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喜劇 駅前金融

1965年、東京映画、長瀬喜伴脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

同じキャバレー「ゴールデン・フジ」で働いている、トランペット奏者の次郎(フランキー堺)に気のあるホステスの染子(池内淳子)は、その店が入っているビルの管理人で高利貸しも営んでいる孫作(伴淳三郎)と妻(乙羽信子)から、次郎のために金を借りる。

次郎は元々、大学で経済学を学びながら、あえて音楽の道を選んだと言う変わり種だったのだが、今日も先輩で、40にしてようやく税理士試験に合格した森田徳之助(森繁久彌)を、彼が今勤めている前川税理事務所に訪ねるのだが、そこで前川先生(加東大介)の娘で、次郎とも良い仲の由美(大空真弓)に縁談の話が来ていると聞かされる。

徳之助は、一人立ち祝いとして前川から招待された主演の席で、かつての大学の同級生だった高岡(三木のり平)と再会する。

高岡は今や、幅広く事業に成功した丸石商事の社長になっており、前川とも付き合いがあるのだと言う。
由美の縁談の相手とは、実はこの高岡の事だったのである。

ある日、次郎のアパートを訪ね、父親前川の元へ戻って欲しいと頼む由美だったが、次郎はいつものようにトランペットにしか興味を示さず、由美の次郎への思いは空回りするばかり。

一方、ホステス仲間の夢子(星三智子)から伊豆へのアベック旅行券が懸賞で当ったので、次郎と一緒に出かけるようにともらった染子の方も、次郎の部屋にいる由美の様子から自分が片思いだった事を知り、ガス自殺を計ると言う騒ぎに。

徳之助から、由美が高岡と熱海に出かけるので、好きなのなら後を追い掛けろと言われた次郎は、熱海の海岸に由美を呼出し、成金の高岡と金目的で結婚するつもりらしい由美とは、きっぱり別れる決意を伝えた後、ちょうど同じ熱海のホテルに、染子から譲り受けた旅行券でやって来ていた孫作夫婦に会い、自分を弟子にしてくれと頼み込むのだった。

そのホテルでは、仕事相手と言う立場以上に一方的に惚れ込まれた景子(淡島千景)と訪れていた徳之助も合流する事に。

徳之助は学生時代に振られた相手である、金成ビルの副社長、金成藤子(淡路恵子)と、高岡の会社で20年振りに出くわしショックを受けていた事もあり、そのまま、なりゆきのままに景子と結婚してしまうのだが、当の景子が、今や伴野商会として店を構えるようになった孫作から、多額の借金をしており、このままでは、数日後に店を明渡す事になる事実を知る。

伴野商会の店員となった次郎は、訪ねて来た徳之助にも冷たい態度を取る、金の亡者に成り下がっていた。

しかしその後、由美と結婚した高岡は事業に失敗、無一文になり、自分一人で自殺を計ろうとする。

丸石商会と関連していた藤子の店ゴールデン・フジも倒産。

徳之助も又、金の工面が付けられないと分かると、景子から三下り半を突き付けられ、家を追い出されてしまうのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ12作目。

今回のテーマはタイトルからも分かる通り「金」であり、熱海の海岸のシーンでも明らかなように尾崎紅葉の「金色夜叉」を下敷きにしている。

フランキー、森繁、三木のり平らが、全員、どちらかというと真面目な役を演じているせいもあり、コメディとしては、やや地味な印象の作品になっている。

金の亡者夫婦を演じている伴淳、乙羽信子のケチケチ生活振りが苦笑を誘う程度であろうか。
やはり金に絡むドタバタは、ある意味お色気ギャグよりも品がなく、素直に笑えない部分がある。

後半、ちらり登場する、藤子の亭主役、有島一郎が、身体が不自由なのに無理矢理ツイストを踊るシーンはかなり笑えるのだが…。

逆に、由美と高岡の後半の展開など、人情話としてはなかなか良質の物語になっていると思う。

若い頃、女に振られた事が原因で女性不信となり、女性には興味を示さなくなるストイックな森繁の役も珍しい。

熱海のホテルの風呂の案内嬢役、山東昭子が大胆な水着姿で登場する所、 ゲスト出演している松尾和子、和田弘とマヒナスターズが冒頭部分で「駅前音頭」なる歌を披露している所なども見所。