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踊る大捜査線 THE MOVIE3
ヤツらを解放せよ!

2010年、フジテレビ、君塚良一脚本、本広克行監督作品。

※この作品は公開中の新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

レインボーブリッジを通過する大量の宅配業者の車。

「○○対策委員会」と書かれた部屋の中、魚住課長(佐戸井けん太)が「本部長がいらした!」と発すると、青島俊作が毅然とした顔で部屋に入って来て作戦テーブルの前に立つと、「では、捜査会議を始める!」と皆に声をかける。

するとすぐに、近くにした署員が「違うでしょう!」と反論し、青島も「あ、そうか!…、では、引越対策会議を始める」と言い直す。

今日から3日間、4日後の新湾岸署開所日に向けて、全員一丸となって引越業務に推進してくれと檄を飛ばす青島。

不必要になった書類の廃棄に、立ち会いが徹底されていませんとの婦警の指摘に、目が光った青島、担当はどこの部署だと聞くと、生活安全課だと言うので、物証は残っているか?などと、まるで捜査会議の事を言いだすが、又しても、勘違いに気づいたらしく、すぐに、引越業務を始めるよう指示を出し、部屋の中にいた刑事たちや引越業者たちが一斉に動き始める。

青島引越対策本部長は「完璧にやってやるからな!」と自らに言い聞かすように呟く。

タイトル

テレビのレポーター(皆藤愛子)が、湾岸署の引越作業を中継しているが、必死に指揮をしている青島の事を「刑事さんでしょうか?」などと紹介している。

強行犯係の部屋では、篠原夏美(内田有紀)が、捨ててくものは黄色い段ボール、新湾岸署に持って行くものは白い段ボールに入れるように指示を出していたが、青島が机の引き出しの中を開け、色々検討していると、大半がいらないものばかりだった事が判る。

それを知った夏美は、片付けべたな男はモテませんよと嫌みを言う。

魚住課長は、青島に、健康診断してくれた医者が連絡してくれと言っていたと伝えに来る。

スリーアミーゴズの三人、神田署長(北村総一朗)、秋山副所長(斉藤暁)、袴田課長(小野武彦)は、新湾岸署の中を見て回っていた。

袴田課長が、厚さ5cmの壁で新湾岸署を守る新しい防御システムに付いて熱心に説明して廻るが、神田署長は「ふ~~ん」と言うだけで全く感心なさそう。

そんな神田署長も、新湾岸署の新しい署長に内示があったらしいと云う噂には敏感に反応する。

と云う事は、自分はお払い箱だと云う事だからだ。

そんな中、盗難事件とバスジャック事件が発生したと云う知らせが入り、飛び出していった青島のコートが床に落ちる。

恩田すみれ(深津絵里)巡査部長は、盗難事件が起きた「しおかぜ銀行」に到着するが、朝出勤すると、金庫の扉が開いていたが、取られたものは何もないと聞き、せっかく開けたんだから、取って行きなさいよとぼやく。

青島と夏美の方は、空き地に停まっていたバスに近づくと、中の様子をうかがうが、中には乗客が取り残されているだけで、犯人は既に降りて行ったと言う。

乗客に事情を聞くと、メスを突きつけられたが、取られた財布類は、全部、手錠をかけられ座らされていた運転手の膝の上に置き捨てられていた。

青島も又、バスジャックしたんだろ?取ってけよ!とぼやくのだった。

その頃、引越業者でごった返す新湾岸署内に、業者の制服を着た3人組の若者が侵入するが、誰も気がつかない。

その内の1人は、ピンクのリュックを背負った女の子だったが、彼ら3人組は、立ち入り禁止と書かれた区域に入り込んでしまう。

その後、スリーアミーゴズも新湾岸署に入り、セキュリティシステムは万全だと説明を受けていたが、自分たちも何のチャックもなく入り込めた事に疑問を感じる。

そんな彼らは、立ち入り禁止区域のドアが開きっぱなしなのに気づき、不用心だと中に入ってみると、見慣れぬ壁があったので、中に何が入っているのか、好奇心に駆られ開けてみると、そこは銃器の置き場所で、3丁の拳銃の部分が空になっていた。

強行犯の部屋に戻って来た青島とすみれは、互いの事件に共通点がある事に気づく。

そこに、「こちら、刑事課で宜しいでしょうか?」と聞きながら入って来た見慣れぬ青年、コートがなくなっている事に気づいた青島やすみれの前で「和久と申します!」と名乗ったので、その場にいた全員が青年を見る。

和久伸次郎(伊藤淳史)と名乗ったその青年、和久平八郎は自分の父、和久平十郎の兄であり、自分の伯父に当る人であり、自分は、室井官房審議官(柳葉敏郎)が青島さんの所へ行くようにと推挙してくれたのでうかがったのだと説明する。

そこに、夏美が、遺留品はなかったと言いながら帰って来たので、青島は、引き続き操作を!二つの事件には共通点があると指示する。

その時、和久が「事件に大きいも小さいもない」と何か手帳を観ながら発言したので、青島とすみれは、興味津々その手帳を覗き込む。

それは、和久さんが遺した「和久ノート」である事が判り、感激する青島ら。

そこに、魚住課長が、健康診断を受けるように言いに来る。

さらに、プロジェクター機能のユニットも付いている捜査員用の携帯端末が全員支給される。

その頃、スリーアミーゴズは、「拳銃が盗まれた」と言い出す。

青島とすみれと王の拳銃3丁がなくなっていたと云うのだ。

しかし、神田署長は、盗難は引越中に起こったのであり、責任は引越対策本部長の青島にあるのであり、引越後は、新署長の責任になるのだから、事件は黙っておこう。

なくなった3丁の拳銃の棚には、密輸の拳銃を置いておけば判らないだろうと提案する。

しかしその頃、その盗んだ3丁の拳銃を手にしていた犯人グループは、警察の内部情報にハッキングして、拳銃紛失が発覚した事を確認していた。

新湾岸署に、又新たな来客が訪れる。

交渉課を外されたと言う真下正義(ユースケ・サンタマリア)だった。

真下は、拳銃がなくなったって?さっきニュースで言ってたよと云うので、みんな驚いくが、どうやらすでに、外部に情報が漏れている事が判る。

急遽、スリーアミーゴズは、会見を開かざるを得なくなるが、その報道を観ていた署員たちは、3人が妙に憔悴しているのに気づく。

しかし、それは、疲労しているように見せかけるメイクと芝居だった。

こうした事態は、ごく稀にある事で…と、苦しい弁明を終えて立ち上がった神田署長は、突如よろめいてみせる。

会見場を出た3人が、何事もなかったかのように「あれで良かった?」などと談笑しながら帰って行くのを目撃した和久は、「噂通りの人たちだ!」と唖然と立ち尽くすしてしまう。

拳銃を盗んだのは、引越作業人に違いないと睨んだすみれは、関係者のリストを取り寄せ、名前を確認しようとするが、バイトや派遣社員を含めると、引越に携わっているのは200名にも及び、特に派遣社員などは、番号で認識しており、携帯メールで呼び出すだけと聞き呆然とする。

その直後、レインボーブリッジ下に停泊中のボートの中で変死体が見つかったとの知らせが入る。

現場に向かった青島やすみれは、引越業者の一つだった「トランスポーター」の制服を着た男の死体の顔に、拳銃が1丁、乗せられている事に気づく。

グリップに付いた認識番号を確認すると、「0301」で王刑事のものと判る。

それを知った王刑事は、自分のせいではないと逃げ腰になる。

殺人事件発生を受け、新湾岸署の大会議室に本庁の刑事たちがやって来る。

そんな中でも、青島は、紛失した自分のコートの事を気にしていた。

捜査会議が始まり、事件発生は8時5分、被害者はトランスポーターの従業員上村和彦と判明。

その時、和久は青島に、なぜか会議室の脇で立っている本庁の人間らしき人物は誰なんでしょうと問いかける。

いつものごとく、一倉正和管理官(小木茂光)は、所轄はいらない、引越やってろと侮蔑の言葉をかけるので、所轄の刑事たちは、オリンピックやるって言うからここへ引っ越したのに、オリンピック来なかったじゃないですかと抵抗する。

その時、立っていたメガネの青年が進みでて、僕にお任せ願えませんかと、一倉管理官と、スリーアミーゴズにそれぞれ話しかける。

鳥飼誠一(小栗旬)と名乗ったその青年は、近隣所轄は捜査、湾岸署は引越が済み次第合流と云う事ではいかがでしょうと提案し、会議室にいた全員から拍手を受ける。

あれは何者だ?と不思議がる青島に、和久は「サーバントリーダー(管理補佐官)」のようだと説明する。

青島は、その鳥飼の運転手役を仰せつかったので、話しかけてみると、「捜査には、本庁と所轄の調整が必要なのだと」と鳥飼は答える。

使うものは使わないと…と、青島が所轄の存在感を示そうとすると、室井さんはどうなのかな?ロマンを追いかけて、現場を信頼しすぎているばかりで…と苦言を呈する。

被害者上村和彦のアパートに来た二人。

鳥飼が、早速、パソコン画面を確認していたので、パソコンって使い手の人柄が一目で判るんですよねなどと言いながら、青島も覗き込む。

そのパソコンの中には、ゲームソフトと、チャットに参加していた履歴が多数残されており、被害者はネットゲームの中毒者だった事が判る。

署に戻って来た青島に、真下が、自分がアドバイザーをやったと言う「The 交渉マン」と云うドラマのDVDを手渡す。

さらに、セキュリティーシステムのマニュアル本を渡された青島は、一目で読むのが面倒くさそうと直感し、近くにいた和久に呼んでおくようにと言いながら手渡す。

真下は、その後も、署内の婦警たちにDVDを配って歩いていたが、捜査のため、新湾岸署にやって来たらしい、かつて交渉課で自分の部下だった小池茂課長(小泉孝太郎)と出会う。

小池を長とする「CARASU」と呼ばれる交渉課特殊班の準備が会議室で始まる。

さっそく、上村が「シオダ」名義で書き込みを行っていたネット掲示板に「シオダ」の事を聞きたいと呼びかけてみる小池。

するとすぐに反応があり、警戒する書き込みが続くが、「ノライヌ」と名乗るハンドルネームの相手から、警察さんでしょう?と書き込みが反って来る。

サーバーを特定し、逆探知しようとするが、フィリピンを中継している事が判り、逆探知は無理と判る。

「ノライヌ」は、要求をのまないと、2丁目の銃も火を噴くよと書き、先方が添付したデータをダウンロードしてみると、大量の受刑者の写真と共に、彼らを開放しろとのメッセージが書かれてあった。

この要求を受け、検察庁では幹部たちの会議が開かれる。

広島から呼び戻された室井や鳥飼も参加していた。

その頃、青島は、健康診断をしてもらった医者と、魚住課長同席の元、新湾岸署内で会っていた。

医者によると、胸のレントゲンに小さな影があるので、一度専門医で検査入院した方が良いと言う。

そんな青島を呼び出した捜査本部長は、なぜ犯人は、青島が逮捕した受刑者だけを開放しろと言っているのかと聞いて来る。

そんな中、魚住課長は、青島の病気の事を「誰にも言うな」と言いながら広めていた。

その結果、すみれも、青島が悪声の病魔に冒されていると思い込んでしまう。

一緒に聞いていた夏美も、そう云えば、最近咳き込む事が多くなったし、走るとすぐ意気があがるようになったと教える。

中央医療刑務所にやって来た鳥飼と青島は、日向真奈美(小泉今日子)と対面する。

鳥飼は、今回の事件に対し、意見を聞きたいと話しかけるが、真奈美は、自分の死刑の執行日に付いて知りたがる。

鳥飼は、あなたは無期懲役だと伝える。

それを聞いている真奈美は、庭の樹木の絵を描いていたが、真ん中にある紅葉した木の葉を、執拗に赤く塗り付けていた。

さらに真奈美は、青島を見ると、係長になったんですって?顔色が悪いわよ。手術してやろうか?と言い放つ。

新湾岸署で引越作業を一時、休息していた青島に、「海鮮キムチラーメン」を手渡し、「賞味期限は気にしない」と言いつつ一緒に食べるすみれ。

すると、青島が「俺の賞味期限は…」などと言い出したので、青島の病気の事に触れまいとしていたすみれは対応に困る。

さらに「俺、実は、すみれさんに伝えなかった事あったな…」と云うので、ついすみれも「私も青島君に言えなかった事あったかな?」と言ったきり、互いに言葉が続かなくなってしまう。

その日、雨の中、一人帰る青島には、「人の希望になってやれ!…なんてな」と云う和久さんの言葉が聞こえて来る。

「ノライヌ」は「CARASU」に対し、優れた犯罪者は、優れた捜査員に会う…と意味ありげな言葉を送って来ると、要求期限を明日の深夜0時だと指定して来る。

時間になると、秘密裏に新湾岸署内に仕掛けた有毒ガスを発射すると言う。

それを読んだ一倉管理官は、そんな要求受けられるか!と激怒する。

その夜、停まったライトバンの中で、何かが光る。

翌朝、そのライトバン横に死体が倒れていると知った刑事たちが駆けつけて来る。

又しても、トランスポーターの制服を着た男が死んでおり、その顔の上には、すみれの拳銃が乗せられていた。

それを知った青島は、「次は俺の…」と顔を強ばらせる。

魚住課長は、スリーアミーゴズに青島の病気の事を話そうとすると、すでに3人とも承知の事実である事に驚く。

もはや、署内で知らないものはいないと云う位噂は広まっていたのだ。

魚住課長は、実は青島のレントゲンの影は、撮影上のミスで、病気でも何でもなかったのだと、青島の奴最近すっかり元気がなくなってしまって…と、申し訳なさそうに報告する。

すると、青島、元気なくなったの?それじゃあ、言わなくて良いと神田署長は言い出す。

元気がありすぎると、青島は自分たちに迷惑ばかりかけるので、今後も病気と云う事にしておこうと言うのだ。

そんな裏話を知る術もない青島は、元気なく咳き込んでおり、会議が始まると伝えに来た和久に、体調が悪いので欠席すると言い出す。

それを聞いたすみれも心配し、青島君、しっかりして!私の拳銃が使われたのよ。私も胸が痛いの。前に撃たれたここがキリキリと痛むのよと励ます。

「俺はもう…」としょげる青島に、「どうせ死ぬんでしょう?」と禁句を言い放つすみれ。

だから何よ?…とすみれは続ける。

「そうなら、最後までちゃんと生きなさいよ!青島君らしく生きなさいよ!犯人に青島君の拳銃を使われる前に捕まえるのよ!」

「死ぬ気になれ!その時だけ生きられる」和久も、和久ノートを読み上げる。

そうした仲間たちの声を聞いた青島は、「指導員」の腕章をじっと見つめる。

その時、和久が、「不用」シールが貼られたボール箱の中に入っているコートを発見する。

青島は「俺はこんな事をしている場合じゃない!死ぬ気になったら、生きる気持になった」と言いながら、立ち上がり、刑事課を飛び出そうとする。

和久から受け取ったコートを着ながら。

それを目撃したスリーアミーゴズは慌てる。「しまった!あいつの事、読み間違った…」と唸る神田署長。

和久と一緒に、秋葉原の二番目の被害者宅に到着した青島だったが、本庁の刑事たちから追い払われてしまう。

帰りかけた和久だったが、青島は勝手に隣りのビルの屋上に上ると、被害者のマンションの屋上に飛び移る。

恐る恐る、その後に続いた和久だったが、意外と簡単に渡り超えられる。

その屋上からロープを垂らし、被害者の部屋に入ろうとした青島だったが、手元が狂い、ガラス窓を突き破って、本庁の刑事が捜査をしていた被害者の部屋の中に転がり込んでしまう。

本庁の刑事たちが唖然とする中、ポスターに隠された小部屋に倒れ込んだ青島は、そこでタイマー付きの爆弾のようなものを見つけてしまう。

タイマーは、刻々と時を刻んでいるではないか!

窓から捨てようとしても、そこは繁華街のど真ん中、捨てる場所がない事に気づく。

本庁の刑事たちは全員逃げてしまう中、「どうせ、死ぬんだ」と開き直った青島は、怯える和久の側で、時限爆弾の線を切ってしまう。

そんな無茶をした青島の横で和久は腰を抜かしていた。

その頃、新湾岸署の中では、引越業者に紛れて、又あの3人組が忍び込み、セキュリティシステムのマニュアルをすり替えていた。

そんな3人とすれ違った夏美だったが、その時は何か不振を感じ、振り向いただけだった。

検察庁では、民間人が2人も犠牲になった今回の事件は、無差別殺人と同じ事だと云う事で緊張感に包まれていた。

しかし、室井は、受刑者開放の判断を迷っていた。

池神警察庁長官(津嘉山正種)は、そんな室井に、判断を急げと詰め寄っていた。

刑事課に戻っていた青島は、パソコンばかり観ている青島は、パソコンマニアの栗山刑事から、ネット上には、日向真奈美を信奉するマニアが多数存在しており、なかなか彼女のファンサイトに入り込めないと聞かされたので、ドメイン名を変えてみたら?と提案する。

一体どんな奴が、真奈美ファンなどになっているんだと不思議がる青島に、栗山は、犯罪マニアとか、破壊願望者、自殺志願者など色々いると答える。

そんな書き込みをチェックしていた栗山は、その中に、彼女の健康状態とか、きわめて身近にいるものでないと判らないはずの情報を書き込んでいる奴がいると言う。

この話を元に、真奈美に接触できた医療関係者を探す事にする。

会議室で、その報告をする刑事たち。

真奈美の身辺調査をしてみた所、1年前に、彼女に似た名前を使い、関東中央医療刑務所から彼女の外出許可を取ることに成功し、先月退社した担当のソーシャルワーカーがいた事を突き止めた、その人物の名は須川圭一である事まで判明する。

それを聞いた鳥飼は、ただちに小池に、ネット上にいるはずの「ノライヌ」を呼び出させ「圭一君だね?君の事、判ったよ」と問いかける。

すると、慌てた様子もなく、圭一はビデオチャットを要求して来る。

会議室のスクリーンに映し出された須川圭一(森廉)は、傭兵を新湾岸署に侵入させるよとうれしそうに伝えて来る。

それを聞いた一倉管理官は、署内の警備レベルをあげろと命じ、セキュリティーシステムのマニュアルを持っているものはいるかと聞くと、和久ともう一人の捜査官のに名が手をあげる。

鳥飼は、被疑者の家に行くので、SITを呼んでくれと指示を出す。

マニュアルを持った一人は電源室へ、和久はサーバールームにマニュアルを持って向かうと、高度警備システムの画面に向かい、スタンバイにしようと、パスワード「WANGAN」を入力する。

すると、突如、署内の防御扉が次々と降りて来て、電源も落ちてしまう。

スクリーンに写る圭一は、愉快そうに、傭兵なんている訳ないだろう?ここ、日本。マニュアルを書き換えておいた。スタンバイを実行に、実行をスタンバイに…と言うではないか。

外でそれを聞いていた青島は、要塞なんかにしたからだよ…と呆れる。

圭一は、要求に従え。高濃度のソマンガスを仕掛けてあるので、従わなければ署内に噴出する。一息吸っただけで昏睡、死に至る…と説明する。

新湾岸署が封鎖されてしまった事を知った検察庁では、池神長官が、決断するときが来たと発言するが、それを聞いた室井は、政治的判断が介入する事はあってはならないと反論する。

すると、室井に近づいた池神長官は、「この部屋には正義なんてない。あるのは、それぞれの立場の都合だけだ」と言い放つ。

その頃、青島と鳥飼は、木島丈一郎警視(寺島進)と共に、須川圭一の家に入り込んでいた。

そこには、トランスポーターの制服が何着か用意してあった。

青島は、冷蔵庫の中に食べ残されていたオムライスを見つける。

木島は、部屋の隅に積まれた多数の白い箱に注目し、鳥飼はノートパソコンの中のファイルに注目、青島は、真っ白な部屋に入り込んでいた。

白い部屋の中央には、巨大な日向真奈美の写真が貼られ、その前には赤い箱が置かれてあった。

木島は、大量の手紙の束を発見する。

鳥飼は、ファイル名の「NI」「SAN」 「ICHI」を一つずつクリックして行く。

恐る恐る、白い箱を開けていた木島は、その中に、熊のぬいぐるみが入っているのを発見する。

赤い箱を開けた青島は、中に入れてあった子供の写真と手紙の束を見つける。

その時、「ZERO」のファンルをクリックした鳥飼は、ノートパソコンが突如爆発したので吹き飛ばされてしまう。

顔に負傷した鳥飼が、救急車で運ばれて行くのを観ながら、木島は罠だったのかと悔しがるが、青島は何か考えていた。

その頃、封鎖された新湾岸署の中に閉じ込められていた真下は、DVDに、交渉の手口を教えてしまったので、交渉係から外された顛末をすみれに打ち明けていた。

その時、すみれが変な臭いがすると言い出し、全員、ガスが発射されたのか!とパニックになる。

しかし、その時、部屋の隅に積まれていた押収物のはこの中にスカンクがおり、こちらに尻を向けている事に気づき、さらに全員パニックになる。

封鎖された新湾岸署に、消防車のレスキュー部隊やシステム業者が駆けつけて来る。

青島も、圭一の家で見つけた手紙の束を持って新湾岸署の玄関前に到着するが、一倉管理官から、邪魔だと怒鳴りつけられる。

検察庁の方では、まだ室井が、受刑者開放への許可を出し渋っていた。

世論がどう動くかデータが欲しいと云うものもいたが、室井は最後まで現場に任せたいと言う。

そこにやって来た鳥飼は顔に包帯を巻いていたが、政府と法務省に許可を受け、受刑者は新湾岸署に移し、その後射殺すると言う計画を提案し、素早い判断力と残酷な心を持てないと、指揮官にはなれませんよと室井に耳打ちする。

小池は、スクリーンに映る圭一に向かい、釈放が決まったと伝え、拳銃の箒と扉を解錠しろと要求する。

キャリーバッグを持った二人組が新湾岸署に入り込む。

その頃、夏美は新湾岸署前のテントの中、ネット上の掲示板を読んでいた。

そこに、包帯をした鳥飼がやって来て、一倉管理官に、受刑者たちをここに集結させると伝え、SATも配備を完了する。

受刑者の中でも、鏡恭一(稲垣吾郎 )は獄中でキリスト教に入信し、開放を拒否しており、野口達夫 (伊集院光)は精神に異常を来したので、今回開放するのは、噛み付き魔増田喜一(岡村隆史)と日向真奈美の二人だけだと鳥飼は説明する。

そうした表の様子を、刑事課に閉じ込められた真下やすみれは、プロジェクターユニットを付けた携帯端末でニュースを通して観ていた。

その時、真下が自分が持っていたDVDを眺めながら、「目には目を、歯には歯を…」と呟くと、会議室の小池に携帯を入れ、その言葉を繰り返す。

電話し終わった真下は、新しい湾岸署を守らなきゃ、このボクが…と呟く。

政府は法務大臣を更迭したと発表する。

深夜10時45分、地下駐車場にやって来た室井は、一台のライトバンに近づくと、その後部扉を開けさせる。

中には真奈美が一人乗っており、羽田に行け。飛行機を用意しろ。飛行計画だ言いながら、用意していたらしき紙を室井に手渡す。

「中東だ」と真奈美は、タッチパネル携帯をいじりながら答える。

その頃、新湾岸署完成記念と書かれた杭を青島は見ていた。

真奈美の乗ったライトバンは新湾岸署に移動を始めるが、その様子は、随時信者たちによって、ネット上に書き込まれていた。

新湾岸署周辺には白い服を着た、真奈美の信者らしき群衆が集まっていた。

室井は、新湾岸署玄関前にいる鳥飼に電話を入れ、日向真奈美の護衛を青島にして、説得しろと言えと伝える。

室井は、青島!お前に託す!と呟いていた。

その青島は、「新湾岸署完成記念」と書かれた杭を引き抜き、両端に紐を付けたものを使い、厚い防御壁にぶつけ始める。

そうした青島の様子を、ニュース映像をプロジェクターで投影した画像を通じて、すみれはしっかり見つめていた。

その行為を観た一倉管理官は、本庁の人間一人守れん奴に任せられるか!と威嚇する。

鳥飼は、真奈美の警護を青島に任せろとの指示を一倉管理簡易伝えるが、管理官は所轄を追い出せと怒鳴りながら、青島を突き飛ばそうとするが、青島は、仲間が中にいるんだと叫び、又、杭を撃ちつけ始める。

それを見ていたすみれは、音声をスピーカーに流してもらい、聞こえる?青島君、私達は大丈夫だから。みんな聞いて!青島君は重い病気なの。生きたくても長くは行きられないの。だから、青島君と捜査を!失敗しても良いの。青島君と一緒に失敗しなさい。これからは、私達けになるのよ。青島君の意思を継ぐの私達だけでしょう?子供みたいにまっすぐな心を持った青島君の思いを…、死んじゃ嫌!と呼びかける。

その放送を聞いていたスリーアミーゴズは、青島に間違いだったって言った方が良い事に気づく。

青島は一倉管理官に、「俺にやらして下さい!」と頼むが、「お前は引越してろ!」と言い返されてしまう。

青島は叫ぶ。「俺に部下はいない!いるのは仲間だけだ!」と。

青島は新湾岸署から出ようとすると、神田署長が、君の健康診断の影は、撮影のミスで間違いだった。君は病気ではないと告げる。

それを聞いた青島は、「え?俺、死なないの?」と拍子抜けするが、緒方薫巡査部長(甲本雅裕)らから「行きましょう!」と言われ、我に帰ると、真奈美の護送車に向かう。

その後を追おうとする本庁の刑事たちの前に立ちはだかった神田署長は、「私の仲間のする事に邪魔するな!」と言い放つが、すぐに、「どけっ!」と突き飛ばされてしまう。

夏美は青島に、手紙を読んで感じた事をまとめたとレポートを手渡し、緒方は和久ノートから、魔女は叩け!毒を吐き出すと伝える。

青島は、日向真奈美の乗った護送車に乗り込み、鳥飼は、ダミーの車を発車させる。

日向真奈美を乗せた護送車は羽田に向かう。

真奈美と対峙した青島は、5年間に100通以上の手紙を示し、中には愛の言葉がちりばめられている。圭一はだまされやすい男だとと指摘すると、「罪の世は、男が渡る女川」と和久ノートに書いてあった川柳を披露し、男は女によって犯罪者になるんだと伝える。

和久さんは言っていた。人が事件を起こすんじゃなく、事件が人を起こすんだって。

今回の事件で注目されたのは君。圭一はただの実行犯、操り人形に過ぎない。主犯は君だと指摘する青島。

すると、それまで無言だった真奈美が口を開く。「私を尊敬しろ!」と。

「警視総監になったのか?」と青島が軽く受け流すと、圭一に生き甲斐を与えてやったと真奈美は語り始める。

5年前、カウンセラーとして私の前に現れたあいつを選んで、微笑んでやった。

愛の手紙を渡してやり、週末には共に過ごし、オムライスを作ってやった。ガキの好きなオムライス。

ここ1年、計画をあいつに伝えた。ネットで仲間集めさせた。

その頃、ピンクのリュックを背負った犯人グループの女の子たちが、ネットカフェの個室にいた圭一と合流する。

女の子は青島の拳銃を持っており、もうすぐこれを撃って良いのねとうれしそうに話す。

その頃、新湾岸署玄関前のテントの中では、栗山がパソコンをいじっていたので、何をやってるのか?と和久が聞くと、真奈美ファンサイトに中傷の書き込みを書き込み、荒らしまくっているのだと言う。

すると、やがて、「20分後にショーが始まる」と、犯人しか知り得ない事実を含んだ書き込みをして来た「ロールパン」なるHNを発見する。

そのIPアドレスから、発信場所を特定し始めた栗山は、何だ!捜査って、ゲームより面白いじゃんと喜ぶ。

護送車の中の日向真奈美は、中東へは行かない、私の射殺命令が出ている。連れて行け、あそこに…と青島に語りかける。

その頃、もう一人の釈放犯として護送中だった増田喜一は、渋滞に巻き込まれ、時間までに新湾岸署に到達出来ないと判明、その場で釈放中止を言い渡される。

深夜0時まで後8分、サーバー室に閉じ込められていた和久は、床下にあった配線部分を見つけていた。

栗山は、先ほどの犯人グループらしき書き込みの発信源が、豊洲のネットカフェ「アプリシオ」である事が突き止められる。

爆発物処理班が、玄関前テントに到着し、和久が送って来る配線の映像をモニター越しに確認しながら、切断箇所を指示しようとする。

さらに、真下の発案「目には目を…」作戦として、クラッキングの常習者も、テント内に連れて来られ、セキュリティシステムを解除しろと命じられるが、モニターを観た常習者は「セキュリティにセキュリティかけてある!」と喜ぶ。

「アプリシオ」に到着した捜査官たちと、犯人グループはすれ違うが、その時、夏美は、新湾岸署内で見かけたピンクのリュックの女の子に気づき、「ノライヌ!」と叫ぶ。

すると、女の子が青島の銃を取り出し、夏美に向ける。

その背後で、王刑事が、「中国人刑事をバカにするな!」と言いながら、カンフーの構えを取る。

真奈美を乗せた護送車は、旧湾岸署前に到着していた。

夏美は、拳銃を取り上げ、圭一ら被疑者3人組を確保していた。

ネット上には、真奈美が旧湾岸署に到着したとの報告が既に書き込まれていた。

その頃、サーバー室にいた和久は、爆発物処理班の指示通り、配線を切断するが、その瞬間、署内に白いガス状のものが噴射されてしまう。

もたついているクラッキング常習者に、鳥飼は「成功したら、一流企業への就職を約束しても良い」と持ちかける。

張り切った常習者は、「いっその事、電源切ったらどうですか?」と思いつきを口にする。

それを聞いた、電源室に閉じ込められていた捜査員が、次々と電源スイッチを切断して行くと、閉まっていた防御壁が次々と開いて行く。

そこへ、外で待ち受けていた救護班がなだれ込む。

そんな中、真下は、本当に狙われているのはここじゃないと言う。

旧湾岸署にやって来た真奈美は、かつて私はここに来た、パソコンを取り戻すために…と青島に語りかけていた。

ここで死にたかったのに…、出来なかったと呟く真奈美。

0時になったら、ここは爆発する。

脱獄が目的じゃない。この命を絶つ事…、湾岸署と共に…と云う真奈美に、どうして死ぬんだと問いかける青島。

自由な世界の幕開けだ。死も爆破も美しい。私の死は世界に伝わる。それを観た人々は覚醒する。

死にたかったものは死に、人を破壊したかったものは殺し、新しい世界が始まる。たくさんの私が生まれる…と真奈美は続ける。

その時、鳥飼が旧湾岸署の表に到着し、「青島さん、逃げて下さい!」と呼びかける。

真奈美が二階に上って行く。

それを追って行った青島は「被疑者を逮捕するのが、俺たちの仕事なんだ。和久さんの誇りだったよな…」と呟くが、そんな二人を観ていた鳥飼は「死にたい奴は死なせりゃ良いんです」と口に出す。

「言い忘れた事あって…」とコートを脱ぎながら、真奈美に近づいた青島は、君の死は美しくなんてないよ。君には誇りがないじゃない?」と問いかける。

「誇り?」と真奈美はきょとんとしていると、「どんな事があってもお前を逮捕する。それが俺たちの誇りだ!」と言いながら、青島は真奈美のからだにコートをかぶせる。

時間が近づいたので、鳥飼は建物から離れる。

深夜0時まで1分を切り、新湾岸署では、閉じ込められていたすみれたちが外に出て来て、旧湾岸署の方向を見つめていた。

深夜0時…、しかし爆破は起こらない…と思った瞬間、旧湾岸署の一階部分は大爆発を起こし窓ガラスが吹き飛ぶ。

それを凝視するすみれ、そして室井。

やがて、煙の中から、コートをかぶせた真奈美を肩に抱いた青島が姿を表す。

真奈美の身体を地面に降ろした青島は「いいねえ、生きてるって…」と言うと、改めて「逮捕だ!日向真奈美!」と手錠をかける。

真奈美は「圭一はまだいるぞ。至る所に…」とほくそ笑む。

青島は、そんな真奈美を鳥飼に渡す。

鳥飼は、一倉管理官に報告する。

須川圭一らを連れた夏美は、帰って来た青島に、勝鬨署で取り調べますと言う。

その時、青島は、圭一の顔に見覚えがあるような気がして声をかける。「君、どっかで…?」

翌日は新湾岸署の開署式だった。

記念品担当をしていた青島に近づいて来た鳥飼は、昨日の映像、ネットで流れています。殺すべきだった。凶悪犯に説得は意味がないと耳打ちする。

その時、室井が帰ると聞いた青島は、記念品袋を一つ持って、車に乗り込もうとする室井に手渡しに行く。

「良くやった、青島」と褒める室井は、「これかた。新しい拘置所の視察だ。もう、私は捜査はしない。私がやるべきは政治だ」と言いながら車に乗り込む。

青島が、室井さん、楽しみにしているよと声をかけると、車の中の室井は「へっちゃまげな(余計な事だ)」と小さく呟く。

スリーアミーゴズなどが列席して見守る中、式典会場では、新しい署長が紹介されていた。

舞台に登場したのは、何と真下正義だったので、観ていた客たちは皆唖然とする。

私事ですが、と切り出した真下は、雪乃との間に子供が生まれました。女の子ですと発表するが、場が凍り付いているのを察すると、すぐに書状の挨拶を読み始める。

すみれは青島の前に来ると、まだ、謝罪の言葉聞いてないけど?青島君のために流した涙返して!死ねば良かったのにと悪態をついてみせる。

新湾岸署の側に独り抜け出して来た青島はタバコを吸い、「生きてて良かった。空も真っ青だ!」と胸を張ると、又、署にかけ戻って行くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「踊る大捜査線 THE MOVIE」シリーズの第三弾。

全作「2」から7年も経っているので、「2」の延長線と云うよりも、原点回帰を狙った作品になっている。

全編引越の真っ最中に起こる事件と云う事で、絶えず人が入り乱れ、その中に、過去のシリーズで登場した懐かしい顔ぶれが次々と登場する、言わば「お祭り騒ぎ」「同窓会」ノリの展開になっている。

ファンサービスのつもりなのか、犯人の方も同じく同窓会ノリなので、その分、新鮮さが稀薄なのは否めない。

それでも、日向真奈美を中核に据え、彼女がネットの中から観た世界、そこにたむろしている現実に生き甲斐を見いだせず、現実逃避する事であたら時間を浪費している多くの若者たちを良く観察し、自らも、そのバーチャル世界の中の偶像たらんと妄想し、そこから生まれた計画に現実の警察機構が振り回されてしまう顛末は、まさしく「今」が抱える問題の一部を切り取って見せているのかも知れない。

絶えず、携帯の画面にしか興味がなく、現実に目を向けようとしない真奈美の姿は、ごく普通の日常生活に見かける普通の人々の姿と何ら変わる事がないのが不気味と言えば不気味。

偉くなりすぎた室井の出番が少なくなった一方、現場と検察や本庁とを繋ぐパイプ役として登場した新たな冷徹性を持つ新キャラクター鳥飼も、次の展開を予感させる伏線のような気がする。