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喜劇 日本列島震度0

1973年、松竹大船、南部英夫+吉田剛脚本、前田陽一脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

地震、雷、火事、親父と言うくらい、一番怖いのは地震…と、床屋で顔を当ってもらいながら名調子を聞かせているのは落語家の遊遊亭円左師匠(三遊亭円右)、これから出る東都テレビでやる新作コントなのだそうだ。

その店は、水面より低い江東区の0メートル地帯にあり、地震が来たら一番危ないと言われている地域にある幸町一丁目にある床屋だった。

師匠の話を楽しそうに聞いていた床屋の主人武藤(太宰久雄)と従業員菊(十勝花子)は、外で会話を漏れ聞いていたのか、近く行われる祭りの会費を徴集しに来た足袋屋の福田清造 (フランキー堺)から、地震61年周期説ってのもあって、そろそろ東京も危ない時期だから、地震が来たら、まずガスの元栓を締めるのを忘れないようにとあれこれ注意される。

タイトル

その祭りが行われる中、福田は、会費を出してくれた町内会の連中に、お礼の挨拶をしながら、神社のお札を配って廻っていた。

今や、時代の流れに押され、商売がさっぱりになり、暇をもてあますようになった福田は、生来のマメさと言うか、おせっかい焼きの部分もあって、こうした町内会の仕事をあれこれ任される事が多くなったが、本人はむしろ喜んでやっているような所があった。

そんな中、町内でも良く当ると言う評判の占い師、中島蓮月(日色ともゑ)に出会った福田は、娘と婚約者が今日挨拶に来るので、相性を観てもらえないだろうかと申し出、家に上がり込むが、実は妻を亡くし独り身の彼は、常日頃から、この美しい占い師に秘かに思いを寄せていたのだった。

福田が写真を持参した婚約者とは、娘と同じ区役所に勤めている南正(石橋正次)と言う青年だった。

算木を操っていた蓮月は、性格も良く、娘さんとの相性も大変良いと太鼓判を押す。

それを聞いて一安心した福田だったが、二人は、高校時代から付き合っている間柄なので、最近、早くも倦怠期気味なのが心配と付け加えるのだった。

帰宅後、その南がやって来たので、真知子(鳥居恵子)の父親だと挨拶をした福田は、パチンコの腕を南からおだてられるが、最近は4代続いた足袋職人の仕事の方がさっぱりなので、毎日パチンコばかりに明け暮れているからだと真知子からイヤミを言われてしまうのだった。

南の部署が、区役所の地震対策室と聞くと、福田は、いつものように地震の蘊蓄を披露するのだった。

翌日、あけぼの区役所地震対策室の室長(谷村昌彦)は、南ら4人の部下たちに、仕事の割り振りを指示していた。

その4人が揃って建物を出た所で、南を待っていた真知子は、今日は土曜日なので、素敵なデートコースを考えておいたからと伝える。

毎週、土曜日は、交替でデートコースを考える約束になっており、今日は、真知子が考えた場所に行く順番だったからだ。

南は、適当にあいづちをうって、4人の仲間と一緒に、競輪にでかける。

この地震対策室のメンバーたちは、皆、公務員でありながら、その硬い身分を利用して、あちこちから金を借りまくっては、博打に注ぎ込んで遊び回っていると言うとんでもない連中だったのだ。

今日は、丸九ローンの支払日だが、どうすると仲間から聞かれた南は、大津紹介から借りて、それを桜に廻し…などと、ローンの盥回し作戦を伝え、さっそく、大津商会に電話を入れるのだった。

電話を受けた大津(財津一郎)は、互いに保証人になって金を借りまくっている4人の実体は知っていたが、表面上慇懃に対応する。

そこへやって来たのが福田で、町内会の祭りの会費の返礼として、大津にも神社のお札を渡した後、パチンコで負けたので5000円貸してくれと言う。

その後、懲りずにパチンコをやっていた福田を、呆れた真知子が迎えに来るのだった。

夜、真知子発案の安上がりデートコースとして釣り堀に来た南だが、競輪新聞を読むばかりで、ちっとも楽しんでない様子。

そんな南の態度に怒った真知子が、来週は、あなたが考える番だからねと忠告するが、何となく新鮮な気分になれなくなったと南はこぼすのだった。

二人の土曜デートは、高校時代からすでに362回も繰り替えして来ていたのだから無理もなかった。

その夜、スナック「赤とんぼ」にやって来た福田は、町内会のメンバーが片隅で議論している様子を観て、何だか自分一人だけがのけものにされたような気分になり、ちょっと不機嫌になる。

床屋の武藤らが集まっていたのは、区役所の地震対策室長に頼まれて、町の地震対策委員を誰にするか相談していたのであった。

皆、そんな役割を押し付けられるのはごめんなので困っていたのだが、福田の姿を観て、全員、気持ちが一致する。

いつも暇をもてあまし、地震にも感心が高く、おせっかい焼きのおっちょこちょいと言えば彼しかいなかった。

室長は、もっとちゃんとした仕事を持った人を…と、困惑するが、他のメンバーたちは福田にやらそうと決めてしまう。

さっそく武藤は、福田に、地震対策委員をやってくれないだろうかと下手に声をかける。

すると、嬉しい癖に一応は断る仕種をした福田だったが、相手が諦める様子を見ると、慌ててすぐに承知してしまう。

全ては、町内会のメンバーの思惑通りだった。

すっかり有頂天になった福田は、蓮月の元に行き、先生が以前占ってくれた、責任のある地位に着くと言うのが当ったと報告する。

さっそく、出向いた銭湯でも、福田は、隣の女湯も含む他の客たちに、地震後の行動について、大声で諸注意を与えるのだった。

神社では、集まって来た町民たちに、紙芝居形式で、関東大震災の話を聞かせる。

とある土曜日、遊ぶ事に夢中の地震対策室の4人は、インチキ麻雀の打合せをしていた。

今日、真知子とのデートで抜ける南以外の3人が、カモを見つけ、あらかじめ決めた合図をしあって、金を巻き上げようと言う魂胆だった。

南も、参加できないのが悔しい様子。

その後、三人は、とある喫茶店で、金を持っていそうな格好の相手(南利明)を見つけ、麻雀を始める。

一方、南とデートをしていた真知子は、12月の第3日曜日が大安吉日だと、蓮月先生から教えてもらったと言う。

もちろん、結婚式の日取りの事だったのだが、今一つ、結婚の話に乗り気でないは、元旦の方が一番目出たいんじゃないかなどと茶化しはじめたので怒ってしまう。

南は、気にせず、そのままインチキ麻雀をしていた仲間たちと合流するが、カモだと思っていた相手は、しっかり、彼らの手口を見抜いていたようで、店主を呼びつけると、本当だったら、指をつめさせる所だが…と、南たちを睨み付けながら帰ってしまう。

その一部始終を見て呆れていたのが、たまたま店の隅にいた大津だった。

翌日、区役所の地震対策室にやって来た大津は、持参して来たワンセット5000円の防災グッズを、全区民に町内会費で一括して買ってもらいたいので、許可をくれと言いに来る。

驚く南たちだったが、昨日の自分達の所行を目撃されているので断わりきれない。

室長の許可がいるので…と拒否しようとするが、室長の印鑑なんか、ここにいれば、どうとでもできるだろうと切り返されてしまう。

11月3日、その日は、区全体の避難訓練の日だった。

朝から、ヘリの広報アナウンスが、今日、10時半、サイレンが鳴ったら避難するように知らせている。

張り切って、防災グッズに身を固め、準備万端整った福田だったが、逃げる時間を待っているのも変だと気付き、普通に足袋作りを始める。

やがて、サイレンが鳴り渡ると、それ来たとばかり立ち上がった福田は、火鉢にバケツの水を浴びせかけると、表に飛び出し、隣近所に声を駆けながら、のんびりムードの町民たちに喝を入れるように、あれこれ指示しはじめる。

佃煮屋「天安」の主人、竹さん(佐山俊二)に、子供はどうしたと言うと、まだ家にいると聞くと、すぐに助けに行けと言い、店の前では、わざわざ火災を想定して、水を頭からかけさせる始末。

集まって来た町民たちに、指定されている東雲の埋め立て地に向うように指示した福田だったが、憧れの蓮月の姿が見えない。

すぐに、彼女の家の前に行くと、自ら水を被り、中に入って行く。

蓮月は、化粧台の前で、身だしなみの手入れなどしていたので、そのまま抱え上げて外に連れ出す。

町民たちが向っていた路の反対側から、「火」の文字を書いたプラカードを掲げた女性たちが整列して向って来る。

「火事」が起こっている設定だった。

道ばたに並んだ車の間からも、同じようなプラカードが起き上がる。

車が炎上した合図だった。

それを見ながら、福田はテキパキと、町民たちの進路を誘導して行く。

やがて、カラー煙幕を焚いた消防署員が等間隔に並ぶ路をすり抜けながら、無事、埋め立て地の集合場所に来てみると、福田が連れて来た幸町一丁目班が一番乗りだったので、区内賞を受ける事になる。

その夜は、スナック「赤とんぼ」で、福田を囲んで町内会の面々が集まり、祝賀会が催される。

その頃、蓮月は、自宅で、大津と寝ていた。

二人は、かなり前から、こうした関係だったのだ。

蓮月は、こうした関係を清算したがっていたが、しつこい大津は離れようとはしなかった。

「赤とんぼ」では、そうした事情も知らないで、すっかり上機嫌になった福田が大声で唄っている。

蓮月は、最近何度占っても100年に一度と言う大凶運が出る。きっと何かとんでもない天変地異が起こるに違いないので、こんな生活をしていて良いのかと不安な顔を見せる。

ある日、蓮月は、その占いの事を福田に告げ相談する。

起こるとすれば、12月1日だろうと言う。

その話を信じた福田は、すぐさま、床屋の武藤一家に知らせに行くが、みんな、にわかに信じられない様子。

たまたま床屋に来ていた竹さんなどは、不忍池のナマズを観察していた方が確かじゃないかとまで言う始末。

専門家の話を聞きに行けば何か分かるかもと、地震研究所に向った福田だったが、研究員(島田陽子)から、確かに東海地震が起こる可能性は高いかも知れない事や最新のプレートテクニクス理論などを説明されるが、東京に地震がいつ起こるか、日日の予測までは出来ないと教えられ、がっかりする。

その後、再び占ってみた蓮月は、師走の一日、午の刻、午前12時が危ないようだと、福田や武藤に知らせに来る。

そう具体的な事を聞くと、さすがに真顔になった武藤は、1%でも可能性があるんだったら、対策を立てなくてはいけないだろうと、すぐに「赤とんぼに」町内会の面々を集めて、善後策を協議しはじめる。

店の女の子たちが、その日、ハワイ旅行にでも行ってれば?と冗談半分に言うのを聞いた福田は、いっそのこと、その日、避難旅行と言う事にしたらどうだろうかと言い出す。

つまり、町内会全員で旅行に出かける。

地震が本当に起きれば助かるし、万一起きなくても、旅行は楽しめると言うのだ。

全員それは名案だと言う事になり、目的地を考えはじめるが、下手に近場では、地震の被害に巻き込まれる危険性が高いので、八丈島辺りにしたらどうかと福田が提案する。

ついこの前、八丈島地震が起こったばかりだから、続けて起こると言う事もないだろうと福田が言うと、全員、賛成と言う事になる。

数日後、この幸町の地震騒動の事が新聞に載ってしまう。

占い師の蓮月の家には、地震ブームに付け込んだ宣伝活動ではないかと、記者たちが詰め掛けて来る。

その一方的な批判に、側に聞いていた福田は立腹し、記者たちを追い返してしまう。

地震対策室の面々に至っては、そんな騒ぎを信じないどころか、むしろ東京に大地震が起こってくれた方が、何も起こらない明日より面白いし、ほこりだらけの汚い東京もかえって美しくなるのではないかと嘯く始末。

そんな話をしている内に、何となく興奮状態になった南は、屋上に駆け昇ると、そこで体操をしていた真知子を抱き締めると、結婚しようと言い出すのだった。

後日、大津は、そんな対策室の面々に、津波が起こって地域が水没した際に使用するゴムボートを売り付けようとしていたが、それを見つめる面々は、このままでは借金を返せないので、本当に地震でも起こって、何もかもチャラになってくれないかと呟き、あげくの果てにやけくそになり、地震、来いと叫ぶのだった。

そんなある日、デパートの屋上遊園地でデートした南は、真知子に、結婚式は12月1日にすると宣言する。

その日はきっと、何かが壊れ、何かが生まれる日になるはずだから、式なんて、町の真ん中でやっても良いじゃないかと言う発想を聞いた真知子も同意して承諾する。

ところが、幸町の町民たちの気持ちには変化が起こりはじめていた。

やっぱり、占い師の言葉なんかを鵜呑みにして騒ぎ立てるのはおかしいのではないかと言う醒めた気持ちが出て来たのだ。

町内のあちこちで、地震騒ぎを冷ややかに語る風景が見受けられるようになる。

その頃、いつものように、蓮月の家に来ていた大津が、あの新聞記事を売り込んだのは自分だと告白したので、蓮月は新聞紙を破りながら、もう別れてくれと申し出るが、大津は、今を大事にして金もうけしているんだから、決してお前とも別れないと言い切る。

一方、地震対策室長の元にやって来た南ら4人は、借金が嵩んで返せなくなったからと、全員揃って辞職願いを出す。

実は、室長の退職金までカタに入れていたと聞かされた室長は愕然とするが、12月1日に大地震が来てくれる事に賭けるしかないとい部下たちに向って、それなら、その日の競輪に賭けておけば、地震でひっくり返って、大穴が出るのではないかと言い出す。

つまり、あらかじめ、地震が起きると言う時間のレースに大金を賭けておけば、借金を穴埋めして、なお、お釣が来るのではないかと言うのだが、その話を聞いた4人はすぐさま名案だと納得する。

資本金はどうすると言う事になるが、大津商会に防災用具代として支払う為に集めた60万がある事に気付く。

南は、その事を真知子に打ち明けるが、すると、真知子も乗り気になって、いっそのこと、競輪場で結婚式を上げようと言う事になる。

11月29日の夜、福田は町内に、明日の朝、八丈島に向うチャーター機が待つ羽田行きのバスが迎えに来るので、朝7時に集合してくれと呼び掛けていた。

帰宅した福田は、真知子の帰りが遅いのを心配して待っていたが手紙を発見、そこには、自分は南の側にいてあげたいので東京に残る。旅行が巧くいきますようにとのい真知子の言葉が書かれていた。

翌朝、送迎バスが二台到着して待っていたが、福田が中を覗くと、蓮月一人しか乗っていない。

慌てて、武藤の床屋に行くと、うちは行かない事にしたとそしらぬ顔をする。

町内会長がそれでは困ると福田が言うと、死ぬも生きるも勝手だろうと開き直られる始末。

他の家を廻っても、皆行かないと言う。

町内を駆けずり回っていた福田は、とある下宿の二階でのんきに歌を唄っている二人の若者(あのねのね)んを見かけたので、逃げないのかと聞くと、自分達は、明日、テレビのオーディションがあるので行かないと平気な顔。

おまけに、「地震屋のおっさんに、怒られた…ぐらぐらするな!」と、ショートコントメロディにされてしまう。

町内全員に裏切られた福田は、幸町のバカやろうと叫んで、バスに乗り込む。

結局、蓮月の言葉を信じてバスに乗ったのは、福田と蓮月二人だけだった。

羽田からチャーター機に乗り込んで飛び立った福田だったが、途中で、もし東京に地震が起こったら、自分が地震対策委員なんだから、残ってなきゃいけない。今すぐ帰ってくれと言い出すが、スチュワーデスから無理と断わられてしまう。

八丈島の空港で待ち構えていた宇喜多旅館の女中は、到着したのが、予定の140名ではなく、たった2人だったのを観て驚くが、すぐに東京に帰りたいと言う福田に、もう船も飛行機もないと教える。

その頃、事務所の女店員から、蓮月と福田の二人だけが八丈島へ言ったらしいと聞かされた大津は、自分も急いで羽田に駆け付けるが、もう飛行機はないと言われる。

しかし、しつこく乗せてくれと迫る大津に呆れた航空会社の担当員は、竹橋から10持に船が出るからそれに乗ったらどうかと勧める。

八丈島では、歓迎の踊りが始まっていたが、それを観ながら、蓮月は、辛い気持ちを打ち明けるが、福田はそんな蓮月の気持ちを慰める為に、一種に踊ろうと、輪の中に入って行くのだった。

その後、海岸に向った二人は、後3時間で12月1日だと知る。

蓮月はつくづく、幸町の事を心配している福田の態度に感心するのだった。

その頃、幸町のスナック「赤とんぼ」には、町内会の面々が集まっていた。

そこに混じっていた真知子は、南に、結婚式ではウエディングドレスを着たいので、南には必ずモーニングを着てくれと頼む。

そんな二人を観ながら、対策室の仲間たちも、盛り上がって乾杯する。

そこへ、歌が得意な西田先生(灰田勝彦)がやって来たので、今夜は地震前夜祭なので、お馴染みの「東京の屋根の下」を唄ってくれと全員でリクエストする。

福田は、自分も戦後はぐれていた。いっそのこと、地震で、東京が綺麗さっぱりあの頃に戻って欲しいと思う事もあると、蓮月に打ち明けていた。

西田先生の歌声に聞き惚れていた南は、東京最後の日だと呟く。

昭和48年12月1日になる。

八丈島には、連絡船に乗ってやって来た大津が到着していた。

朝食の準備が出来た蓮月の部屋に、自分用の食事を持ってやって来た福田は、一緒に食事をしても良いかと聞く。

快く承知した蓮月は、夕べ占ってみたら、娘さんは無事だと出たと教える。

自分の湯飲みの中に茶柱が立っているのを見つけたと言う福田に、何か良い事があるんだわと言いかけた蓮月だったが、そこに「おまへんな」と大津が入って来る。

夕べのこの女の抱き心地はどうだった?と、下びた質問をして来た大津は、蓮月が自分の女だと打ち明ける。

そして、蓮月に向っては、何も起きなかったから、あんたの占い師としての仕事は終わったと冷たく言い放つ。

蓮月は、そんな大津と別れると言うが、大津は離さないとしつこい。

それを止めに来た福田と、蓮華の様子を観た大津は、二人が互いに情にほだされているのを見抜き、一つだけチャンスをやる。この女を賭け、勝負しようと言い出す。

地震が来なかったら、お前が女を諦めろと言うのだ。

それを聞いた福田は、惚れた女の言葉も信じれないでどうする、俺はその賭けに乗ったと言い切る。

東京の様子を観てみようとテレビをつけてみると、あの学生コンビが平和そうに唄っているではないか。

その頃、競輪場には、ウエディングドレスを着た真知子と、モーニングを着た南が、他の仲間三人と共にやって来ていた。

男達4人は、持って来た60万を賭けて来てくれと真知子に依頼する。

八丈島の大津は、東京の事務所に電話を入れ、女店員に、何か異常はないかと聞くが、別に何もないとの返事。

次の瞬間、女の悲鳴が聞こえたので、何事かと聞いた大津だったが、出前の男に尻を触られただけだと言う。

競輪場ではレースが始まるが、予言の12時になっても何も起きない。

八丈島では、やっぱり、何も起きなかった、俺の勝ちだなと大津が笑った瞬間、時ならぬ大地震が起きる。

蓮月と福田は、これは震度5、予言は当ったと叫びながら、表に逃げ出すと、泊まっていた旅館が目の前で全壊してしまう。

そこへ近づいた二人は、逃げ遅れて、家に押しつぶされかけた大津の情けない姿を発見する。

東京の競輪場では、地震が起きなかったばかりに、すっからかんになりがっくりした4人に、実は、賭けなかったのだと、真知子が預かった60万をそっくり出してみせる。

その姿を観た仲間たちは、世話女房!と祝福するのだった。

八丈島では、大津を助け出した二人が、東京はどうなっているのかと心配するが、ひっくり返ったテレビの画面には、神宮球場で何事もなく行われているサッカーの試合が写っていた。

そこに、東京は震度0とのテロップが流れるのを観た大津は、やっぱり賭けは自分の勝ちだったと喜ぶが、福田は、とある看板を見つけて、それを大津に示してみせる。

そこには、「東京都八丈島役場」と書かれていた。

八丈島も立派な東京都だったのだ。

その後、東京に戻って来た蓮月と福田は、町内会の面々と共に、南と真知子の結婚を祝っていた。

町内会の面々は、蓮月と福田も再婚させたいが、占いではどうなると聞くと、蓮月はもう占いを止めたと言うので、真知子がにわか占い師に扮して、結婚は近いと宣言する。

二人は照れ、一座の宴会は盛り上がるが、そこに刑事たちが乗り込んで来て、南たち4人を公務員背任罪で逮捕すると言う。

観念した4人は、その場から連行される事になるが、外に出た南は、真知子のお腹に宿っている子供の事を福田に打ち明けてパトカーに乗り込む。

パトカーが走り出しても、逮捕された4人は、地震よ来い!と浮かれるのだった。

後日、武藤の店でめかしこんでいた福田は、突然起きた小地震に驚いていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

小松左京の「日本沈没」がベストセラーになり、東京大地震の恐怖や終末ブームに湧いていた年に公開された風刺コメディ。

この作品の翌月に、東宝の「日本沈没」が公開される事になる。

地震が来たら、一番危険と言われていた0メートル地帯に住む住人が、占い師が出した地震来るの卦に右往左往する様子を描いている。

結局、東京に、地震は来るのか来ないのかと言うサスペンスで、物語を最後まで引っ張る展開だが、松竹映画と言う事もあって、最初からほぼオチは見えてしまう所が弱い所。

喜劇としても、取り立てて笑いを狙ったようなアイデアは盛り込まれておらず、あくまでも、フランキーのキャラクターとハイテンション演技に頼り切ったような内容になっている。

タイトルにある喜劇を期待せず、最初から普通の下町人情ドラマと割切ってみれば、それなりにそつなくまとまっているし、ひねりの効いたオチもまずまずだと思う。

当時の典型的な松竹プログラムピクチャーの一本ではないだろうか。

防災時の注意事項などが随所に盛り込まれているので、啓蒙映画として観れば、それなりに効果はあったのかも知れない。