2007年、キングレコード、横山光輝原作、今川泰宏脚本+監督作品。
この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。
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ここに鉄の塊がある…、戦後10年甦ったそれは、今でも時代を見つめている…。
月夜の中、発見された不発弾を奪おうとする三体の怪ロボットに、敢然と立ち向かう鉄人28号!
金田正太郎(声-くまいもとこ)が、その鉄人の手に乗る見知らぬ青年に戸惑い、名を尋ねると、あいては、鉄人の操縦者ショウタロウ(声-粟野史浩)と名乗る。
ショタコン(正太郎コンプレックス)のお高さんこと、高見沢(声-石塚理恵)は、恋人の村雨健次(声-幹本雄之)のスクーターに乗り込む。
健次は、自分があれこれ知恵を絞って儲けた金も、すぐ、兄貴の村雨竜作(岩本規夫)が、シベリア抑留者などに寄附してしまう事を嘆きながらも、新しい儲け口のアイデアをお高さんに打ち明ける。
それは、最近あちこちで発見されている不発弾の解体現場周辺に狙いをつけると言うものだった。
何せ、不発弾が発見されると、その周辺の家は、ことごとく避難して無人となってしまう。
空き巣の標的としては、これ程最適の場所はないので、そこを狙おうと言うのだった。
二人がやって来たとある不発弾
金田家の墓を参ったショウタロウは、自分は金田博士の養子で、特攻隊として訓練したが、ある時博士に南方の島に呼ばれ、そこで、鉄人の操縦を学んだのだと打ち明ける。
その後、行方不明となり10年経ったが、再開発目的で島を訪れた外国の調査団に発見されたのだと言う。
同行した敷島博士(声-牛山茂)や大塚署長(声-稲葉実)は、帰京する列車の中で、ショウタロウが持っていル遺骨箱のようなものに気付いていた。
ショウタロウは、子供の頃、両親と羅漢さんがたくさんある寺に行った記憶があると話すが、聞いた敷島らも、京都の寺ではないかと推測するばかり。
東京に着くと、大塚署長がショウタロウの家が残っていた事が判明したと、一行をそこに案内する。
そこは、共潤会第五号館と言う共同アパートだった。
そこで出迎えた管理人萱野月枝(声-鈴木弘子)を観たショウタロウは、思わず、お母さん!と抱きつくが、戸惑う相手の様子に気付き、自分が勘違いしていたと知る。
自分が養子に行ったのは物心つく前の事で、実の母親の顔は良く覚えていなかったが、一瞬、その想い出の中の母親に似ていたので錯覚したらしいと、ショウタロウは詫びる。
月枝は気にしない様子で、空に浮かぶ残月の姿を見つけたとショウタロウに教えるのだった。
ちょうどそこへ、東京弁護士会の山岸(声-麦人)と言う男がやって来る。
金田博士の遺言を知らせに来たのだった。
それによると、博士の全財産は、息子、金田正太郎に譲るとあった。その中に、もちろん、鉄人28号も含まれていた。
ショウタロウの戸籍は空襲で焼けていた為、その存在証明が出来ない今、彼に鉄人を受け継ぐ資格はない事になると、申し訳なさそうに敷島博士が補足する。
山岸はアパートからの帰りがけ、送って来た月枝に、ここの事を聞きたいと話し掛けていた。
その時、アパートの共同電話に大塚署長への連絡が入り、不発弾が爆発したとの事だったので、署長は敷島博士、正太郎らと共に現場に向う事にする。
不発弾が爆発した現場は凄まじかった。
その周辺一帯は、廃虚と化していたのだ。
それを遠くの丘から、双眼鏡で覗いていたのが、お高さんと村雨健次の二人だった。
お高さんは、パトカーから降りて来た正太郎の姿を見つけ大はしゃぎしだしたので、健次は面白くない。
後日、ショウタロウは官房長官に会いたいと大塚署長に言い出す。実はもう一つ、金田博士の遺言があると言うのだった。
その数日後、山岸弁護士が、復員服姿の男に軍刀で斬り付けられると言う事件が発生する。
その事件現場には、「正太郎に鉄人を持つ資格なし 残月」と書かれた紙が残されていた。
終戦後の廃棄弾工場記録を調べていた敷島博士は、次々と見つかっているあの不発弾は、大正末期頃、より強い兵器開発を目指していた金田博士が作った「廃虚弾」と言うものである事を知る。
それは、人工物だけ破壊し、生物には一切被害が及ばないと言う、いかにも金田博士の発明品らしかったが、ある時、事故が起こって、原料であるバギューム工場が大爆発を起こした際、人にも被害を与えた事が分かる。
その後、大空襲で、全てが失われたと思われていたのだが…。
その廃虚弾の埋まった場所は、鉄人だけが知っていると言う。
その頃、官房長官(声-石森達幸)は、ベラネード財団が近日、日本に来ると知らせれていた。
巣鴨プリズンに入れられていたビッグファイア(声-中村 正)の元には、当時発掘されたバギュームの分量から、廃虚弾が何発作られたか計算しろとの政府からの依頼が来る。
そんな中、久々に出会った正太郎はショウタロウに、鉄人の操縦法を教えて欲しいと願い出る。
その頼みを素直に受けたショウタロウは、川辺で、鉄人の高速飛行などのテクニックを喜んで伝授するのだった。
その後、春雷が鳴る中、アパートに戻って来たショウタロウは、誰かに「約束は守る」と電話していた。
一方、自宅で寝ていた正太郎は、屋敷に忍び込んでいた復員服姿の男に日本刀で刺される夢を観て目覚めるが、目の前には本当に復員服姿の男がいた。
夢ではなかったのだ。
慌てて起きて、逃げる男を追い掛け、玄関を飛び出た正太郎は、鉄人に追わせようと命令するが、いつも屋敷の横で立っているはずの鉄人の姿が消えていた。
都内に非常警報が鳴り渡る。
鉄人が町中に現れたのだ。
警戒する署長の元に駆け付けて来た正太郎は、自分が操縦しているのではないと訴える。
その頃、共潤会アパートのショウタロウを監視していたお高さんと雄次は、独り部屋の中に座ったショウタロウが、光る箱を見つめている姿を目撃する。
銀座のど真ん中にやって来た鉄人は、地面から廃虚弾を掘り出す。
やはり、鉄人は、廃虚弾の埋めた場所を知っていた事になる。
すると、その上空にモンスターが飛来する。
巨大な砲弾のように地上に突き刺さったモンスターの身体が開くと、その中から、無数の小型モンスターが現れ、廃虚弾を持っている鉄人にたかりはじめる。
そこに現れたのが、ベラネード財団の使者だと言うクロロホルム(声-西村知道)。
廃虚弾は、自分達が処分すると言う売り込みであった。
ニュースでは、日本再開発の為、ベラネード財団が自社開発の工業用ロボットを売り込みにやって来る話題を流していた。
しかも、巣鴨に入っていたビッグファイアまでもが釈放されたと、官房長官は連絡を受けていた。
そのビッグファイアは、クロロホルムと落ち合い、廃虚弾には、恐るべき破壊力がある本体があると教えていた。
ショウタロウは、一人、廃虚となった焼跡をうっとりと眺めていた。
一方、又一人で動きだした鉄人は、新たな廃虚弾を掘り起こしていたが、その時限装置が外れている事が判明、見守っていた正太郎の肝を冷やすが、鉄人はすぐに上空高く舞い上がると、海に廃虚弾諸共飛び込む。
海中では、廃虚弾の効果がなくなるのだった。
ショウタロウは、鉄人を上図に使わなければいけないと、正太郎にアドバイスしていた。
その後も、鉄人は、廃虚弾を掘り出しては、海中に投棄する作業を繰り返して行く。
その頃、日本に接近中だった船団の中にいたベラネード(声-内海賢二)は、クロロホルムから、廃虚弾は殺傷能力があると聞かされ満足していた。
敷島博士は、残月の事で情報を受取り、単身、列車に乗り込んでいた。
鉄人は、処理を止めていた。
そんな中、正太郎を共潤会アパートに呼んだショウタロウは、一緒に風呂に入ろうと誘われる。
その間、ショウタロウの部屋に忍び込んだお高さんは、箱の中を覗き込んでいた。
風呂の中で、正太郎は、このまま、自分が鉄人を操縦して良いのだろうかと言い出す。
僕の鉄人はもういないと答えるショウタロウの言葉を聞いた正太郎は、思わず、兄さん!と呼び掛ける。
正太郎が先に上がると、外で二人の会話を聞いていた月枝が、浴室のショウタロウに、兄さんと呼ばれて良かったじゃないかと声をかける。
その後、部屋に戻って来たショウタロウは、箱の中が空っぽである事に気付く。
ショウタロウに誘われ浅草に向った正太郎は、聞かれるまま、この土地を仕切っているブローカーには、カポネと村雨一家の二つがあると教える。
沿道に立っていた傷痍軍人に金を渡そうとした正太郎を止めたショウタロウは、そんな事をする必要はないと言いながら、傷痍軍人の義足を蹴ると、それは偽物で、すぐに折り曲げていた足が出て来る。
ショウタロウは、こんな醜い奴がいる今の日本が大嫌いだと呟きながら、その傷痍軍人に詰め寄って行く。
その様子を心配しながら観ていた正太郎の背後から、日本刀を抜きながら、顔を隠した復員服姿の男が、人ごみに紛れて接近していた。
追い詰められた偽傷痍軍人は、隠し持っていた銃を取り出すと、ショウタロウに向って発砲し出すが、その背後に別の人影があらわれる。
その背後の男に銃を突き付けられたと思った偽傷痍軍人は慌てて逃げ去るが、男が持っていたのはバナナだった。
その男の顔を観たショウタロウは驚く。
かつて、同じ特攻隊仲間だった村雨竜作(声-岩本規夫)だったからだ。
ひょんな再会に付き合う形で又、共潤会アパートに戻って来た正太郎は、お高さんから、熱烈なる歓迎を受け冷や汗をかく。
竜作は、特攻隊時代、ショウタロウがその得意の戦法から「残月」と呼ばれていたとばらす。
竜次は、ショタコン丸出しのお高さんと、庭先でもめはじめていた。
そんなにぎわいと、ラジオから聞こえて来る「お富さん」のメロディを口ずさみながら、調理場で月枝が嬉しそうに料理を作っていた。
そんな月枝に、ショウタロウは、両親が住んでいた部屋を探しているが分からないと言いに来る。
一方、正太郎の方は、明日、実は生きている山岸に会いに病院に行くので、今日は早く休むと月枝に挨拶に来る。
竜作は、お高さんがいたずらした箱を、ショウタロウに返しながら、特攻隊を抜けたのは、そいつの為だろうと聞く。
そんな竜作に、俺の名を使っている復員服の男を探して欲しいと、ショウタロウは頼んでいた。
その夜、共潤会アパートの一室で寝ていた正太郎の枕元に、又、復員服姿の残月が現れていた。
翌日、鉄人が廃虚弾を持ったまま制止していた駅に、貨物車が到着したので、見張りの警官が荷物を確認した所、それは火薬だった。
慌てて、逃げ出す間もなく、駅構内で大爆発が起こる。
翌朝、月枝から起こされた正太郎は、夕べ、復員服姿の男に狙われた夢を観たと打ち明ける。
ショウタロウは、廃虚となった駅構内周辺の景色を眺めながら、かすかに微笑んでいた。
そこにやって来た正太郎が、昔の事故も、父さんがやったのだろうかと呟く。
その直後、病院に入院していた山岸が殺されたとの知らせが入る。
病院に向った正太郎は、その待合室で、顔を包帯で覆った復員服姿の男とすれ違うが、それが残月ではなかったかと気付いたのは、大塚署長たちから、病室の山岸を襲った賊の姿を聞いた時だった。
そんな中、復員服姿の男を見つけ、その顔の包帯を取ろうと近づいた竜作は、相手から拳銃で撃たれてしまう。
その頃ショウタロウは、共潤会アパートの窓から見える荒廃した風景を眺めながら、どうして廃虚は美しいのだろうと呟いていた。
その横の川の中から、鉄人が新たな廃虚弾を掘り起こしていた。
それを観ていた月枝は、あのままでは鉄人が…と叫ぶ。
しかし、その廃虚弾に付いていたアンカーは外れているではないか、すぐ横には、山岸が殺された病院が建っている。
病院にいた正太郎は、思わず、飛べ!鉄人!と叫ぶ。
飛び立った鉄人は、廃虚弾を空に向って投げ上げ、上空で大爆発が起きる。
その熱をまともに浴びた鉄人の身体は、半分焼けただれていた。
地上に下りた鉄人は、正太郎の操縦器の上に降り立ち、踏みつぶしてしまう。
正太郎は、そのショックよりも、鉄人が掘り起こした巨大なものの姿に愕然としていた。
それは、廃虚弾の本体…全身に無数の廃虚弾を背負った巨大な大鉄人の姿だった。
官房長官は、上陸寸前だったベラネードに電話を入れ、日本上陸は許可できないと伝える。
しかし、廃虚弾の本体が現れた事を知ったベラネードは、これで日本は亡国となるので、我々のロボットで処分しようと提案するが、官房長官は、廃虚弾は渡せんと拒絶するのだった。
その頃、羅漢像が多数飾られている寺に着いた敷島博士は、とある墓の下から一つの箱を見つけていた。
廃虚弾処理の為、自衛隊や警察隊が出動する事になるが、大塚署長に対し、官房長官は、入口を発見するしかないと命じていた。
自宅に戻り、壊れた操縦器を呆然と観ていた正太郎の前に現れたのは、何時の間に侵入したのか、銃を持ったクロロホルムだった。
正太郎邸の前を見張っていた警官も、何時の間にか、ベラネードの一味とすり変っていた。
それを、外の草影から監視していた二つの影があった。村雨健次とお高さんコンビだった。
鉄人が掘っていたのは、廃虚弾ではなく、実は、本体を封印していたアンカーだったに過ぎないと、クロロホルムは正太郎に解説していた。
船の中で殺したビッグファイアが、生前、この屋敷の中に、入口があると教えてくれたと言うので、正太郎は、ソファーの下の単なる地下室に過ぎない入口を教える。
クロロホルムがその中には行った途端、ベラネード一味の覆面を被って側に来ていた健次とお高さんが、正太郎を外に連れ出す。
ジープに乗って逃げながら、兄貴から、正太郎を監視しろと言われていたと説明する二人に、そのショウタロウとは、兄の事ではないのかと呆れる正太郎。
それを聞いた二人も、自分達の勘違いを悟るが、もうベラネードが差し向けたロボット達が、ジープに近づいて来る。
そこに現れたのが鉄人28号だった。
バッカスも飛来するが、それに立ち向かう鉄人の動きを観ていた正太郎は、それを誰が操縦しているか気付く。
その頃、大塚署長たち捜査隊は、本体の入口を発見して中に侵入するが、そこで駆け去る復員服姿の男を発見する。
共潤会アパートにやってきた正太郎は、もう一つの操縦器を持って鉄人を操縦していたショウタロウと対峙する。
その操縦器は、ショウタロウが南の島で独自に作っていたものだと言う。
鉄人を奪われたら自分の存在価値がなくなると言うショウタロウの手から、正太郎は操縦器を奪い取るが、ショウタロウは、そんな正太郎に銃を向けて来る。
ずっと満たされないままだった。地の繋がらない弟に全て取られてしまった…と呟きながら、ショウタロウは迫って来る。
そこに、復員服姿の残月が現れる。
しかし、そこへ大塚署長が到着し正太郎をかばう。
さらに、クロロホルムまで現れる。
ショウタロウの両親の部屋と言うのは、共潤会アパートの地下にあったのだ。
顔の包帯を取ると、残月の正体は管理人の萱野月枝であった。
そこに駆け付けて来た敷島博士は、彼女こそ本当のショウタロウの母親であり、ショウタロウと正太郎は、腹違いの兄弟であったと言い出す。
調査の結果たどり着いた平田家と言う旅館の女中が証言した所では、昔、そこを訪れた金田博士は、連れの女性を「残月」と呼んでいたと言うのだ。
その事実を聞き驚いたショウタロウに、月枝は、あなたは恥ずかしい。一体何の為に養子に出したのか。今になって、おめおめと帰って来るなんて…と叱責する。
全ての残月の行動のきっかけとなったのは、山岸から聞かされた金田博士の遺言であった。
その後、山岸は彼女に、正太郎を殺せば、全財産が奪えると持ちかけて来たと言うのだ。
そして、正太郎にあんな置き手紙を残せば、ひょっとして、正太郎が鉄人を手放して、ショウタロウのものになるかも知れないと考えたからでもあった。
しかし、残月に扮して、たびたび正太郎の寝所に侵入した残月も、どうしてもその命を奪う事は出来なかった。
何故なら、正太郎の寝顔が、小さい頃のショウタロウそっくりだったからだ。
全身に無数の廃虚弾を背負った巨大な大鉄人は、もちろん、本土防衛の為に作られた動く巨大要塞なのだった。
そして、各地に埋められていた廃虚弾は、その本体を守る為のアンカーとして、金田博士が作ったものだった。
月枝が、ショウタロウに何事かと囁きかけると、ショウタロウは、直立不動の姿勢になり、母親に向って敬礼をする。
ショウタロウが地下に走り去った後、月枝は、力つきたかのようにその場に倒れる。
駆け寄った正太郎や大塚署長に、月枝は、金田博士は事故の罪滅ぼしに自分には良くしてくれたと打ち明けた後、正太郎には、鉄人と仲良くしてあげて…、全てを分かってあげて…と言い残す。
それを聞いた正太郎は、鉄人をこれまで以上に大切にしますと約束し、鉄人を呼出す。
動き出した大鉄人に、一機の双発機が近づいていた。
操縦していたのは、村雨竜作。
低空飛行するその機体に飛び移って来たのは、ショウタロウだった。
ショウタロウは、その双発機から、接近した大鉄人の頭部に飛び移る。
一方、地上の鉄人も、大鉄人の動きを止めようと鎖を引っ張っていた。
共潤会アパートの地下から大鉄人の操縦室に入り込んで動かしていたクロロホルムは、侵入して来たショウタロウに日本刀を突き付けると、操縦装置に手をかけたその手のひらを刺す。
かつて、外国人調査団の一員として南の島に着いたクロロホルムに、この大鉄人の事を教えたのは、ショウタロウ自身だったのだ。
しかし、手のひらを日本刀で貫かれたまま、ショウタロウは笑いはじめる。
今、操縦装置で手を触れたのは、母親から託された自爆装置のスイッチだったのだ。
そこへ、鉄人の手のひらに乗った正太郎が入って来て、逃げろとショウタロウに呼び掛けるが、ショウタロウは、奪い取った日本刀で、クロロホルムを刺し殺していた。
その直後、大鉄人から発射された数発の廃虚弾は、ベラネード船団を壊滅させる。
ショウタロウは、自らの鉄人の操縦器を破壊すると、大鉄人は背中のロケットが突き出し浮上しはじめる。
ショウタロウの目には、雲の上に聳える懐かしい共潤会アパートが見えていた。
ショウタロウは呟く。母さん、父さん、ショウタロウは、今こそ、戻って参りました…と。
空に飛び去って行く大鉄人に、竜作は敬礼をしていた。
月枝は、その後、とある病院で敷島博士から託されたショウタロウの赤ん坊の頃のへその緒の箱を持って、「お富さん」の歌を口ずさんでいた。
彼女は、完全に過去の記憶を失ってしまっていた。
正太郎は、僕と鉄人、二人のショウタロウは共に、これからも日本の歴史に流されないように生きて行くつもりです。
残月が、いつも、僕たちを観ていてくれるから…と、心に誓っていた。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
今川泰宏監督のテレビ版「鉄人28号」をベースにした劇場版。
東京タワーが建設中の昭和30年前後が舞台と思われるが、まだ、心に戦争の爪痕を残す人間も多くいた時代を背景に、戦争を知らない世代による独特の戦後観が描かれている。
不発弾処理から、とんでもない威力を持った廃虚弾と言うものが発見され、それに金田博士や鉄人が絡んでいると言う導入部はそれなりに面白いが、後半になり、あれこれ、戦後の日本観などをショウタロウが語りはじめると、そのやや付け焼き刃的論法に興醒めして行く部分がある。
シリアスめいているわりには、胸に迫る説得力に乏しいのだ。
やはり、その原因は、ショウタロウや残月の思想と言うものに、どこからか借りて来たような、作り物めいた嘘臭さが感じられるからだと思う。
少ない予算や日数で作られた作品らしく、映画アニメとしての見ごたえ感も弱い。
時代の雰囲気はあるが、アクションなどの爽快感は希薄。
全編に渡り、伊福部昭の音楽が使われている事もあってか、「ゴジラVSキングギドラ」や「ガメラ2 レギオン襲来」などを連想させるイメージがあるように思えるのは気のせいか、それともオタクサービス?
テレビシリーズを観ていない者にとっては、基本的なキャラクター達の相関関係が分かりづらかったりもするが、付いていけないと言う程ではない。
あくまでも、漫画「鉄人28号」のキャラクター達を借りた作家世界と解釈すべきで、オリジナルコミックとは又違った世界である。
娯楽映画として、特に悪いと言う程でもないが、胸打たれるとか痛快だったと言う程でもなく、劇場実写版「鉄人28号」よりは、ややマシと言った所だろうか。