1963年、松竹大船、上村力脚本+監督作品。
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男女がスタジオで踊るバックにタイトルかぶさる。
丸の内のとある企業。
靴下と女は戦後強くなったと言うけれど、それは悪質な男たちのねつ造。
職場での女は、仕事の大半はお茶汲みで邪魔され、30歳で定年のごとき扱い。
無能な男が上司となり、こんな能力を無視した男女差別には断固反対して行かなければならない!
…と、労働組合夫人部のリーダー淡谷虹子女史(高橋とよ)は力説し、声明文を掲示板に貼り出す。
しかし、相変わらず、上司は、戸川幸子(岩本多代)にお茶汲みを命じるので、実子が声明文を盾に断ると、横で聞いていた堀江和子(弘田三枝子)も、思わず同調の拍手をする。
しかし、場の雰囲気に絶えられなくなった幸子は泣き出してしまう。
そんな幸子を、友人の小田実子(牧紀子)と和子が屋上に連れて行き慰めていると、淡谷女史ら婦人部の幹部3人がやって来て、我らBG(ビジネスガール)乗れ岸は暗かった。
いっそのこと、あなたたち3人、一週間くらい休んでしまいなさい。そうすれば、愚かな男たちの方が非を認めて泣き出すに違いない。
弥次喜多をやるのよと持ちかけて来る。
男はバカだ!全くバカにしている!東京はごみごみしているし、空気も悪い。
地方に行けば、ステキな男に巡り会えるかもなどと尻押しするので、幸子たち3人は断るに断れなくなってしまう。
日本橋に集まった3人は、行き先をどうするか話し合うが、東海道はあまりにも開けすぎて面白くないので、実子の発案で東北へ行ってみようと云う事になる。
かくして列車に乗り込んだ3人は、向かい側の席に座った新婚らしき男女(高宮敬二、初名美佐子)に注目する。
新妻らしき女性が男に手渡した地図が床に落ちたので、それを拾った和子が、もらって良い?とチャッカリ聞くと、女性はあわてて、こっちの地図と交換して、大事な印が付いているからと、別の地図を和子に渡す。
確かに、先に受け取った地図には数カ所に丸印が付けてあった。
3人組は、改めてそれぞれの所持金を確認し、本当に旅行が出来るのかと考える。
3人合わせて6800円しかなく、これではとても、一週間旅行をすることなどは不可能だった。
実子は、この際、利用できるものは利用しよう。地方に行ったボーイフレンドを利用しようと提案する。
しかし、地方に行った連中がいるのは大きな町ばかり、それじゃあ、観光としては面白くないと気づくが、今度が和子が、「タッチするのよ!」と発言する。
出会った男性に知り合いを紹介してもらい、次から次へとタッチして行き、スポンサーを見つけよう。今流行のブラインドデートみたいなものよと言うのだった。
和子は「タッチで行こう!」と歌い始める。(プロレスのリングの中のイメージ)
(怪し気な覆面レスラーのイメージから)太った車掌(千葉信男)が目の前に建っていた。
その車掌から、どこまで行くのかと聞かれたので、取りあえず、向かいのビルにいた山中くんが仙台にいるから、そこまで行こうと実子が提案し、経理担当として幸子が代表して3人分2700円を支払う。
和子は、国鉄って高いのね、超特急のため?と皮肉ると、車掌はにが笑いする。
その後、3人は、松島の観光船に乗り、連れて来てくれた山中(宗方勝巳)から、カラー写真を撮ってもらっていた。
陸に上がった山中は、実子とツーショットを撮ってくれと和子にカメラを渡すが、和子は、人の知らないような所を観たいと言い出し、幸子も奥の細道はどう?と提案する。
3人は、山中に案内され、鶴巻温泉に宿泊することになる。
1人男湯に入っていた山中は、隣りの女湯から聞こえて来る和子や幸子が、実子の胸を褒めている会話を耳にし、すっかり興奮し、先に部屋で待ち受け、湯から帰って来た実子の胸を見つめるが、3人は、そろそろ帰った方が良いんじゃない?仕事しないとダメよと云うので、仕方なく山中は先に帰ることにする。
それでも親切に、ここはうちの会社の定宿なので、ここの支払いは心配しなくて良いと山中が言い残してくれたので、三人は安心して夕食を満喫する。
幸子は、自分の恋人も給料が2万なので、こんな贅沢はなかなか出来ないと大喜び。
次は、山中に紹介してもらった峰岸と云う人が、宮古駅で明日の5時に待っているそうだと実子は言う。
翌日、ゆっくり陸中海岸見物などして時間つぶしをしていた3人は、浄土ヶ浜で、石に「南無阿弥陀仏」と筆書きしたものを海に投じている一人の虚無僧(渥美清)に出会う。
5時になったので、宮古駅前で待っていた3人だったが、やって来た峰岸(逗子とんぼ)は、急な話しだったが、実は今日は用がある。デートがあり、ボクは自分の女房になる人以外の女にはサービスしないと言い残して、さっさと帰ってしまう。
3人は、早くもタッチは挫折かと呆然となる。
残金は4840円しか残っていなかったからだ。
仕方なく、駅前からタクシーに乗り込んだ3人は、一番安い宿を紹介してくれと運転手に聞くが、運転手が向かったのは、北吉原と言う元遊郭地区だったので、さすがに不潔だと感じた三人は、そこを諦め、河原にたどり着く。
実子は、ヒッチハイクをしようと言い出し、道でトラックの前に出ては手を振るが、なかなか止まる車はなかった。幸子がやっても結果は同じだったが、不時宜なことに。和子が手を振ってみると、すぐに一台のトラックが止まってくれた。
しかし、その盛岡まで行くと言う運転手(由利徹)は、どう観てもこそ泥顔で、三人は用心しながら運転席に乗り込む。
案の定、周囲が暗くなった時、人気のない寂し気な神社の前で急停車して運転手が降りたので、和子は、ダッシュボードからスパナを見つけて握りしめ後に続くが、運転手が神社に停めたのは、今日明日にでも生まれそうな女房の安産を祈願していたのだった。
男の子が希望だったけど、あんたらのような可愛い女の子を見ていると、女の子も欲しくなったと言う。
翌朝3人は、広大な小岩井牧場に近くでトラックを降ろしてもらう。
近くの村で、牛車に乗った花嫁を観た3人は、田舎の花嫁って良いわね。東京の花嫁はまるでオートメーションだもの…と話し合う。
その後、3人は椀子そばで腹ごしらえをする。
その時、和子は、ちょうど店から帰ろうとしている一人の風変わりな男に注目する。
ギターを持っている渡り鳥のような渋い二枚目だった。
外でその男に話しかけてみた3人は、トラックに乗り通しだったので、腰が疲れたと云う3人に、蒸ノ湯に行ったら良いと紹介した後、放浪の中にこそ、その人間の自由があるとか、人間て寂しいなあ〜などと奥深い言葉を吐き出したので、それを聞いていた3人は、その男の魅力にたちまち参ってしまう。
和子は、立ち去ろうとする男に「君の名は?」と尋ねるが、もう一度どこかで出会えたら名乗りましょうとだけ答え、男はバイクで立ち去って行く。
和子は、その男が、拳銃を構えたニヒルな一匹狼だとイメージし、実子は、何か大きなものを狙っている大器型と判断、ロックファラーか本田宗一郎よと想像する。
幸子は、飢えてるのよと、胸毛と筋肉質な半裸の男をイメージしながら、地獄の底まで付いて行きたいわ〜…と妄想していた。
3人は、男に紹介してもらった蒸ノ湯に出かけ、疲れを取ることにする。
すると、口ひげに片言の日本語を話す怪し気な男(八波むと志)から声をかけられる。
しかし、彼がオーナードライバーだと云うのを聞いた実子は、おじさまの行く所まで自分たちも乗せて行ってもらえないかと切り出す。
すると、その男は、自分の車はジープですが良いかと確認し、明日の朝8時に出発すると答えてくれたので、3人は喜んで「タッチ」と称して、その男と握手をする。
翌日、約束通り、ジープに乗せてもらい、八戸の飛行場までやって来た3人は、男が、飛行機の操縦士だったことを知る。
男は、アンカレッジまでの臨時便の仕事が入ったと言い、3人の荷物を車から下ろすと、さっさと飛行機に乗り飛び立って行く。
しかし、その周辺には、食堂一つないへんぴな場所だったので、空腹に絶えかねた3人は、思わず、道ばたのお地蔵様に供えられていたおにぎりを見て、頂戴しようかと迷っていたが、そんな3人に声をかけて来たのが、浄土ヶ浜で出会った虚無僧だった。
ちょうど、握り飯を食べていた所だったので、一緒にどうかと進めてくれる。
ありがたく3つ残っていたおにぎりを全部取ってしまうと、空になった竹皮を見た虚無僧は泣き顔になる。
全部、おにぎりを取って悪かったと実子が謝ると、思い出した事があったのであり、気にしなくて良いと虚無僧は答える。
そんな4人の所に、バイクに乗った愚連隊連中が通りかかり、冷やかして来る。
虚無僧は、3人を逃がすと、果敢に5人の愚連隊と戦い始めるが、あっという間に倒してしまう。
そして、「鍛え方が違う…」と一人呟くのだった。
一方、逃げていた三人は、近くで停まっていた観光バスの搭乗員から、早く乗ってくれと手招きされたので、何事かと首を傾げるが、搭乗員が持っていた旗に「三食宿泊付き」と書いてあったので、選挙目当ての接待か何かだろうと見当をつけ、乗り込んでみることにする。
彼女たちが連れて来られたのは、岩木山のりんご園で、枝の先の小さな身の部分に紙の袋をかぶせる仕事の手伝いのためだったと判る。
宿泊の場所として連れて行かれたのは、簡易式のベッドが並んでいるだけの雑魚部屋のような所だった。
たまたまベッドが近かった一人の小母さんが、自分の名は前田ふく(若水ヤエ子)と名乗り、3人に挨拶して来る。
そんなみんなに前にやってきた青年団の佐野あさ(春川ますみ)は、今回はよろしくお願いしますと頭を下げる。
翌日から、さっそく、実子や幸子が作業の手伝いを始めると、ふくが近づいて来て、さぼって寝っ転がっている和子はあんたたちの仲間だろう?怠けられると、私達の信用に関わると文句を言って来たので、3人一緒に、泥で汚れるとか、肌が荒れるなどと言って寝ていた和子に注意する。
いつものデスクワークと違い、体力を使う仕事をやり、すっかり疲れ切った3人だったが、近くの小川で足を洗っていると、今まで経験したことがないさわやかな気持になる。
そんな3人に近づいて来たあさは、あんたらきれいな足しているけど、そんな足で良く歩けるね。私なんかは、太い足でないと身体を支えきれないよなどと気さくに話しかけて来る。
その夜は、キャンプファイヤーを囲んで、和子が歌い、みんなが輪になって踊りまくるのだった。
夜、簡易宿泊所で全員寝ていると、誰かの泣き声が聞こえたので目覚めた実子は、近くのベッドでふくが泣いていることに気づき、訳を尋ねる。
すると、正月に、自動車事故で死んだ夫のことを思い出していたのだと、ふくは実子や起きて来た和子に写真を見せる。
そこには、子供を抱いた夫(芦屋小雁)が写っていた。
子供はまだ2歳なのだと言う。
いつしか、幸子も起きて一緒に話を聞いていた。
ふくが、恐山で太郎さんに会いたいと云うので、それは何かと聞くと、イタコ、巫女のことだとふくは教える。
恐山
そこは、全ての死者の霊が集まる所…
7月の霊祭にはイタコが集まり、死者の口移しをする…と、地元の住職が3人に教えてくれた。
その住職に教えられ、地元でやっているイタコの家を訪れた3人、実子は、こんなものはインチキに決まっているから、科学的に暴いてやると意気込む。
和子が、誰を呼ぶの?アラン・ドロン?とおかしなことを聞いたので、7年前に亡くなった母親を呼んでみると実子は決意する。
イタコ(武智豊子)が祈り始めると、いつの間にか、実子は、石を積み上げている子供たちがいる霊界にさまよっており、そこに、7年前と同じ母親(環三千世)と出会う。
母親は、実子のシャツ姿を見ると、男みたいだねと呆れ、そんなことでは、良い男性と結婚出来るか心配と嘆く。
現実の部屋の中ではイタコが失神し、和子と幸子にどうだったと聞かれた実子は、滂沱と涙を流し始める。
別室でも、泣き続ける実子を和子と幸子が心配していると、そこに、入って来た一人の老人(藤原釜足)が、自分も去年娘を亡くしたものだが、良かったら、能代の民生委員などをしている丸井さんと云う人を紹介してあげるからそこに世話になりなさいと、紹介状代わりに自分の名刺を渡してくれる。
そこには「長島茂造」と、何だか有名人と似た名前が書かれてあった。
能代駅に着くと、町はちょうど祭りの最中だった。
駅前のタクシー運転手に、「丸井」の家を聞くと、横に停まっていた黒塗りの車の運転手立石(大泉滉)にそちらの客だと運転手は声をかける。
立石の車で付いた先は、立派な屋敷だったが、出迎えた連中は明らかにヤクザ風。
そんな子分の一人(左とん平)に「すぐに準備しますか?」と聞かれたので、部屋のことだと思い、3人がお願いしますと返事をすると、あんた方も好きですね〜…と、妙な笑い顔になった子分に案内されて部屋に向かうと、そこでは、花札博打をやっている最中だった。
明らかにヤクザの家だと悟った3人だったが、こうなったら覚悟を決めてやってみようと云う事になり、和子が持っていた隠し金を資金に、丸井(三木のり平)が開いていた花札賭博に参加することになる。
和子は、ギャンブルの唄を歌い出し、運も付くが、そこに立石が走り込んで来て、出入りだと丸井に知らせる。
丸井は直ちに、出入りの準備を始めるが、それを見かねた3人は、仁義を切って、何か手伝わせてくれと申し出る。
すると、感激した丸井は、気持だけでたくさんだ。これは路銀の足しにと、紙包みを渡してくれる。
3人は、もはや、女を尊重してくれるのは、こう云う世界にしかないのかも知れないと悟る。
列車に乗った3人が紙包みを開けてみると、3万円も入っていたので、一人1万円ずつ分配する。
そんな車内を、鉄道公安官が監視しながら通過して行ったで、今巷を騒がせている公金拐帯犯を追っているのだと気づく。
男鹿半島へやって来た3人は、ヒッチハイクで拾ったオープンカーでドライブをしていたが、とある峠で、以前、列車の中で地図をもらった新婚夫婦らしきカップと出会う。
日本海の海水を嘗めてみて、太平洋のより辛いなどろ3人がはしゃいでいると、どこからともなくギターの音が聞こえて来る。
あのいつか分かれた渡り鳥だった。
和子は、この再開に運命だわと感激し、男は津村春樹(吉田輝雄)と、初めて名乗る。
その夜、一緒の宿で夕食を済ませた後、海岸に出た戸川幸子は、春樹が、あなたの名前が一番印象的だったなどと言いよって来て、君の顔を見ると、亡くなった恋人を思い出す。今頃、海辺の墓地に埋まって、波の音を聞いているでしょうなどと感傷的な話をし出したので、すっかり感情移入してしまい、持っていた1万円を、供養の足しにしてくれと渡す。
春樹は、そんな幸子にキスしようと迫るが、感極まった幸子はその場を立ち去ってしまう。
同じく、海辺に佇んでいた堀江和子の所にも、春樹が一人近づいて来て、甘い言葉をささやき出す。
和子と幸子が宿に戻ると、どこかに行っていた実子が帰って来て「愛したときから苦しみが始まる…」などと、奇妙なことを言いながら、夢見るような表情になる。
その時、突然、なまはげが部屋に乱入して来たので、3人は夢から覚めたかのように驚くが、女中(桜京美)がやってきて、大晦日の日に各家庭に怠け者がいないかと訪ねて来るなまはげだと説明する。
驚いたことに、仮面を取った中から現れたのは、あの虚無僧だった。
女中が説明するには、大八と言うその男、実は、毎年7月になると帰って来る地元の出身で、沖縄戦の生き残り、あの「ひめゆり部隊」と一緒に洞窟に入っていた男なのだと言う。
大八が、次は「萩の間」に向かおうとすると、あすこは新婚らしいので気を利かせなさいと女中が止める。
その夜は、大八も交えて、夜はどんちゃん騒ぎをすることにする。
和子が歌い、大八もツイストを踊る。
一人、入浴から帰って来ていた幸子は、あの新婚の新妻らしき女が、泣きながら自室に入る姿を見かけて怪しむ。
やがて、部屋に戻って来た幸子は、あの新婚夫婦は心中らしい。部屋の中から、死ぬと云う言葉が聞こえて来たのだと言うではないか。
そう云えば…と、和子と実子は、最初に受け取った地図に書かれていた、印をつけた地名のことを思い出していた。
東山、花巻、男鹿…、まさしく、公金拐帯犯の逃亡地と同じだった。
すぐさま、「萩の間」に行って見ると、はたして、二人が布団の中で苦しんでいるではないか。
女の方は足を縛っている。
大八も駆けつけ、すぐに、持っていた印籠を取り出す。
発見が早かったこともあり、二人は一命を取り留めるが、女の方は「一郎さん…」とうわごとを言っている。
二人は、同じ工場に勤めていたが、不況で首になった仲間らしく、公金拐帯犯ではないらしかった。
女性の方は、妊娠していることが判り、その後勤めていた飲み屋にもいられなくなったらしい。
そう言う二人の事情を知った実子は、女の力は男のために使われなければいけないのではないかと言い出し、それを聞いた大八は、あんたたちは偉い!と褒める。
実子は廊下に出ると、自分たちが持っている1万円を、あの二人のために寄付しないかと提案するが、和子と幸子はもう持っていないと打ち明ける。
実は、津村に渡したのだと正直に打ち明けると、3人とも同じ言葉でだまされていたことに気づく。
3人が立腹していると、そこに3万円が差し出される。
気がつくと、津村春樹が目の前におり、君たちは、東京のドラ娘だと思っていたからと言い訳をして去って行く。
結局、男は見かけじゃないと気づいた和子は、部屋から出て来た大八に、「おじさん、大好き!」と飛びつくのだった。
翌朝、朝食を部屋で食べていた3人は、これからどうしようかと悩んでいた。
今後当分、食事にありつけないかも知れないと考えた3人は、おひつに入っていたご飯を全部、おにぎりにして持ち帰ることにする。
やがて、玄関口で、3人は、又放浪の旅に出る大八と別れを惜しむ。
2階の「萩の間」からは、助かった間一郎(高宮敬二)と宮子(初名美佐子)がみんなを見送っていた。
あてどもなく出発した3人だったが、「現代ヌードスタジオ」と云う看板の前で、急場の金稼ぎにやってみようかと話し合うが、全員身体に自信がなかったので、すぐに諦めることにする。
やがて、実子が、秋田には、会社の油田があることを思い出し、そこに向かうことにする。
営業所に来ると、守衛(中村是好)が、東京の秘書課から連絡を受けています。産業観光のため、インドネシアから留学にきていらっしゃるご令嬢ですね?と奇妙なことを言って出迎えたので、3人は誰かと勘違いされていると気づく。
支店長もにこやかに出迎え、案内係として鈴木五郎(松原浩二)と云う技術者を紹介する。
その鈴木に案内され、油田を見物していた3人だったが、その時、ポンプの一機が故障したとの知らせが入ったので、鈴木はただちにポンプに向かい、必死に故障を修理し始める。
その様子を見ていた幸子は、急に鈴木の顔の汗を拭いてやる。
さらに、実子が急にどこかに走り出したので、和子も後を追うが、近くにあった暖室に入った実子が持ち出したのは、お茶の入ったやかんだった。
ポンプの元に戻って来た実子は、鈴木にお茶を差し出すが、自分たちは元々、お茶汲みに抵抗して旅に出たことを思い出す。
それを受け取った鈴木も、そう言えば、本社からの司令で、お茶汲みは禁止だったと気づく。
鈴木は、本社と違い、現場にいる自分たちとしては、そんなことはピンと来ない。ボクらには、やることが一杯ある。人生には他にやることがたくさんあると思うんだと言うので、それを聞いていた3人も、その言葉に共感する。
3人は、今回の旅で出会った男たちを思い出し、それぞれにダメ出しをする。
大八も「過去にとらわれた男」でしかなかったのだ。
そんな彼女たちの側を、インドネシア風の衣装を来た令嬢を乗せた車が通り過ぎて行ったので、本物だと気づく。
荷物を運ぶため、秋田空港に向かう鈴木の車に同乗させてもらった3人は、東京へ向かう飛行機に自分たちを乗せてくれないか。自分たちはまだ飛行機に乗った事がないのでと頼む。
鈴木は、飛行機は飛行機でも、荷物を運ぶチャーター機だよと教える。
確かに、その飛行機とは、小さなセスナ機だった。
しかし、和子は、マーメイドで太平洋横断に比べると平気よと答える。
その頃、本物のインドネシアの令嬢がやって来た営業所では、支店長と守衛がだまされたと気づいていた。
二人は、偽物を追って秋田空港にやって来るが、その時既に、3人を乗せたチャーター機は離陸していた。
女性のナレーターが、3人に「タッチ旅行の感想」を聞く。
幸子は、世の中には色んな人がいることを知ったと言う。
実子は、充実した一週間で、少し賢くなったような気がすると答え、和子は、青春って感じ!がんばりましょう!と元気一杯答える。
会社に戻った3人の様子を見ていた淡谷女史たちは、あの子たち、近頃、ぴちぴちしているわね。旅行に行ってからよと不思議がっていた。
上司は、お茶が飲みたくなると、席を立って、自分でお茶を注ぐようになっていた。
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弘田三枝子主演の「観光ミュージカル」とでも呼びたくなるような内容の映画。
1962年に「ヴァケィション」が大ヒットしていた彼女だけに、明らかにその人気に便乗して作られたのだろう。
当時はまだ、まん丸顔が愛らしい元気一杯な少女と言った印象である。
その弘田三枝子とトリオを組むのが、長身の美女牧紀子と、庶民派と言った感じの岩本多代。
一応、牧紀子が主役のような扱いだが、個人的にはこの女優さん、始めて見たような気がする。
岩本多代は、その後、テレビドラマなどの脇役として顔に見覚えがあるが、牧紀子は60年代を中心に松竹から日活などを渡り歩き活躍した人らしいが、残念ながら、覚えていない。
その他の出演者は、皆、馴染みの顔ばかりである。
藤原釜足や三木のり平と言った東宝勢、 吉田輝雄と云った新東宝系、八波むと志、由利徹、逗子とんぼ、 若水ヤエ子…と、お笑い系の人も次々と登場している。
改めて、この頃の松竹映画には、貧乏くささやお涙頂戴要素がまだなく、からっとした明朗映画だったのだと感じる。
今見ても、美しい東北の風景と、明るいミーコの歌声は、心をうきうきリフレッシュさせてくれる魅力に溢れている。
和子が、初めて出会ったギターを抱いた渡り鳥が去る際、問いかけた「君の名は?」、そして、その後再会したその男が名乗った名前が津村春樹…、もちろん、小林旭主演の日活のヒット作「渡り鳥シリーズ」(1959〜1962)と、往年の松竹の大ヒット映画「君の名は」(1953〜1954)の主人公後宮春樹のパロディである。