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日本一のゴマすり男

1966年、東宝+渡辺プロ、笠原良三脚本、古沢憲吾監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

富士急行のボンネットバスから降りた背広姿のの青年中等(なかひとし-植木等)は、躓いて転びかける。

しかし、すぐに元気良く唄いだし、やがて、我が家に帰りつくなり、出迎えた母親節子(吉川満子)に、合格したと知らせる。

大学を卒業後、受けていた会社に入社したと言う知らせだった。

母親は喜び、少し遅れて家を出て来た父親中等一郎(中村是好)も喜ぶが、持っていた擂り鉢を等に渡すと、中に入っていたゴマをすってくれと頼む。

嫌々庭先でゴマをする息子に向い、万年係長で定年を迎えた父親は、その要領で世渡りをして、私の代わりに出世しろと教えるが、聞いていた等は、そんな世渡りはごめんだと言いながら力を込め過ぎたので、すっていた鉢を割ってしまう。

初出社の日、入社した「後藤又自動車」の玄関に、朝礼のある9時5分前より30分も早くやって中等を見つけた守衛(沢村いき雄)は、客かと思い、まだ誰も来てませんがと声をかけるが、今日から社員になった新人だと中等が名乗って、名刺を渡すと、こんなものをもらっても捨てるしかないよと返却するのだった。

ショールームに入ってみた中等は、居並ぶ「キャデラック」「ボルボ1800」「ビュイックスペシャル」「ビュイックエレクトラ」「ビュイックスカイラーク」などの外車を観て感激する。

これらを惚れ込めば、仕事にも張り合いが出るのだと、中等が自らに言い聞かしていたその時、近くにあった電話が鳴ったので出てみると、中村と名乗る客からの物で、細川と言う人物が、今朝、7時までに見せに来ると言う約束だったが、いまだに来ないがどうなっているのだと言う催促だった。

すぐさま、ビュイックスカイラークに乗った中等は、田園調布にいると言う中村の元へ急ぐのだった。

ゴルフバッグを持って待っていた中村(南利明)は、すぐに乗り込むと、そのままゴルフ場まで急いでくれと言う。

奇妙に思った中等だったが、客に言われるままゴルフ場まで送り届け、契約の方はどう致しますかと聞いた所、今日はただ試し乗りしただけと答え、中村はゴルフ場の中に入ってしまうのだった。

巧く利用されたと感じた中等だったが、そこは宣伝をしたと思い込み、すぐさまスカイラークで会社に戻る事にする。

その頃、会社では、女性が、今朝客に見せる予定だったビュイックスカイラークが一台なくなっていると課長(桜井センリ)に報告し、警察に届けろと大騒ぎになっていた。

一方、中等が運転するスカイラークから追いこされた一台の車が、向きになって追い掛けはじめる。

やがて、そのチェイスにパトカーまでついて来る事になるが、当の中等は全く気付いていなかった。

「後藤又自動車」に到着した中等は、青い車とパトカーがついて来たのを知り首を傾げるが、それよりも、社員たちが大勢、泥棒だと言って取り囲んで来た事に驚く。

中等は、盗んだのならともかく、車は今ここにあるし、自分は客に見せに行っただけだと言いながら、細川と言う人はいるかと聞くと、先ほどから騒いでいた女性細川眉子(浜美枝)が進み出る。

相手が女性だった事に驚いた中等だったが、これからはもっと化粧にかかる時間を節約して、早く出社すべきだと釘を刺す。

ともかく、ナンバープレートを付けずに道路を走ったのは、道路交通法違反だとパトカーから降りた警官が言うので、その始末書を誰が書くかで又もめはじめる。

その時、青い車に乗って追って来たサングラスにひげヅラ男(二瓶正也)が、俺の車を抜き去るとは憎いが、気に入ったのでスカイラークを買うと言い出す。

値段を聞かれた中等は、340万だと答えて、後の契約は真由子に任せると同時に、始末書の方もやっておくように言い残し、自分は2階の社長室に挨拶に出向くのだった。

社長室に入って挨拶をした中等に、社長の小泉(新藤英太郎)は、入社早々遅刻をしたのは君かと厳しい顔を向けて来る。

心外だと、今まで仕事をしていたと説明した中等だったが、そんな事は認めない。会社では、秩序を乱すなと叱りつける。

そもそも、君は何故入社出来たのか分かっているのかと続ける社長は意外な事を言い出す。

実は、中等の試験の成績は最低だったが、35年前、入社が自分と同期だった君の親父から泣きつかれたので、仕方なく、補欠として入社させただけだと言うではないか。

小泉社長が総務部長を呼出した直後、後藤又グループの総帥である大社長(東野英次郎)が目高常務(高田稔)を引き連れて、社長室に入って来る。


迎えた小泉社長は、急に低姿勢になって、昨日、首相と対談していたテレビを拝見し、大変勉強になったなどと大社長にお世辞を言うが、そこに総務部長の春山(有島一郎)がやって来たので、中等は、大社長によろしくと挨拶して部屋を後にする。

ところが、その行為を春山は厳しく注意する。

自分ら課長クラスですら、大社長には直接挨拶などできないのだと言う。

そんな風習はおかしいと感じた中等だったが、春山から庶務課長の別当(犬塚弘)に預けられる。

さらに、その別当課長から、文書係長山根(人見明)に預けられた中等は、権田女史(宮田芳子)に預けられ、封筒の宛名書きをやらされる事になる。

その日の昼休み、屋上で中等が歌を唄っていると、朝方出会った細川眉子が声をかけて来る。

今夜食事しないかと言う誘いであった。

残念ながら、今そんな金を持ってないと中等が断わろうとすると、スカイラークが売れたお礼に、眉子がおごると言う。

その夜、クラブで食事をした眉子は、私のように契約セールスマンになるつもりはないかと誘って来る。

正社員ではないから給料はないが、車が売れると、1%のマージンがもらえると言うのだ。

一種の独立採算と言う訳かと納得した中等は、後藤又グループには37も子会社があり、その一つに過ぎない後藤又自動車などに一生いても、精々定年までで係長留まりだと説明する真由子の言葉に、それは今日一日仕事をやってみて良く分かったと頷くのだった。

その後、自宅アパートまで車で送ってくれた眉子に、どうしてそこまで親切にしてくれるのだと聞いた中等だったが、自分の事を好きだと早合点し、その場でキスしようと知るが、男ならもっと他に考える事があるんじゃないのと頬を叩かれて、そのまま去られてしまう。

部屋に帰って来た中等は、今眉子が言った言葉と、父親が言った言葉を思い出し、25才になる自分は、ここで一つでっかいゴマすりをやって、親父の復讐戦をやってみようと心に誓うのだった。

張り切って飛び上がった彼は、天井板を突き破り、落ちて来た埃まみれになる。

中等は、ステージで「ゴマすり行進曲」を唄うのだった。

翌朝、会社の前で、眉子に追い付いた中等は、自分はやはり、契約セールスマンにはならず、正社員に徹してみると伝える。

それを聞いた眉子は、あんたはやはり、蒸気機関車みたいなもので、時代遅れなんだわと嘲る。

しかし、中等は、後から来た係長に気付くと、そのタイムカードを率先して打ってやり、その鞄を持つと、人ごみをかき分けて、エレベーターに課長を優先して入れるのだった。

さらに、机に座った係長にお茶を入れて来ると、係長は釣りがお好きですかと聞く。

15年のキャリアを誇る山根が、少し自慢げに頷くと、自分も大の釣り好きなので、今度の日曜日、キス釣りに連れて行ってくれと申込む。

次の日曜日、約束通り、山根について海に出た中等は、その腕前をベタ誉めし、自分は、大物を吊り上げ損ねて、海に落ちてしまうのだった。

しかし、その日の収穫は乏しかったので、帰りに、漁師(谷晃)から、その日捕れたキスと干物を買って行こうと中等は言い出す。

さすがに、そんな金は部下に出させないと、山根が自分から金を出す事になる。

電車で帰る途中、この土産を持って、課長の所へ言ってみようと言い出す中等。

別当課長の自宅にやって来た二人を出迎えたのは、妻の春子(中北千枝子)だった。

別当は、今ゴルフに行って留守なのだと言うので、持って来た土産の魚を渡し、帰りかけた所に、ちょうど帰って来た別当と出くわす。

土産をもらった事を知った別当は、ちょっと上がって行けと勧め、中等もその言葉に甘えかけるが、さすがに、山根に引き止められて、その日は帰る事にする。

翌日、昼休みに山根を連れ立って食堂に出かける別当課長を待っていた中等は、アパートの親父に借りて来たと言う中古のドライバーを出してみせると、今度の日曜日、ゴルフを教えてもらえないかと言う。

山根の目の前で、釣りより、断然、ゴルフの方が良いと褒めちぎるので、聞いていた山根は面白くない。

翌日曜日、別当課長に伴われてゴルフの練習場について来た中等だったが、さすがに巧く飛ばない。

そこへ、同じく練習に来た春山部長と出くわすと、今度は、その春山に向って、今度は自分に教えてくれと言い出す。

そんな所に、春山と待合せしていたらしい女(久保菜穂子)がやって来て、今度コースに連れて行ってと甘えながら練習を始める。

明らかに、浮気相手と直感した中等は、すぐさま、その女の練習に付きっきりになり、何かと世話を焼きはじめる。

帰る際、女の車に荷物を運んでやった中等は、すっかり気に入られたのか、ここへ来てと、「てるみ」と書かれた名刺を渡される。

さっそく、クラブ「AKIMURA」に出かけた中等は、てるみに会うと、今度自分も、春山部長のゴルフに一緒に連れて行ってもらえないかと頼む。

そのすぐ後、春山本人がやって来たので、はるみが、中等から言われた事を口添えをすると、今度の日曜日は引っ越しなのでダメだと言うではないか。

それを聞いていた中等は、学生時代、そう言うバイトはやりなれているので、後輩を連れて手伝いに行くと強引に売り込む。

翌日曜日、約束通り、世田谷上野毛の引っ越し先に、中等に呼ばれた後輩(加藤茶ら)がトラックで荷物を運んで来る。

その荷物をトラックから降ろさぬうちに、春山に近づいた中等は、近所に住んでいる目高常務の家に挨拶に言って来るので、名刺を頂戴したいと申し出る。

挨拶なら、自分達夫婦でその内出かけるからと言う春山に、それはそれ…とごまかし、名刺をもらった中等は、目高常務の屋敷に向うと、ちょうど、勉強をしながら家を出て来る常務本人と出会う。

中等が要件を言っても、全く上の空。

常務は根っからの学級肌のようで、現実には興味がない様子。

仕方がないので、勝手に屋敷の中に入って行くと、その妻らしい女性(京塚昌子)がいたので、春山部長の名刺の上に、自分の名刺を載せて一緒に手渡す。

見ると、広い庭一杯に、家財道具が広げられており、どうやら大掃除の真っ最中らしかったが人影が見えない。

妻が言うには、手伝いを頼んでいた人たちは来ないし、主人は学者肌で何もしてくらないしで困っているらしい。

すぐに、春山邸に駆け戻った中等は、後輩たち全員を呼んで、少しこっちに置いておいてくれと頼む春山の言葉などには耳も貸さずに、すぐさま目高邸の大掃除の方に連れて行くと、大掃除を大車輪で片付けてしまうのだった。

翌日、会社で顔を会わせた春山、別当、山根の三人は、中等という男は、ちょっと調子が良いだけで誠意がなく、ドライな男なんじゃないかと噂しあっていた。

春山は、ちょっとあいつを懲らしめるため、仕事を増やしてやろうと部下二人に持ちかけ、さっそくやって来た中等に、いつもの何倍も大量の封筒書きを命ずるが、張り切っている中等は、そんな仕打ちくらいでは全くめげないのだった。

そんな中等の所にやって来た目高常務は、大掃除の礼を言うと共に、妻が君を気に入ったので、次の日曜日に家に来て欲しいと誘いながら、仕事はもっと手分けしてさせるように春山部長に言い付けて帰る。

唖然とした部長は、仕方なく、その事を別当課長に伝え、別当課長は山根係長に、仕事を手分けさせるように言い付けるのだった。

次の日曜日、唄いながら外出した中等は、細川眉子に出会ったので、彼女の車に乗せてもらって上野毛に向う。

中等は、今から目高常務の屋敷に行くのだが、君も一緒について来ないか。金持ちのどら息子や娘がたくさん来ているから、車の売り込みにも役立つのではないかと伝える。

眉子は、最近、おべっかばかり使っていると噂される中等をバカにするが、1年以内に自分が出世したら一緒になってくれないか、もししなかったら、自分が契約社員の助手として、君の下で働くからと中等は持ちかけて来る。

常務などと言う偉い人の屋敷に入る事ができるのかと不安がった眉子だったが、ちょうど、大社長令嬢鳩子(中尾ミエ)の誕生会を開いていた屋敷内に、中等は顔パスで堂々と入って行くのだった。

庭で、クラシック音楽の鑑賞などしていた鳩子は、そんな退屈さに飽き飽きして一人散歩を始めるが、すかさずその後をついて行った中等は、気安く声をかけ、彼女が飛行機の操縦をしたがっているのを聞き出すと、自分も好きで中学時代からやっていると、あたかも操縦免許を持っているような答え方をして気に入られる。

翌日、会社で出会った眉子は、昨日、目高邸でカルマンギア1500が1台売れたから、お礼に明日おごると誘われるが、その直後、鳩子から電話が入り、翌日は調布飛行場に行く事になったと眉子との約束をキャンセルしてしまう。

怒る眉子に、中等は「君、ジェラシってんの?」と軽く受け流す。

翌日、調布飛行場にやって来た中等は、鳩子の操縦する後藤又航空が開発した国際機イーグレットに同乗する事になる。

心配した眉子も、こっそりその飛行場に来ていたが、そこにバイヤーを連れた後藤又航空の社員が来て、イーグレットがない事に気付き騒ぎ出す様子を見る。

鳩子の操縦を鷹揚に観ながら、それで大体結構などと落ち着いていた中等だが、着陸する段階になって、自分はまだ着陸の仕方は習ってないので後は頼むと鳩子から、操縦桿を渡されると、急に焦り出す。

鳩子の方も、急に「飛行機操縦法」なる本を取り出して読み出した中等の姿を観て、あいてが操縦方法など全く知らない素人だと言う事を知ると青ざめる。

地上にいたバイヤーが怒って帰ってしまった後、ようやくイーグレットの姿が見えたので、滑走路から観ていた眉子や、後藤又航空の社員たちだったが、イーグレットの動きが明らかにおかしい事に気付く。

何度か、着陸体制に入りながら、失敗して又飛び立つイーグレットだったが、やがて、コツを覚えたのか、何とか中等は、イーグレットを無事着陸させる事ができる。

鳩子には、愛想をつかされるし、待っていた眉子を誘っても、自分は一度キャンセルされた車には乗らないのと肘鉄を食らわされた中等は、独り、やせ我慢の歌を唄うのだった。

ある日、会社の食堂で何気なくテレビを観ていた中等は、単発機でアメリカから大平洋を横断して日本にやって来たジョージ箱田(藤田まこと)なる、移民してジャガイモ王になった人物の孫に当る日系三世のニュースを観て、ピンと来る。

ただちに、ジョージの泊まっているホテルを尋ねた中等は、図々しくもジョージの部屋に入って行くと、プレゼントを持って来たと言う。

しかし、そう言う中等が何も携えていないのを観て不審がるジョージだったが、それは今ここに持って来れるものではなく、ユーの花嫁だと中等は告げる。

ある日、飛行場で、教官の講義を聞いていた鳩子の元にやって来た中等は、連れて来たジョージを紹介する。

時の人であるジョージの出現に、一斉に他の女性たちは彼を取り囲むが、鳩子はちょっと距離を置く。

興味がないのかと思いきや、人一倍、ジョージの事については詳しかった。

その後、鳩子とジョージは順調に付き合うようになる。

今や会社では、部下の中等に、山根課長の方が、茶を入れて来るようになっていた。

そんな中等の所にやって来たジョージと鳩子は、今度二人は結婚する事にしたので、ついては仲人をやって欲しいと頼まれた中等は、その代わり、大社長に会わせてくれと頼むと、パパはこの結婚に大反対だから、会うのは難しいと鳩子に言われる。

しかし、今、人間ドックに入っているという情報を聞いた中等は、単身、見舞客が列をなしている病院に乗り込んで行く。

その列の先頭には小泉社長がおり、面会謝絶だから会えないと拒否されていたが、その受付に名乗った中等は、すんなり部屋に招き入れられたので、泉社長は呆然としてしまう。

受付に訳を聞くと、今の方は家族ぐるみで、大社長と付き合いがあると言うではないか。

病室では、ワンマンの大社長が、後藤又航空の幹部に、3億も投資しているのに、いまだに一機も売れないとはどう言う訳だ、イーグレットなんてスクラップにしてしまえ!と説教をしている最中だった。

それを聞いていた中等は、あのイーグレットは、私のような素人にでも操縦できる優秀な飛行機だと言葉を挟む。

突然現れた中等にびっくりした大社長だったが、どうして鳩子さんの結婚に反対しているのかと聞かれると、女が飛行機の操縦をするなどとんでもない事だし、片言の日本語をしゃべるようなやつは気に喰わんと古臭い事を言う。

それを聞いていた中等は、大賛成だ、二人の仲をぶち壊しましょうと言いながら帰って行く。

しかし、その足で、鳩子とジョージが待っていたホテルに向った中等は、二人に、飛行機でアメリカに飛んで行き駆け落ちをするようにすすめる。

しかし、ジョージの単発機は独り乗りだと聞くと、イーグレットは二人乗りだからあれを使えと言い出す。

すぐに、調布飛行場に二人を連れて来ると、イーグレットに乗り込む二人に、イーグレットのチラシの束を渡し、向こうに着いたら、これを派手にばらまいてくれと頼む。

二人を乗せ、飛び立ったイーグレットを見送った中等は、これでOKだと、満足するのだった。

後日、会社で中等は、社長室に呼出される。

娘を駆け落ちさせられた事を知った大社長が待っており、やって来た中等に、沖縄を飛び立って以降消息を断ったイーグレットの事を言い出し、今日限り会社を辞めるように命ずる。

しかし、中等はひるまず、これまで会社の仕事は真面目にやって来たのだし、それ以外の人との付き合いは、全部、日曜日にやって来たのだから、それは個人の自由のはずだと反論する。

消息を断ったイーグレットに関しても、自分の子会社に作らせた製品を社長が信用しなくてどうすると叱る。

その時、サンフランシスコから国際電話が入ったと、小泉社長から渡された中等は、その相手が、無事アメリカに到着したジョージからのものと知る。

やがて、電話の向こうは鳩子に代わり、パパの事が心配だが、電話で話すと泣いちゃうから、元気でイルと伝えて、と言う声を聞いた大社長は複雑な表情になる。

鳩子はさらに、こちらでは自分達の事が大評判になっており、テレビや新聞から引っ張りだこ。

こちらの商事会社からは、イーグレットの引き合いが殺到していると聞いた大社長はがっくり席に腰を落とし、自分の不明のいたりだ。謝ると、中等に頭を下げる。

すると、中等、今こそ、イーグレットをアメリカで販売するチャンスだと言い、それを聞いた大社長も、さっそく支店を作ろうと早い決断を下す。

もちろん、その支店長人事は決まっているんでしょうね?と顔を覗き込んで来た中等を観た大社長は、苦笑しながら、君に決めたと言う。

さっそく、屋上で、後藤又自動車全社員を集め、今度、後藤航空のニューヨーク支店長に抜擢された中等の紹介が、大社長から行われる。

春山、別当、山根は、挨拶を終え壇上から降りて来た中等に、へりくだったような複雑な表情を浮かべ、祝辞を述べるのだった。

近づいて来た中等から、1年以内に出世したら、君は僕のものになる約束だったねと言葉をかけられた眉子は、バカにしないでと怒って去ってしまう。

ちょっと戸惑った中等だったが、そうか!いつも、親父がおふくろに使っているあの手だ!と叫ぶと、車の所にいた眉子を追い掛け、土下座をして頼み込み、そのまま彼女の車に乗って走りはじめるのだが、その車は、途中で道路脇に停車してしまう。

白バイの警官(谷啓)が近づいて来て中を覗き込むと、中等と眉子が濃厚なキスをしている姿を見つけ焦るが、駐車違反のステッカーを貼ったその車は、何事もなかったかのようにその場を走り去るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「日本一の〜」シリーズ第3弾。

シリーズ初期の作品だけに、まだまだ勢いがあり、植木等も元気なら唐突な歌の挿入シーンも多く、今観ても、それなりに楽しめるナンセンス作品になっている。

ストーリー自体は、口八丁のサラリーマンが、あれよあれよと言う間に出世してしまうと言う、いつものサラリーマンファンタジーパターン。

車のセールスマンと言えば、植木等の運転手をやる直前の小松政夫がやっていた仕事だそうだ。

月1000万くらいの売上を誇り、20才そこそこで、当時月給10万円もらっていたと言うから、映画の中の主人公さながらである。

基本的にはお馴染みの顔ぶれだが、久保菜穂子が出ているのがちょっと珍しいかも知れない。

バリエーションに富んだロケやイーグレットの飛行シーンなどは、観ている側としては爽快感があるが、撮影は大変だったに違いない。

そうした手間のかけ方が、面白さに繋がっているのだと思う。

植木等の後輩の大学生として、加藤茶が出ているのも見所。

まだまだ坊やと言う感じである。


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