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花の恋人たち

1968年、日活、吉屋信子「女の教室」原作、三木克巳+長谷川公之脚本、斉藤武市監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

轟有為子(十朱幸代)、甥山操(吉永小百合)、細谷和子(伊東るり子)、息吹万千子(山本陽子)、藤穂(和泉雅子)、ホウ・エイ(斉藤チヤ子)らは、全員、医大のインターンで、女医さんになるべく国家試験に備えて、毎日同じ寄宿舎で勉強中の仲間であった。

そんな彼女達にも、独り独り悩みがあった。

故郷の病院で付き添い婦をしている母独りに育てられてきた操は、国家試験だけではなく、研究費が全額学校からもらえる学長賞を取るため勉強一筋に打ち込んでおり、そのため、周りからはちょっと浮いている自分に気づいていた。

その操のライバル的存在である有為子は、早くに両親を亡くし、今は交通事故で足が不自由になってしまった弟の燐也(川口恒)と家政婦との三人暮し。

その燐也に秘かに思いを寄せている藤穂は、彼との結婚を考えないでもなかったが、心理的に苦しんでいる燐也の前に出ると、はっきり切り出す事が出来ないでいた。

万千子は、貧しい陶芸家の恋人宇津木と交際中だったが、医者との結婚を強く希望している母親(東恵美子)の強い反対にあって悩んでいた。

気の弱い父親(下条正己)は、はっきりした意見を言わないし、頼りになるのは、医大に通いながらも、途中から急に音楽をやりたいと言い出して、毎日フルートばかりを吹いている弟の一郎(舟木一夫)の応援だけだった。

和子は、技師の弓削史郎(山内賢)と結婚を前提とした付き合いをしていたのだが、急遽、アメリカに転勤する事になった史郎から結婚を急ぐよう頼まれ、国家試験に合格して女医になる事を決めていた彼女は悩む。

そんな操と有為子は、共に吉岡忠男(浜田光夫)の細菌学の教室に席を置き、互いに学長賞を目指して競争しあう毎日が始まる。

実は二人とも、吉岡の事が好きなのだったが、故郷が同じで幼馴染みの関係でもある操には、立場が上になった吉岡には、軽々しい態度を取れないでいた。

やがて、和子は史郎と無事結婚。

万千子も、仲間達の応援の結果、宇津木との交際を認めてもらう事に。

色々あった末、何とか、全員国家試験には合格できたのだが、学長賞には有為子が選ばれてしまう。

さらに、失意の操に、母(奈良岡朋子)が倒れたという電報が届くのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

自立を目指して各々苦悩する若い女性たちの友情物語が描かれている。

話の中核となるのは、母思いのため、かなり自分を殺して無理して頑張ろうとする操と、ややお姉さんタイプの有為子という二人のタイプの違う秀才の対比なのだが、どちらかといえば、有為子の方が主人公のように見える。

基本的に文芸ドラマなので、派手さはなく、じっくりパッケージなどで楽しむ方が向いているかも知れない。

劇中で、彼女達仲間が全員で写真を撮るシーンがあるのだが、出来上がった写真は白黒。

映画自体はカラー作品なので、ちょっと意外な感じを受けるが、この時代、まだカラー写真は一般的ではなかったという事なのだろう。

劇中で、燐也が一人、ギターを奏でながら歌っているのは、グループサウンズ、ブルーコメッツの前年のヒット曲「北国の二人」。

奈良岡朋子が働いている菊池病院の院長として、宇野重吉が出演している。

ゲスト出演的な舟木一夫だが、劇中でも歌を披露している。

男性もそれなりに楽しむ事ができるが、どちらかというと女性向けの内容ではないだろうか。