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大怪獣ガメラ

1965年、大映東京、高橋二三脚本、湯浅憲明監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

北極海上空を飛行する国籍不明の飛行機数機。

東大動物学教授日高(船越英二)と助手の山本京子(霧立はるみ)、そしてマスコミ代表として同行した日東新聞社カメラマン青柳(山下洵一郎)は、乗船して来たちどり丸からエスキモー集落に到着する。

応対に出て来た酋長(吉田義夫)は、空を飛ぶ謎の飛行機編隊を観て「悪魔の鳥だ」と顔をしかめる。

京子も、その飛行機が電波を探知されないようにエンジンを止めて飛行していることに気づく。

日高教授一行を乗せて来たちどり丸は、氷を割って前進を続けていたが、その無電室に、北緯84度27分、統計176度58分に未確認飛行物体が出現、電波かく乱塗料が塗ってあると通信が入る。

某国軍司令部では、付近を飛行中の味方機に連絡、未確認編隊に無線で呼びかけるが、全く応答はないどころか、突如、ミサイル攻撃を受ける。

味方機は、応戦し、未確認機一機に命中、墜落する。

墜落地点にはきのこ雲が立ち上がったので、それを遠目で観ていた日高教授たちは驚く。

青柳は、原爆を搭載していたんだと驚きの声を上げるが、日高教授は、これだけ距離があれば、死の灰の心配はないだろうと安心させる。

しかし、謎の飛行機の墜落地点では、氷が割れていた。

某国軍基地では、戦略航空隊に連絡を取ろうとしていたが、何者かが妨害電波を出しているらしく、通信状態は悪かった。

日高教授は、酋長に、アトランティス大陸に巨大な亀がいたことを聞いていたが、京子が、ちどり丸との交信ができなくなったことを教えると、教授も船に戻ることを決意する。

酋長は、教授に伝説の石を見せながら、これが、悪魔の使者ガメラだと教える。

日高教授は伝説が正しかったことを知り喜ぶが、石に刻まれた亀の絵には、波のような文様があったので、青柳が、これは波か?と質問するが、酋長は分からないと答えるだけだった。

ちどり丸の操舵室では、氷の中から突如出現した巨大な亀を発見、船長(小山内淳)は、ただちに退船命令を通達する。

無電室では、全長60mの巨大亀が出現したと打電し、乗組員たちは一斉に氷の上に逃げ出す。

無電を受けた某国軍基地では、すぐさま偵察機を発進させるが、ちどり丸も巨大亀の姿も発見することはできなかった。

ニューヨークのニューススタジオにいた日高教授は、今から数千年前、ガメラと言う巨大亀がいたが、それが某国の原爆でよみがえった。ちどり丸乗船者の中では、我々3人だけが助かったとインタビューに答え、ガメラに関しては、大量の放射能を浴びているので、すぐに死ぬはずですと推論するが、そのニュースはたちどころに世界中に広まった。

新潟で、結婚式帰りだった老人(左卜全)は、酔って一人で帰る途中、夜空を飛ぶ謎の飛行物体を発見する。

飛行機で日本に帰る途中だった日高教授ら3人も、カリフォルニア上空でUFOを目撃する。

機内で青柳は、実はエスキモー集落へのマスコミ同行は、ちどり丸の中で各社のカメラマンがくじ引きで自分一人が決まったので、残りのカメラマンたちはちどり丸と運命を共にした。

自分は京子さんと一緒にいたかったのです。ぼくにとって、京子さんは運命の女神ですと、京子への思いと、仲間を失った哀しさを吐露する。

北海道のとある岬近く、歩いていた桜井信代(姿美千子)は、弟、俊夫(内田喜郎)の担任上田先生から呼び止められ、学校での俊夫は、作文でも絵でも亀のことしか書かず、友達がいないと言うことを聞かされる。

俊夫は灯台守と言う父親の仕事の関係で転校が多く、今の学校が3度目、母親を亡くしていることから、内向的な性格になっていたのだった。

その日の夕食の後、食べ残した食事をこっそり持ち出そうとする俊夫を見つけた信代は、亀の餌にすることを知っていたので、父親(北原義郎)に注意してもらう。

父親は、亀を捨てたら、何でも好きなものを買ってやると俊夫を説得しようとするが、俊夫は、一番好きなものは亀だと言い返す。

呆れた父親は、言うことを聞かないと、学校に行っている間に捨てちゃうぞと脅したので、俊夫はその夜、こっそり、飼っていた亀のチビを、崖の途中の岩場に隠す。

そんな俊夫は、すぐ近くで巨大なガメラが顔を出したことに気づかなかった。

俊夫の姿が見えなくなったことに気づいた信代は、父と一緒に外に出て探していたが、崖の方から姿を現したガメラを観て仰天する。

俊夫は、ガメラに気づくと、近くの灯台に登って、もっと良くガメラを観ようとするが、ガメラはその灯台を片手でなぎ倒したので、俊夫は、手すりにつかまりぶら下がってしまう。

やがて力尽き、落下した俊夫は、ガメラが差し出した手のひらで救われる。

それを観ていた信代は、ガメラが助けてくれたと感激し、父親も安堵するのだった。

羽田空港に到着した日高教授は、待ち受けていた記者連中から、ガメラが北海道に出現したと聞き驚くが、すぐに北海道大学の村瀬博士(浜村純)に確認の電話を入れる。

ガメラが姿を消した後、再び、崖の所に隠した亀のチビを探しに出かけた俊夫は、チビがいなくなったことに気づき、チビがガメラになったのかも知れないと想像する。

北海道へ向かう飛行機に乗り込んでいた日高教授と山本京子は、青柳も同乗していることに気づく。

青柳は、どこまでも離れませんよと京子に言う。

北海道の地熱発電所では地震が発生していた。

陸上自衛隊のセスナ機は、電波妨害を確認していた。

自衛隊東千歳駐屯地に到着した日高らは、ガメラが7時半に襟裳岬に上陸したことを聞き、当地にある地熱発電所が35万ワットの電力を出せることなどの説明を受ける。

ガメラへの攻撃準備が整い、日高教授らは自衛隊のジープに同乗し、地熱発電所へ向かう。

日高教授は、撃たなくても倒せるかも知れないと言い出し、ガメラが高圧線に接近した時、全出力を放電してくれと依頼する。

しかし、高圧線に触れたガメラは弱まるどころか、ますます元気になっているように見えた。

ガメラは、地熱発電所の炎を吸い込み始める。

北海道大学生物学個性物研究所の村瀬博士は、火喰い亀であるガメラの細胞は、金属よりも強いはずだと言う。

日高教授から見せられた伝説の石を観た村瀬博士も、意味不明な波線は海の波らしくないと感じていた。

移動基地では、米軍に核ミサイル攻撃を依頼しようとしていたが、そこにやって来た俊夫が、撃っちゃダメだ。いじめちゃダメだと抗議していた。

そこに、日高教授と村瀬博士を乗せたジープが到着する。

俊夫は日高たちにも、撃っちゃダメだと頼む。

ガメラから助けてもらったと言う俊夫の言葉を聞いた日高博士は、発電所が完全に破壊されたとの連絡が司令部に入った時、高温に熱したものは冷たいものに弱いと言い出す。

それを聞いていた自衛隊司令官は、冷凍爆弾を試作品が完成しているのだと明かす。

しかし、難点が一つあり、有効期間が10分しかないと言う。

その時、ガメラは、地熱発電所から温泉がある地獄谷の方へ移動し始める。

日高教授は、すぐさま作戦を始めようと促す。

自衛隊員たちは、ガメラが向かっている先の崖の下付近にダイナマイトを設置し始める。

やがて、ガメラがその地点に到着し、上空に接近して来た自衛隊機から、冷凍爆弾がガメラに向けて投下される。

冷凍爆弾は炸裂し、凍り始めたガメラの動きが鈍くなる。

崖下のダイナマイト設置が完了し、自衛隊員たちが避難し終えた所で爆破。

崖は崩れ、ガメラは地滑りと共に回転しながら落下し、仰向けの状態になってしまう。

それを観ていた村瀬博士は、亀は裏返したら、自力でひっくり返ることは不可能。後は餓死するのを待つんだと満足そうに言う。

すると、ガメラが突然、手足と首を甲羅の中に引っ込め始める。

それを観た自衛隊員たちは、手もあしもでないとはあのことさと笑うが、次の瞬間、ガメラの手足の穴から突如炎が吹き出したかと思うと、ゆっくり回転し始めたガメラの甲羅は浮き上がり、そのままそれに向かって飛び去ってしまう。

それを見送った村瀬博士は、亀が空を飛ぶとはな…と唖然とする。

日高教授は京子に、エスキモーの石に描かれた波は雲だったんだと告げる。

新聞には、空飛ぶ円盤はガメラか?との記事が載り、それを新潟のあの老人も読んでいた。

俊夫は、姉の信代と二人で、東京に来ていたが、俊夫が、チビを隠した崖の石を持って来たので、信代は呆れていた。

しかし、チビがガメラになったと思い込んでいる俊夫は、ガメラの家だと言って手放そうとしなかった。

防衛庁では「ガメラ対策本部」が設置されていた。

世界中の上空に出現したガメラの飛行写真を京子が眺めていると、京子から連絡をもらったと俊夫と信代がやって来て、日高教授に挨拶をする。

北海道の灯台が壊されたので、築地にある父の実家に来たのだと信代が説明する。

京子は、そんな信代と俊夫を連れ、東京タワーに連れて来る。

俊夫は、ガメラはどこに行ったんですか?亀はおとなしい動物なんです。寂しいから友達探しているんですと京子に伝える。

父の実家「魚国」では、最近、魚が捕れなくなって缶詰と干物ばかりになったと叔父(中田勉)が信代に説明していた。

そこへ、叔父の息子の一郎を追って俊夫がやって来て、一郎が、自分が大切に持っていた石を大川に捨てたと訴える。

それを聞いた叔父は、代わりを探してやるからと詫びるが、俊夫は、代わりなんかないよ!と怒ったまま、その場を立ち去るのだった。

信代は、そんな弟のことを心配するが、俊夫は、その後戻って来て、部屋で寝ていた。

日高教授は、対策本部でガメラの解説をしていた。

火を好み空を飛ぶガメラは、火力発電所を体内に持っており、時々電波を発射するため、それが妨害電波になる。

石油、石炭、原爆などを好んで襲うかも知れないと言うのだ。

この報道を知った東海村では、原発の放射性物質をどこかに隠そうと話し合っていた。

中央卸市場では、すっかり荷が入らなくなり、困惑していた。太平洋の肴が皆死んでしまったのではないかと言う噂さえ立っていた。

テレビでは、江東区など、海抜0m地域に高潮が襲い、高潮が侵入したと報道していた。

東京湾には怪電波が発生したため、ビーコンで誘導されていたギリシャのタンカーが転覆すると言う事故も発生する。

これを知った日高教授は、これら一連の事件はガメラの仕業ではないか。東京湾の海底にいるのではないかと推論を述べる。

やがて、米ソを含め、世界中の科学者が来日、ガメラ問題に付いて会議を開く。

外国人科学者は、伊豆の大島の海岸縁に米ソが技術提供をして建設中の「Zプラン」を使ったらどうかと提案する。

その頃、羽田の管制塔では、通信が突然不能になりパニックに陥るが、空から飛来したガメラが羽田に着陸する。

ガメラが都心部に接近したので、都内に緊急避難指令が発せられ、警官隊は、ビル内でゴーゴーを踊っていた青年たちに退避するよう命ずるが、無軌道な若者たちは、「命なんか惜しくない」と反論し、「親の身にもなってみろ!」と諭す警官の言葉を無視して踊り続けようとする。

しかし、次の瞬間、そのビルはガメラによって破壊され、警官隊と共に、踊っていた若者たちは全員、瓦礫の下敷きになる。

ガメラは口から火炎を発射し、東京タワーを押し倒してしまう。

車は衝突事故を起こし、ガメラは人々を焼き尽くすのだった。

信代は俊夫に、明日疎開するよと伝えるが、ダメだよ、悪いことしちゃいけないよと言う俊夫は、いつの間にかいなくなってしまう。

外国人科学者たちは、Zプランは我々に任せてガメラは頼みますと、日高教授らに依頼するが、肝心のZプランの完成には、後24時間必要だった。

ガメラは、石油コンビナートに居座って、炎を吸い続けていると日高教授が現状を説明すると、村瀬博士は、炎は8時間で止まってしまうので、釘付けにするのが良い。石油を補給するしかないと提案する。

その計画は直ちに実行され、埠頭に続く貨物車用線路を石油を詰んだ無人貨車が進み、炎を吸っていたガメラの前で爆発する。

この方法で、後24時間持ちこたえれば大丈夫だと、対策本部にいた日高教授は、現場に電話して来る。

ガメラは、連結した石油貨車を自らの方へ引きづり始める。

その貨車に乗り込んでいたのが俊夫で、彼は何とかガメラに近づきたい一心だったのだが、それに気づいた現場主任は、子供の命を救うため、ガメラの方に引っ張られていた貨車に飛び乗り、徐々に俊夫の方へ進んで行く。

俊夫の乗った貨車がガメラに引きづり困れようとした瞬間、主任は俊夫を掴んで貨車から飛び降りる。

次の瞬間、ガメラが引っ張った貨車は大爆発を起こす。

何とか無事で、起き上がった俊夫は、ガメラと友達なんだと主任に告げる。

その後、Zプランは無事完成する。

問題は、どうやって大島までガメラを誘導するかだった。

日高教授は、一つアイデアがあると言い出し、大島にも同行したがる青柳には、マスコミ関係者は大島には行けないので、村瀬博士のいる川崎へ行くように告げる。

その頃、大島行き汽船の中に俊夫は潜り込んでいた。

川崎でガメラを監視していた村瀬の元にやって来た信代は、俊夫の姿が見えなくなったと伝える。

一方、大島でテントを張り、待機していた日高教授の元に、密航者ですと、俊夫が連れて来られる。

Z計画が開始され、川崎から大島に向かうタンカーから海へと石油が撒かれて行く。

川崎の村瀬博士は、大島の日高教授からの電話で、こちらで俊夫を、無事保護していると知らせて来たので、それを心配する信代に教えてやる。

大島にタンカーが到着し、その航跡には石油の道が長く続いていた。

連絡を受けた日高教授は自衛隊に通達、ただちに、その海上の石油の道目がけ機銃掃射がされ、火の道が川崎の方へと伸びて行く。

それに気づいたガメラは、火の道を伝うように、大島方向に進み始める。

しかし、大島付近で台風が派生し、その特長は雨だと言うニュースが、大島のテント内に置かれたラジオから流れて来る。

海を見つめた俊夫は、ダメだガメラ!来ちゃダメだ!と叫ぶ。

その祈りが天に届いたのか、急に台風の雨が振り出し、海上の炎の道は消えてしまった。

それを観た俊夫は喜び、日高教授は万事休すだとため息をつく。

その時、天との近くにいた一人の工事人夫が、灯油タンクをテントに浴びせかける。

驚いて止めようとした日高教授は、その人夫が青柳カメラマンだと知り驚く。

工事人夫にまぎれ、大島に来ていたらしい。

青柳は、ガメラは火が好きだから、もっと燃やすんだと叫ぶ。

その意図を理解した日高教授も、テントに火を放つよう命じ、テントは燃え始める。

一旦、本土の方に戻りかけていたガメラは、このテントの炎上に気づくと、又方向を変える。

しかし、雨が激しくなり、テントの火も消えてしまう。

京子は、自然の威力には勝てないんですね…と肩を落とすが、次の瞬間、大島の火山が突如噴火を始める。

それに導かれるように、ガメラは大島に上陸する。

ほどなく、村瀬博士と信代を乗せたセスナが大島に到着する。

それをうれしそうに出迎えた俊夫は、Z計画に遅れちゃうよと、姉を研究所に連れて行く。

俊夫は、その研究所をすっかり気に入ったらしい。

司令塔に村瀬博士と信代、俊夫が到着すると、ちょうど日高教授が、Zプランの開始を告げる所だった。

監視室から見える丸い地域に、炎が立ち上る。

それを目がけてガメラが接近し、丸い地域の中に足を踏み入れた所で、セカンドステップ!と日高教授が命ずる。

すると、丸い地域の淵の部分から、カプセル型の容器が現れ、ガメラを包み込むように閉じてしまう。

サードステップ!と日高教授が命ずると、そのガメラを包んだカプセル状の部分が上昇し出し、その下の部分のロケットがそのまま上空目がけて発射する。

空に飛び立って行くロケットを観ながら、火星行き宇宙ロケットが成功しましたとのアナウンスが流れ、研究所内の人々は歓声に包まれる。

そんな中、日高教授は、助手の山本京子に向かい、たまには研究を忘れて、青柳君の女神になってくれと笑いながら言葉をかける。

俊夫も、ぼくも科学者になり、火星のガメラに会いに行きますと約束するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

何度も観ている作品だが、改めて見返すと色々新発見がある。

まず、冒頭、ガメラに遭遇したちどり丸の船員たちが、雪上に避難するシーンは、人間ではなくアニメであることに気づいた。

それから、この作品で、ガメラの好むものや、ガメラが怪電波を発することなどが説明されているが、2作目以降、何故か怪電波発信の設定は省略されるようになったことが分かる。

この第一作めから、子供とガメラの不思議な関係や、色々怪獣対策のアイデアを出しては次々に失敗して行く、展開の面白さが確立していることが分かる。

後半のZプランを巡る展開は、さすがにご都合主義そのものとしか言い用がないが、子供向けと割り切れば、なかなか楽しめる作品になっていると思う。