2004年、カナダ+イギリス+イタリア+南アフリカ、テリー・ジョージ脚本+監督作品。
この作品は、比較的新しい作品ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので御注意下さい。コメントはページ下です。
また、文中で使用されている「ツチ族」と言う言葉は差別的用語らしいですが、ストーリーを分かりやすくする為に使用しております。御理解の程、お願い致します。
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1994年、ルワンダの首都キガリの空港にやって来たポール・ルセサバギナ(ドン・チードル)は、キューバから送られて来た高級なコヒバ葉巻きや、中国産のビールを車に積むと、相棒のジョルジュと共に、勤め先であるベルギー系の高級ホテル、ミル・コリン・ホテルに向うが、その途中、フツ族の群集に遭遇し緊張する。
ポールはフツ族だったが、ジョルジュは、長年そのフツ族と対立関係にあるツチ族の人間だったからである。
フツ族は、長年自分達の住んでいた土地をツチ族に奪われたと主張しており、車の横を通過して行くフツ族の群集達も、口々に「ツチ族を殺せ」と叫んでいた。
群集の連中が停まった車の中も覗き込んで来たので、ポールはとっさに、持っていたフツ族のメッセージが書かれたTシャツを見せて、何とかその場をやり過ごすことに成功する。
何とか、ホテルに戻って来たポールは、支配人としての仕事を始める。
ホテルには、政府軍のビジムング将軍(ファナ・モコエナ)と、国連軍のオリバー大佐(ニック・ノルティ)が来ており、二人で会話をしていた。
フツ族の「フツパワーラジオ」は、しょっちゅう、ツチ族を攻撃する放送を流し続けていた。
その日、帰宅したポールは、妻タチアナ(ソフィー・オコネドー)の姉オデット夫婦が来ているのを知る。
その夜、ポールの家の近所には、何故か兵隊の姿が多く見受けられたので、秘かに様子をうかがっていると、ツチ族である隣人の庭師ビクターが連行されて行く所であった。
それを観たタチアナは、でっちあげの罪に違いないから、何とか軍部と交渉してくれとポールに頼むが、ポールは、大切なのは家族だと言うだけだった。
翌日、ホテルに出勤したポールは、滞在中の海外マスコミ人から、ツチ族とフツ族はどう違うのかと尋ねられるが、それは昔、ちょっとした風貌の違いからベルギー人が勝手に決めたものであり、ほとんど見分けはつかない。
ただ、今、そのフツ族がツチ族に復讐しようとしていると説明する。
海外マスコミは、ビジムング将軍にインタビューを行っていた。
テレビでは、ハビャリヤナ大統領が演説をしている。
ポールは、フツ族の奮起の暗号が「木を切れ」だと教えられる。
その夜、タチアナからも私を逃してと持ちかけられるが、ここにはマスコミと国連郡がいるから大丈夫だと返事する。
ある日、ホテルで停電が起こる。
帰宅途中だったポールは、暴動を目撃する。
軍が出動しており、皆、家の中にいると命じていた。
自宅も停電しており、ポールが中に入ると、近所の避難民達が一部屋に集まって息を潜めていた。
ポールの妻タチアナは、フツ族が命を狙っているツチ族だったのだ。
家族を確認していたポールは、息子のロジャ−の姿が見えないのに気付き、慌てて、外を探し回るが、隣の地所内で血まみれになっている息子を発見し、家に連れて帰る。
大怪我をしたのかと、慌てて血を拭いている内に、その血が息子から出たものではない事に気付く。
何事かを目撃した息子は放心状態にあった。
翌日、ラジオからは「高い木を斬る時が来た」と声が響いていた。
近づいて来た部隊の隊長らしき男に気付いたポールは、ホテルに金庫があるので、金を渡すから、避難民を助けてくれと交渉する。
そると、相手は、その金庫の鍵そのものを寄越せと迫って来る。
近くには、近所のサイモンの死体が転がっていた。
その隊長を伴い、避難民をホテルに連れて行ったポールは、金庫を開けると、兵隊の目を盗み、その中にしまってあった札束の内、一部をこっそり身につける。
その後、兵隊は避難民はツチ族だから撃てと、ポールに銃を渡そうとする。
愕然としたポールは、一人1万フランで許してくれと言って1000ドル渡す。
自分の妻子用には、さらに5万フラン追加する。
さらに、連れて来た避難民たちからも、持っている金目のものを全部出させる事にする。
ポールは、10万フランあるから、これで全員助けてくれと必死に交渉を続ける。
何とか、交渉が成立し、その避難民達をホテルの中に連れ込むポール。
ホテルの中には、国連軍も宿泊していた。
そんな宿泊者の一人から、キブホテルも締めたと聞かされる。
ポールは、連れて来た避難民達をスタッフルームに入れる事にする。
従業員のグレゴリーがいないので、他のスタッフに聞いてみると、フツ族の彼は、勝手にプレジデンシャルルームに泊まるようになったと聞かされる。
様子を見に行くと、ゴキブリの匂いがするが、あんたはしないだろう…とポールを嘗めたような口調で話し掛けて来るグレゴリーが、女を連れて豪華な部屋を占領していた。
ポールの妻がツチ族である事を、暗に侮辱した言葉であった。
白人ボランティア女性のパット・アーチャー(カーラ・シーモア)が、ツチ族の子供達を連れてホテルにやって来る。
ポールは、その子供達を預かると同時に、義兄夫婦が心配なので探して来てくれないかと、アーチャーに写真を渡す。
子供達の部屋は何とか確保出来たが、こうした行動が、ホテルの品位を落とすものだと言う意見も出始める。
一方、ホテルに宿泊していた海外マスコミ陣は、何とかこの異常事態の取材をしようと外出を検討しはじめる。
ポールは、オリバー大佐に救援を頼むが、それは出来ないと断わられてしまう。
気落ちしたポールは、調理場で呆然としているコックたちに、平常通り働くよう命じに行く。
ポールは、親会社サベナのティレン社長(ジャン・レノ)直々に電話を入れ、この異常事態を説明すると共に、ホテルを閉鎖してしまったら、評判が落ちるだろうと意見を具申する。
その頃、テレビニュースを観ていたオリバー大佐は、このままでは、ソマリアの二の舞いになりそうだと心配を口にしていた。
マスコミ陣が泊まっている部屋のエアコンを修理しに来ていたポールは、外から戻って来たジャックが、今撮って来たばかりのテープを再生し始めたモニターを観てしまう。
そこには、ツチ族に暴行しているフツ族の連中の姿が生々しく映し出されていた。
ジャックは、ポールの存在に気付き、不愉快な映像を見せてしまった詫びを言うが、ポールはむしろ、真実を世界に紹介しようとする姿勢を感謝していた。
これが世界に流れれば、世界中から救援の手が差し伸べられると思ったからだ。
しかし、ジャックは、世界は「怖いね」と言うだけだと現実的な答えを言う。
その後、ホテルには、多くの難民がなだれ込んで来る。
オリバー大佐は、ベルギー人が30人も殺されたとポールに教える。
アーチャーもやって来るが、5日たった今も、頼まれた義兄夫婦を見つける事が出来ないと言う。
二人の娘はどうしたとポールが聞くと、町中で民兵たちが検閲しているので、とても連れて来ないと言い、虐殺が次々に起こっており、妹を背負った幼女が、ツチ族を止めるから殺さないでくれと命乞いをした後殺されたなど、目撃した惨劇の様子を話す。
ホテルにやって来たフランスからの国連軍の代表と話し合っていたオリバー大佐は、悔しそうに、大国はこの国を見捨てた。軍が撤退する事になったとポールに打ち明ける。
その事をポールはタチアナに教え、自分はホテルで白人と暮している内に贅沢に慣れ、自分を見失っていたと反省する。
ホテルに宿泊していた白人達は、一斉に国に帰る事になる。
その中には海外のマスコミ陣も含まれており、ジャックは自分達の行動を恥ずかしいと感じていた。
同時に、雨の中、赤十字が大勢の子供達をホテルに連れて来たので、ポールは全員ホテルの中に収容してやる。
そんな中、外国人を乗せたバスは、次々にホテルを出発して行く。
それを、ホテルに取り残された現地の人間と従業員が見つめる。
その夜、タチアナは、ポールに逃げてと説得する。
翌朝、寝ていたポールは、突然、ホテルに侵入して来た兵隊によって叩き起こされる。
全員、ホテルを出ろと言うのだった。
ポールは、タチアナたちを屋上に向わせる。
その後、政府軍のビジムング将軍に連絡を取ろうとするが繋がらないので、社長に電話を入れ、今、政府軍がホテルに侵入して来ている。ここには、現在、客が800人、従業員100人いるんだと訴える。
それに対し、社長は、国連に連絡しろと言うが、ポールは、政府軍にはフランスが援助をしているんだとほのめかす。
政府軍の隊長から、ゴキブリの宿泊者名簿を見せろと要求され困っていた受付係に、ポールは、二週間前の客データを見せるよう耳打ちする。
プリントアウトされた名簿を確認していた隊長は、すぐにトリックに気付くが、その時、その兵隊に連絡が入り、何事かの指令を受けた隊長は、いまいましそうにポールの名前を確認すると、覚えているぞと捨て台詞を残し帰って行く。
明らかに、政府軍上部に圧力がかかった事は明白だった。
その後、ポールに社長から電話があり、フランス大統領に電話を入れたと知らされる。
他の従業員たちも、必死に各国に連絡を取ろうとする。
ポールは、ここが四つ星ホテルである事は兵隊たちも知っているので、すぐにパソコンデータを消し、フレームナンバーも消せと従業員たちに命ずる。
その後、ホテルにやって来たビジムング将軍は、俺に任せろとポールに言って来る。
社長から、又、電話があり、将軍にはホテルを警護してくれたら報酬を出すと言ってあると伝えて来る。
ポールは、将軍にビールを出すよう調理室にやって来るが、グレゴリーが勝手にビールを持ち出してしまったと聞く。
ポールは、将軍に、実は、オリバー大佐とアメリカ大統領が電話をしているのを盗み聞いたのだが、この国の状況は全て、スパイ衛星から四六時中l監視されているらしいとでまかせを吹き込んだ後、従業員の中にサボっている人間がいて困ると、目で客のように振舞っていたグレゴリーを示してみせる。
将軍は、すぐさまグレゴリーに脅しをかけてくれる。
その夜、ポールはタチアナに、底をつきかけている食料を調達しに行くと告げる。
翌日、ポールは、グレゴリーを連れて、厳戒体制が続く町中をトラックで出かける。
ハタガンダと言う男の所に向い、食料をくれと交渉すると、二倍の値段を吹っかけられる。
さらにハタガンダは、その内、軍は消え、町中、民兵だらけになるぞと警告してた上で、お前のホテルにはスパイがいると教えてくれる。
その帰り、検問を避ける為に、川沿いの道を選んだポールは、霧で道を見失ったので、一旦外に下りてみると、周囲一帯おびただしい数の死体が折り重なった中に転がってしまったことに気付く。
ポールは、グレゴリーに、ここで観た事は他言無用だと釘を刺し、トラックをバックさせるのだった。
ようやくホテルに帰りつき、汚れた服を着替えていたポールだったが、先ほど観た凄惨な光景を思い出し、つい泣き出してしまう。
その声を廊下で聞き付けた従業員仲間のデュベ(デズモンド・デュベ)が、大丈夫かと外から声をかけて来る。
子供達がホテルの庭先で無邪気に遊んでいる中、着替え終わったポールは、デュベに虐殺跡を目撃してしまった事を打ち明けるのだった。
その後、屋上でタチアナとビールを飲みながらポールは、昔、ハヘンゲラで看護婦だったタチアナを妻にしたいが為、健康省に賄賂を渡して、こちらに転勤させてもらったんだと打ち明ける。
はじめて知る意外な事実に驚いたタチアナは、一体何を賄賂として渡したのかと聞くと、本だとポールは答える。
そして、今度、兵隊がホテル内に侵入して来た時は、直ちにここに子供達を連れて登り、ここから飛び下りるようポールは妻に頼むのだった。
翌朝、ホテルにやって来たオリバー大佐は、電話作戦が成功したとポールに告げる。
ホテルにいる避難民達を、他の国に移転する事になったと言うのだ。
しかし、移転先が発表され、すぐさま呼ばれた者がトラックに乗り込む中、オデットと姪のジャンの名が呼ばれない事に気付いたポールは、アーチャーに姪を連れて行ってくれと頼む。
ポールら家族は、ベルギーに移転できる事が分かるが、ポールは、妻たちがトラックに乗り込むと、自ら残ると言い出す。
止めてと説得するタチアナを乗せたトラックが出発した直後、ラジオのフツパワーニュースが、ホテルにツチを匿っている奴がおり、今、そのツチたちが逃げる所だと放送するのが聞こえて来る。
ポールは、一体、誰が密告したのかと怒る。
直ちに、ビジムング将軍に電話するが、逃げ出す避難民を乗せたトラックは、フツ族の民兵たちに待伏せを受け襲撃される。
タチアナの乗っていたトラックも止められ、全員、外へ引きずり出されようとする。
そこに、政府軍が到着、民兵たちと銃撃戦が始まる。
民兵たちは、ポールの家族が乗っているのを知っている様子。その首には、1万フランの賞金がかけられていたのだ。
その後、ホテルにやって来た将軍は、見返りがなければ、これ以上守れんとポールに通達して来る。
街では、ツチの反乱でフツ族の犠牲者も出始めていると言うのだ。
オリバー大佐は、何とか、後二日待てと提案するが、それを聞いたポールは、二日後には全員死んでいると答える。
ポールは、将軍に見返りを渡すと言い、ジープで出発するが、自宅に戻る途中、アーチャーの車が転倒しているのを発見する。
自宅に着いたポールは、金庫にしまってあった宝石類と酒を差し出した後、自分を殺そうかと脅して来た相手に、家族の元へ連れて行ってくれ。もし、私が証言をせず、あなたが五つ星の身分だったら、虐殺の首謀者として戦犯になるんだと逆に脅し返す。
さすがに、その言葉を聞いた将軍はおののき、自分の無実を証言しろとポールに頼むと、ポールを再び、ホテルまで送ってくれる。
ホテルに戻ったポールは、ホテルを占領している兵隊の姿を観て驚愕する。
部屋にいるはずのタチアナや子供達の姿がなかったからだ。
いつか、屋上で妻に伝えた言葉を思い出したポールは、急いで屋上にかけ登り、そこから下を見下ろすと、数人の避難民が折り重なっているではないか。
遅かったと感じたポールは、タチアナの名を呼び掛けるが、下で折り重なっていた者たちは、死体のフリをした別人達だった。
もう一度、念の為、部屋に戻り、浴室の扉を開けてみたポールは、バスタブの中に隠れていた妻と子供達を発見し、安堵するのだった。
ポールは、恐怖に震えている妻に、民兵たちは去ったと教える。
いよいよ、全員、ホテルを退去する日がやって来る。
バスに乗り込むポールに、子供達がどこに行くのかと尋ねるので、安全な所だと答えるポール。
道を埋め尽くす避難民の中、ポール達を乗せたトラックは進んで行く。
その行く手に民兵たちが立ちふさがって来たので、ポール達は緊張するが、いきなり、傍らから出現して来た別のグループが、民兵を一斉に攻撃しはじめる。
ツチ族の反乱軍だった。
やがて、トラックは、大勢の避難民で溢れたキャンプ地に到着する。
オリバー大佐が、タンザニア行きのバスがあると、ポールに教えに来てくれる。
ポールとタチアナは、そのキャンプ地で、顔見知りのコンスタンスと出会ったので、行方不明になっている姪のアナイスとカリーンを知らないかと聞くが知らないと言われる。
さらに、アーチャリーも無事だった事を知る。
ポール一家がバスに乗り込み、走り出した途端、避難民の中に、アナイスとカリーンの姿を発見、バスを止めさせると、下りて二人を抱き締めるのだった。
そんなポールに近づいて来たアーチャリーが、部屋は明いてる?と聞いて来たので、いつでも…とポールは答える。
ホテルに、1268人もの避難民を匿ったポールの一家は、今ベルギーで暮している。
探していた義兄夫婦は、いまだに見つかっていない。
この1994年に起こった虐殺の後、ルワンダでは140万人もの死体が発見された…。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
現実に起こった凄まじい内乱の中、懸命に人命救助に手を出した人物の実話に基づいた映画。
これだけ凄惨な状況を見せられると、もはや、泣くなどと言う生易しい反応を超えてしまう。
涙も氷ると言った状態だ。
ただし、映画として、直接的な残虐描写は極力避けられているので、生理的に拒否してしまうような生々しさはない。
暗示描写だけでも、十二分にその凄惨さが伝わって来る。
民族間の対立の奥深さの前には、どんな大国の介入もマスコミの力も無力であり、ただただ、その恐ろしい現実に身を震わすしかない事を思い知らされる。
観ている者の骨の髄にまで響いて来る凄まじい映画と言うしかない。