちの超能力は、人類の未来のためにぜひとも必要なんだと、通訳を介してたぬきに話しかけるが、まどろっこしいので、何とか英語が通じるように訓練しておけと、もう一人の外国人に命令する。

一方、森の近くの駅で列車を見送っていた少女ポン(遠藤由美子)は、洋介に東京に連れて来られ、今、彼のマンションに住まわせてもらっていた。

窓から夜空の三日月を観ていたポンは、今度の日曜日に休みをもらっても良いかと、洋介に聞く。

洋介は快諾するが、何かを思い詰めたように夜空を見上げているポンに気付き、どうした?と聞く。

洋介のマンションの方から、光の虹のようなものがかかり、その光の端が、光のかけらとなって、一軒のマンションの屋上に落ちて行った。

その屋上で月光浴をしていたのは、チェッカーズの面々だった。

都会に来た彼らは、なかなか月の光を浴びる事がないので、こうやって時々屋上に上がってきては、月光浴をしていたのだった。

そんな中、フミヤは、誰かに呼ばれたような気がして、不思議そうに周囲を見回していた。

ハワイの地下室では、スティーブンが、パソコンのモニターを観ながら、極東で大きな反応があったと外国人に報告していた。

その頃、檻のたぬきは、通訳が教える「ディス イズ ア ペン!」と言う初歩的な英語を愉快そうに聞いていた。

チェッカーズは、新作映画「CHECKERS IN 七つの子』の製作発表会に出席していた。

集まった記者たちからは、チェッカーズのデビュー前が一切不明なので、その点への質問が集中したので、代表してフミヤが答える事にするが、つい、田舎でやっていた時のことは人間たちには知られていなかった…などと漏らしてしまったので、慌ててトオルがフォローする。

ファッションやヘアスタイルは、有名デザイナーが考えたなどと発表するが、実は、東京に着いた時、近くの田んぼのかかしが来ていた衣装を盗んで来てそのまま着ただけだったし、髪は、近くの理髪店の親父(木田三千雄)が勝手に刈り上げてしまっただけのものだった。

それでも、マネージャーの芝山との出会いの事は本当だった。

場末の安食堂で飯を食っていた彼らは、いきなり、女性演歌歌手を連れて店に入って来た芝山を見つけると、歌手がトイレに行っている間、おずおずと声をかけたのであった。

やがて、彼らは、芝山をマネージャーにし、老カップル(楠木敏江、大泉晃)2人しかいない場末のキャバレーのような場所からで唄い始めたのだった。

チェッカーズは、新世紀映画のスタジオで、「七つの子」を撮り始めるが、スタジオを出た所で、ファンの女の子たちに見つかり、追いかけられたので、たまたま7人でしゃべっていた時代劇の役者たちと、念力で衣装を交換し、まんまと女の子たちの目を欺く事に成功する。

この不思議な出来事は、さっそくテレビレポーター(戸川純)らによって芸能ニュースになるが、マンションでこのニュースを愉快そうに観ていたチェッカーズたちだったが、フミヤだけは、これからたぬきの超能力はなるべく使わないようにしよう。人間たちに、自分たちがたぬきだってバレたら終わりだからと念を押す。

一方、テレビ局の食堂でこのニュースを観ていた矢尾ディレクターは、「まるで、狐に化かされたみたいだ」と言う俳優のコメントを聞いて、すぐさま「テレポーテーションだ!」と呟く。

その後、テレビ局のスタジオにやって来たチェッカーズだったが、ヘビ皮靴の男も接近していた。

調整室にいた矢尾ディレクターは、何気なく、スタジオ内のチェッカーズの様子をモニターで眺めていたが、その時、ナオユキが、床に置いてあったサックスを空中に浮かし、手に取る瞬間を目撃したので、すぐさま下に降りて行くと、ステージ脇にナオユキを呼び寄せ、君、超能力あるだろう?とこっそり聞くが、ナオユキは知らないととぼけて、メンバーたちの元に帰ってしまう。

しかし、矢尾は、今、ナオユキが立っていた床に落ちていた毛を拾い上げる。

その頃、ポンは、亡くなった老子様の夢を見ていた。

老子様は、平常心を忘れてはいかんぞ。それから、檻の中に入ったらお終いだ。能力の強いものだって金縛りにあってしまうし、弱い者はたちまち神通力を失ってしまう…と言っていた。

それから、大切なのは、誰かを好きになる事。憎むと言うのは、たぬきをダメにしてしまう。好きなものと一緒になれば、わしたちの力は何倍にもなるとも言いながら、ポンに、もう好きな人は出来たのか?などとからかったりもした。

土曜の夜、洋介は、モデルとしての素質を見抜いたポンに、車で移動中、来週、ハワイにいく事が決まったと告げる。

ポンは、その時、由美の番組が始まると言いながら、カーラジオのスイッチを入れる。

由美の番組のその日のゲストは、チェッカーズだったが、フミヤへの視聴者からの質問を読み上げていた由美は、フミヤの様子がおかしい事に気づく。

何かに気を取られている風で、廻りの事が見えず、一人で泣いているのだった。

トオルたちも、フミヤの異常に気づいて慌てる。

一方、車の中のポンも泣いていた。

その車とラジオ局の間に、光のブリッジが両方から発せられ、虹のように合体する。

ハワイのパソコンの前にいたスティーブンは、たった今、東京で異常波を察知したと外国人に報告する。

フミヤが気づくと、マンションのソファーに寝かされていた。

メンバーたちと由美が心配そうに覗き込んでいる。

フミヤは、良く分からないけれど、何だかとても懐かしいような、哀しいような気分になったと説明する。

それを聞いたトオルは、「それは恋です!」と断言する。

チェッカーズたちは、「部屋の灯り消した~…♪」と唄い始めるのだった。

ポンは、洋介のマンションに戻り、一人物思いにふけっていた。

チェッカーズたちは、マンションの屋上に上り、唄い続けていた。

側では嬉しそうに由美も踊っていた。

ポンは、田舎から持って来た、ジュークボックスの玩具をそっと耳に押し当てるのだった。

その頃、鈴木から、何とか動物研究所と言う所から電話ですと聞いた矢尾ディレクターは、すぐさま電話に出て、先日スタジオで拾い、鑑定を依頼していた研究所から、あれはたぬきの毛だったと言う報告を受ける。

想像が的中し、うきうき気分で廊下を通り過ぎた矢尾の様子を、椅子に腰掛けた老婦人(浦辺粂子)が、呆れたように見送る。

さっそく記者たちを集め、チェッカーズの正体はたぬきだとぶち上げた矢尾だったが、誰一人その話を信じようとせず、すぐさま帰ってしまう。

昔は矢尾を尊敬していたと言う鈴木でさえ、この発表には呆れてしまい、今は、昔の自分が恥ずかしいとまで言う始末。

その頃、洋介とポンはハワイ旅行の準備をしていた。

ハワイのスティーブンは、たぬきの弱点が檻である事に気づいていた。

矢尾ディレクターは、諦めきれずに、調整室で、チェッカーズのビデオのチェックを繰り返しており、とうとう、サックスを吹いているナオユキの映像に、一瞬、尻尾が写っている事を発見すると、驚喜するのだった。

チェッカーズの面々は、久々の休日をもらい、皆でかけるが、一人フミヤだけは、部屋のベッドで眠り続けていた。

やがて、目覚めたフミヤは、物音に気づき屋上に上がるが、そこには檻が設置されており、たちまち捕まったフミヤは、檻ごとヘリに吊るされて、上空へ連れ去られてしまう。

矢尾ディレクターは、しつこく、チェッカーズがたぬきなんだと、部長()に伝えていたが、部長は気の毒そうに、温泉でも言って身体を休めろと忠告してくれるだけだった。

町へ出た矢尾は、女の子が首に巻いていたたぬきの毛皮を見つけると、勝手にそれを掴んでは触りまくり、女の子から不審者扱いされてしまう。

フミヤの失踪を知った芝山マネージャーは、2週間後に迫ったコンサートを前に、他のメンバーたちと一緒に焦っていた。

そんな騒ぎを知らない洋介は、水着姿のポンをモデルに、ハワイで写真撮影をしていた。

その時、一台の車が近くを通り過ぎるが、何かを感じたポンは、その車を追いかけ始めたので、慌てた洋介は、ポンを捕まえ落ち着かせる。

しかし、ホテルに戻って来た洋介は、ジュークボックスの玩具を見つめていた。

ポンは一人でどこかに行ってしまったのだった。

そのポンは、フミヤと一緒に、外国人の地下室に捕まっていた。

2人は、別々の檻に入れられ、違う部屋に入れられていたが、互いに相手の気配を感じたのか、テレパシーで気持を伝えあう。

フミヤのメッセージを理解したポンは、部屋の壁にかかった電話の受話器を超能力で外すと、念力でダイヤルを回し始める。

その電話は、マンションで寝ていたナオユキたちにかかる。

電話に出たのはフミヤで、その声を聞いたナオユキたちは、フミヤがハワイにいる事を知る。

芝山マネージャーは、レポーターに囲まれ、チェッカーズはたぬきだと言う噂があるが、本当なのか?と迫られていた。

その噂は週刊誌にも載り、それを読んだ由美は、チェッカーズの事を心配していた。

チェッカーズは、ハワイに乗り込んでいた。

外国人の建物まで案内してくれたのは洋介だった。

メンバーたちは、建物の中に忍び込むと、その陽が日曜日と言う事もあってか誰もいない事に気づく。

しかし、そこに、掃除婦のおばさんが入って来たので、メンバーたちは、超能力で身体を小さくして隠れる事にする。

おばさんは、スティーブンの母親らしかった。

彼女が、本箱の後ろのエレベーターのスイッチを入れてくれたので、メンバーたちもその中に入り、一緒に地下に降りて行く。

地下に到着したメンバーたちは二手に分かれ、ナオユキ、モク、トオルたち3人は、ミニカーと戦車の玩具に変身して、廊下を進む。

ユーチャン、マサハル、クロベエたち3人は、別行動するが、おばちゃんのかける掃除機に吸い込まれそうになったり、テーブルから落ちた大きなチェスの駒に潰されそうになったりする。

ミニカーに変身した3人は、外国人たちに見つかってしまい、銃で撃たれたので、慌てて、飛行機の玩具に変身すると、空を飛んで逃げる。

元の大きさに戻ったマサハルとクロベエは、コンピューター室に忍び込むと、データを全て抜き取り、その代わりに、チェック模様のディスクをはめ込む。

そして、パソコンのスイッチを押すと、地下中に楽しい音楽が鳴り響き始める。

その音に気づいた外国人たちがコンピューター室にやって来ると、事態を知ったスティーブンが必死にパソコンをいじっていたが、スパコンが爆発してしまう。

一方、掃除機に吸い込まれかけていたユーチャンは、何とか一人助かっていた。

メンバーたちは、フミヤとポンが椅子に縛り付けられていた部屋に入って来ると、綱をほどき始めるが、その瞬間、天井から巨大な檻が落ちて来て、メンバー全員捕まってしまう。

そこに、愉快そうに、外国人たちと通訳が入って来る。

その時、遅れてユーチャンが、別のドアから入って来たので、外国人はマシンガンを浴びせかけるが、そのショックでスプリンクラーが作動し、水が噴き出したので、檻からメンバーたち全員が抜け出す事に成功する。

海岸に逃げて来たメンバーたちは、ポンから、亡くなった老師の事を聞く。

老師は、昔、人間は太陽の子と呼ばれ、たぬきは月の子と呼ばれていたが、やがて人間は超能力を失い、たぬきを憎み始めた…と教えてくれたと言う。

その話を聞いたフミヤは、やっぱり、たぬきが人間たちと仲良くするのは無理なのかな…とため息をつく。

メンバー全員がいなくなってしまったので、チェッカーズのコンサートは中止になっていた。

無人のコンサート会場では、芝山マネージャーが一人、寂しそうに佇んでいた。

そこに、チャッカーズが全員駆けつけて来る。

全員無事だった事を喜んだ芝山だったが、その哀しそうな顔を見たフミヤは、迷惑をかけた事を詫び、自分たちの正体を明かそうとする。

しかし、それを阻止した芝山は、言わなくて良い。はじめから知っていた。それでも、君たちの事が好きだったんだと打ち明け、俺の夢だったんだ。日本中が熱狂するスターを作り出す事が…と話す。

ナオユキが、最後のコンサートをやりたかったな…と呟くが、芝山は、やろうよ!とみんなに声をかける。

テレビ局にいた矢尾ディレクターは、芝山から直接電話をもらって、コンサートのテレビ中継を頼まれたので、その心意気に感じ、鈴木と共に、中継車を出す事にする。

テレビ中継のセッティングが始まった会場には、ポンと洋介、少し遅れて由美もやって来て三人並んで座る。

いよいよ、チャッカーズの最後のコンサートが始まる。

その中継画像が、都内各所のスクリーンに映し出される。

一曲唄い終わったフミヤは、テレビカメラに向かい、みんなに感謝すると共に、自分たちは、噂通りたぬきなんだと打ち明ける。

だますつもりじゃなかったけど、結果的にこんな事になってしまった。

これが最後のコンサートで、俺たちは、人間と仲良くやっていけると思っていたけど、それは無理だったみたいだ。でも、俺たちは、自分がたぬきだってことにホコリを持っているんだと訴える。

中継車の中で、その言葉を聞いていた矢尾ディレクターは、車を降りると、持っていたスプーンを捨てる。

しかし、そのスプーンは曲がっていた。

フミヤが、次の曲を歌い始めると、洋介が由美に、結婚指輪を取り出してはめてやる。

それを見たポンは喜ぶ。

コンサートが終了したメンバーたちに、芝山マネージャーは、用意しておいたプレゼントを見せる。

それは、かつて彼らが望んでいた、本物のピンクのキャデラックだったので、全員感激する。

メンバーたちは、芝山の気持に感謝すると共に、別れる事になった事を詫びるが、芝山は楽しかったと笑いかける。

翌朝、そのキャデラックに乗って、チェッカーズとポンが田舎に帰っていたが、全員、その表情は暗かった。

ガソリンスタンドの店員(柴田恭平)は、立ち寄ったキャデラックに乗っていたメンバーが、人気者のチェッカーズだったので、驚愕する。

大きな浜辺に停まったキャデラック。

それに乗ったチャッカーズたちは、東京での生活が楽しかった事、もう戻れないのだろうか?などと話し合っていた。

その時、遠くから、ヘリコプターと大勢の女の子たちが迫って来る様子が見えた。

みんな、チェッカーズのファンたちだった。

車の周囲を取り囲んだファンの女の子たちは、一斉に、帰って来て!と、メンバーたちに呼びかける。

それでも、フミヤが、自分たちはたぬきなんだから…と寂しそうに打ち明けると、女の子たちは、たぬき、大好きなんだもん!と言いながら、たぬきのお面を取り出すと、それをめいめい顔にかぶる。

それを見たフミヤは勇気づけられ、「よーし!」と叫ぶと、チェッカーズ全員で「あの娘とスキャンダル」を唄い始めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

チャッカーズ主演のアイドル映画。

作りとしては、かつてのGS(グループサウンズ)映画、特に、ザ・タイガース主演の映画「世界はボクらを待っている」(1968)や「華やかなる招待」(1968)の設定に良く似ている。

この手の映画は、他愛無いファンタジーと言ってしまえばそれまでだが、あくまでも、アイドルの歌や姿を大きなスクリーンで観ると言う事に醍醐味がある。

晩年の有島一郎が狸役で出ていたり、若い柴田恭平が出ているのにも驚くが、一番びっくりしたのは、笹野高史が出ている事!

ひょっとすると、これが、映画デビュー作なのかも知れない。

当時37歳くらいで黒髪がある!

しかし、顔はやっぱり「老け顔」と言うしかない。

財津一郎が扮している、昔、UFOなど、オカルトネタで有名だったディレクターと言うのは、もちろん「矢追ディレクター」のパロディである。

「オカルト勘平」とも呼ばれていたとは、歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」の「お軽と勘平」の洒落。

東京に出て来たチェッカーズを付けねらう、ヘビ皮靴の男の正体が最後まで分からないままなど、ギャグなのかミスなのか分からないような部分もあるが、あくまでも、子供向けの楽しい音楽映画として楽しめば良いだろう。

劇中に登場するパソコンの古めかしさとか、冒頭のアニメを担当しているのが、今をときめくエフェクト会社(当時は、アニメでCFなどを作っていた)白組である所なども、時代を感じさせる作品である。